「やぁぁぁぁぁ!!」
パシィンという音がGMDS本社にある道場に響き、試合形式で稽古をしていた妖夢に旗が上がる
「面ありっ!」
主審の声で妖夢とその相手の女性隊員は開始線の後ろに立ち、竹刀を構えたまましゃがんで竹刀を下げて三歩後ろに下がる
「「ありがとうございました!」」
二人はお互いに頭を下げて後ろ向きのまま後ろに下がり、コートから出ると数歩進んで正座をして小手と面を外す
「ふう・・・」
妖夢は頭に着けていた手拭いを外すと、汗だくの顔を拭き、面と小手を持って更衣室に向かい、着替え終えると防具を置いて道場を後にする
それから数十分後、妖夢と拓也は麻薬密売を行っている暴力団を一斉検挙する警察の応援に来ていた
「はぁぁぁぁぁ!!」
妖夢は特殊警棒を構成員のこめかみに強打させ、痛みで悶絶している構成員の両手首に手錠を掛ける
「オラァッ!!」
一方、拓也は掴みかかってきた構成員を一本背負いで投げる
「大人しくしろ!」
拓也はそう言いながら、手錠を構成員の両手首に掛ける。すると、盾を持った警察官が入り口から押し飛ばされたような体勢で倒れる
「危ないぞ!下がれ!下がれ!」
盾を持った警察官が他の警察官達に危険を知らせると、白鞘の日本刀を持った構成員は目の前の拓也に斬りかかる
拓也は何とかかわすが、拓也の頬に出来た浅い傷から、血液が頬を滴り落ちる
すると、危険を感じた警察官達は日本刀を持った構成員にS&W M37エアウェイトの銃口を向ける
「撃つな!!!」
拓也は銃を手にした警察官達に怒鳴るように発言すると、拓也は口許をつり上げながら、発言する
「こいつは・・・俺の獲物だ」
拓也はホルダーに入った特殊警棒を引き抜き、威嚇するように振って竹刀ほどの長さに伸ばす
「・・・何年ぶりかな、剣道の型をするのは」
拓也はそう言って、特殊警棒で上段構えの姿勢をとり、日本刀を持った構成員を見続ける
「いつでもいいぞ、かかってこい」
拓也が挑発するように発言すると、構成員は日本刀を降り下ろすが、拓也は身をよじって回避し、構成員の手首を特殊警棒で殴り付け、日本刀を手から落とさせる
「せぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
拓也は叫び声をあげながら、特殊警棒を相手の頭に目掛けて降り下ろすと、バシィンという音が辺りに響き相手は膝をついて気を失い、地面へと倒れる
「・・・・ふう」
拓也は特殊警棒を縮めてホルダーに戻し、頬の切り傷を手の甲で拭うと、ポカンとしていた警官達が我に帰り、気絶している男の身柄を確保する
「・・・大丈夫ですか?」
妖夢が心配そうに拓也に問うが拓也は妖夢にVサインを行い、笑顔を見せる
「だーいじょうぶ大丈夫、ちょっと切っただけ」
「なら・・・良かったです。それにしても、拓也さん剣道の経験あるんですね」
妖夢が拓也に問うと、拓也の顔から先程までの笑顔は消え、妖夢を見つめる
「・・・ちょっとかじった程度だよ」
「いえ、かじった程度であれほどの技はできませんよ。余程練習してたんですね」
「・・・妖夢、あんまり俺の前で剣道の話題を持ち出さないでくれ」
「・・・・?」
妖夢は疑問に思ったのか、首をかしげる反応を見せる
「・・・さぁ、用事は終わった。帰ろっか」
拓也は妖夢と手を繋ぐと、本社へと足を進める
それから数日後
「トニー、悪いが明日俺は出勤できないから」
「ん?デートか?」
「まあ、そんなもんだ。島根に行ってくるよ」
「OK、分かった」
次の日、トニーはいつも通り訓練を行おうとしてメンバーを招集するが、あることに気づく
「妖夢、何でここにいるんだ?拓也とデートじゃ無かったのか?」
「へ?そんな約束してないですよ?」
「え?拓也はデートだからって今日は来てないんだが・・・?」
トニーの発言を聞いた妖夢は血相を変えてトニーに近寄る
「それどういう事ですか!?」
「いや、言葉通りの意味だが・・・」
すると、妖夢はスマホを取り出して電話帳から拓也の電話番号を見つけると、拓也のスマホに発信するが、電源が入ってない為、繋がらなかった
「・・・妖夢、拓也は島根に行くって言ってたぞ」
「分かりました!!ちょっと行ってきます!!」
妖夢はそのまま格技場を後にする
「・・・さて、何やら昼ドラ的な展開になったが、俺達はいつも通り訓練やるぞ!」
それから数時間後、妖夢はなんとか頼んでパイロットとヘリを借りると、島根へと到着し、パイロットに礼を言ってヘリを降りると、拓也のスマホが電源が入っていることを確認して、GPSを利用して拓也のいる場所の付近で待機する
すると、何も知らない拓也が施設らしき場所から出てくると、妖夢が拓也の方へと向かう
「・・・拓也さん?」
すると、妖夢の声を聞いた拓也は妖夢の方へと振り返る
「あ、あれ?何で妖夢がここに・・・っておわ!」
妖夢は拓也を掴むと、そのままタクシーへと乗せて予め予約していたホテルへと向かわせる
それから更に30分後、拓也は妖夢と共にホテルの一室に居た
「・・・・・・マジで何でここにいるの?」
「拓也さん、トニーさんから聞きましたよ。ーーー誰とデートなんですか?」
妖夢は拓也へ問い詰めると、拓也は頭をガシガシと掻く
