東方軍事組織   作:SOCOMレオン

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#29 リーコンユニット

【HQよりリーコン。そろそろ対象の乗った車両が到着する。車両には日本人武器商人、榊原静哉が乗っている。作戦説明の時にも言ったが対象は高性能な銃器を暴力団に売り払う。到着するまでその場で待機だ】

 

「了解。待機します」

 

閉鎖された廃工場にある塔で寝そべったままその場に待機する二人の少女がいる。片方は暗視機能付きの高倍率の双眼鏡を覗く鴉天狗の少女、もう片方はバレットM82A1に付けた暗視スコープを覗く白狼天狗の少女だった

 

「・・・まだ来ないの?椛」

 

「もう少しの辛抱です。耐えてください、はたてさん」

 

むぅ、とはたては頬を膨らませて双眼鏡を覗き続けると、椛も引き続き暗視スコープを覗き続ける

 

数分後、護衛と思われる車両と共に白いセダンが到着すると、車両は停車して中から狙撃対象である榊原静哉が降りてくる

 

「HQ、対象を目視で確認」

 

【了解。発砲を許可する】

 

「了解」

 

椛のM82A1に装着された暗視スコープのレティクルは狙撃対象である榊原を捉えると、椛はそのままM82A1の引き金を引く

 

装填されていた12.7mmNATO弾は発射され、轟音と共に榊原の頭を大きく削って地面にめり込む

 

榊原が倒れると同時に護衛や構成員達は慌てふためき、身を隠す

 

「HQ、対象の殺害に成功した」

 

【了解。速やかにその場から離脱せよ。銃声が聞こえたのか、巡回中の警察のパトカーが1台そちらに向かっている】

 

「だってさ、椛」

 

「行きましょう。銃撃戦に巻き込まれるのは面倒です」

 

椛はそう言うと、M82A1に付けたキャリングハンドルを掴んではたてと共に塔の階段を降りていき、予め止めてあったバンに乗ってその場を離れていく

 

「椛、お疲れ様」

 

「ありがとうございます」

 

椛は労いの言葉に感謝しながら後部座席で横になっていた

 

「やっぱりアンタの狙撃のセンスはSランク並み、いやそれ以上だよ」

 

「・・・私なんかより、ユニット3の啓太さんやユニット1の鈴仙さんの方が余程上手いですよ」

 

すると、ユニット1という単語を聞いたはたてから笑顔が消え、ハンドルを握る両手に力が籠る

 

「・・・ユニット1、アイツが居るところよね」

 

「・・・・・・」

 

「・・私は、アイツの事だけは思い出したく無いのよ」

 

「・・・」

 

それから二人の間に沈黙が流れ、リーコンユニット分隊員の犬走椛と姫海棠はたては一言も喋ることはなく、GMDS本社へと到着し、リーコンユニットこと、ユニット4専用の待機部屋に入る

 

「・・・二人って言うのは寂しいですよね」

 

「まあ、確かにね」

 

二人は其々装備を床に置いて椅子に座り込む

 

「ねえ、椛。新入りが来るのって今日のはずだったよね?」

 

「ええ、おかしいですね。もう夜だって言うのに・・・」

 

二人がそんな会話をしていると、突如廊下からバタバタと慌てて走っている様な音が聞こえてくると、その音はどんどん大きくなっていき、やがて椛達の前で止まり、ドアが勢いよく開かれると同時に息切れしている男性が入ってくる

 

「ぜー、ぜー、ぜー、ぜー!」

 

「「・・・」」

 

椛とはたては黙り混むが、呼吸を整えた男性が口を動かし始める

 

「すいません・・・遅れました」

 

「・・・今何時か分かる?午後9時よ。遅刻にもほどがあるわよ」

 

「すいません・・・彼女にフラれてやけ酒して・・そのまま寝ちゃって・・・」

 

遅刻の理由に、はたてと椛は呆れたのか、額に手を当てて目をつぶり、ため息をつく

 

「・・・で、自己紹介は?」

 

「あ、すいません・・・」

 

男性は二人に敬礼して自己紹介をする

 

「本日よりユニット4に配属されました。轟 真

とどろき しん

です」

 

