東方軍事組織   作:SOCOMレオン

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#35 本社襲撃(後編)そして・・・

「れい・・・む・・・?」

 

雅人は思わず自分の目の前の人物を疑った。目の前にいるのは自分の最愛の恋人、博麗霊夢に似ている。いや、似すぎているのだ

 

すると、目の前の女はそんな雅人の様子を見てクスリと笑う

 

「フフ、そんなに驚くとは、私も予想外だったわ。草薙雅人君」

 

「・・・何故俺の名前を知っている」

 

雅人はUSPの銃口を目の前の女の額に向けたまま、問いかける

 

「日本人で元米軍対テロ特殊部隊に所属していた隊員なんて、私達の間じゃ知らない人間なんて居ないわよ。それにしても、娘が世話になってるわね」

 

女の発言に、USPのグリップを握った雅人の両手が震えると同時に自分の耳を疑った

 

「今・・・何つった?」

 

「あら?理解できなかったかしら?言葉が足りなくてごめんなさいね。貴方の恋人は私の娘だと言ったのよ」

 

すると、雅人の脳裏にある考えが浮かぶ。その考えは自分でも100%正解と言い切れる答えだった

 

「まさか・・・お前は!」

 

「・・・私の名前は博麗麗奈。博麗霊夢の実の母親よ」

 

その言葉を聞いたとたん、雅人のUSPが震え始める。狙いをピタリと定めていたフロントサイトはリアサイトの窪みから乱れ、雅人の心の動揺を示していた

 

「う、嘘だ!お前が・・・お前なんかが霊夢の母親なわけ・・・」

 

「なら、私のこの顔は?どうやって説明つけるのかしら?」

 

「・・・・」

 

麗奈の発言に、雅人は黙り混んでしまった。それもその筈、雅人の頭の中には麗奈の発言を覆せる程の考えなど浮かばなかったのだ

 

「貴方は色んな戦場でたくさんのテロリストを殺してきた。でも、貴方には私を撃てない。でも、貴方は私を撃たなきゃならない。何せ私はーーー貴方のご両親の仇だもの」

 

麗奈の発言に、雅人は目を見開いて麗奈を見つめる。自分の目の前にいる霊夢の母親。それこそが自分の両親の仇

 

「き・・・さま・・が・・・」

 

「本来は裏切り者を殺すだけのテロだったけど、まさか貴方のご両親が居るなんて思うわけないじゃない。でも、結局は運がなかったのよ」

 

「運がなかっただと!?ふざけるな!あのテロでどれだけの人間が死んだと思っている!!!」

 

「そんなの知ったことじゃ無いわ。でも、私はそれよりも貴方が行った事の方が残酷だと思うわ」

 

「アフガン、イラク、ソマリア、パキスタン。貴方はブラックオペレーション(非公式極秘作戦)で何人の民間人を殺した?」

 

「黙れ・・・・」

 

「何人の女を殺した?何人の老人を殺した?何人の子供を殺した?何人の赤子を殺した?フン。貴方のやったことは全て・・・」

 

「ーーーテロリスト(私達)と同じ」

 

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

雅人は麗奈に向けたUSPの引き金を何度も絞り、発砲するが、麗奈は壁に身を隠す

 

確かに、雅人は極秘作戦で殺害対象とその家族を口封じの為に何人も殺してきた。全ては自分の全てを変えたテロリストに復讐するため、自分の他に大切な人を奪われた者の為に

 

しかし、作戦を終えて帰還している最中、毎回同じ考えが浮かぶ。『自分が行った事は自分が憎んでいるテロリストと同じだ』と

 

ーーー認めたくない。考えたくない。思いたくない。自分は違う。テロリストなんかじゃない!

 

雅人はその度に何度も自分に言い聞かせてきた。しかし、いくら自分に言い聞かせてもその考えが撤廃されることはなかった

 

引き金を引き続けているうちに、雅人のUSPは弾が切れ、スライドが大きく後退し、ホールドオープンする

 

雅人は慣れた手つきでマガジンキャッチを押し、残弾0になったマガジンを落とし、予備のマガジンを装填してスライドストップレバーを下に押す

 

すると、麗奈が壁から飛び出して雅人に接近し、雅人の腕からUSPを落とし、左手で雅人の腹部に掌底を叩き込む

 

「ぐっ・・・・!げふっ!!」

 

雅人の口から鉄の味がする赤黒い液体ーー血液が飛びだし、床を血で染める

 

雅人は座り込むかのように床に倒れ、自分の腹部を押さえる

 

(なんで・・・ただの掌底で・・・・!)

