かの者はやり直したい!(完結)   作:ハヤモ

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プライマー側が一方的なやられ役になっても良くないので、彼らにも出番を作りたい……。
フェンサーやウィングダイバーもですが、他にも軍曹の部下や曹長らと合流したい。
本部と情報部の少佐、その部下も出さねば。
名前のある者もいますよね。 コードネームを入れると更に。 そう考えるとゲームだけで登場人物は意外と多い気がしてきます。
……登場するかは分かりませんが(殴。


32.闘争

相変わらず行方知らずな"かの者"から念話が来たから、プライマーは素直に従う事にした。

新たに与えられた任務、それは未来……プライマーからしたら元の時間軸……の監視。

地球での出来事が火星文明にどんな影響を与えてしまうのか。 主が伝える最悪の形を回避する為、プライマーは研究し見落としの無い様に目を凝らす。

元々この手をしなかった訳ではないが、地球侵攻をしない分の余裕を回す。

プライマーの時間軸からすれば"今"との差異はン十万年と幅が広い。 その分、小さな出来事が未来では大事件に発展する。 バタフライ効果は惑星をも超えるのだ。

それに気付いたからこそ、プライマーは地球人の前から姿を消したのだが……事態がこうなった以上、無かった事には出来ない。

何より主からの命令ならば従うのみである。

タイムマシン……リングの力は今のところ、軍事利用より観測用として運用され、されど針の穴に糸を通す以上に難しい研究をしていく。

それでも戦う。

戦争より困難な理想、平和を求めて。

 

 

 

 

 

ーーーーーーEDFーーーーーー

 

 

 

 

 

我、拠点を坑道に移し今後を練る。

この坑道は元々あったのを制御下に置いたネイカーに協力させて都合良く広げたものだ。

使えるものは使わねばな。

そんな坑道。 迷路のように入り組み、例によって侵入者撃退用にトラップが仕掛けられている。

今度のは足止めどころか本気で殺す気のものが用意された。

大型のボールベアリングを射出する指向性地雷インパルスの破壊強化型YDXストライクインパルスや、最強の破壊力を持つ高性能爆弾CA90爆弾、高速ロケット弾を発射する設置型の自動追尾砲座……追尾兵器技術の最高峰ともいえるZEXランチャー等。

今は遠くで破損した水道管から滴る水音が響く意外は我らの足音と声のみだ。 銃声は聞こえない。

 

 

「総司令部は更に焦り始める」

 

 

プロフェッサーは言う。

 

 

「今回、拠点攻撃において多くの犠牲を出した上に我々の拘束、或いは殺害に失敗した。

外では最新鋭ビークルが並んでいた様だが、無惨にもストーム1により尽く破壊された。 同時にストーム1の危険性を改めて認知した事だろう」

 

 

我、頷く。

ストーム1は相変わらず凄まじい。 テクニカルな兵器で最新鋭装備を潰したのだ。

プライマーの船団をほぼ1人で撃墜してしまうのだ、寧ろこれくらい出来て奇妙な事はあるまい。

 

 

「ふんっ。 今更慌てても、もう遅いわ。 嵐……ストームを甘く見積り過ぎだ」

 

「戦略情報部も既に偶然とは思っていないだろう。 それ故に今後、更なる強力な兵器を投入してくる恐れがある。 警戒してくれ」

 

「ストーム1がいる限り、怪生物……サイレンの群れでも易々と制圧出来るとは思えんがな」

 

 

もう勝利は約束されたも当然よ!

そうドヤッて胸を張るも、今後の方針を考えねば勝てる戰も勝てぬ。 スンと表情を落ち着けて考える。

 

 

「さてもプロフェッサー。 総司令部に勝つには迎撃だけではいかんだろ」

 

「その通りだ。 EDFへの世間支持率は下がっているが、力は依然強い。

このままではすり潰されるのも時間の問題だ、防衛に専念せず攻める必要がある」

 

 

総司令部を攻めるのか。 ボロ装備で。

だが正確な場所も分からん。 極秘地点で活動しているなら、向かいようがない。

同胞に協力して貰い、地表を砲撃しても解決しないだろう。 多くの場合、EDFの基地は頑丈な地下施設を備えている。 ピンポイントで砲撃すれば貫けるやも知れんが、中途半端ではEDFを壊滅に追いやるのは難しい。

というか、そこまで武力行使しては他世界線と同じ戦争ルート。 しかも、最初の頃にループした世界線でやらかした方法を取っても何も解決せん。

さてどうするか。 プロフェッサーに頼ろう。

 

 

「政界、経済界は敵だが、民衆の支持があっての力だ。 EDFそのものもな。

金と権力である程度はコントロールされているが、それもストーム1の活躍で計画も何もかも台無しになりつつある。

いずれ修正が効かない所まで行くだろう」

 