「OK、真ね?私は姫海棠はたて。此方は犬走椛よ」

 

「よろしくお願いします」

 

「・・・よろしくお願いします」

 

「さて、早速だけど配属届けと始末書を私に提出してもらうわよ?」

 

「・・・はい」

 

すると、はたては頭をガシガシと掻き、再び真の方を見る

 

「敬語とかいいから、タメ口でいいわよ」

 

「・・・それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ」

 

真は自分の机で配属届けと始末書を書き始める

 

(・・また面倒なのが入ってきたわね)

 

はたては心の中でそう呟く

 

 

 

 

翌日、ユニット1とユニット4のメンバーは合同で筋トレに励んでいた

 

「89・・・90・・・91・・・92・・・」

 

一同が筋トレに励むなか、壁にもたれ掛かってタバコを吸いながらその様子を見る二人の男がいた

 

「えっと、雅人だっけか?」

 

「ああ、なんだ?」

 

「タバコ、あるか?」

 

「ああ。吸うか?」

 

「おう、一本くれ」

 

雅人はタバコの箱から一本タバコを取り出すと、真に渡す。真はタバコを咥えると、雅人が真の咥えたタバコにライターで火を付ける

 

「おっ、悪いな」

 

「いえいえ」

 

二人がタバコを吸っていると、教官が二人の前に立つ

 

「今は訓練中だぞ!!」

 

「まあまあ、堅いこと言うなよ」

 

真は怒鳴る教官を見て、面白がるかのように笑う

 

「貴様らの頭の中には真面目の3文字も無いのか!」

 

「「ない」」

 

雅人と真は息ピッタリに発言すると、二人でハイタッチをする

 

「・・・・はぁ、もういい。好きにしろ」

 

教官は呆れたのか、ため息を付いて筋トレに励む霊夢達の方に戻る

 

「へっへっへっ、この教官いじりが病み付きでやめられねえ」

 

真はニヤリと笑うと、自然と雅人もニヤリと口角をあげる。二人は息が合うようだ

 

やがて、訓練が終わったのか霊夢達が出口に向かう中、それは起きた

 

「・・まだ生きてたんですねぇ、てっきり死んだかと思ってましたよ」

 

「ふん、弱い犬ほどよく吠えると言うけど、アンタの場合は弱い鴉ほどよく鳴く、ね」

 

ユニット1の射命丸文とユニット4の姫海棠はたてが睨み合いながら互いに悪態をつく

 

「Sランク候補だからってアンタ態度デカイんじゃない?」

 

「うるさいですね弱小新聞記者が」

 

二人が悪態をつく様子を、椛はオドオドしながら見ていた。止めたくても止められないようだ

 

「その弱小新聞記者でも、子供にトラウマなんて抱かせないわよ」

 

その一言を聞いた途端、文ははたてを殴り付け、はたてが体勢を崩した隙にはたてを地面に倒して馬乗り状態になり、殴り続ける

 

「うるさい!この万年スポッターが!!」

 

「黙れ!アンタみたいな冷酷スナイパーなんかより椛の方がよっぽど優れてるわよ!」

 

はたては文から抜け出すと、文と殴り合いになるが、二人を霊夢と椛が羽交い締めにして距離をとる

 

「やめなさい文屋!落ち着きなさい!」

 

「離してください!霊夢さん!!」

 

「はたてさん落ち着いて!今のははたてさんが悪いですよ!!」

 

「離してよ椛!!アンタだってあの件は許せないでしょう!?」

 

「だからって!」

 

すると、文は霊夢から抜け出して霊夢を突き飛ばすと、同じく抜け出したはたてと再び殴り合う

 

すると、今度は雅人と真が二人を引き剥がし、二人の腹部を殴って二人を気絶させる

 

「・・・ありがとう、雅人」

 

「なぁに、良いってことよ」

 

頭を下げる霊夢に、雅人は笑顔で軽く流す

 

「・・・・真さん、ごめんなさい」

 

「気にするな、荒事は慣れてる」

 

椛達は霊夢に頭を下げると、そのまま逃げるように野外訓練場を後にする

 

「・・・・仲が悪いのは知ってたが、過去に何が合ったんだ?」

 

