励みになります。 どこまで行けるか分かりませんが、宜しくお願いします。
我、基地の地下から外の様子をモニター。
既に民間メディアが嗅ぎつけ、TVで臨時ニュースとして映像が流れておる。
そこには空飛ぶ巨大ドラゴン。 その視線の先には2大怪生物を倒したストーム1の駆るアーマメントバルガ。
同胞が恐れた存在同士の衝突。 だが何方が手に負えぬかといえば、ストーム1である。
加えて技研の切札、アーマメントバルガ。
コイツらを倒す為ならばと同胞は無茶をして、自分達すら手に負えないサイレンを何体もけしかけた。
結果は語るべくもない。 ストーム1にボコボコにされてポイである。
今回もそうなるであろう。 大戦による戦闘経験は積んでいないが、ここまでの戦いぶりを見れば疑う余地なし。
そんな彼とバルガに、プロフェッサーは呟く。
「アーマメントバルガは確かに強い。 我々技研の切札と誇れるものだ。
だが搭乗するストーム1の技量も凄まじい。 訓練期間もなく、いきなり使い熟すとは。
怪生物を2体も倒し、このままサイレンに挑もうとしている……凄まじいものだな」
我、頷く。
ストーム1は凄い。 バルガも強いが、彼も強い。
サイレン1体如き何とかする。 でなければ嘘である。 その上で倒した暁には、EDF総司令部も同胞も交渉する他ない。
もう少し。 もう少しなのだ。 夢の実現の為、ストーム1、頑張ってくれ!
「始まるぞ」
モニター越し。
サイレンが鳥の様に足から突撃し、バルガも迎え撃ちの剛腕を振る。
互いに激しくぶつかり合い、倒れ合う。
そこから同時に立ち上がる。 まだ戦いは始まったばかりなのだ。
ーーーーーーEDFーーーーーー
『こちら本部。 228状況知らせ』
『こちら228。 当基地は怪生物の空襲下にあり! 繰り返す、基地は空襲下にあり!』
『こちら戦略情報部です。 確認しました、直ちに増援を送ります』
『こんな事になるなんて……』
上層部は大騒ぎ。
現場がドッタンバッタンして、ようやっと慌て動き始めたのだ。
同時に認める。 プロフェッサー達の話は事実であり、マーシア准尉は不思議な力を持つ異星人だと。
『総司令部から高出力レーザー砲バスターの使用許可が下りました。 サイレンの動きを止め、トドメを刺す作戦です』
『現場に伝える。 コンバットフレームを輸送、レールガンとEMCも投入する。
相手は強大といえど1体に過ぎない、袋叩きにしてやる』
息巻く本部。
余力あるEDF、動かせる強力な兵器を投入しまくれば、如何な敵といえど倒せると思っていた。
だがそれが、敵を成長させるとは思ってはいなかったのであった。
ーーーーーーEDFーーーーーー
「バスターを使うだと!?」
無線を受け、プロフェッサーが叫ぶ。
我も驚愕。 バスターを使った結果、どうなったか知っていての行為か?
いや知らんのだった。 世界線が違う。
「少佐。 アーマメントバルガに任せてくれ、それで解決する」
『決定事項です。 アーマメントの有用性はエルギヌスとアーケルスで実証されましたが、サイレンは飛行能力を持つ怪生物。
逃せば追跡は困難。 バルガに頼り切るのはリスクがあります』
ううむ、言っている事は分かる。
だが少佐も知らんのだ。
バスターを使えば奴は変異、凶暴性が増す。
逆にバルガで粉砕するなら、それまでだ。
それは前の世界線で実証済み。
我、話に割り込もうとするも、先にプロフェッサーが述べていく。
「直ちに中止してくれ。 サイレンは危機に陥ると自らの命を削る変異を起こし、凶暴性が増す恐れがある」
『作戦を続行します。 技研のデータ収集は十分でしょう、休んで下さい』
「少佐……」
おのれ。 最大の敵は上層部か。
仕方ない。 我、ひと肌脱ぐ。
「我はマーシア准尉。 少佐、彼の言っている事は事実。
作戦を実行すれば、より危険な状況になる。 あくまでストーム1の援護に留めて欲しい」
『准尉。 貴女がストーム1に想い入れる気持ちは分かります。
ですが、信用に足らないのも事実。 今は大人しくして下さい』
「なん……少佐、話を……少佐? 少佐ッ」
無線を切られた。
おのれ。 本部はどうだ?
