かの者はやり直したい!(完結)   作:ハヤモ

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様々な怪物集いし呪いの地、温泉郷へ(殴。
駅名にTOGIKYO ONSEN とありますね。
柬鳥来郷温泉駅……最初の「トギ」を上手く出来ず2文字化に……それも間違ってるかもですが(殴。
ホームに行くと[とうぎきょうおんせん]
[西参台〜柬鳥来郷温泉〜柬鳥来追分]
的な事が書いてあります。
EDFは建物等を観察するのも楽しいかもです。


18.温泉郷戦線

湯治の里。

6の新エリアにして、人間のみならず怪物にも人気のスポットは、今や更なるホットスポットと化していた。

 

 

『ご覧頂けますでしょうか!?

EDFによる規制で、これ以上近付く事が出来ませんが、此処からでも見える里を支配する怪物群!

地上では陸軍が異形を囲い込んでおり、大勢の兵士と兵器が壁となっております!』

 

 

上空で滞空する民間ヘリ。

そこに搭乗するTVリポーターが興奮して叫ぶ。

カメラのレンズは最大望遠で里に向けられ、多種多様な怪物……特に謎の飛行生物を捉えていた。

ハッキリとは見えないものの、翼も装置も無しに浮遊する物体群は、どこか軟体生物の様でもある。

良く見れば、周囲には大きさは劣るものの、白い小型なのもいるし、ヒトデの様なドローンも飛んでいる。

それらもプロペラや何らかの装置をナシに飛んでいる様に見えるから、不思議でならない。

 

 

『これは特撮ではありません、現実です!

今まで世界各地で出没していた謎の怪物ですが、どういう訳か此処、湯治の里として知られた観光名所に集結!

EDFは緊急事態を宣言! 周辺を封鎖、多くの兵士と兵器を集めました!

今も増えつつありますが、いつ戦闘が勃発するか分からない状態です!』

 

 

此処でカメラワークが変わり、別のヘリが近づいて来るのが映る。

都市迷彩が施されたヘリ【ヘロンYG10】だ。

旧式機【N9エウロス】より高スペックで、運動性能が上。

武装はミサイルポッドのない機関砲2門のみだが、それでも熟練パイロットが扱えば恐ろしい兵器となる。

そんな新鋭ヘリは格下非武装民間ヘリに警告を出し始めた。 勝てる道理は無い。

 

 

「こちらEDF。 直ちに進路を変更せよ」

 

『撮影はここまでです。 以上、現場でした』

 

 

逃げる様に離れていく民間ヘリ。

そんな追い払いの光景を何度も見てきた地上部隊は溜息を吐いたり呆れたり。

その中には251のストーム1も含まれた。

 

 

「俺も飛びたいもんだ」

 

 

EDF兵員輸送車でもある武装装甲車両グレイプを運転するストーム1。

ここまで長々とハンドルを握ってきたので疲れも出ている。

道中の都市内ではマスコミに通せんぼを食らったり、渋滞に嵌ったり。 緊急事態なのに。

場所が遠いので規制のない道路を通ったから仕方ないのだが。

 

 

「良いからアクセルを踏め!」

 

「曹長。 なぜ陸路なんだ? ヘリで向かえなかったのか?」

 

 

最もである。

251は都市直下型なので、ヘリは基地内には所有していない。

だが都市から少し離れたヘリポートか基地に向かえば、ヘリはある。 それに乗せて貰えば良かったのに。

対して曹長は答えた。 不機嫌に。

 

 

「本部が陸路で向かえと指示してきた」

 

「本部が?」

 

 

ここでいう本部とは、総司令部とは別。

作戦指揮官、基地司令官とも別。

日本なら日本の、各地域の本部といったもの。

それら全ての上に立つのが総司令部。

一方、戦略情報部は独立した組織。 どの組織も情報部に命令出来る権限はない。

だが兵士側は、そのどれからも干渉を受ける可能性がある。 ストーム1とかいう有名人は特に。

 

 

「使えるヘリはとっくに出払ってると。 だから251は輸送車を使うしかない訳だ」

 

「お陰で遅刻だ」

 

「構うな。 サボるより良い!」

 

「そうだが。 ビークルは現地にあるのか?」

 

 

一応聞くストーム1。

基地にある戦車やコンバットフレームは持って来ていない。

輸送機ノーブルに運んで貰うにも、それも回してくれなかったからだ。

仕方なく基地と地上の守備用として置いてきた。

隊員もグレイプの数の関係で、選ばれた精鋭のみが戦場に向かっている。

そうでなくても全部の戦力を出払うつもりじゃなかった訳だが、それでも疎外感が否めない。

 

