火星ロケット阻止
総司令部セイレーンに移動。
終わりへ向けて。
物足りない、出し足りない部分は否めないですが。
おのれ総司令部め。
火星に有害化学物質を散布する為のロケットを用意しておった。
戦略情報部の協力もあり、ストーム隊が発射阻止に成功したものの、当の総司令部はパンドラからセイレーンに移動、潜水して逃げてしまった。
N9エウロスとエピメテウスが追跡しておったのだが、旧式戦闘ヘリ1機と手負いの潜水母艦では厳しかったか。
もう少しであったのに。 悔しい。
しかしハッキリした。 潜水母艦はエピメテウス以外敵であると。 最悪は撃沈して総司令部を海の藻屑にしてやる。 パンドラはストーム隊らの攻撃で中破、その後は味方の海軍が抑えた。 其方は無力化したと見て良いだろう。
だって仕方なかろう。 火星を滅ぼそうと、或いは脅して従わせようとしたのだ。 重罪である。 度し難い。
降伏するなら良い。 だが現在、敵はしない。
EDFは敵に背を向けないとでも?
逃げてるんだが? 非道な真似をしたんだが?
「そう怒るな」
プロフェッサーが宥める。
「事態収束に向かっている。 時間の問題だ」
「分かっておる。 だが総司令部は……スキュラには、見つけたらそのまま沈めさせたいところだ」
全く。 金と権力が役立たなくなっている状態なのに、未だ抵抗するとは。
必要なら殺す。 奴らは多くの血を流し過ぎた。
それは我らもであるが……。
「止めておけ。 交渉相手が消えれば戦争は泥沼化する。 各地の本部はストーム側に着いたし、陸地の総司令部の建物は制圧されている他、民衆も味方ではあるが……」
「肝心の総司令官を捕まえねば、な」
我、これでも主たる存在。
理性は保つ。 保たねば……な。
「その通りだ。 生かして捕らえ、強制的にでも平和条約を結ばせ不穏分子を無くすんだ。 それで初めて戦争は終わる」
「交渉もある。 マーシアンの安全保障は重要事項だ。 勿論、地球もな」
「EDF……全ての始まりを辿ればマーシアンに行き着く。 回り回って元に来る、か」
「これも1つの"リング"か。 皮肉というべきか、今後を憂い続けるべきか」
「EDFが、地球人が存続する限り火星の安全は保障出来ない」
「互いに儘ならぬ。 だがな、それを納得させるのが政府……いやEDFの手腕の見せ所だろう。 逃げ惑う総司令部にその技量があるとは思えんが」
何にせよ今を進めねば。
時間は進む。 進ませる。 後戻りはしない。
先に進め。 刻に囚われるな。 二度と。
「スキュラ、海軍や情報部からの報告を待ってくれ。 終戦はもう直ぐだ」
頼む。 そうであってくれ。
嵐は直止む。
ーーーーーーEDFーーーーーー
『此方戦略情報部です。 セイレーンの浮上を確認、スキュラによる損傷が原因です』
少佐の部下から連絡。
ストーム達は最終決戦仕様装備を整え、士気が上がり熱気を帯びていく。
「どうやら海の怪物が釣れた様だ」
「よし。 今度こそ終わりだ!」
「総司令部を取っ捕まえて馬鹿げた戦争を終わらせようぜ!」
「全員銃を持て! 出撃出来る準備を整えろ!」
「これで死んだら魚の餌か。 笑えるな」
「海上ショーも悪くない」
マーシアの放ったスキュラが運良く潜水母艦セイレーンを見つけてくれた。
深海を潜航していた奴に1発も2発も体当たり、損傷させて浮上させる事に成功。
奴は応急処置の為に海面に浮かんでいる。
「浮かんでいる今がチャンスだ。 座標が分かっているなら、降伏しないなら衛星砲をブッ放すと脅せ。
或いは空軍の攻撃に晒すと。 海軍のサブマリンによる魚雷攻撃でも良い」
そういうストーム1だったが、歯切れ悪く少佐の部下……オペ子は言う。
『それが……衛星砲バスターは前回のサイレン攻撃で再照射出来るまで修理が進んでおらず……。
空軍は既に向かってますが、海軍のサブマリンは暫く交戦した後、反撃を受け撤退しました』
「サテライトW1は。 スプライトフォールは?」
『軌道上の問題で……』
「……何事も上手く行かないな」
