短め。
今後の為、どうするべきか。
プロフェッサーは技研主任。 それなりの地位にいるが、我とストーム1は閑職。
このメンバーでどうこう出来るのか?
「データが必要だ」
プロフェッサーは言う。
データといっても、何が必要か。
「指定した場所に怪物を用意出来るか?」
「怪物? また騒げば良いの?」
「簡単に言えばだが。 だが今までと違う。 指定座標に予めEDFの戦力を配置、それに対峙する様に怪物を転送して欲しい」
ううむ……?
EDFにとって有利な状況を作り出せと?
「EDF上層部を納得させるにも必要だ。 それと民間メディアにも情報を拡散させる」
続けるプロフェッサーに、ストーム1は頷く。
「なるほど。 怪物が現れるポイントを掴めれば、EDFは被害が出ない布陣を整えられる。 それだけでなく、実際に出現する様であれば、マーシアの信憑性が高まる。
加えてメディアにリークすれば、世論を動かす事に繋がるだろう。 そうなればEDFとて無視は出来ない」
そう上手くいくか?
我、不安を口にする。
「上層部は信じてないのでしょ? それに今まで我にしてきた仕打ちを思うと」
そんな我の疑問と不安を払拭するべく、プロフェッサーは言葉を遮る。
「悪戯だと聞き耳を持たなくても良い。 その結果さえ見せればな。
最初は疑心暗鬼でも、現実を突き付けてしまえば上も動かざるを得ない」
「……それは、被害が出るのでは?」
「そうならない様、怪物を転送して貰う場所は大平原だ。 人口物は何もない」
「ふっ。 俺も空爆し放題で助かる」
むぅ……そういうものか?
いや地球の事は地球人に任す。 我は我に出来る事をしよう。
「分かった。 どんな怪物が良い?」
「今まで確認されてきた怪物や機械で良い。 それと派手になれば良いな、注目度が高くなる」
ならデカいヤツをけしかける時だな。
被害も気にしなくて良いならば。
同胞には地球人への威力偵察とする。 ただサイレンも混ぜるのはやり過ぎと反発されそうだが、押し切る。
我は偉いのだ。 問答無用。
それにストーム1は強いから問題なし。
「分かった。 怪生物の群れを送らせよう」
「怪生物? 怪物と違うのか」
スルーせず、聞き返すプロフェッサー。
良い事だ。 我、説明する。
「他よりずっとデカい。 バルガ並み」
「……プライマーの戦力の底が知れないな」
「狩り甲斐のある獲物だ」
プロフェッサー、戦慄。
ストーム1、戦意高騰。
なに。 そう興奮せずとも。 EMCは微妙だが、ウォーバルガ、技研のアーマメントバルガを投入すれば倒せる。
別の世界線ではそうした訳だし。
「さて。 情報部はどうせ話を聞いているだろうが私からも上に言っておく、ストーム1は準備を」
「ああ……と言いたいが。 装備を取り上げられてる、どうすりゃ良い」
「旧式の戦闘服がある。 それを着てくれ。 武器はドローンとリムペットがある」
つまり3年前と同じ装備か。
旧式か。 無いよりマシだな。 それもストーム1に掛かれば無双武器と化す。
「無線は?」
「君の使用するチャンネルは閉鎖、砲兵隊は解散、力になれない。
スプライトフォールは……使えなくはないか……女担当者が狂人気味なのを我慢すれば」
「流石に根回しされたか。 遅いくらいだが。
しかしスプライトフォール、か。 EDF最高機密の衛星砲が使用可能とはな。
この上、バスターまで使えたら笑えるな。 潜水母艦はハッキング……は対策されていそうだが」
衛星砲バスター。
攻撃衛星の強力なレーザーだったか。
別の世界線にて、ドラゴンなサイレンにトドメを刺す為に使用されたな。
誘導兵、ストーム1が要請するバルジレーザーやスプライトフォールと異なる。
といっても変異させただけに留まり、倒す事は出来なかった。 それだけ強い奴なのだ。
そんなサイレンを今度けしかける訳だが、アーマメントバルガがいるなら大丈夫だろうて。 たぶん。
「流石にバスターは無理だ……チャンネルを用意した、自己責任で連絡してくれ。
軍曹達もじき来る、用意を」
「了解。 さて、広い倉庫を漁るか」
勝手に話が進み、勝手に動き始める両者。
何をすべきか既に見据えておる。 強い。
『ちょ、ちょっと黙って聞いていれば!』
おう無線越しのオペ子よ。
いたのか。 すっかり存在を忘れておった。
『大人しくする気もなければ、更なる騒ぎを起こそうとしてません!?』
「今度こそ終わるなら、それで良い」
『こんなの許されません!』
「なら少佐に報告しろ。 信じてない奴に何言ったところで無駄だろうがな」
『どこまで本当なのか分からないのに……全くもう、どうなっても知りませんからね!』