「それまで耐えろと」

 

「そんな悠長な状況ではない」

 

「総司令官が今、何処にいるかも分からない。 核ミサイル基地でも占領して脅すか?」

 

「何度も言わすな。 それをすれば悪役はこっちだ。 ストーム隊の苦労も無駄になる」

 

「ならどうしろと」

 

「総司令部に繋いで、再び交渉してみる」

 

「んな阿呆な」

 

 

我、この状況になった経緯を思う。

総司令部にマーシアン代表の我が頭を下げて平和を結ぶ事を願ったのに、奴らは利益に目が眩み話を蹴って紛争地帯に我等を飛ばしおったのだ。

そんな連中に交渉とは。 血迷ったか。

 

 

「正気か?」

 

「言わんとしているのは分かる。 だが今度は対策していこう。

向こうの居場所が分からないからこそ此方が呼び寄せる。 場所は此方でも向こうが指定するのでも良い。

だがその場所に警備がいた様に、此方も戦力を整えて向かおう。 事態が悪くなる一方なら、話に応じるフリをして向こうは武力行使する頭しかないだろうからな」

 

 

つまり、相手の頭を引き摺り出して最悪は取り巻きを暴力で解決すると。 それこそ火種になりそうだが。

同胞とも連絡し合い、望む未来になっているか確認させねばならないな……。

 

 

「そう上手くいくか?」

 

「メディアに場所をリークする。 そうすれば隠し切れない、どこかボロが出るさ」

 

「ボロなのは此方もだがな」

 

「それは最初からだ。 とにかく、やってみよう」

 

 

そうして方針は決まった。

ストーム1にも連絡しつつ、我々の戦いは最終局面を迎えていくのである。

迎えていると……良いなぁ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーEDFーーーーーー

 

 

 

 

 

「次の作戦が決まった」

 

 

マーシアから連絡を受けたストーム1は皆にも伝える。 そろそろ決戦といこう、と。

周囲には合流したストーム隊の面々、民兵や賛同して駆け付けた正規軍。 兵科も武器もバラバラな面子が集結している。

民兵の中にはブラッカーの破壊力、射程、精度を向上させたX500-オーキッドを持つ。

スコープ装備、中距離でも戦える様にしている。

正規軍からは原子光線銃ブレイザーの量産型の他に完成形のオメガブレイザーという理論上EMCの30%の出力があるものが持ち込まれた他、改良型で対怪物用に調整されたデストラクション ブレイザーGも並んだ。

狙撃部隊ブルージャケットからはKFF狙撃銃の最終形KFF70の他、バースト式や特殊、ファングやライサンダーといった大口径も持ち込まれている。

ショットガンも大型スラッグ弾を発射するスラッグショットZ6、鹵獲したスローターやフルオートマチック、マガジン式やらポンプアクション等が揃う。

重火器も混ざり、レパード誘導ロケットやグラント・ロケットランチャーの最終完成形のグラントMTXを担ぐ者もいる。

決戦前夜、いや当日かの様な装備だ。

オペレーションオメガでも起こす気か。

 

 

「総司令部との交渉を再度始める。 その座標と日時は───」

 

「ま、待ってくれよ!」

 

 

声を荒げたのは只野。

総司令部とのドンパチの予感に、敏感にも反応し反対の声を出す。

 

 

「総司令部が納得するとは思えない! それに想定して待ち構えられている筈だ!」

 

「だからどうした。 それが俺達の仕事だ」

 

 

グリムリーパーが当然と言う。

左手には馴染みのG印のシールド。

右手には改良型のブラストホールスピア。

兵士に出来るのは戦う事だけ。 だが相手が同じ人間、EDF総司令部となればスケールが違う。

 

 

「相手と比べて兵士も装備も劣ってる!」

 

「このまま終わるより良い」

 

 

ケンと名のあるベテラン兵士が言う。

周囲の迷彩服を着た新兵も頷いた。

手には火力より信頼を優先したPA-11。

 

 

「只野! それでも男か!」

 

 

久し振りに会った軍曹の部下も辛口。

手には皆してオメガブレイザー。

同じ基地で苦楽を共にしたのに、今更怖気てどうすると叱りつつ鼓舞する。

 

 

「そういうな。 プライマーじゃなく人間、それも総司令部とあってはな」

 

「相手の武器は最新鋭。 それも歩兵の火器で太刀打ち出来るか怪しいビークルがジャラジャラだ」

 

「只野! 勇気を見せる時だ!」

 

「ブレイザー持ちが、何を言うんです」

 

 