「本部、本部。 応答を」
『こちら作戦指令本部』
「バスター使用中止を要請するっ」
『総司令部の決定だ。 どうする事も出来ん』
そんな……。
228司令官は?
3年前と同様、協力してくれるならば。
「228司令」
『諦めろ。 片田舎の基地に権限はない』
恐ろしく即答!
我、蹲るッ!
おのれ。 おのれ地球人!
どこまでも我を苦しめおって!
「仕方ない」
プロフェッサーは眼鏡をクイクイ。
何か案があれば頼む。
我、期待の視線。
「ストーム1に素早く倒して貰う。 バスター発射準備まで時間は掛かるだろうし、例え準備が出来ても発射出来るのは1度だけだ。
ストーム1が接近戦を仕掛けている内は、まさかバルガごと撃ちはしないだろう。
もし失敗してバスターを撃たれ、サイレンが凶暴化しようものなら、それこそストーム1に倒して貰えば良い」
プロフェッサーも、ストーム1を信頼している。
いやアーマメントバルガをか?
あいや両方だろう。 先程の発言からして。
「ううむ……確かにアーマメントバルガとストーム1ならば、サイレンが発狂しても倒してくれる。
問題は、少佐の言う通り逃す事。 都市部にでも行かれたら、跡形もなく消し飛ぶ」
サイレンは、それだけ危険な存在。
今のEDFの戦力なら倒せるだろうが、放置すれば文明崩壊レベルの強さを誇る。
特に変異後は。 高く飛翔されては、大地に立つ他ないバルガは手も足も出ない。
あの世界線、サイレンの群れを倒せたのは、サイレンが低高度を飛び、逃げもせず最後までバルガに立ち向かっていたからに過ぎない。
他の怪物やアンドロイドと違い、逃げる事を知っている。 厄介だ。
「そうだな。 死傷者が出ては、准尉としても望むものではないだろう」
「うむ。 サイレンは我々マーシアンでも完全に御せない危険生物。
やはりストーム1が唯一頼みの綱よ」
「そうだな。 と言う訳だストーム1」
プロフェッサー、ストーム1に伝える。
「聞いた通りだ。 怪鳥を倒してくれ、上層部の作戦より先にな」
『期待するなよ』
「我の為にも、そこは頼む!」
『美人の頼みじゃ、断れないな』
「真面目に頼む」
軽口を叩く余裕を見せるストーム1。
頼むぞ英雄。
この世界線でもドラゴンスレイヤーとなれ。
ーーーーーーEDFーーーーーー
「ストーム1を掩護!」
アンカーを破壊、仕事を終えた陸戦隊は休む暇なくサイレンに攻撃を開始。
対空戦闘車両が再び動き、多目的ミサイルが飛翔、ケブラーは前進、高射機関砲を撃ちまくる。
空に上がる弾幕は遠目に見る分には綺麗だが、現場は悠長な事を言ってられない。
「ネグリングもレンジャー装備みたいに多重ロックオンが出来たらな!」
「良いから撃て! 何方にしても最後はストーム1に任せる他ない!」
ブツブツ言う対空車両部隊。
例え怪生物に対して豆鉄砲だとしても、気を逸らす位は出来る。
それでストーム1が優位になるならと。 やれる事をやるだけだ。
「で、俺たちはどうするよ?」
一方、山から巨大物同士の戦闘を眺めているだけの軍曹の部下は言う。
関わりたくないのが本音だ。 歩兵の火器で空飛ぶデカブツに挑むのは正気じゃない。
……まぁ、EDFはやってきたが。
他に手段が無いなら、やるだけ。 無謀な戦いは何もストーム1だけの話じゃないのだ。
世界線によっては、アーケルスにバルガを衝突させる初の試みの際、歩兵は見ているしかない発言をした者もいるが、仕方ないなら仕方ない。
……仕方ないのか?
