東方軍事組織   作:SOCOMレオン

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#30 過ちか、善か

ーー同時刻、ユニット4待機部屋でも、椛が真に語っていた

 

「今でもそうですが当時、私達リーコン(ユニット4)は文さんを含めて3人居ました。GMDS(この会社)の中でも最も少ない分隊です。それでも、私達は任務をこなしてきました。そんなときです、警察からの要請で私達が現場に派遣されました」

 

「そこでは警察と銀行に立て籠った犯人グループとの銃撃戦が行われていました。私達は銀行の屋上から侵入して犯人を制圧、人質を救出する作戦を決行しました」

 

「思った通り、犯人達は私達の侵入口を全く警戒していませんでした。私達は犯人達を逮捕していきましたが犯人グループの最後の一人が子供を人質に取って脅してきたんです」

 

「?。お前らなら犯人を殺して救出出来ただろ?」

 

「それが・・・その子供は文さんの知り合いの子だったんです。その子は文さんと仲が良くて休日はよく遊んでいました。でも、文さんは撃ったんです。その子の足を撃ってから犯人の頭を・・・」

 

「・・・なるほど、仲が良かった知り合いに撃たれて体にさっきまで生きてた犯人の死体になる様を理解すれば子供なら簡単にトラウマになる」

 

「そのお蔭でその子は今もトラウマに苦しめられてるわ。あの冷酷な悪魔にね」

 

はたては口を開いてこの場に居ない文に悪態をつく

 

「・・・」

 

真は黙って部屋の外に出ると、自販機の方に向かい、硬貨を入れて缶ジュースを買い、プルタブを開けて中身を飲み始める

 

(・・・分からねえな、何で文がその子供を撃ったのか)

 

真は頭の中で考えるが、真には分からなかった。特殊作戦群やアメリカのPMCに居た真は数々の戦場を渡り歩いてきたが、その殆どが要人の警護任務で反政府ゲリラやそれに協力する住民に鉛弾を撃ち込んできた

 

すると、そんな真の隣に一人の男が腰かける。ユニット1所属の草薙雅人だ

 

「・・その様子じゃあ文の事を聞いたみたいだな」

 

「何で分かった?」

 

「今の俺もお前と同じ気分だからさ。面を見りゃ分かる」

 

雅人がそう言うと、一旦自販機で缶コーヒーを買い、再び腰かける

 

「・・・雅人、お前はどう思う?」

 

「何がだ?」

 

「文の事だ。子供を撃った彼女の判断をどう思うかって事だよ」

 

「・・・俺は、アイツの判断は正しいと思う」

 

「・・そうか」

 

雅人の答えを聞いた真は缶ジュースを飲み干してゴミ箱に投げ捨てる

 

「俺には分からねえよ。さっぱりだ」

 

真はそう言うと、そのまま去っていく

 

(・・・・マジで分からねえ)

 

真はそう思いながら待機部屋に戻ると、はたてが見慣れないマークスマンライフルを整備していた

 

「おい、何だそれ?」

 

「64式よ」

 

すると、真の記憶の中での64式小銃が浮かび上がるが、はたてが持っているタイプとは全く違う物なのは当然である

 

「ちょっと待て、俺の知ってる64式とは違うぞ」

 

「そりゃあ、GMDS(この会社)専用だもの。自衛隊には無いわよ」

 

「・・・恐るべしだな」

 

真は椅子に腰かけると、レッグホルスターに入ったSP2022を取りだし、分解して掃除を始める

 

すると、スピーカーから出動命令が下り、真は急いで組み立ててレッグホルスターに戻し、作戦指令室に向かう

 

 

 

 

ーー作戦指令室

 

「今回の任務は警察からの要請よ。ショッピングモールでテロリストが人質をとって立てこもったわ。要求は以前我々が身柄を確保した仲間の解放、これを飲まなければ全員を殺すとのことよ」

 

「・・・こりゃまた厄介なのが転がり込んできたな。犯人は全員殺していいのか?」

 

「殺害許可は出てるわ。殺って構わないとのことよ」

 

「OK、なら余裕です」

 

「なら、早いとこ終わらせちゃって」

 

「「「了解」」」

 

3人は作戦指令室を後にすると、それぞれ支度を済ませ、現場に向かう

 

 

 

~車内~

 

バラクラバで顔を隠し、アサルトスーツに身を包んだ二人が車両内で腰を下ろして待機していた

 

「・・・」

 

その中で、真は椛と同じように無言で座っていたが真は二人とは違う雰囲気を放っていた

 

「・・真さん、真さんは前はPMC(民間軍事会社)に居たんですよね?」

 

「・・・ああ」

 

「そこで・・何をしてたんですか?」

 

真は質問よりも椛の口調がたどたどしい事が気に入らないのか、椛の事を睨み付ける

 

すると、椛はビクッと体を震わせて頭を垂れる

 

「・・・スミマセン、忘れてください」

 

しかし、真は口を開き、質問に返答する

 

「・・要人警護の任務に就いてるときに襲撃してきた連中に鉛弾をぶちこんできた。主にそれくらいだ」

 