 

「・・・霊夢()の代からはスペルカードなんてもの使い始めたみたいだけど、私はそんなもの使わなかった」

 

麗奈は雅人の腹部を踏みつける

 

「がっ・・・・!!」

 

「妖怪退治の時はいつも殺しあいだったわ。どちらが死ぬか、命を賭けて異変を解決してきたわ」

 

「でも、あの子の時からそんな事はなくなった。妖怪退治の時も、異変解決の時も、死ぬことはなくなった」

 

「でもね、今あの子は殺しあいをしている。私達テロリストとの命を賭けた殺しあいをねぇ」

 

「フフ、何て愚の骨頂でしょう。スペルカードルールを制定した、命を奪うことを嫌がったあの子が人殺しの武器()を持って戦場に行く。可笑しいったらありゃしないわ」

 

麗奈はさらに力強く雅人の腹部を踏みつける

 

「ガフッ!」

 

再び、雅人の口から血液が飛び出る

 

「あらぁ?この程度なのかしらぁ?元特殊部隊員さんの実力は」

 

麗奈は足を退けると、雅人の首を掴み、壁に押し当てる

 

「うぐっ!!」

 

「良いこと教えてあげるわ。私達はね、世界征服とか全面戦争とか望んでる訳じゃないのよ」

 

「ーーー幻想郷を再び隔離する。それが私の目的よ」

 

「何を・・ほざいて・・・」

 

「私は貴方達のような外来人が嫌い。昔から妖怪が多く住むと言うだけで差別し、隔離まで追い込んだ外来人が嫌い。貴方達も連中の子孫だと思うと吐き気がする」

 

「それでも私は信じてたわ。今の外の世界の連中は昔とは違うって。でも、余りにも愚かだったわ」

 

「幻想郷が外の世界に現れてみたらどうよ。能力を持った人間、妖怪達、全てが差別されて恐れられた。ずっと昔にあった事となんら変わりない。技術だけは進歩しても、温もりも何もない冷たい世界」

 

「そんな世界になんか居たくない。ならどうすれば良いか。簡単よ。元の幻想郷に戻せばいい。またあの結界を張るにはどうすればいい。簡単よ。初めて結界を張ったように、たくさんの命を捧げればいい。だから、私達の邪魔をしないで」

 

「・・・ふざけるな」

 

雅人は麗奈の腕を掴み、麗奈を睨み付ける

 

「そんな・・・そんなことのために・・・貴様は・・・!!!!」

 

雅人が睨み付けながらそう言うと、麗奈はベレッタM92FSを取り出し、雅人の防弾ベストの隙間から銃口を突っ込み、腹部に向けてそれぞれ数発発砲する

 

「うぐっ!!!ぐっ・・・・!」

 

麗奈は雅人を離すと、雅人は糸が切れた操り人形の様に地面に落ちる

 

「本当なら撃ち殺してるけど、貴方は別。霊夢の恋人だから、これで勘弁してあげる」

 

麗奈はM92FSをホルスターに戻し、雅人に背を向けて歩き去っていく

 

「殺、し・・てや、る・・絶対・・・に・・・・貴、様だけ・・・は・・・殺・・・し、て・・・や・・・・・る・・・・」

 

雅人はそう言い終えると、その瞬間に雅人の意識は真っ暗な闇へと飲まれていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・・・?」

 

雅人が目を覚ますと、そこには自分の顔を覗き込む霊夢の姿があった

 

周りを見回す限り、そこは病室だと言うことが分かった

 

「雅人!私が分かる!?」

 

「霊夢・・・・?」

 

「良かったぁ・・・・・。もう一週間も目を覚まさなかったのよ?」

 

「一週間も・・・。そ、そうだ!アイツ等は!?敵は!?」

 

「・・・復旧作業してるから、皆は心のケアも兼ねて休暇を取ってる」

 

「そうか・・・良かったぁ・・・」

 

雅人がホッと一息吐くと、霊夢が膝の上に置いた両手を握りしめる

 

「・・・雅人、お願い。雅人の知ってること、全部教えて。何があったのか・・・全部・・・」

 

霊夢の質問に、雅人は答えるのを躊躇う。何て顔で言えば良いのだろう。霊夢の実の母親が起こしたなど、幻想郷を再び隔離する為になど

 

「・・・」

 

「・・・・雅人?」

 

「・・・霊夢・・落ち着いて聞いてくれよ」

 

雅人は今回の襲撃を誰が起こしたのか、目的は何なのか、全てを話した。聞き終わった霊夢の顔は、信じられないと言う表情をしていた

 

「そんな・・・・・・嘘・・・母さんが・・・」

 

「・・・全て本当の事だ」

 

「・・・・」

 

霊夢の顔は、再び泣きそうな顔になっていた。それもそのはず、自分の母親がテロリストになり、自分達を襲撃した等、ショックは計り知れないものだ

 

「・・・雅人・・・・・ごめんね」

 

霊夢は自分のこめかみにUSPの銃口を当てる

 

「霊夢・・・やめるんだ」

 

「・・・こうでもしないと、死んでいった皆に・・・・魔理沙達に・・雅人に・・・責任・・・取れないよ・・・」

 

霊夢はUSPの引き金に人差し指をかけると、そのまま引き金を絞ろうとする

 