「基地に戻れば、個人用誘導ミサイルランチャーエメロードの実戦配備モデルME2エメロードがありますが」
「15連装ミサイルランチャーのFORK-A15もある」
「多重ロックオン装置、レーダー支援システムも」
「でもよ、基地に戻る余裕はねぇぞ」
山と基地の間で巨人が暴れているのだ。
歩兵が戻るには足元を潜る事になる。 踏まれる恐れがあるし、ストーム1の邪魔になる。
そうでなくてもサイレンの火炎ブレスに巻き込まれる。 今だって目の前は火の海であり、火炎放射を喰らい炎に包まれているバルガ。
それでも怯む事なく戦い続けているが、生身の歩兵隊はひとたまりもない。
そんな危険は踏みたくない。
山を伝い迂回するなら時間が掛かる。
軍曹は皆に伝える。
「ブルージャケットは狙撃、俺たちはブレイザーで掩護する!」
「やっぱやるのかよ!」
「戦える者がやらなきゃな」
「そういうことだ! 行くぞ!」
軍曹チームは山を駆け降り、サイレンの羽ばたきによる風圧に負けぬ強靭な走りで光線を放ち交戦開始。
それを見た狙撃部隊のブルージャケットも、大口径の対物スナイパーライフルKFF50を山から撃ち始めた。
その様を見たストーム4は、持ち込んでいた別の武器を構える。
それは超高出力ロングレンジ・レーザー銃MONSTERであった。
「我々も狙撃といこう。 エネルギー消費の激しさで飛べない鳥となるのは悔しいが、何もしないより良い。
なぁ死神部隊? いや、今は守護神か。 この場に置いては山でも守るか?」
煽られた死神部隊、グリムリーパーはふんっ、と鼻を鳴らすしかない。
グリムリーパーの装備は近接戦闘武器の機械式の槍、ブラストホールスピアのみ。
これでは空飛ぶ敵とは戦えない。
「特等席から見守るとしよう。 楽しませろ」
「兎共に遅れをとるとはな。 だがアンドロイドとアンカーで借りがあるよな、アイツを倒して借りを返して貰う」
隊長と副隊長が軽口を叩く。
今はそれくらいしか出来ない。
そうこうしている間にも戦闘は続く。
低高度を飛び続けるサイレンは攻撃を受ける度にグギャアと喧しい悲鳴を上げ、ストーム1は容赦なく鉄腕で叩き落としては、踏み付けのコンボで確実に怪鳥をシメていく。
「良いぞストーム1!」
「増援が来ると聞いているが、その前に片が付くんじゃねぇか?」
勝利を確信し、沸く隊員。
だがストーム1や基地地下にいるプロフェッサーとマーシア准尉は心配している。
ただの増援が来る分には構わないが、バスターまでやられる訳にはいかない。
勿論、逃げられるのも駄目だ。 一気に畳み掛け、反撃や逃亡を許さない勢いを保たねばならない。
「カッパー砲、再砲撃準備!」
ストーム1が叫ぶ。 ここで決めねば。
砲撃手順を踏み、満身創痍で倒れたサイレンに向き直る。
「射線上から離れろ! 山ごと抉れるぞ!」
「さっきの砲撃か!?」
「大将、容赦ってもんを知らねぇ!?」
「退避しましょう!」
『総員、バルガ正面から退避急げッ!』
逃げていくEDF隊員達。
先程の凄まじい攻撃を見ているので、そのヤバさは理解出来る。
あんなの、耐えられる存在はそうはいない。
生身の歩兵は蒸発ものだ。 戦車の装甲も役に立たない。
山を吹き飛ばす威力があるという原子光線砲なEMCより強いカッパー砲だ、ヤバ過ぎる。
マザーシップの砲撃までいくか分からないが、どちらにせよ危険極まりない。
という訳で。
大急ぎで左右に散っていくEDF隊員達。
「すまない、だがコレで終わりだ」
ストーム1はレーダー越しに安全を確認、カッパー砲の再砲撃準備が出来た。
正面には横倒れのサイレン。
発射ボタンを押し、トドメを刺す正にその時。
『バスター最大出力照射ッ!!』
突如として、空より強烈なレーザー砲!
軌道衛星上にて準備が進められていた高出力レーザー砲、バスターによる攻撃だった。
……EDFの世界的に、ドローンの軍事利用は禁じられているらしいが、宇宙空間の軍事利用はセーフなのだろうか?
「な、なんだ!?」
「空からレーザーだと!」
「衛星砲か!?」
「バルジレーザー? いや桁違いだ!」
「凄い熱だぞ!?」
突然の事に驚愕する隊員達。
混乱が生じる中、プロフェッサーは歯軋り。
「くそっ、間に合わなかった!」
マーシア准尉も頭を抱える。
なんてこった。 これでは変異の恐れが、と。
「このまま撃つ!」
ストーム1、それでも構わず発射!