ブレイザーならば、装甲にもダメージを与えられるだろうと想像する只野。

だが自分は、そんな上等な武器はない。

特殊装備に軽量リキッドアーマー。

持ち込まれた近未来的実弾小銃な見た目のT4ストークMK2、バックパックはMGグレネードの最終作戦仕様MG40だが、背負うは四角く、弾頭を4つの穴からそれぞれ発射する見た目なロケットランチャー、小型ロケット弾を連射出来るカスケード2だ。

 

 

「お前こそ何を言う。 重装備に見えるが?」

 

 

スプリガンに言われる只野。

確かに人間相手には十分過ぎる。 逆にオーバーキルな程だ。

 

 

「そうじゃない……そういうんじゃない」

 

 

問題なのは、相手の出方……いや。 勇気だ。

 

 

「俺はストーム隊や皆の様に強く無い! ここまで何とかやってきたし、助け合いもした!

皆、大切な戦友だ! 協力して無慈悲なエイリアン共を倒してきた!」

 

 

厳しい訓練、環境に耐えて溜め込んできた感情が、ここになって爆発。

口から心中を叫び散らし、周囲は動揺する者もいるが口を挟む者はいない。

 

 

「ああ頑張ったさ! なのに総司令部は冷たいまま、挙句に人殺しをする羽目になった!

そんな元凶に銃口向けるだって?

正気じゃない! 同じEDFじゃなくても拠点襲撃で民兵も分かっている筈だ!

敵の戦力は桁違い、プライマーの残党とは比較にならないんだ、昔より遥かに!

ストーム1がいたから何とかなってきたが、今度ばかりは死ぬ! 兵士だって命を抱えてる! 生きてる! 俺は生きたい! 死にたく無い! 避けられる戦いがあるならしないべきだ!

それとも、ここにいる全員は勝ち戦が続いて酔ってるのか!?

納得のいく答えを言えるなら言ってみろ! 俺はもう! もう……ッ! うんざりなんだよ…………ッ!!」

 

 

息も絶え絶えに、涙も出しつつの述懐。

情けなくも心の底からの叫び。

死体を作り、作られ、血肉が飛び散る。

正規軍に追われながらエイリアンの残党とも命を削り戦ってきた。

今は総司令部に叛逆、殴り込みの姿勢。

本格的に人間同士の殺し合い。

状況は良いといえなかった。

それに同情出来ない皆でも無い。 同じ環境に置かれているものもあるが、食事や寝床、生活に困って銃を取った者もいる。

それは命の危険と引き換えと分かっていたが、いざ劣悪な環境に置かれて、死ぬと分かっている戦場に向かう覚悟と勇気は並大抵ではない。

殺さなきゃ殺される。 生き延びても奪った命、戦場の光景がトラウマになる。

恐怖に打ち勝つ。 勝った後も延々と戦う。 自分の中の戦争は死ぬまで続く。

皆は閉口し俯いた。 そんな中、ストーム1が前に出て彼に声を掛ける。

 

 

「只野」

 

 

怒られる。 殴られる。

士気を下げる行為をしたのだ。 仕方ない。

諦観、疲労。 覚悟もなく立ち尽くす。

だが掛けられた言葉は温かなものだった。

 

 

「よく頑張ったな、後は任せろ」

 

「は……?」

 

「やれる奴がやる。 俺1人でも」

 

 

ストーム1は皆に振り返りつつ言葉を繋いだ。

 

 

「只野の言う事は最もだ。 この先、勝利して生き延びても今より辛い状況になるかも知れない。

だからこそ無理強いはしない。 任意で作戦参加してくれ、以上だ」

 

 

そう言うと、彼は装備を持ち交渉の席の側へと向かう。 良くも悪くも勝手で無茶をする。

彼は決意しているから。 マーシアを助けると決めたあの日から、プライマーか人間かを問わず戦い続ける。

英雄か犯罪者か。 そんな事は関係ないのだ。

 

 

「ッ、だからEDFは仲間を見捨てない!」

 

 

 

只野は勇気を振り絞り、着いていく。

他の者も覚悟を決めて前進した。

 

 

「そうだ。 困った事にな」

 

 

いつぞやの中尉が言う。

周囲も己を奮い立たせ、口々にし走り出す。

 

 

「命を燃やす時だ。 行くぞ!」

 

「最高のショーにしよう」

 

「これが運命だ。 楽しめ」

 

「何事にも例外はある。 だがもう遅い、戦うぞ」

 

「「EDFッ! EDFッ!」」

 

 

荒廃世界では瓦解と絶望の淵であまり言わなかった組織の名を皆して叫ぶ。

正規、非正規問わず。

そうだ。 俺が、俺達がEDFだと。

 

 

「ストーム1に続けーッ!」

 

「英雄を死なすな!」

 

「旗を取り返せ!」

 

「総司令部が何だ! やってやる、やってやる!」

 

 

