セイレーンに乗り込み、総司令官捕縛。
終局へ。
長々してしまうと良くないとも。
だからと完結しないのも良くないと思いつつ。
色々スッキリしない中ですが、終わりへ向けて。
あれから幾数日。
元総司令官らは監獄行きが決まり、総司令部は1度解体された。 大幅な人事異動が起き再編成が急がれている。 陸海空全軍も総司令部側に着いた否か問わず、全面的に見直し調査が行われる運びとなった。
これは民間人や軍需産業関係者への示し、威嚇、吊上げの目的もある。 大変な労力であるし、落ち着くまで上層部は混乱、指揮官が曖昧な場所も生まれ下々の兵士達の統制含め暫く苦労が絶え無さそうだ。
そんな中でも最優先とすべき、マーシアンとEDFの交渉席が再び用意された。
ただし、今度の面子は違う。 いつかの総司令官は居らず、代わりにストーム1の属する本部連中と知らん女政治家とかだった。
護衛は安心安全信頼のストーム隊。
そして付き添ってくれたプロフェッサー。
後は信用出来る兵士が何人か。 只野二等兵や曹長、中尉達。 外にも彼等の部下やダン少尉という者らが控えておる。 無事帰還したグリムリーパーとスプリガンも外だ。
使用されている建物の外にもいて、そこにはメディア関係者とヘリが飛んでいるが、周囲のビル屋上には狙撃部隊ブルージャケットが構えている。 警備は万全だ。
「ストーム隊、そして皆。 改めて礼を言う。 ありがとう」
「私からも感謝を」
「この事は一生忘れません!」
「……あの時助けた子から始まって、まさかこんな大舞台になるなんて夢にも思わなかったけど。
死人が散々出て今後も不安定でも終わり良ければ全て良し、というべき?」
我、うむと頷く。
本部と情報部の礼は悪くない。
只野は場慣れしたのか軽口を叩ける程に。
だが早く本題に入らねば。 安全保障に関わる問題だ。 平和条約、今後の協力、色々だ。
「本題に入ろう。 悪徳総司令官らは鉄格子行き、総司令部は解体。
代理交渉として本部と情報部、自称平和主義者の政治家同席で交渉を進めるという事で良いな?」
本部の者に確認をする。
コレ大事。 また戦争始めますでは堪らない。
「それで合っている。 まだ不安定な中だが、政府関係者も招集した。
EDF、地球全体への通達は遅延が発生するのは了承して欲しい。 その代わり、ここで締結された事は我々の威信に賭けて守ると誓おう」
「互いに口約束に過ぎんが。 だがここまでの出来事を思えば、信頼してやっても良いぞ」
「すまない。 地球代表として謝る」
「……我にとっての代表者はストーム1よ」
「そうか。 君にとって1番の英雄だからな」
皆の視線がストーム1に注がれる。
本人は腕を組み堂々としておる。 流石。
「守ると決めた、それだけだ。 それに俺だけの力じゃない」
「それが如何に困難な道であったか。 少数戦力から始まり、遂には潜水母艦を無力化し総司令部を黙らすまでに至った。
そしてマーシアン代表の我を守り抜いた。 偉業である。 誇れ。 でないと許さん」
「厳しい姫様だ」
「…………あー、話を進めよう」
本部に咳払いされてしまった。
巫山戯ている場合でないな。 反省。
用意された書類に目を通し、互いにサラサラとサインして次々に処理していく。
それらは出来次第、情報部が回収して各地EDFと政府関係者へ通達されていった。
「我々EDF……地球と火星の平和条約。 急ぎ製作したものにつき、粗さは目立つが……概ね互いの理想を実現した形となった。
これに違いないか、マーシア准尉……いや、マーシアン代表者」
「うむ。 未来に対する保証の為、地球火星双方共に大規模な接触はしない。
また、地球にいるNO.6の残党掃討に引き続き協力しつつも、完了したとされたら全ての舟は母星に帰るとする。
以後、緊急事態を除き接触はしないものとする」
こんな所か。
するとストーム1が珍しくも声を上げた。
「マーシア……お前も帰るのか?」
「元々同じ時間軸に存在しない者だ、居るべきではない」
今更だが。
既に互いに与え合った影響は強すぎる。