『こちら本部。 空軍に頼り過ぎるのも不安だ。 潜水母艦は対空ミサイルや航空機を搭載している可能性がある、撃墜されたらそれまでだ。
ストーム隊はヘリで現地に迎え。 海賊の経験はしただろう?』
「俺達は陸軍歩兵隊に過ぎないんだが。 それに空軍機を撃墜出来るならヘリなんて的でしかないだろうに」
文句を言っていても仕方ない。
使える艦艇はないし、使っていたヘリで向かうしかない。 このまま放置している訳にもいかない。
「陸軍の仕事じゃねえよ」
「本当だよ! 空軍に任せよう!」
軍曹の部下と只野も文句を言う。
仕事仕事で堪らない。 殺しも散々した。
それでも何だかんだ動く。 ストーム1が動くなら周囲も彼を放置する訳にはいかない。
「はいはい言いたかっただけだよ。 行くよ、行けば良いんでしょ全くもう!」
「すまんな只野」
「戦争を終わらせる為だよ! これ以上殺し合う状況は勘弁だからね!」
怒り心頭に発しつつ、ヘリに乗り込み再度向かう。
現地では既に戦闘が始まっていたが、果たして間に合うのだろうか。
ーーーーーーEDFーーーーーー
潜水母艦セイレーンを攻撃するべく出撃した戦闘爆撃機KM6の編隊。
一応警告から始めようと無線を繋ごうとした刹那、ミサイル警報が鳴り響いたから各機は散開。 回避運動をしつつ戦闘に移行した。
「問答無用か!」
「レーダーでミサイル以外も捉えた、戦闘機も上がって来るぞ!」
「潜水母艦だからな、そんな装備があっても驚かねえよ」
なんと迎撃機まで上がってきた。
ミサイルを回避、或いは欺瞞装置で避けつつ突撃。 戦闘機同士の空中戦が展開され、互いにミサイルに機銃にレーザー砲バルチャー等を撃ち合い、本命には中々辿り着けない。
更には改造されたドローンまで上がって来る。 ポータブル攻撃機、8機編成の携帯無人攻撃機であるG8Uポータブル低速掃射編隊まで来る始末。 使える物は何でもの勢いか。
エイリアン連中のドローンは大きいが、EDFのドローンは人間と同等か小さいサイズ。 戦闘機が狙うには厳しい部分がある。
「チッ!」
「このままじゃ潜られるぜ!」
「援軍は!?」
「情報部曰くストーム隊を派兵したってよ」
「ストーム? ストーム1か? 歩兵だろうが」
「だがソレでパンドラを制圧したってよ」
「何? どうやったか知らんが……期待しよう。 それまでコイツらを片付けるぞ、じゃなきゃストーム隊がやられちまう!」
「了解」
疑問もあるが、ストーム隊なら何とでもする。
そんな曖昧で、だが確信に似た何かを感じてパイロット達は信じて戦い続ける。
ストーム隊達、陸軍の見えないところでも、こうして戦争は行われているのだ。
それは大戦のあった世界線でもそうであった。
この世界線でもそうなのだ。 だが見えずとも重要な戦線。 彼等がいなければストーム達は更に苦戦を強いられていたであろう。
これまた世界線によるが、コマンドシップ撃墜作戦時、5では戦力に余力が無かった為か空軍の援護は無かったと思うが、6のある世界線では援軍として駆け付け、コマンドシップ護衛のテレポーションシップをフーリガン砲で撃墜してくれた。 その後、低空飛行に移りストーム隊を援護した。
やがて彼等ストームは来た。
地平線の彼方よりヘリ部隊接近。 ミサイル攻撃を避ける為か低空飛行。
『待たせたな。 これよりセイレーン退治といく、乗り込むから援護してくれ』
「噂通り無茶するぜ、来た事は褒めてやる!」
「勇敢を通り越して馬鹿だな!」
「援護してやる、さっさと行け!」
エアレイダーであるストーム1の事は彼等は知っており、ストーム隊そのものも無茶苦茶な戦果を上げる部隊として聞いていた様だ。
そうして、彼等は直ぐ側に。
「感謝する。 よし、良い所で降下しろ!」
低空飛行からセイレーン手前で一気に上昇。
砲撃、ミサイル攻撃が出来ない距離まで詰めればそのまま……。
「ッ、フェンサーだと!?」
「マズいぞ間に合わないっ!」
甲板上に出て来た敵フェンサー部隊が、ストーム隊に砲口を一斉に向けた!