流されるまま、けれど勇気を貰いながら。

無謀にも只野も戦地へ向かう。

果たして未来はどうなるのか。

勝利するにも敗北するにも、結末がどうなるか何て分からない。

観測しているプライマーにも難しい。 何故なら未来は無数の可能性に満ちているのだから。

 

 

 

 

 

ーーーーーーEDFーーーーーー

 

 

 

 

 

連絡を受けた総司令部は、当然罠の可能性を考慮して過剰な戦力を警備として席周りに付けさせた。

座標は総司令部が指定。 そこはかつて、プライマーの大戦力が集結していた温泉郷。

復興の兆しが見え、瞬く間に再建した湯治の里。

都市部で乱闘騒ぎが起きる際の被害を思えば、此方の方が色々と都合が良いとの判断だ。

現地出身者には悪いが、金で解決出来るなら何度里が吹き飛ぼうと些細や話なのだった。

交渉の席には総司令官ら座らず、代わりに参謀が執り行う。 わざわざ火中に最高責任者を放り込むつもりはない。

なら最初から交渉なんて応じなければ良いと思うが、世論は割れて大半はストーム側に同情、流れ出ている。

その内にEDFは活動どころでなくなる前に何とかしたいのも本音なのだ。 既に悪い所を摘んで報道するメディアも出始めた。

戦火を拡大させ儲ける死の武器商人、そんなレッテルを貼り付けられ、民間企業も巻き添えや無理心中を避ける為に離れ始めている。

戦争経済に寄り掛かってきた手前、撤退は景気悪化が懸念されたが、社会から阻害されては大企業でも成り立たない。

国民あっての国家と言うが、財源も権力も元を辿れば始まりは数多の民間人なのだ。 1人2人程度に非難されても何ともないし権力を振り翳せる内は捻じ伏せられる弱き力だ。 だが大多数に膨れたなら無視出来ぬ威力と化す。

EDFは沈み掛けの舟、共倒れになってやる義理はないので深手になる前に降りていく。 結局それにも金や地位をキープしたい思惑があったが。

 

 

「……ストーム1が脅威だな」

 

 

参謀はボヤく。

目下大いなる敵を。 最強の兵士を。

冷静沈着な戦略情報部少佐と部下も困惑する戦績を叩き出し続けるバケモノ。 各地の本部らも驚愕する力。

最新鋭兵器群相手にテクニカルなボロ装備で挑み、悉く破壊し尽くした非常識の塊。

取り巻きやマーシア、プロフェッサーを始末する方が楽だが、それをしたところで彼は止まらない。 止まる筈がない。

228事件から延々と戦う彼。 訓練も武器も此方より劣っているというのに。

 

 

「だが悪足掻きも此処までだ」

 

 

ここいらで決着を付けたいEDF。

対話で解決しないなら、銃や爆弾で都合の悪いストーム共を吹き飛ばす。

世論は反発する行為も、喉元過ぎれば熱さを忘れる……首謀を潰せば後は勝手に潰れる事だ。

民間にはテロ組織の仕業だのと適当の言い訳をし、容赦無く叩き潰す。 その為に対ストーム1といって過言ではない戦力を用意した。

最新鋭戦闘ヘリ、ヘロン重装型や最新鋭戦車バリアスは勿論、レールガンやタイタン、対空用にケブラーとネグリングといった様々なビークルを待機。

コンバットフレーム……粒子ビームキャノンを肩に載せた重武装エイレンや旧式化が否めないが使えるなら使えとグラビス型等を用意。

バルガも使うか分からないが、直ぐ投下出来る体制にしてある。 これに対抗出来るのは怪生物級や同じバルガだろう。

歩兵も大勢配置。 装備は最新鋭で民兵の雑多な兵器でどうにか出来るものではない。

あれもこれも用意、動員するのに時間と金が掛かったが、ストームを終わらせるには端金だ。

その後は彼らに協力した連中を正義の名の下に粛清、地球に平穏を取り戻す。

 

 

「世界は統治下にあるべきなのだよ」

 

 

どんな犠牲を払おうとも。

地球は地球人の制御下に。 EDFの名の下に。

 

 

こうして2つのEDFが衝突していく。

真の敵は人間だ。 愚かにも言う様に。

その様をプライマーは俯瞰するのみ。 大切なのは地球人より自分達、マーシアン。 そして母星……火星の将来。

共通しているのは自分が大事、だ。

正義の主義主張の押し付け合いも、将来の為だと述べても、どこか保身の為なのは否定出来ない。

それでも動く。 相手の描く世界を拒絶する為に。




またも戦場になる湯治の里……。
終わりへ向けたいところ。
フェンサーやウィングダイバー、装備の色々を出したい気持ちもありますが、沢山種類がありますからね……。
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