「ゴメンね・・・雅人」

 

「やめろっ!!!」

 

雅人は痛む体を無理矢理動かし、霊夢の手からUSPを奪い取ると、霊夢の頬を張る

 

乾いた音が響き、霊夢は赤くなった頬を押さえて雅人を見る

 

「雅人・・・?」

 

「・・・お前の母親を、俺の両親の仇を、俺は憎むことにはなる。でもーーーお前を憎んでなんかいない。だから・・・もうこんな事しないで・・・。霊夢も・・・失いたくないんだ」

 

「まさ・・・・」

 

霊夢がそう言ったとき、雅人は霊夢の顔を引き寄せて、霊夢の唇と自分の唇を重ね合わせていた

 

霊夢は自然と目をつぶり、しばらく雅人とのキスを味わっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殉職したGMDS隊員146名、殉職した自衛官108名、さて・・・八雲紫、この責任をどう取る気かね?」

 

紫は今回の件で防衛省に呼び出されていた

 

「・・・」

 

「今回の件で防衛省に抗議の電話が殺到している。お前達GMDSは大きくなりすぎた。今後は国防だけに専念してもらう」

 

「・・・・フフ」

 

「・・何がおかしい?」

 

防衛省の幹部がそう言うと、紫は閉じていた口を開く

 

「国防だけに専念してもらうですって?我々が設置された理由は国際社会に大きな影響を与えるテロ組織に攻撃や、他国の戦闘支援、自衛隊じゃ出来ないことを可能にする為に設置された筈ですが?」

 

「だが、今回のように再びテロ組織の襲撃にあいかねない。そうなると日本の防衛力はどんどん下がっていく。それだけは避けなければならない」

 

「・・・だからそれを補うために国防だけに専念させると?ハッ、お断りよそんなもの。それに、我々には次のステップへ進む道が出来たから」

 

「何を言って・・・」

 

すると、防衛省の職員が紫達のいる部屋へと飛び込んでくる

 

「た、大変です!太平洋側に、人工島と思われる島が発見されました!」

 

「何!?」

 

突然の知らせに、紫以外の防衛省幹部は騒然とする

 

「正確な位置は!?」

 

「西経135°。北緯30°。アメリカ合衆国付近です!」

 

すると、ドアから藍と橙が現れ、その隣にはアメリカ人と思われる大柄な男が居た

 

「紫様。完成いたしました」

 

「報告ご苦労、藍。Mr.ジョン、わざわざご足労おかけして申し訳ありません」

 

「お気になさらず、Ms.八雲。合衆国は貴女達に大きな借りがあります。その借りを返させてもらっただけです」

 

「感謝いたしますわ。さて、と」

 

紫は椅子から降りると、藍達の方に向かっていく

 

「おい!どこに行く気だ!」

 

防衛省の幹部がそう言うと、紫はクルリと振り返る

 

「貴方達防衛省の命令を聞く必要はもうない。我々GMDS一同は一国の住人として、日本から独立いたしますわ」

 

「何・・・!!」

 

「今後、我々幻想郷は日本からの独立国家として、やっていきますわ。それでは、ごきげんよう」

 

紫はそのまま、部屋を出ていく。後ろからは幹部達の怒号の声が響いていたが、気にせず防衛省ビルを出る

 

それから一ヶ月後、独立国となった幻想郷では、移設された博麗神社では、隊員達や職員達で、酒盛りが行われていた

 

「おらー!もっと飲め飲め~!」

 

「ちょっ!まって魔理沙・・うぶぶぶぶぶぶ!」

 

「私の酒が飲めねーってのか~!」

 

「よ、妖夢・・・!く、首が・・・・閉まって・・・」

 

博麗神社はそれなりに酒盛りで賑わっていた

 

「・・・ふぅ」

 

そんな中、霊夢は縁側で月を見ながら雅人と一緒に酒を飲んでいた

 

「後ろ、うるせえな」

 

「でも、皆いい笑顔してるじゃない」

 

「まあ、な・・・」

 

雅人はグラスに入った日本酒をちびちびと飲んでいく

 

「ねえ、雅人・・・。私、雅人がテロを憎む気持ち、わかった気がするわ」

 

「・・・・・」

 

「私、決めたの。母さんのやり方には賛成しない。私は母さんの敵になる」

 

「・・・・そうか」

 

雅人は霊夢の方に左手の拳を向けると、霊夢も右手の拳を向ける

 

「これからもよろしくな。霊夢(バディ)

 

「こちらこそよろしくね。雅人(バディ)

 

二人はそう言うと、拳と拳をポンっと軽くぶつける

 

「おぉ~い、お前らもこっちぃ来いよぉ~」

 

完全に酔っ払った魔理沙が、二人を部屋へと呼ぶ

 

「さて、行くか」

 

「そうね」

 

二人は、酒盛りをしている魔理沙達のいる部屋へと、入る

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