アクチュエーターやスタビライザーが強化された新型パワードスケルトンを着込む者共による、通常歩兵が持てない重火砲の総攻撃。
約1分もの間、射撃を続行出来て破壊力も非常に優れるUT3ハンドガトリング、圧倒的な破壊力を持つ最高性能の大口径弾を発射出来る機関砲……ガリオン徹甲機関砲、FGZハンドガトリング、ブラットストーム収束ミサイル群による激しい弾幕がTVの砂嵐かという投射量を浴びせてきた。
あらゆる物体を粉砕する最高性能のプラズマアーク砲マキシマム ディスラプターまで投射するものだから到底耐えられるものではない。
「ぐおおおおおっ!?」
「うわあああ…………ッ!!」
テレビの砂嵐とも取れる激しい弾幕に晒されて、只野のエウロス、軍曹の部下やグリムリーパーとスプリガンが搭乗していたブルートは撃墜されて海へ落下してしまった。
「只野! ストーム3! ストーム4!」
「よくも部下を!」
残されたのはストーム1と2。
そんな彼等が乗るヘロンとネレイドも激しい銃弾で大破、甲板上空で空中爆散するも、寸前で飛び降りて甲板に着地。
そのままの勢いで敵フェンサー部隊を攻撃。
ストーム2……軍曹がブレイザーを照射、相手の強化外骨格ごと蒸発せていく。
ストーム1は素早く電磁トーチカでエネルギー壁を作り敵の猛攻撃を防ぐ。
すぐさまドローンを解き放ち、ビームキャリア、火炎放射、放電、腐食性ガスをばら撒いて鎮圧。
「乗り込まれるのを想定していたか!」
「パンドラの反省だな。 そんな暇あるなら血の嵐を見ずに済む方法を考えて貰いたかった」
只野達が気掛かりだが、ここは戦場。
前に進む他ない。 かつての世界線でも生き延びたストームは1と2であったが……まさか今回もそうなってしまったのか。
だが心配は直ぐ払拭される事になる。
『こちら本部。 そのまま作戦を続行せよ!』
『情報部では全員のシグナルの発信を確認しています、大丈夫です! 安心して進んで下さい!』
『味方の艦艇や航空機の援軍が集まりつつあります、もう総司令部は逃げられません。
ストーム1。 後は任せました』
『プロフェッサーだ……ストーム1。 君が、君達だけが頼りだ。 EDFを、総司令部を止めてくれ。 頼む』
『我からも頼む。 我儘なのは承知の上でだ』
どうやら全員無事らしい。
付け加えて皆に懇願された。 今度こそ総司令部を止めて、このふざけた戦争を終わらせてくれと。
「ストーム1は相変わらず頼られるな!」
「英雄は辛い。 その役割は軍曹に譲る」
「遠慮する。 今頃後戻りは出来ない」
会話する余裕を見せながらも、パンドラ同様に突撃をかますストーム1。
構造自体は同型の様で、進み方も迎撃も同じ形となったが、やはりというか総司令部の位置が不明だ。
違うのは迎撃態勢を多少整えていて、閉所となる通路にセントリーガンが備わっていたり、ショットガンや火炎放射器……マグマ砲や跳弾するプラズマ弾で応戦された事か。
だがソレ如きでストームを止められる筈がない。
また同じ様にその辺の乗務員を取っ捕まえて、サプレスガンを押し付け情報を吐かせようとする。
「いい加減降伏して総司令部を教えろ。
さもないと艦ごと沈める。 それが出来る事は今までの俺達ストーム隊の戦果を見て分かっている筈だ。
何より同じEDFだろう、このままで良いと思わない事だ」
脅すと、今度もまた震えられる。
が、言葉が響いたか観念したか。 頷くとハンドサインで方向を指し示す。
「感謝する」
そう言いつつも容赦なくブン殴って気絶させるストーム1。 非情に思えるが、心変わりして背後から撃たれるなんてされたくないので。
「急ごう」
「賛成だ! 今度こそ終わらせてやる!」
息巻き示された道を走り続ける。
やがて最後の扉を吹き飛ばし侵入すれば、いつかマーシア准尉が対峙した軍帽が。
EDF総司令官。 最高司令であり、今となっては"元"が付く。 最早、彼の味方は殆どいない。 嵐……ストームによって吹き飛んだから。
「アンタが"元"総司令官だな。 拘束する、抵抗する様なら射殺するぞ」
「如何にも。 初めましてだなストーム1、こんな形しか作れなかったか。
哀れだ。 残念だよ。 マーシアンに絆され此処まで勢力を拡大、叛逆するとは。
貴様達は、あの少女の見た目に騙されている。 地球を奴らマーシアンがどうするか分からないのだぞ」
「それは向こうも俺達も思っている。 アンタは火星を危険に晒したのだから。
この地球に置いても貴様達の様な安全な場所から私利私欲で権力と金を振り翳し、命を駒にして人間同士による流血騒ぎを起こしたのだ。
マーシア達も、こんな地球人を見て将来不安になるのも仕方ない。 教育に悪い大人はこの辺で退場して貰う。 地球は地球人が支配すると宣うなら……少なくとも今は俺が支配する。
───これ以上は問答無用だ。 来い。 俺達側の作戦指令本部に連行する。 話は其方でするんだな」
言いたい事を互いに言い合い、ストーム1と軍曹は一切の敬意も遠慮もなく外に強制連行。
それを他の生存者は止めやしなかった。 しても返り討ちに遭うし、何よりこの戦争を終わらせたい気持ちは皆同じだったから。
もうすぐ終わりたいところ(殴。
未来への不安はありますが……。
それはリアルも含めて(殴。