雅人が霊夢達に尋ねるが、全員俯いたまま誰も答えない。その様子を見た雅人は深くは聞くまいと思ったのかそれ以上は何も言わなかった

 

 

 

 

 

~2時間後~

 

治療を受けた文は日替わり定食を食べていた。因みに今日はエビフライがメインのようだ

 

「・・・・」

 

しかし、文は浮かない顔をしてエビフライを口にしていた。そんな文の頭の中で2時間前のはたての言葉が頭に浮かぶ

 

『子供にトラウマなんて抱かせないわよ』

 

その発言が文の頭をグルグルと回る。何度も何度も。やがて、文の箸を持った手に力が籠り、バキッと音を立てて折れる

 

「くそっ!!」

 

文は声を荒らげて折れた箸を床に叩きつける

 

「限りある資源を無駄にするな、文」

 

盛り蕎麦を載せたトレーを持った雅人は文の前の席に腰かけると、机の上にトレーを置いて蕎麦をすすり始める

 

「ところで文、あのスポッターと仲が悪い見たいだが、何かあったのか?」

 

「・・・昔からの事ですよ」

 

「子供にトラウマなんて抱かせないってのは?」

 

「雅人さんには関係ない事です」

 

「・・・部下の悩み聞くのも上司の仕事でな」

 

「・・・」

 

射命丸は黙ってトレーを持ち、返却口へと返したあと、食堂を後にする

 

 

 

~数時間後~

 

「・・・懐かしいな」

 

文は屋上に立って、空を飛ぶ鳥達を見て、かつての自分達を思い浮かべる

 

今の彼女達はリミッターをかけられているため、力も人間と同じで、空を飛ぶことも能力を使うこともできない

 

「あら、先客がいたのね」

 

後ろから声をかけられ、振り向くとそこには分隊長の霊夢が立っていた

霊夢は文の隣に立つと、手すりに凭れる

 

「今日はいい天気ね。帰って散歩したくなる位だわ」

 

「そうですね。いい写真が撮れそうです」

 

「あんたまだ新聞作ってるの?」

 

「最近は忙しくてそんな暇ありませんよ。ただの趣味です」

 

「フーン」

 

二人はそんな会話を続ける

 

「・・・文屋、まだあの事を引きずってるの?」

 

「・・・」

 

文は黙りこみ、俯くがそんな様子もお構い無しに霊夢は問い続ける

 

「・・私はアンタのしたことは間違ってると思う。でも、過去を引きずってちゃ何も始まらないとも思うわ」

 

「・・霊夢さんも、私のしたことを否定するんですね」

 

「・・・そういうことになるわね」

 

「・・ハハ、やっぱり彼処(ユニット4)にも此処(ユニット1)にも私には居場所なんてないんですね」

 

「そんなことは・・・」

 

「霊夢さんはついさっき言ったことも忘れるんですか!?私のしたことを理由にのけ者にしようとしてる!そうでしょう!?答えてくださいよ!!」

 

文は思わず声を荒げると、霊夢は自分の顔を俯かせる

 

「・・・もういいです」

 

文はそう言うと、勢いよくドアを開けて屋上から去っていく

 

やがて、文は女子トイレに入ると、鍵をかけて一人籠る

 

「・・ひっく、えぐっ・・・うぁぁぁぁ・・・」

 

文は手で顔を覆い、涙を流し始める

 

 

 

~ユニット4待機部屋~

 

「・・・はぁ、お前なぁ」

 

真はため息をついてはたての方を見る。お蔭で先程全員がこってり絞られたのである

 

「何よ!私が悪いみたいじゃない!」

 

「はたてさんが悪いですよ」

 

「椛!あんたまでアイツの味方なの!?」

 

「だって・・・」

 

すると、しびれを切らした真は椅子に腰掛けながら発言する

 

「・・・そろそろ教えてくれないか?話についていけん」

 

「・・そうですね、真さんには教えないといけませんね」

 

同時刻、ユニット1の待機部屋でも霊夢が雅人に教え始めていた

 

「・・・雅人、文屋はユニット4に居たとき」

 

「ーーーーー人質を撃ったの」

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