マーシア准尉も出さねば……。
ただ武器紹介だけでは物語は進まない、だけど深める文才はハヤモになく。
取り敢えず叫ぶEDFッ!(殴
「すごい……すごい、光景だ」
251所属、只野二等兵は震える声で言う。
戦闘が終わっても尚、震えるのは声だけでなく手足もだ。 手に持つT2ストークを落とさぬ様にするのが精一杯。
目の前にはかつて、湯治の里と名の知れた温泉郷があった。 それが今や瓦礫の山だ。
空爆、砲撃、潜水母艦からのミサイル攻撃。
地下暮らしでは分からない。 陸軍に加え空軍と海軍が合わさったEDFの火力は恐ろしい。 それらを纏めるかの様なストーム1も。
……潜水母艦はまぁ、明らかに過剰戦力に思えるが、そこはストーム1。 ハッキングされたのである。 改めて恐ろしい。
そんな過剰戦力でもって怪物を殲滅したEDF。
ビークル、旧式化しつつあるブラッカーE1と最新鋭のバリアスTZ1、随伴歩兵の混成部隊が瓦礫の街を占拠。
良い言い方をすれば土地を怪物の魔の手から奪還した。 悪く言えば建物全壊。
地元出身の兵士が現場で嘆いているが、それらを叱る様に曹長の声が。
「情けない声を出すな!」
隣に曹長が立つ。
こんな事になっても、口調は相変わらず。
逆に変わらぬものがあると思えば、少しの安心と不安感を覚える。
「曹長」
「基地に帰ったら鍛え直してやるからな!」
「……曹長は、平気なんですか?」
「問題ない。 ストーム1の空爆と、続く砲撃で怪物は全滅だ。
残る獲物も狙撃で一掃された。 全く狩り甲斐がない、詰まらん任務になった」
「それもアレもストーム1のお陰ですね。 もし居なかったら、死傷者が出たかも」
陸軍のビークルと歩兵だけでも対応は出来ただろうが、それだけだと時間が掛かった。
やはりエアレイダー、誘導兵のストーム1がいてくれたからこその結果である。
悪い事含めて。
「楽になったのは確かだ。
だが空の下だからと張り切り過ぎたな。 今じゃ本部の息が掛かった連中に説教されてるだろう」
チラリと見やる先。
他の部隊に囲まれるストーム1。
中尉含め、様々な隊員から罵声を浴びせられているが、本人はケロリとしている。
「何合図もナシに空爆してんだ!?」
「俺はエアレイダーだ。 空軍や砲兵隊、潜水母艦、基地や衛星に座標伝達を任されている、その仕事をしただけだ」
「タイミングがあるだろう!?」
「先制して袋叩きにするのが効率が良い。 あそこでいつまでも監視する気か?」
「相手の出方を見ろよ!?」
それはそう。
ただ、これがマーシア准尉の茶番だとは皆知らないし、それで死傷者が出るのはストーム1の望むものではない。
だからと1人で背負える数ではない。 普通なら。
それに軍属である以上、好き勝手してはならない。 結果は損害軽微で死者ゼロだが、下手すれば逆の結果が出た可能性もあった。
『こちら戦略情報部。 ストーム1を収監します、現地の兵士は速やかに拘束して下さい』
というのもあって、無線から女性の声……戦略情報部の少佐の声が。
ストーム1含む皆がアピールモーション一斉行動の如く溜息を吐き、動き出す兵士達。
「という訳だ。 悪く思うな」
「やれやれ」
「それはコッチのセリフだよ!?」
拘束され、周囲を兵士が囲まれながら輸送ヘリに連行されるストーム1。
「なる様になる。 心配するな」
曹長は助けるでもなく、今回は見送る。
ストーム1も慣れてるのか、特に暴れる事もなく大人しい。
仲間を傷付ける事はしたくないのだ。
ストーム1は鍛えられた者である。
228の民間人時代とは違う。 暴れたら暴れたで、一般兵士には手がつけられない力を身に付けた。
ゲームより平和な方である、この世界線でも変わらない。
空軍や砲兵隊への要請を封印されても、リムペットガンやドローン、バックパック等、抵抗する力がある。
ゲーム的に言えば、自衛手段が増えている訳だ。
「曹長。 下手するとずっとだが、お別れだ」
「根を上げるな。 でなきゃ鍛え直す」
「いつも通りだな」
輸送ヘリに放り込まれるストーム1。
これはいつも通りじゃないが、なるようになる。
でなければ困る。 EDFとしては除隊させて牢獄に放り込みたいところだが、この男はナニを仕出かすか分からない。
更にはEDF創設のキッカケ及び251のマーシア准尉の正体を知る者である、様々な危険を孕み野放しは有り得ない。
『それと251のマーシア准尉も拘束を』
『こちら本部……ストーム1、反省しろ。 余裕がある内は好き勝手暴れるな。
マーシア准尉にも迷惑を掛けるんだぞ』
どうやらマーシア准尉も捕まる様子。
バレたのか。 説得用か。 それとも人質か。
本部は准尉の正体を知らない可能性はあるが、戦略情報部は知っているだろう。
その意味では……本当に牢獄行きか?