レーザー砲を浴びるサイレンに対し砲口を向けるアーマメントバルガ。
そのまま更なる追い討ちの様に両肩に構えられた巨砲から極太ビーム発射、サイレンを爆炎に沈める!
「大将、やりやがった!」
「やったか!?」
「これでサイレンも終わりだな!」
やがてレーザー照射も終了。
そこには燃え盛るサイレンが横たわる。
見守る隊員達。
離れていても伝わる熱風が、勝利と不安を掻き立てる。 どうだ、どっちだ、と。
そして。
───グギャアアアアアアッッ!!!
悲鳴、いや産声が響いた!
燃え盛るサイレンは再び強大な飛翔をし、風を滑り、火炎弾を撒き散らしながら空高く飛んで行く。
「嘘だろオイッ!?」
「アレを食らって生きているだと!?」
圧倒される隊員達。
超兵器を同時に受けて、まだ生きているとは。
しかも燃え盛っている。 レーザーによる熱ではなく、サイレン自らが燃えているのだ。
この状態は命の危機に瀕した際、自らの寿命を削り能力を強化、生き残ろうとしている状態なのだ。
この状態をグラウコスと呼称。 人類最大級の脅威である。
『熱源が移動している、どうなってる!? 大丈夫か!?』
衛星砲操作員からの無線。
ストーム1は冷静に文句を垂れる。
「大丈夫じゃない問題だ。 奴は変異し、凶暴化。 228周辺で山火事を起こしまくった挙句、逃亡開始。 行き先次第じゃ大勢の犠牲が出るぞ」
『そんな馬鹿な……俺は何て事を』
「お前は悪くない。 悪いのはプロフェッサーとマーシア准尉の話を信じない上層部だ」
会話している間も、グラウコスは離れていった。
バルガの足では追撃困難。 そうでなくても高い場所を飛んでいる相手にパンチは届かない。
カッパー砲も再発射出来る頃には射程圏外だし、そもそも砲口を上に上げられないので当てられない。
つまり、詰んだ。 この始末は上にさせる。
「おい戦略情報部。 どうするんだ?」
怒気を孕んだ口調で無線を飛ばす。
それに答えたのは少佐の部下だ。
『既に空軍の攻撃機が追跡しています』
「そうだな。 こうなった以上、次はどうするべきかなら、それが正解だろう。
……で、少佐。 どうせ聞いているんだろ?
こうなる前に何とか出来たんじゃないのか?
例えばプロフェッサーとマーシア准尉を信じるとかな」
返答はなかった。
ストーム1は舌打ちすると、本部に繋ぐ。
「本部、奴の様子だと進路上は火の粉が撒き散らされ地上は火の海だ。
その辺の避難指示と始末は任すが、奴を野放しには出来ない。 準備が出来次第、俺達を向かわせてくれ」
『分かっている、既に対処に追われているところだ。 空軍からの情報を待ち、それまで奴を倒す準備を進める』
「頼む。 プロフェッサー、聞こえるか?」
『どうした?』
「アーマメントバルガの点検をする、リフトに載せるから操作頼む」
『分かった、その時は合図してくれ』
「了解。 228」
『こちら228』
「整備員を回してくれ。 バルガ以外にも傷付いたビークルや兵士の武器装備も見なきゃならない。
俺も元整備士だ、手伝う。 良いか?」
『許可する。 というより此方から願う』
ストーム1は方々に話をしていき、整えていく。
その様はとても頼れる姿で、聞いているだけのマーシア准尉もジーンと感動してしまう。
「マーシア准尉」
呼ばれて、ドキッとしてしまうマーシア。
『な、なに?』
「大丈夫だ、何とかなる」
それだけ。 だけど、とても心強い言葉。
マーシアは滲む涙を拭うと、元気に答えた。
『うむ! 頼むぞストーム1!』
絶望する事は、何も無い。
グラウコス
サイレンが変異した状態。
バスターの攻撃で燃えるドラゴンと化した。
アーマメントバルガがいたのに……。
強くなっており、コイツを倒すミッションは山場。
\絶望は何の役にも立たない!/
苦戦した隊員は多かったと思う。