「はぁ・・・・そんなことでわざわざ島根まで来たのか」
「そんな事とは何ですか!さぁ!洗いざらい吐いて貰います!誰と!どこで!どんな!デートをしてたんですか!?」
すると、拓也は無言で財布を開くと、中に入っていた写真を取り出す。写真には先程の施設と、たくさんの子供達、その施設の職員と思われる大人と、その真ん中には拓也が写っていた
「・・・ここが何の施設か分かるか?孤児院だよ」
「・・・・俺も入ってたけどね」
「!?」
妖夢は予想してなかった答えに驚きの表情を見せる
「俺、剣道の道場に産まれてさ、小1の頃から剣道始めてたんだけどさ、兄貴の方が俺と違ってすげえ上手くてさ、いつも親父やお袋に怒鳴られてた。『お前はどうしようもないクズだ!』ってな。それでも、俺は信じてたんだよ。きっと親父とお袋は俺の為を思ってるんだって。でもな・・・あまりにも愚かだったよ」
「俺が小5の頃だ。いきなり親父に腕を掴まれて外へ出されて何て言われたと思う?『お前みたいなクズはいらない。2度と来るな』だよ。俺、最初は訳がわからなかった。でもさ、俺はすぐに分かったんだよ。捨てられたんだって」
「その時歩きながらワンワン泣いてさ、泣いて泣いて泣きまくってさ。そんときにさ、偶々通りかかった所長さんが拾ってくれて、本当の家族のようにここまで育ててくれたんだ」
拓也の過去を聞き終わった妖夢は頭をガックリと下げていた
「・・・・ごめんなさい。私・・何も知らなかったのに・・・」
「妖夢は悪くないよ、悪いのは全部・・・むぐっ!?」
突如、拓也の口は妖夢の唇によって塞がれると、そのままベッドへと押し倒される
「悪いのは・・私です。だから・・・・私が責任を取って、家族に愛されなかった分まで・・・ううん、それ以上に私が拓也さんに愛情をあげます」
「よ、妖夢・・・」
「だから・・・私もいっぱい愛してください」
妖夢は拓也の上に股がると、服を脱ぎ始める。妖夢の白い肌が徐々に拓也の目に映る
それから数時間後、二人は裸で尚且つ寄り添うようにベッドに入っていた。すると、突如寝息を立てて眠っていた妖夢が目を覚ます
「ごめん、起こしちゃったな」
「いえ・・・楽しい夢を見てただけです」
「どんな?」
「私と拓也さんが、剣道をしている夢です。とても楽しくて、夢の中でも覚めないで欲しいって思ってました」
「・・・そっか。妖夢が楽しかったら俺まで楽しい気持ちになるよ」
「フフ、ありがとうございます。それでは、もう一眠りしますね・・・」
「了解、俺もそろそろ寝るよ」
「はい、おやすみなさい・・・」
妖夢はそう言うと、目を瞑って再び寝息を立て始める
(・・・妖夢、お前は剣道を楽しんでるんだな。だったら・・・・・・・・)
それから数日後、妖夢はGMDSの道場へと足を進めていた
(何だろう?話って)
妖夢はそう思いながら、道場の前へ到着すると扉を開ける
すると、妖夢の目には紺色の道着に身を包んだ拓也の姿が映った
「た、拓也さん!?」
「何だよ、何か変か?」
「い、いえ。どうして・・・・」
「この前、俺と剣道してる夢見たって言っただろ?その夢を正夢にしようと思ってさ」
拓也の発言を聞いた妖夢は驚いた表情から、嬉しそうな笑顔へと変貌する
「・・・手加減しませんよ?」
「上等だよ」
「試合形式は?」
「無制限、一本勝負だ」
「上等です」
それから十数分後、面を付けた二人はコートに入ろうとしていた
「「お願いします!」」
二人は左手に持った竹刀を腰の高さまであげ、2歩進んでお辞儀をし、摺り足で3歩進んで開始線まで到着すると、竹刀の先を相手の喉元に向けながらしゃがんで立ち上がると、お互い叫びながら常に足を動かす
「やぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「おおおおおお!!!!」
先に妖夢が拓也に小手打ちを繰り出すが、拓也は竹刀を横にして竹刀に受けさせると、拓也はそこから面打ちを繰り出すが、妖夢はいとも簡単に面打ちを防ぐ
すると、妖夢の竹刀ががら空きになった拓也の胴を打とうとするが拓也は竹刀で防ぐと、拓也は引き面を行うが妖夢はそれを防ぎ、後ろに向かって摺り足をして下がっていく拓也を追いかける
拓也は後ろに移動するのをやめて、再び妖夢の喉元へ竹刀の先を向けると、面打ちを行うと見せかけて胴打ちを行おうとするが妖夢は竹刀で防ぐ
(くっ!強い!)
妖夢は何度も拓也に面打ちや小手打ち等を行うが、ことごとく拓也に防がれ、妖夢は再び面打ちを行おうとするが、それよりも速く拓也の竹刀が妖夢の小手へと襲いかかる
(しまっ・・・)
妖夢がそう思ったときには既に拓也の竹刀は妖夢の小手へと命中する
それから十数分後
「完敗です、拓也さんの足下にも及びませんでした」
「いやいや、そんなことはないよ」
着替え終えて、道場を出た二人は先程買ったミネラルウォーターを飲む
「でも・・・楽しかったです。拓也さんと剣道出来て」
「俺も妖夢と剣道が出来て楽しかったよ。剣道が楽しいって思ったのは久しぶりだ。ありがとう、妖夢」
「・・・・拓也さん」
「ん?」
「また・・・私と勝負してくださいね」
「ああ、またやろうな」