ーー太平洋上、GMDS所属イージス艦、『せいせん』ーー
「初めまして、この艦の艦長を任せられている村紗水蜜と言う者です」
村紗は雅人と握手すると、艦長室の椅子に腰かけ、防止を机の上に置く
「早速だが村紗艦長、あの通信はなんだ?何故本社がテロリストに攻撃されている。俺達が出たときは何もなかったぞ」
「落ち着いて、私達にも状況はよく分からないんだ。何処のテロ組織かも分からない、人数も規模も、何もかもが分からないんだ」
雅人は村紗の言葉を聞くと、軽く舌打ちする。すると、ドアがノックされ、リックとトニーが入ってくると、リックが村紗に説明する
「たった今合衆国政府と話をしてきた。軍用輸送機を一機回してくれることになった。到着まで数十分掛かるとのことだ」
「・・・チッ」
今すぐにでも救出に向かいたい雅人は舌打ちする
「・・雅人、気持ちは皆同じなんだ。お前なら分かるだろ?」
雅人は何も言い返さなかった。それもその筈、雅人は霊夢の安否の事しか頭になかった
すると、艦長室の備え付けプッシュホンが着信を知らせ、村紗は受話器を取る
「村紗だ。・・・・何!?・・・そうか。分かった」
村紗は受話器を戻すと、深刻そうな顔をする。悪い知らせのようだ
「・・・最悪の知らせだ。本社がテロリストに制圧された」
「「「!!!」」」
3人は目を見開き、村紗を見る。3人とも信じられないようだ。それもその筈、GMDSの部隊は最早特殊部隊の集まりと言っても良いほどの実力を誇る。それを制圧したテロ組織など、あまりに強大すぎるからだ
「そん・・・な・・・・」
「まさか・・テロリストに制圧されるなんて・・・」
村紗も額に手を当てる。想定外の事態だったようだ
「・・・クソッ!」
トニーは苛立ちのあまり壁を殴り付け、雅人は絶望に染まった顔をしていた
「・・・二人とも、落ち着くんだ」
リックの発言を聞いた雅人はリックの胸ぐらを掴み、壁に押し当てる
「落ち着けだと!?これが落ち着いていられるか!お前は良いよな!GMDSに所属してないからよ!」
「・・・雅人、冷静になれ、焦ったら何も見えてこないぞ」
「冷静になれだと!?こんな状況でどうやって冷静になれってんだよ!言ってみろよ!」
すると、見かねたトニーが雅人を引き剥がして床に引き倒す
「雅人、いい加減落ち着け。一人で熱くなっても何も変わらないぞ」
すると、雅人は頭を冷やしたのか、ゆっくり立ち上がる
「・・・すまん」
「気にするな、気持ちは分かる」
リックは雅人の肩をポンっと軽く叩くと、村紗が咳払いをして3人に知らせる
「・・・とにかく、増援を待つわけにはいかなくなった訳だ」
「・・モガディシュの戦闘みたいなことはごめんだ。だが、やらなきゃならないんだろうな」
3人はやる気に満ちており、今すぐにでも飛んでいきたいのが村紗には感じ取れた
「・・3人とも、皆を頼んだよ」
「「「了解」」」
3人は艦長室を出ると、しばらく通路を歩いていき、甲板に出る
「・・・・」
もうじき日が暮れようとしている海から、冷たい風が吹いて3人の髪を靡かせる
「・・・」
雅人は無言でマガジンの数を数え、HK416のチャージングハンドルを少し引いて弾薬が装填されていることを確認する
「・・・トニー、お前に未練はないか?」
「なんだよリック・・・いきなり」
「・・・今日、娘が7歳の誕生日なんだ」
「結婚してたのか?リック」
「・・・妻は2年前に病気で死んだよ」
予想外の答えに、トニーは申し訳なさそうな表情を浮かべる
「・・すまない」
「いや、良いんだ。気にしないでくれ」
リックは胸ポケットにいれていた愛娘の写真を見る
「・・・悪い父親だよな。娘の誕生日すら一緒に祝えないなんてよ」
「こんな仕事をしてるんだ。果たせない約束もあるさ」
雅人はそう言ってリックの肩を軽く叩く
「・・・・今年こそはって思ってたんだがな」
「バカ野郎、娘さんはきっと気にして無いさ。前に言ってたぞ、『パパはアメリカを守っているヒーローなの』って」
「・・・ヒーロー、か」
リックは笑みを浮かべると、胸ポケットに愛娘の写真を戻す
「なら、ヒーローはヒーローらしく困ってる人を助けにでも行きますか」
「その意気だぞ、リック」
「ったく、お前が上司みたいになってるじゃねえか」
「もっと敬うがよい」キリッ
リックは指の骨をパキポキと鳴らし、雅人をあからさまに威嚇する
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいすみませんでした調子にのってすみませんでした!」
「・・・フン、やっといつものお前に戻ったか」
リックは訳がわからないという表情をした雅人を放っておいてタバコを取り出し、口に咥えて吸い始める
「・・・来た、か」
3人の目には暗くなりかけの空を飛行する米空軍の
3人は無事機内に乗り込むと、中には日本人の顔をした白髪の男女の姿があった
白髪の男は雅人の顔を見ると、雅人の方に近寄ってくる
「よぉ、アフガニスタン以来だな」
「・・・俺はお前なんて知らないぞ」
雅人の答えに男はニコニコしながら会話を続ける
「おいおい、忘れたのか?せっかくお前らの撤収を手伝ってやったのに」
すると、雅人とトニーは思い出す。ロシアの女武器商人の身柄を確保したとき、UH-1Yから二人の隊員が降下してきた事を
「あれは・・・お前らだったのか」
すると、白髪の男は雅人と握手をする
「改めまして、ユニット0の暁 俊だ。お前の噂は聞いてるぞ。博麗の巫女と出来てるってな」
「・・・そりゃどーも」
雅人は俊と手を離すと、今度は白髪の少女がトニーの前に立つ
「・・・海兵隊も大変だな。私は藤原妹紅だ。ユニット0の分隊長をしている」
「・・・トニー・ミドルトンだ。よろしく」
トニーは妹紅と握手をすると、隣で俊と雅人が話を始める
「俊、本社の状況聞いてるか?」
「ああ、占拠されたってやつだろ?聞いたさ。ただ、イラクで作戦中だったからな。いきなり通信が来なくなったときは流石に焦ったさ」
「そうか・・・」
「まあ、安心しろよ。すぐに解放して反撃させるからよ」
俊はそう言って雅人にニコッとした表情を見せる。だが、その目に光など灯っていなかった
それからしばらくすると、この場にいる全員のインカムから声が響く
【間もなく到着地点だ。パラシュートが置いてある。それを使え】
パイロットが無線越しにそう言うと、全員パラシュートを付け、開いたMC-130のハッチから其々の装備を持って降下していく