ある三日月の夜、ホテルの一室のベランダから一人の若い男がL115狙撃銃のスコープを覗き、料亭から出てきた初老の男性にレティクルを重ねる
「HQ、目標確認。何時でも撃てる」
【了解、発砲を許可する】
「了解」
男はレティクルを警察幹部である初老の男性の頭に移動させ、引き金を引く
銃口から飛び出た338ラプナマグナム弾は男性の脳幹を吹き飛ばす
男は、L115をケースに入れると、肩から下げてスナイプポイントを後にする
「HQ、対象の排除に成功した」
【了解。よくやった、俊】
俊と呼ばれた男はイヤホンに偽装されたインカムを使い、司令部と連絡する
「ヤクの密売に呑まれた警察幹部なんざ俺が始末しなくても放っときゃ勝手に消えるものを」
【仕方あるまい、これも任務だ】
「ったく、退屈させてくれないぜ」
「んで?アイツの方はどうだ?」
【待機しているところだ】
「了解」
「全く、やっと出てきたか」
スナイプポイントでL115のスコープを覗き込む不老不死の少女、藤原妹紅はそう呟き、L115のボルトを操作する
彼女のスコープには、殺す対象である麻薬密売組織のリーダーが映っていた
「HQ、これより対象を殺害する」
【了解】
レティクルを対象に合わせた彼女は、L115の引き金を引く
銃口から飛び出た338ラプナマグナム弾は、対象の額と後頭部に風穴を開ける
「対象の殺害に成功。これより撤収する」
【了解】
妹紅はケースにL115を入れると、肩から下げてスナイプポイントを後にする
「やれやれ、肩が凝った」
彼女は自分の肩を軽く叩きながら、夜の町を歩いていくと、一人の警察官が声をかける
「君、ちょっといいかな」
「・・・」
妹紅は警官の方に振り向く
「こんな時間まで、部活?」
「・・・学生じゃない」
妹紅は、身分証を見せる
「失礼しました」
警官は妹紅に敬礼をすると、自宅へと向かう妹紅を見送る
「やれやれ、たけのこ採って暮らす方が良かったかもなぁ・・・」
妹紅は一人、そう呟く
~しばらくして~
「今戻った」
妹紅が自宅に帰宅すると、俊が椅子に座ってお茶を飲んでいた
「遅いぞ」
「それが分隊長に対しての態度か?」
「良いだろ、別に。俺達は夫婦なんだからよ」
俊はそう言うと、右手にはめた結婚指輪を見せる
「ったく、これだからお前は・・・」
妹紅はそう言うと、置いてあったペンを俊の心臓に突き刺す
「・・・痛いだろ」
しかし、俊はペンを引き抜いて放り投げる。すると、傷口がどんどん塞がっていき、やがて傷なんて無かったかのように完治していた
「忘れたのか?俺だってお前と同じ不老不死なんだぞ?」
「分かっているさ、俊」
妹紅はそう言うと、俊の顔が自分の顔の前まで近くなる
「さて、俺にペンを突き刺した落とし前をとってもらうぞ?」
「・・・バカ」
妹紅はそう言いながら、俊と唇を重ね合わせる
「愛してる。妹紅」
「私も愛してるぞ。俊」
俊は妹紅にキスされたまま押し倒され、そのまま予め敷かれていた布団の上へと転がる
それからしばらくして、行為を終えた二人は同じ布団に入っていた
「なぁ・・・俊」
「なんだ?」
「何でお前、私なんかにホレたんだ?」
妹紅は俊に疑問を問う
「・・・俺と同じ体質の人を見つけたって思ったからだな」
「・・・そうか」
「妹紅、俺達は死ぬことはない、永遠に。だからこれからも俺と一緒にいてくれ」
「分かってるさ・・・」
妹紅は嬉しそうな笑顔を俊に見せると、俊は少し悲しそうな顔をする
「どうした?俊」
「・・・これ以上お前の手を血で染めるのは、やだなって思ってな」
俊がそう言うと、妹紅は俊の目をじっと見つめる
「気にするなよ。私だってお前と戦いたいんだ。いや、お前とじゃなきゃ戦えないんだ」
「・・・そうか。そう言ってもらえて、少し気が楽になった」
「お前は、優しい奴だな」
「・・・優しくなんかないさ」
俊がそう言うと、机の上に置いてあった無線機が呼び出しを知らせる
無線機からは相変わらず司令部のオペレーターの声が響く
【ユニット0、応答せよ】
「何だよ、こっちは今寝そうだったってのによ」
【ちょっと頼みたい事があるだけさ】
「何?」
【幻想郷東区の海岸より他国の工作員と思われる侵入者が確認された。数は8人、それぞれ自動小銃やショットガンで武装している】
「・・・俺達には休息もへったくれもないのか?」
【家に帰れるだけ感謝しろ】
「・・了解。俺達はどうすればいい?」
【全員始末しろ】
「了解、直ちに向かう。over」
俊は通信を終了すると、服を着てロッカーに隠してあったSCAR-Lを取ると、既に服を着終わった妹紅に投げ渡し、自分はもう一挺のSCAR-Lを取り、装備を身に付ける
「妹紅、準備は?」
「いつでも行けるさ」
「了解」
二人は家を出ると、車に乗って目的地付近へと向かう
それから少しして
「HQ、目標の動きは?」
【現在、車を現地調達して南東方面に向かっている。白のバンだ】
「了解」
俊が車を運転するなか、妹紅はリアシートでSCAR-Lのマガジンに弾薬を込めていた
「確か南東の方に白いバンだったな?」
「ああ」
「やれやれ、楽じゃないな」
妹紅はリアシートに座ったまま、SCAR-Lのコッキングレバーを引いて初弾を薬室に送り込む
やがて、俊の視界に白いバンが映る
「見えてきた。あれか?」
「HQ、目標と思われる車両と遭遇した」
【了解。こちらでも確認した。攻撃を許可する】
「了解」
妹紅は返答すると、車のサンルーフを開け、目の前のバンに発砲する
すると、銃撃されたバンは車体を横にして、乗っていた工作員達はバンを降り、俊達の車に発砲する
しかし、俊達が乗っている車は防弾仕様なため、銃弾は貫通しなかった
俊は車を止めると、銃撃に警戒しながら車を降り、工作員達に発砲する
「グレネード投げる」
妹紅は俊にそう告げると、手榴弾を1つ取りだし、ピンを抜いて工作員達の方に投げる
手榴弾は爆発と共に破片を飛び散らせ、破片は工作員達を襲うと、俊と妹紅は工作員達の方に近づいていく
やがて、工作員達のとなりに立つとSCAR-Lを発砲し、工作員全員を射殺する
「HQ、工作員達を排除した」
【了解。後始末は我々に任せて撤収しろ】
「了解」
二人は通信を終了すると、自分達が乗ってきた車に乗り込み、その場を後にする
~車内~
「なあ妹紅。お前さ、別のユニットに入ればいいと思うんだ」
「はぁ?何でだよ」
「いやさ、お前と一緒に任務こなすのは自信が出るよ。でもさ、俺達の仕事は汚れ仕事が大半だ。お前にまでそれに付き合わせたくないと言うか・・なんと言うか」
すると、助手席に座っていた妹紅は俊に手を伸ばし、俊の頬に触れる
「言っただろ?お前となら戦えるって。私はお前以外の奴とパートナーを組みたくないんだ。戦場としても、夫婦としても」
「・・・分かった。ありがとな、妹紅」
俊は妹紅にお礼を言うと、そのまま車を走らせる