科学技術にしろ戦争にしろ。 けれども、これ以上掻き乱して良い筈がなかった。
「そうか」
「止めないのか?」
「マーシアが決めた事だ。 それに帰るべき場所があり、仲間を導かねばならないなら、そうするべきだろう」
「最後まで守る、とは言ってくれないのか?」
「守るさ。 地球も」
「であるか。 お前も代表者であるな」
コレもストーム1らしいか。
刻の繰り返しの中でも、新たな刻でも。
彼は彼らしい。 この先もそうして生きていく。 そう思えてならない。
「我想う。 故に……互いに囚われるなよ。 その上で互いの刻を刻んで生きていくのだ。
例えタイムマシン……リングがあろうと未来も運命も変わり行く。 絶対的安心は無い。
だから、だからこの辺りでお別れだ。 じき我の迎えも来るからな」
「ふっ。 次会うのは何万年も先か? 長生きしなきゃならないな」
「はははっ……それまで地球を守れよ」
「暫しの別れだ。 見送ろう」
諸所を回り、簡単に挨拶だけして外へ出る。
サッパリして終わるのが良い。
今回も3年、5年と長居し過ぎた。 ただ他の世界線と違って我は生きているし、一応の平和への道を見出せた。
だが注意して欲しい。 唯一普遍では無いという事を。 刻が違う者同士がいる限り、只野の言う通り不安定な世界であり続ける。
望む世界を維持するのは大変だ。 だがストーム1がいるならば、きっと今後は大丈夫であろう。
確証はない。 確信はある。 リングを経てしても尚得られぬ確信が。
「おい空を見ろ!」
「マザーシップか!?」
警備が叫び、皆が見上げる。
街ひとつ覆い尽くす巨大円盤、コマンドシップが我の頭上に降りてきた。
「迎えか。 NO.6もデカかったが。 こうして間近で見ると更に圧倒されるな」
「ふふっ。 我に相応しいであろう?」
「身体はまだちっこいけどな」
「むぅ」
「次会う時までにはデカくなれよ」
ストーム1に頭を撫でられた。
擽ったい。 それに……ちょっぴり切ない。
そんなやり時をしている間にも、空から淡い光が降り注ぐ。
すると地球人と同じく二足歩行のコスモノーツ、我の同胞が降りて来た。 精鋭仕様で重装甲と銃火器を手にした者共だ。
彼等は周囲を見渡し、足元の我に気付かない。
我、地球人の姿であるからな……背丈も。
「おーい! 此処である! 拾い上げろ!」
念話混じり叫び、やっと気付いた。
全く。 それでも我の親衛隊か。
挙句、同胞は目にした我に動揺を隠せない。
あいや。 念話通じているのだから良いだろ。
「我! 我だ! 気付け! 貴様達の主ぞ!」
「我々詐欺かな?」
「只野よ黙れぃ!」
「帰れないならスプリガンに入るか? 念話出来るならミラージュ兵器の適正があるかも知れないからな」
「入らんわ! あと、本来の我ならサイオニックリンクだのなんだの、装置ナシで攻撃や浮遊が出来るのだ!」
「兎が増えるのか。 笑えるな」
「笑えんわ死神!」
「今ばかりは許せ」
「軍曹……今までの功績から、皆共々特進を重ねて行くと思うが……ストーム1共に地球を守るのだぞ」
「其方こそ。 火星を守っていけ」
笑う兵士達。 困惑から立ち直り我を大きな手で掬い上げる同胞。
何故何どうして感は拭えないし、主でありながら研究対象にされそうだが、まぁうん。 何とかなるだろう。 ならねば困る。
「じゃあな、元気でなストーム1」
「地球を守る任務は続くがな」
「我もだ。 だがまぁ……お別れは言わん」
「そうだな。 湿っぽいのは似合わない。 笑ってくれ、"マーシア"」
ニコッと。
不器用に、けれどしっかり伝わる様に。
ストーム1もフルフェイスヘルメットを脱ぐと、同じ様に笑う。
「……大笑い出来る様にもなれよ」
「ストーム1こそ」
「真似をしたんだ。 俺を、俺達を大笑いさせたかったらマーシアも出来る様になるんだな」
「厳しいな」
「曹長程じゃない」
「違いない!」
今度こそ、皆で大笑い。
曹長も遠くで笑っているのが見えたが、笑いながら周囲の部下をどつき回している。