 

「安心しろ。 お前にはビークル要請権限もある、好きなのを注文すれば良い!」

 

「輸送ヘリをテイク出来たら良かった」

 

「文句ばかり垂れるな! 現地で漁れ!」

 

「余っていないと思うが」

 

「落ちてるのを拾うだけだ。 簡単だろ」

 

「拾うだけならな」

 

 

やがて連なる輸送車は山岳地帯へ入る。

通り過ぎた看板には『この先、湯治の里───』とあった。

ゲーム的には地元出身のウィングダイバーが先導、山道の抜け道から温泉街に進入したが、今回はコソコソする理由がないので正面から堂々と。

 

すると、戦線からストーム1に無線。

本部からだ。

 

 

『こちら本部。 ストーム1、着いたか?』

 

「ヘリがありゃ着いてるぞ」

 

 

ドライブのストレスと曹長の空気、名指しもあり、文句たらたらのストーム1。

 

 

『我慢しろ。 総司令部に睨まれてるお前達に、好きなモノを簡単に渡せないんだ』

 

 

疲れ声の本部。

228事件の所為だ。 ストーム1は未だ不穏分子扱いである。

 

 

「……もう少しだ」

 

『現地に着いたら、部隊と合流しろ』

 

「了解」

 

 

無線が切れる。 頭もキレそう。

そんなストーム1を励ます曹長。

 

 

「お前は有名人だからな」

 

「228以来な。 嬉しくない」

 

「感情をぶつけるのは怪物だけにしろ」

 

「お互い様だ、それは」

 

 

未だ犯罪者扱い。

だが働く他ない。 基地に残るマーシア准尉に意見するのは後にする。

それに。

周囲に認められる絶好のチャンスである。

 

 

 

 

 

ーーーーーーEDFーーーーーー

 

 

 

 

 

「来たぞ、251だ!」

 

「やっとか」

 

「陸路で来たのかよ」

 

 

防衛線の隊員らが口々垂れる。

その目線の先には、グレイプ数両。

良いところで停車すると、兵員室からゾロゾロと隊員が降りていく。

曹長は勿論、軍曹チーム、只野二等兵。

後続車からは精鋭フェンサーとウィングダイバー。

そして最後に、運転席からストーム1。

やっと解放感に包まれ、肩を回す。

 

皆、新鋭装備でキラめいている。

曹長は何故かいつも通りラフだが、レンジャーはアーマー全体に光の流線、フェンサーは光沢ある強化外骨格、女性だけのウィングダイバーはウィングが増えつつ、背中が大きく開き露出が増えた。 えっちぃ目で見てはいけない。

肝心のストーム1、エアレイダーは全体的に鮮やかなオレンジ、大きな無線機。 背より頭ひとつ分長い棒状アンテナが生える。

良く言えば格好良い。 悪く言えば目立つ。

戦場でこんな派手で良いのか。 露出が増えて良いのか。

最新鋭ビークルには都市迷彩が施されたのもあるのに。 といいつつ、ビークルの多くは目立つカラーリングであるが。 EMCやコンバットフレームとか。 最新鋭のプロテウスも派手な青色であるし。

だが深く考えてはいけない。

これはEDF。 地球防衛軍である。 射線に出る味方とか本部の罠とか、敵母船直下で作戦行動とか普通にある世界である。

 

 

「あの空爆誘導兵が……」

 

「噂のストーム1だ」

 

「ブレイザーチームはストーム2か」

 

「それとラフなのが、血の気が多い事で有名な曹長だな」

 

「大丈夫なのか? 反乱分子だろ?」

 

「コードネーム的にも……」

 

 

ザワつく隊員たち。

3年前の228事件は曖昧に言い伝えられており、皆は不安がる。

そんな隊員らを中尉が注意した。

 

 

「やめろ。 同じ仲間だ」

 

「はっ。 失礼しました」

 

 

敬礼で答える部下達。

戦時より平和だからこそ、規律はしっかりして……あ、いや、EDFは曖昧な時が多いが。

ゲームだと軍曹と本部の会話とか。 特別枠かも知れないけれども。

 

 

「部下が失礼した」

 

「慣れている。 それよりアンタが俺達を指揮する中尉か?」

 

「そうだ。 251は実戦経験豊富と聞く。 期待している、だが無茶はするな」

 

「ありがとう」

 

 