ストーム1は内心を隠しつつ言い返す。
「迷惑なのは実際に戦う兵士だ。 安全な場所から言う奴に何が分かる」
離陸するヘリ。
機内で揺られながら、無線越しの会話は続く。
『それは我々の前に准尉に言え。 何を知っているのか詳しく聞かないがな』
『ストーム1。 貴方に私の部下1人を付けます。 今後監視を強化しますので、そのつもりで』
どうやらオペ子が来る様だ。
今更だが、本当に今更だ。 監視に監視を重ねて何になる。 それも3年。
准尉はEDF上層部に耳を貸して欲しいから、怪物騒ぎを世界中で起こしてきた。
頃合いを見て更に仕掛ける腹だが、このままでは本当に危険かも知れない。
今回は怪物の集会をブチ壊すだけで済んだが、それだってストーム1が空爆なり砲撃なりで吹き飛ばさなかったらどうしていたか。
それに拘束すれば解決するとは限らない。 何故なら准尉1人で世界中で怪物騒ぎを起こせるのが不自然だからだ。
今の地球人には理解出来ない、未知の力が働いていると考えた方が良い。
プロフェッサーも同じ考えはした筈だ。
「監視が好きだな。 だがな、行動しなきゃ手遅れになる事もある……情報部も准尉やプロフェッサーの話を聞いてみれば良い」
『情報部は如何なる組織でも動かす権限はありません』
「これは要請だ」
『誘導兵らしく、ですか。 だとしても判断するのは我々です』
「構わないさ。 ただ総司令部や世間様からも似た要請が来る前に動いた方が良いぞ」
それ以上の会話はなかった。
後は輸送ヘリの起動音だけが聞こえる時間となる。
平和の中の戦争。
現場だけで動かない、複雑怪奇に絡まる魔の手は、准尉にも伸びていたのであった。
ーーーーーーEDFーーーーーー
我、また泣きそう。
251の自室にまたも来客が来たと思えば、今度はノックもナシに「オラァッ!」と蹴破られてのレンジャー雪崩れ込み。
武装は旧式ながら信頼のおけるPA-11のカスタム、レーザーサイトと低倍率スコープを付けたSLS。
特殊作戦コマンドだ。 また乱暴する気か。
「マーシア准尉、上の命令で拘束する!」
どうも、地球人とは一枚岩では無い。
とはいえ、訳も分からず攫われる訳にはいかぬ。
我にはストーム1がいる。 それに計画がある。
武力はないが、言葉という武器でもって抵抗した。 あと女の武器。 うるうる目。 決してビビっている訳ではない。 たぶん。
「何故? どこの命令? 総司令部?」
「答える気は無い!」
だがアッサリと腕を掴まれ、部屋から出されてしまった。 我、無力ッ!
おのれ地球人。 我が念力を使えればこの程度の輩なんぞ鎧袖一触であるのに!
こうなったらストーム1に助けて貰わねば。
「ストーム1が、ただじゃおかない!」
「残念ながら王子様も捕まった。 牢屋で会うんだな」
は? 捕まった? ストーム1が?