それも何やらオカシクて、更に笑ってしまう。
「そうだ。 それで良い!」
「ありがとう。 ストーム1」
「此方こそ。 不安定で予断を許さない状態が続くし、死傷者も出たが……その上で成り立つ平和が欺瞞に満ちたモノにならぬ様、EDFは必要とされ努力していく。
マーシアも。 堂々巡りだが……ありがとう」
「"リング"に囚われたよりマシだ。 じゃあな、これからも……地球を想い見守っている」
円盤に同胞と共に吸い込まれていく。
どんどん小さくなっていくEDF隊員達。
手を振る者、敬礼する者。 様々だ。
ストーム1は……終始笑顔だったから、我も負けじと笑顔で返す。 見えなくなる、その瞬間まで。
甘い結果なのに何処かしょっぱくて、互いに滅ぶ危険性を残したまま時を刻む。
同胞も地球人も納得させていかねばならぬ。
何とか戦争だけは回避し続けねばならない。
地球にはプロフェッサーとストーム1がいるから、きっと大丈夫だ。
きっと今度こそ……大丈夫だ。
そう我は信じている。
こうして一応の危機は去った。
タイムパラドックスの危険性は常に孕み続け、いつ爆発するか分からぬ爆弾を互いに抱えて生きていく。
でも人間関係、異性……異星関係ってそうではなかろうか。
我はストーム1とソレを学んだのだ。
『EDFは事件収束を発表───』
『犠牲の責任をEDFへ追及───』
『多くの怒号が飛び交っています!』
『今まで戦闘区域から半径数キロ圏内が避難区域に指定されていましたが、戦火の拡大に伴い欧州全域に避難指示が発令されました。 お住まいの方は───』
『内戦の域を超えています! 現場ではEDF印の戦車や銃火器を手にする者達が───』
『世界中で反EDF派の声が続く中、火星に対し攻撃をすべきという過激な発言を議会でした政治家が昨夜未明───』
『こちらニューヨーク ブルックリン。 レジスタンスのジョエルが発信している───』
『デモ隊に何者かが発砲。 多くの犠牲者が出ました。 EDFは関与を否定していますが───』
権力。 金。 闘争。
時に愛や情、命すら部品にして求めていく。
尚絶えない。 人類は止められない。
切っても切れない。 キリがない。
宇宙という広大な空間に浮かぶ地球という小さな舞台で、人々は何かに付けて戦い続けた。
何が正義か。 何が悪か。 人それぞれの主義主張と時代に民衆は振り回され、その中で利益と不利益が生まれ出て。
ソレを見て何者かが、ほくそ笑む。
利用し利用し合う関係が続き。
戦争で利益を得ている者達が無知を言い訳に平和を謳い、名も知らぬ誰かを非難し続ける。
火星より地球を。 地球より自分を。
EDFは欺瞞と矛盾、悪意に塗れていく地球を、それでも守る為に日夜戦い続けた。
身から出た錆であろうと。
同じ人間相手であろうと。
仕事だと割り切って。
或いは本気で地球の為だと信じて。
滅ばぬ様に。 滅ぼす為に。
誰かの為に。 自分の為に。
約束の為に。 未来の為に。
ある者達は、とある少女の為に。
ある者達は、ただの兵士として。
怪物駆除に並行し、人間同士で血を流す。
未来はどうなるのか。 行き着く先は。
それは誰も答えてくれない。
けれども。
今の現実が"今の答え"なのだ。
その積み重ねの先。
何が待ち受けているのか。
未来は数多の可能性に満ちている。
「「EDFッ!!」」
Earth Defense Forces:■■■■■■■
今日も人々は平和を謳う。
これにてEND。
総司令部を解体、牢獄行きな感じにし、マーシアンと平和を結んだと思えば、地球では尚も争いが続いたのであった……。
パッとしない、腑に落ちない、打ち切り感、只野二等兵や他の者、展開に期待していた方はスミマセン……。
作者ハヤモの文才の無さもあり、矛盾、納得出来ない事も多い作品となっていく中でしたが、それでも楽しんでくれた方がいてくれたなら幸いです。
他作品を書くかは不明です。 ですが、またその際にも楽しんでくれたなら嬉しく思います。
ここまで読んでくれた読者の皆様、ありがとうございました。