「監視役が聞いて呆れるな」
哀れオペ子。 抑止力にもならず。
騒ぐ気持ちは分かる。 けれど我々の会話を少佐に報告したところで、同じ様に無視されるだろう。
だがこれからだ。 戦略情報部も信じてないなら、信じられる様にしてやるまで。 分からせてやる。
それを我々はする。 言った通りになるという事を証明する。 そして上層部を引き摺り下ろす。
「俺は228の使えそうな武器を探すが、マーシアはプロフェッサーと打ち合わせだ。
怪物の出現座標を決めるんだ、後はプロフェッサーがやる。 心配するな、何とかなる」
「分かった」
我、一時ストーム1から離れ青服眼鏡なプロフェッサーの元へ。
たった3人。 されど3人。
かつての敵は今や味方。 頼る。 言葉に甘えて。
それぞれの戦い、役割を果たすのだ。
ーーーーーーEDFーーーーーー
「旧式か」
3年前の戦闘服姿のストーム1は、倉庫街な228地下にてボヤいた。
空輸しやすく土地ある田舎の基地、されど戦略価値が低いのか、蓄えられている兵器は旧式メインにアクセントの新鋭、といった様相だ。
何もないよりマシなのは間違いないが。
「改修されてるもの、まんまのもの、新鋭のもの……管理がなってるのかいないのか。
だが軽く点検した感じ、信頼出来る」
漁りながら、元技術者として色々思いながらもストーム1は使えそうなモノを回収、把握していった。
技術の進歩は目覚ましい。 日進月歩。
特にマーシアとプロフェッサーのお陰で軍事技術の加速は凄まじい。
だが早過ぎると追いつかない。 人も機械も。
互換性の効かない部品、生産が終了した物の修理や改修は大変だ。
それらが3年の間に増えた。 性能が底上げされるのは良い事に感じるが、整備士泣かせでもある。 新技術ともなれば尚更だ。
上層部がどう思っているか知らないが管理が雑だと感じずにはいられない時も。
自爆の危険性が高いグレネードに「危険」の貼紙だけ貼って倉庫にぶん投げているのもあった。
別の世界線では戦乱で行方不明になった武器もある。 紛争でコンバットフレームが使われた事もある。
それらは仕方ない事情があったにせよ、やはりEDFの管理の雑さが否めない。
「使えれば良い」
まぁ今のストーム1には、その方が有難い。
228勤務の兵士もストーム1とマーシアの事情は大雑把ながら知っており、不審な行動を黙認している。
後々来る増援……軍曹チーム他も。
持つべきは兵器より仲間。 ストーム1だけでは難しかっただろう状況も、これで乗り越えてきた。
大戦のあった世界線的には囮とか不死性のある軍曹に爆弾を仕掛けて敵ごと爆破とか。
戦力を集中させて迎え撃てと本部から言われても、数の暴力相手に無理と判断したら容赦なく囮にして仲間ごと空爆するとか。
後は上層部が理解してくれたらクリアだ。
「ストーム1」
ここでプロフェッサーから無線。 応答する。
「どうした」
「日時と場所が決まった」
「本当か」
「ああ。 最初は此処228、その後は平原だ」
「命懸けの茶番劇が2箇所もか」
「228なのはビークルや兵員輸送の問題だ。 堂々輸送なんて出来ないなら、最初からある場所を舞台にすれば手間がない」
228は山に囲まれた田舎の基地。
住宅地に被害は及ばない。 だが基地と兵士には被害が出る恐れがある。
守るべき存在はマーシアだけではない。 基地の皆も大切な仲間だ。 茶番とはいえ真面目に守らねば。
「本部と情報部には連絡した。 既に君の専属が報告していた様だったが、やはり信じてくれていない」
「なに、これからだ」
「そうだな……EDFを信じさせる為にEDFを攻撃する、皮肉だな」
「今更なんだ。 やるだけだ」
「その通りだストーム1。 さあ、やろう」
ストーム1は手に無線機、リムペット。
プロフェッサーはPA-11を用意。
マーシアは基地内で同胞と連絡。 茶番用意。
孤独のない戦いが始まろうとしていた。
「パーティーの用意は出来たか、レディ?」
フルフェイスヘルメットの下。
ストーム1はニヤリ、と笑みを浮かべたのであった。
軍曹チーム他
(また空気……)
チャンネル閉鎖
荒廃世界で無線、発煙筒を構えると、この手の無線が入ってくる。
やはり空軍や砲兵隊等は機能していない様子。
尚、スプライトフォールだとサテキチお姉さんボイスが聞ける。 連絡しないで、1人が良いとか、オモチャが必要? 今作ってるといった事を言われる。
オペ子
戦略情報部、少佐の部下。
前作5ではそれなりに進めたところでストーム1の専属となるが、6では世界線によってかなり早い段階で専属になる。
あまりに強いストーム1に困惑したり、礼を言うことも。