律儀そうな中尉。

ゲーム的には荒廃世界で世話になる1人。

仲間を大切にし、無理はしない。 だが見捨てるくらいなら無理をする。 そんな人物。

ゲーム終盤、人類が優勢な状況でもリング破壊作戦で特殊作戦コマンドと別に駆け付けてくれる。

敵を引きつけるだけだぞ、と荒廃世界と同じ様な事を言いながら、何だかんだ無謀な作戦に手を貸してくれる良い奴である。

この世界線でも良い奴に変わりない。

EDFは仲間を見捨てない。 困った事にな。

 

 

「礼なら良い。 それと、先導してくれて構わない。 1番慣れてるだろ」

 

「初対面で随分信用してくれるんだな」

 

「その方が生き残れる」

 

「分かるのか?」

 

「経験と勘だ。

代わりに我々に期待はするなよ。 敵の注意を引くだけだ、それ以上はない」

 

 

そう言う中尉。

これは部下達、他全体も含まれる。

厳しい訓練をしてきたとはいえ、easyな敵を少数相手にしていたに過ぎない。

舐めきってる訳ではない。 怪物は弱く無い。

それとEDF優勢な事を言う隊員がいるところ、いつもロクな事にならない。

或いはこうして集まるところは激戦地になる。

何よりストーム1のいる所は散々だ。

ストーム1は敵のみならず、味方にとっても死神かも知れない。 過酷な戦場でも必ず生き残る本人が1番ツライさんだろうが。

 

 

「構わない。 向こうの出方も、俺の出方も、後方から見て見極めてくれ」

 

「そうさせて貰う。 監視役としてもな」

 

「やはりか。 隠されるより好印象だ」

 

「情報部お抱えのスカウトが、あんた達を見てるとは思うが。

何にせよ、生き残る事が最優先。 死に急ぐなよ」

 

「いつも通りだ。 そっちは?」

 

「給料分は働かせて貰う」

 

「好きにしろ。

まぁ、いざとなれば保護者が助けに来るか」

 

「来なくても簡単にくたばる訳にはいかない」

 

「同意だな」

 

 

気楽に言い合い、戦場を俯瞰出来る山腹へ。

レーダーに投影されているは、身近だと木々に隠れる味方……狙撃部隊の反応と、その先の味方の軍と敵群である。

ストーム1からしたら、時に味方も邪魔だ。

デコイとなってくれるなら良い。 そうでないなら、せめて射線に出ないで欲しい。 吸着爆弾やビーコンを背中に撃ち込みそうになる度に慌てるのは沢山だ。

戦力としても敵の数、種類によっては大抵期待出来ない。 今回はビークルもいる大戦力だから多少期待出来るが。

 

 

「見えるか? 里の地上もだが、空にも」

 

「良く見える」

 

 

山から里を見下ろすストーム1。

低空には翼もなしに、浮遊するデカいイカなクラーケンと、取り巻きの小さい奴。

地上の温泉街には見慣れたα型とβ型。 それら強化タイプな赤や金銀。

多種多様なキラーマシン、アンドロイド軍。

あとデカいα型なクイーンと、デカいβ型なキングが跋扈する。

更には怪物の卵が何種類か確認出来た。

ストーム1が何とかしないと全滅しそうな数。

どっちが、と聞かれたならどっちも、となりそうでもある。

そうならない為にもストーム1は派手に先制攻撃を仕掛けるつもりだ。

 

 

「壮観だな。 ここまでの規模なら空爆と砲撃で全て吹き飛ばすのが早い」

 

 

エアレイダーとしての観点から、単純かつ効率が良い事を言う。

と、聞いていたのか本部から否定的な無線。

 

 

『なるべく"穏便に"やってくれ』

 

「何が穏便だ。 既に大騒ぎだ」

 

『民間人も知る所にある。 あまり派手にやって印象を更に下げるな』

 

 

建物被害を気にする本部。

戦場なら何しても良い訳ではない。

本部、上に立つ者もレポートやら何やら面倒なのだ。 兵士が必要だと判断した上で破壊したり利用する建物なら、何とか言い訳が出来るが、不必要に破壊すれば、その兵士と上に立つ者は責任を取らされる。

ゲーム的にも、終盤でそういった会話をする兵士はいる。 バルガで何軒も破壊した奴とか。

 

 

「命と建物、どっちが大切なんだ?」

 

 

対して呆れるストーム1。

上の事情や地位など、どうでも良いと言わんばかり。

エアレイダーとしては、派手に爆撃や砲撃、衛星砲やミサイルの雨を降らして解決だ。

それが密集する敵に対して有効だし、地球防衛軍は地球を守るのが仕事であって、建物は利用するか邪魔なら破壊するモノである。

そうして敵をも吹き飛ばす。 後に残る残党を狙撃部隊がピンダウン。 その中でヘリ部隊が地上を掃討、麓のコンバットフレームや戦車隊、歩兵隊が突撃。 土地を奪還で良いんじゃない?

