ーーーー幻想郷 第一地区 某中学校
この日、第一地区にある中学校の1クラスでは生徒達が何やら騒いでいた
何故なら、担任の隣に見たこともない同年代の浅黒い肌の少年が居たからだ
「先生、その人ですか?」
「この前言ってた編入生だ。じゃあジダン君、黒板に名前書いて」
そう言われたジダンは、チョークで黒板に名前を書き始める
やがて、書き終えたジダンはチョークを置いてクラスメート達の方を振り返る
「ジダン・ツォイです。今日からよろしくお願いします」
素っ気ない挨拶をしたジダンは今日から同じ授業を習う同志達にペコリと頭を下げる
「よろしくねー!」
「今日からよろしくな!ジダン!」
そんな声がクラスメート達から飛ぶ。どうやら明るい雰囲気のクラスのようだ
「それじゃあ、ジダン君の席は・・・青城の隣でいいな」
担任の教師がジダンの席を教えると、ジダンは隣の席に座る
「よろしくな、ジダン君」
「・・・よろしく」
「青城、ジダン君はまだ教科書持ってないから見せてやってくれ」
「はい」
それから少しして、ジダンのクラスは一時間目の授業が終わり、休み時間に入っていた
「・・・・・・・」ボケー
ジダンは頬杖をついて、窓の外を眺めていた
(何だろう・・・・ジダン君。さっきからずっとこの様子だ)
青城はボーッとしているジダンを見ていると、急にジダンが振り返る
「・・・何?」
「え、いや・・・なんで外見てるのかなって」
「・・・空が、綺麗だったからだよ」
ジダンはそう言うと、また外を見始めるが自分の後頭部に何か当てられる
ジダンが後ろを振り返ると、椅子にふんぞり返り、こちらを見てニヤニヤ笑っている
「なんだアイツ」
「原山って言って、この辺りの不良の連合に入ってる奴さ」
「・・・なんだ、ただのいきったアホか」
「ジ、ジダン君!?」
ジダンはあえて聞こえるように大きな声で言うと、青城が慌てたような態度をとる
案の定、原山と呼ばれた生徒はジダンの方に詰め寄ってくる
「おい、今アホって言ったか?」
「言ったよ?聞こえなかったのかなぁ?」
ジダンが挑発的な態度をとると、原山はジダンを殴り付け、ジダンは床に倒れる
「編入生だからって、調子乗るからこうなるんだよ」
「や、やめなよ原山君!!」
「うるせえ!!先に喧嘩売ったのはこいつだ!下がってろ!!」
原山は青城に怒鳴り付けると、ジダンは制服に付いた埃を払いながら立ち上がる
「青城君、僕は平気だから。こんなクズの拳なんて痛くもなんともないし」
「ほぉ・・・まだ殴られたりないみたいだなぁ」
原山はジダンの胸ぐらを掴む
「今すぐ土下座して詫びろよ。そうすりゃ半殺しで許してやるからよぉ」
「・・・・」クスッ
ジダンの口許が突如緩むと、ジダンの目が原山の顔を見つめる
「殺そうという気がない限り、その言葉は脅しにもならない」
「あぁ?」
「僕がどういうときに使うか教えてあげるよ」
ジダンはそう言うと、自分の胸ぐらを掴んでいる原山の手を掴み、逆方向に曲げる
「いだだだだだだだだ!!」
原山は痛みで声をあげ、床に膝を着くとそのまま背中の方に腕を回し、原山の首筋に折り畳み式のナイフの刃を当てる
「殺すぞ」
ジダンが原山の耳元でそっと呟くと、原山は嫌な汗が止まらなかった。自分は今、身動きが取れず、更に首筋には鋭いナイフの刃、そして何よりジダンから伝わってくる氷のように冷たく、ナイフよりも鋭い殺気が自分の体に伝わってくる
「あまり僕を怒らせないで。何をしでかすか分からないから」
ジダンは原山からナイフの刃を遠ざけ、自分の体を退けると、原山は体制をかえてジダンから逃げ出すようにその場を後にする
「フン、これだから不良ってのは」
ジダンはそう言ってナイフを折り畳んでポケットに入れる
「だ、大丈夫なの・・・?ジダンくん」
「平気だよ。アイツの腕っぷしなんか大したことないし」
青城の心配を他所に、ジダンはけろっとしていた。本当に大したことないのだろう
「さぁ、休み時間も終わりそうだから」
ジダンはそう言って自分の席につく
(なんで・・ナイフを持ってるんだろう)
青城はそんな疑問を抱きながら、自分の席につく
ーーその日の放課後
ジダンはリュックサックを背負って帰る準備をしていた
「ジダンくん、一緒に帰らない?」
「ゴメン、迎えが来てるんだ。また今度お願いしてもいい?」
「う~ん、そっか。それじゃあ仕方ないね」
青城は頭をガシガシと描きながら、教室を出て階段を降りていく
(ジダンくんは送り迎え派なのか)
そんなことを考えているうちに玄関に到着し、下駄箱で自分の靴を履くと、玄関を出る
「・・・ん?」
青城が外に出ると、校門前が何故か騒がしかった
青城が人を押し退けて出ようとすると、そこには緑髪で顔の整った女性が立っていた。その近くでは男子生徒が話しかけようとしていた
(綺麗な人だなぁ・・・)
そう思っていると、人を押し退けてジダンが現れ、目の前の女性に話しかける
「お待たせ、早苗」
「もぉ~、遅いよジダンくん!」
目の前の早苗は頬を少し膨らまして腰に手を当てる
「ごめんごめん。ちょっとお片付けしてたから」
ジダンは頬に付いた赤黒い液体を親指で弾くように取ると、自分の白い制服に付いた赤黒い液体を見る
「早苗、後で洗濯してくれる?」
「もぉ、血はなかなか落ちないんだからね」
早苗はわざとらしく、プリプリと怒った様子を見せる
「でも付いてしまった物は仕方ないね。服と一緒にジダンくんも洗濯してあげる!帰ったら一緒にお風呂に入ろうね!!」
早苗は周りに中学生が居ることも気にせずに大胆極まりない発言をする
「こんなとこでとんでもない発言しないでよ・・・」
ジダンは呆れたように発言すると、早苗が乗ってきていたスポーツカーに乗ると、早苗も運転席に乗り込んで何事も無かったかのように車を発進させてその場を去っていく
(ジダンくん・・・なんて羨ましいんだ!!)
思春期まっしぐらな年頃の青城は少々赤面して、いけない想像を膨らます
(まてまてまてまて!!落ち着け、落ち着くんだ青城裕太14歳!!平常心、平常心・・・)
青城は必死に自分に言いかけて平常心を保とうとする
すると、玄関からボコボコにされた原山と同じくボコボコにされた手下と思われる下級生が現れる
(・・・・お片付けってそう言うことか)
青城は妙に納得した様子で校門を出て帰路につく
~その頃~
「・・・そう言えば早苗、今日任務だったんでしょ?」
「そうだよ~?」
「ゴメンね、戦力になれなくて」
「い~のい~の!ジダンくんはホントだったらまだ働いちゃダメな年齢だから。それに、皆もジダンくんが学校で楽しい学生生活を送ってくれるのを望んでるんだから」
「・・・・ありがとう」
「フフフ。あ、そうだ。もしジダンくんが絡まれたりしたらすぐに教えてね。ーーーーーー私達が後悔させてあげるから」
「う、うん・・・・・」
この時だけ、ジダンの背中に冷や汗が流れる
(大丈夫かなぁ・・・・)
ジダンは早苗の発言に不安がりながら、明日の学校の事を考えていた。