すると、真は持っていた89式小銃を軽く叩き、バラクラバ越しにニヤリと笑う

 

「でもなぁ、俺は何より(コイツ)をぶっぱなすのが好きでなぁ、コイツをぶっぱなして人間を殺して、ただの肉の塊にしたときの快感ったら堪らねえ」

 

真はクククと笑う。真の目には生気など宿っておらず、死んだ魚のような目をしていた

 

すると、運転席にいたはたてが車を止めて壁をゴンゴンとノックするように叩く

 

「着いたよ」

 

「分かりました」

 

3人は車を降りると、目の前には警察の機動隊がライオットシールドの後ろに隠れていた

 

「・・・なるほど、余程緊迫した状況ってことか」

 

真は89式小銃にサプレッサーを装着すると、椛が肩を叩く

 

「真さん、新装備を使います」

 

「了解した」

 

「「「光学迷彩起動」」」

 

3人は腰に付けたスイッチを押して新装備の光学迷彩を起動させると、3人の姿は完全に消える

 

「裏口から回るぞ」

 

「了解」

 

真とはたて、椛の3人は素早く裏口に回ると、キーピックを使って鍵を開け、少しだけドアを開けて中を確認する

 

「・・・どうやら連中わ一階と二階に分けて配置されてるようだ。少々面倒なことになるぞ」

 

「慣れてます」

 

「・・・だと思ったよ」

 

真達はゆっくりドアを開けて中に入り、ドットサイトのドットをテロリストの頭に重ね、89式小銃の引き金を絞る

 

発射された5.56mmNATO弾はテロリストの頭を貫き、撃ち抜かれた男は床に膝をついて倒れる

 

辺りで人質の悲鳴が響き、テロリスト達が敵を探るが、はたてが64式小銃のマイクロドットサイトを覗き、引き金を絞る

 

7.62mmNATO弾はテロリストの女の心臓を撃ち抜くと、二階に居たテロリストがパニックになり、乱射する

 

「はたて、椛。ここで待機しろ。俺は上を片付けてくる」

 

「了解」

 

「了解」

 

真は階段を駆け上がり、89式小銃の引き金を絞る。銃口から飛び出た5.56mmNATO弾はテロリストの脳髄を撒き散らすと、それを見た二人のテロリストは脅えた表情で腰を着くが、真は容赦なく引き金を絞る

 

「クリア」

 

真はそう呟くと、はたての怒号が響く

 

「彼女を離せ!!」

 

何事かと、真は駆け足で二階から見ると、民間人に扮していたテロリストが人質の女性の首にナイフの刃を当てていた

 

その前では光学迷彩を解除したはたてと椛が銃口を向けていた

 

真は二階の手すりから89式小銃のドットサイトを覗くが、テロリストと民間人が重なって狙えない。恐らくはたても同じ状況なのだろう

 

「Shit・・・」

 

真はそう呟くと、頭の中で文の事が浮かぶ

 

(アイツも・・今の俺と同じ心境だったんだろうな。・・・待てよ)

 

真は少しだけ頭の中で考える。無数の憶測が頭の中を駆け巡るなか、真の頭の中で1つの結論が生まれる

 

(・・・そうか、そう言うことだったのか。だから・・・)

 

すると、真はドットサイトのドットを少しだけずらし、引き金を絞る

 

5.56mmNATO弾は犯人ではなく、人質の女性の足をかすらせる

 

途端にテロリストの腕には成人女性一人分の重みが加わり大きく体勢を崩すと、真がテロリストの頭にドットを重ね、89式小銃の引き金を絞る

 

テロリストの頭から飛び出た鮮血が床を汚しテロリストの死体は倒れる

 

89式小銃のセーフティを掛けた途端、光学迷彩を解除すると、はたてが真の前に立ち、真の胸ぐらを掴む

 

「人質を撃つなんてどういうつもりよ!!アンタもアイツみたいに・・・!!」

 

「・・・まだ分からないのか。何で文が人質を撃ったのか」

 

「アイツはなぁ・・・人質を助けたかったんだよ。犯人を殺すためじゃなく、子供の命を救うために」

 

「だからってそんなことが許されると思う!?」

 

「ならお前は救える命を救えなくするつもりか?ケガを負ったって、心のキズを負ったって・・・死ぬよりマシだろ?」

 

すると、はたては胸ぐらを掴んでいた手を離し、期限悪そうに真の前から去る

 

 

 

その後、今回起きた事は新聞やニュースに大きく報じられ、問題を起こした真は謹慎処分となった

 

「やれやれ、しばらく暇になるな」

 

真が廊下を歩いているときだった。雅人と目が合う

 

「・・・」

 

真は気にせず歩いていくと、雅人が握りしめた右手をあげると、真も左手を握りしめ、左腕をあげる

 

真が雅人とすれ違うとき、二人の手がぶつかると同時に、雅人が呟く

 

「・・・・良くやったな」

 

「・・文に言っとけ。自分のした行動に自信を持て、ってな」

 

「あいよ」

 

真はそう言うと、GMDS本社の出口を出る

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