というより王子とは何ぞ。 地球人の偉い奴、王や皇帝は別にいる筈だ。
ストーム1は強いし、ある意味王子扱いされても良いかも知れないが、飽くまでも1兵士。
そんな1兵士に我は負けたのだが……。
とにかく、王子とやらはアレか。 総司令部とかだろう。
「ほぅ。 いよいよ面会の兆しが」
「いつも会ってるだろう。 良いから歩け」
もう少し地球上で怪物を暴れさせて、次なんて怪生物エルギヌスやアーケルス、サイレンの群れをけしかけてひとつの都市を破壊、EDFを脅すつもりだったが、そうか。 そうであるか。 ならば中止命令を出しておこう。
なに。 ストーム1はソレくらいじゃないと満足出来ない身体になっておる。
技研もアーマメントバルガなんぞ切札を既に所有おるから余裕だろう。
アレの武装、カッパー砲は特にヤバい。
かつて1匹のサイレン、それの変異体であるグラウコスに悪戦苦闘していたのに。
その時は人類の切札である海軍の潜水母艦パンドラを浮上させ、陸軍のEMC含む多大な犠牲を払いつつのチラン爆雷を全射出、やっと弱まったところをストーム1がトドメを刺した。
総司令部も絡み、ストーム1が空軍も呼んでいた以上、当時はEDF総攻撃と言っても過言ではなかった。
サイレンも我々の手に負い切れるものでなく、同胞の船も奴が来たら退避する程だ。
そんな敵を大量に……最後の世界線に投入。
そしてストーム1に、技研の切札に薙ぎ払われた。
人類は強い。 そう思った。
この世界線では、本格的な戦争は起こしていないが、我がプロフェッサーに協力したお陰で、既に戦力は凄い事になっておるのだ。
開発だけでなく、兵士募集にも力を入れておる。
可愛らしい女子バルーンを用いた勧誘等だ。
まぁ非戦闘員への体裁を良くしたい様子であるが……ストーム1がいるからな。
「ふふふ……勝った。 Pルート、完!」
「ナニを言っているんだ」
不気味がられた。
はて、言葉を間違えたか。 資料に漫画やネットを漁っていたが、どうもソレがいけない様だ。 今更だが。
やがて別室に閉じ込められる。 王子とやらが来るのを焦がれていたのだが、やっと来たのは何とストーム1であった。
「入ってろ!」
「乱暴だな、世間体を良くしたい奴らの直轄とは思えん働きだ」
「ストーム1?」
期待とは違うが、頼もしい者が来た。
新鋭装備のまま転がされてるが、直ぐ立ち上がる。
流石だ。 γ型に弾かれまくっても何度でも立ち上がった者は違う。
武器は取り上げられている様であるが。
「その声は、マーシア准尉か。 君にも言いたい事があるぞ」
何やら静かに怒っている。
だが不思議と安心感。 彼がいれば何とでもなる。
戦場でなくてもだ。 そんな頼もしさがある。
「その意味では王子とも言えるか」
「寝ぼけてるのか。 全く、状況を理解しているのか?」
「ええ。 貴方と2人きり」
かつての決戦の時みたいに。
「違うそうじゃない。 そんなロマンチックなものじゃない、君の仕出かしの尻拭いをした結果、2人して捕まったんだ」
「それは……胴体撃ちすら時に下手な君らしい意見だな?」
「よく分からん煽りは止めろ」
エアレイダーは射撃や乱戦は苦手とされる。
ストーム1は上手な方だと思うが、渡される武器の悪さもあるか。
スナイプガンなんて、スコープないからな。
それなのに少し前にあった、スピードスターなる速く動き回る自走式ロボットの玩具には観測用で付いてきたと記憶する。
と、なれば。
「ストーム1。 貴方の事だ、空爆や砲撃で土地ごと敵を吹き飛ばしたのだろ?」
「建物は吹き飛んだが、土地は奪還したぞ」
やはりか。 派手にやらかしたのだな。
戦時なら許される行為を無遠慮に。
「土地も耕したと見る」
「敵と一緒に温泉が噴き出たな」
「その方法が良くなかったのだ。 故にココに幽閉された、我ばかりが悪いのではない。 寧ろ我は被害者だ」
「ぬけぬけと。 元凶はどっちだ?」
喧嘩になってしまったが、どっちもどっち。
お互いふんっ、と逸らし背中を向け合った。
暫し静寂。 共に冷静になる我。
「……すまない」
やっと謝れた。
ストーム1は静かに聞いてくれる。
「折角助けて貰ったのに。 また貴方に迷惑を掛けた。 だが、このまま終わるくらいならもう何度もやるだけだ」
「……続けるな。 これ以上は」
「どうすれば良い。 同胞は地球人を滅ぼしたい、EDFは我を信用していない」
「……君の仲間は、何故人類を敵視する?」
「そ、それは……地球人を放置すれば、いつか故郷に危機が及ぶかも知れないからだ」
言葉を濁しつつ言う。
まさか未来から来た、なんて言えない。
「一体何年後の話だ。 何百、何千年以上も先の話じゃないのか?