 

 

「……ストーム1、降格処分されるぞ」

 

「階級を気にした事はない」

 

「いやお前、軍人だろ!?」

 

「気にするな。 面倒だから」

 

「俺や周囲が気にするんだ!?」

 

 

そう言うや否や、無線機を手に取り座標伝達。

 

 

『アタック!』

 

 

すると空軍の重爆フォボスが上空を横切る。

その進路上に爆弾を落としていくと、里が爆炎に包まれた。

もれなく里ごと吹き飛ぶ怪物たち。 難を逃れた何体かと、空を飛ぶドローンとクラーケン。

突然の事に顎を開け、放心する兵士達。 本部も吃驚だ。

 

 

『俺の仕事は終わった。 帰る!』

 

 

そして去る重爆。

疑う事を知らぬ空軍である。 責任は全部陸軍にあるとしそう。

 

 

「よし。 駆除開始だ」

 

 

射程のあるリムペットスナイプガンを構えるストーム1。 何も怖いものはないと言いたげな背中に、中尉は注意する。

 

 

「お前なぁ……前に出過ぎるなよ、背中を狙撃されたくなければな!?」

 

 

遅れて本部も怒鳴る。

 

 

『何て事を! 再建に幾らの費用と時間、書類が必要だと思っているんだ!

EDFの面目を丸潰れにしたいのか!』

 

「煩い。 建物ひとつやふたつで騒ぐな。

地球防衛軍、EDFの名が泣くぞ」

 

『「誰のせいだ!?」』

 

 

既に泣いている地元出身のウィングダイバーの横を通りつつ、ストーム1はスナイプを始める。

遅れて他の狙撃部隊、ブルージャケットやハンマーズが撃ち始める。

対空戦闘車両のケブラーの群れも思い出した様に突入し、クラーケンやドローンを攻撃し始めた。

 

 

「元々狙撃し易い地形だったが、更にやり易くなったな! 悪い事ばかりじゃないぞ!」

 

「ストーム1! それ弁明になってねぇ!

あと、今言うな!? 背後のウィングダイバーが怒りと悲しみで銃口を向けてるぞ!?」

 

「ん? かつて俺に撃たれた奴か?

だがな勘違いするな。 射線に出る奴が悪い」

 

 

地元出身者を煽ってる様にしか聞こえないストーム1に、ウィングダイバーは叫んだ。

 

 

「……それが許されるなら、私は撃つ!!」

 

「止めろおおお!? 俺の面子もある! 何より命を無駄にするなあああ!?」

 

「ふっ。 それが敵に伝わればな」

 

「今1番の敵はお前だよ!?」

 

 

何が悲しくて戦場で仲間割れをするのか。

中尉の努力虚しく、時間は過ぎる。

既に敵性勢力の大半は駆逐された。 後はやる事やって、帰るだけ。

そう気楽にいられたのは、ストーム1だけ。

それと251のマーシア准尉だった。

 

 

「曹長! お前の教育はどうなってる!」

 

「敵を見たら撃て、だ!」

 

「撃つ前に空爆しやがったぞ!?」

 

「大して変わらん。 問題ない!」

 

「問題しかないんだよ!?

くそっ、251はやはり危険な集まりか!?」

 

 

無線越し、曹長に叫ぶ中尉。

だがもうやらかした事は仕方なし。

後に本部、情報部が251鎮圧、というよりストーム1に備えてスプリガンとグリムリーパーを派遣するのだが、此方も251に毒される事になる。

ミイラ取りがミイラになると言うべきか。

それで結局、ストーム3、4が生まれる事になるのだが、まあそんな事は今はどうでも良かったのであった……。




ストーム隊
遊撃部隊ストーム。
6の終盤に、再び見聞きする事になる。
プレイヤーの1、レンジャーの軍曹チームの2、フェンサーのグリムリーパーの3、ウィングダイバーのスプリガンの4。
ただ6では弱体化したかも知れない……。 5では陸戦だけならグリムリーパーに任せられる場面もあったかもだが、6では厳しくなったかも。
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