そもそも地球人が他の星に行ける様になるまで、存続しているのか怪しい」
その答えは知っている。
地球人はいない。 少なくとも今の姿では。
コロニストが見た目や行動が近いかも知れないが、知性が今の地球人より劣っている。
それに未来の地球は酷い状況だ。 皆が言う怪物が未来の地球絡みと知ったら、どう思うか。
やはり、あまり良い話ではない。
「今の技術進捗は目覚ましい。 生きている内に気楽に宇宙に行ける日が来るかも知れぬ」
「お前とプロフェッサーが絡んだからな」
「我は少し話をしただけに過ぎぬ。 後は地球人の努力の産物よ」
「軍拡が進んだ、過ぎた力が溢れ出て一部内戦に旧式とはいえコンバットフレームが動く程だ。
……グリムリーパーが嘆くぞ」
グリムリーパー。
後のストーム3になるのだろうか。
漆黒のパワードスケルトンで過酷な戦場を駆け、スピア1本で次々に敵を倒す。
昔、ある内戦でコンバットフレームをも倒したとか。 歩兵が歩く戦車な、搭乗式強化外骨格であるコンバットフレームを倒すというのは偉業である。
死神部隊として恐れられているが、最近は守護神とも言われている。 平和だからな。
だがまた内戦が起きてるとなると……彼等は再び死地へ向かうのだろうか。
「……道具は、結局使い手次第」
「ソレを授けた者はどういう心境だ。 EDFの備えたい気持ちが行き過ぎた結果、その残滓で人同士が殺し合っているんだぞ」
「うっ」
「EDFの素行ばかりメディアは取り上げたがるが、戦場での光景は多くの者は知らない」
遊び半分で地球人に文明を授けた我。
それが巡り巡って我々を脅かす事になった。
今なんて、我のヒントで生まれた先進的な数々が人の幸福と同時に不幸を生み出している。
こんなつもりはなかった。 だが外敵の知らぬ地球人は同族同士殺し合う。 哀れなり。
まさか、これも巡り巡って、我の見た将来の滅びた地球に繋がるのではないか。
運命は、歴史は修正を嫌うのか?
我、悲しい。 だが。
「だ、だがしかし。 変えられる筈なのだ」
そう。
未来を知る者は変えられる。
人類は、ストーム1は、変えて見せたのだ。
ならば我にも変えられる筈だ。
我だけでは難しいならば、ストーム1とプロフェッサーに打ち明けるべきだ。
我、ずずいっとストーム1に近付く。 フルフェイスヘルメットは中の顔を守り表情の一切を隠すが、構わず話す。
「我は、我等は未来から来たのだ。 そして我は指導者足る存在。
そんな我は同胞だけでなく地球人を救いたいと考えている」
我、ストーム1に打ち明けた。
いや人類に。
何故ならこの部屋、かつて私を閉じ込めていた時の様に部屋の四隅にドローンな目玉、監視カメラが付いているのだから。
加えてストーム1と共に同室。
狙ってやってるとしか思えない。
プロフェッサーも見ている、いや聞いている筈だ。 ならこの際だ。 望み通り聞かせてやる。
今は信じてくれなくても良い。 だが、だが2人ならば信じてくれる。
そして2人より3人、3人より4人と増える。
それが力になる筈だ。
今はそう信じ、打ち明ける。
きっと、この世界は、やり直せない。
泣いても笑っても、悲劇も喜劇も。
だがそれが本来なのだ。 だからこそ。
後悔しないよう動かねばならぬ。 その結果が後悔するものだとしても。
アーマメントバルガ
技研の切札。 最後の方で2回ほど乗る機会がある。
また、モブも搭乗。
翼的なモノが付いた他、武装カッパー砲を装備。 強力なビームを発射、前方の地表を大きく薙ぎ払う。 モブも使う。
当てるのが難しいかも知れないが、当たれば大ダメージを狙える。 大きな怪生物の群れ相手に活躍した。
当作では現段階で出撃しなければならない事態は起きていないが、完成しているとの事なので、いつか出番がある……かも?