ある日、雅人と霊夢はいつもの様に、パトロールを行っていた
「あ~あ、これが仕事じゃなかったらステキなドライブデートだったのに」
「そう言うなよ。今だって似たようなもんじゃないか」
霊夢はいつものように愚痴を呟くが、雅人は霊夢の機嫌を損ねぬように話し相手をする
「パトロールとドライブデートは違うもん」
「でも今、俺達二人っきりだぞ?」
「・・・・それもそうね」
霊夢は納得したのか、雅人の肩に頭を乗せる
「やれやれ、可愛い奴め」
雅人は少し笑うと、歩道を歩く一人の女を見つけ、驚愕した顔になる
「あれは・・・・」
雅人は慌てて左側に車両を寄せて急停車すると、ブレーキの衝撃が霊夢の体にのしかかり、霊夢は思わず悲鳴を上げる
「きゃあああっ!?」
「すまん霊夢、少し待っててくれ」
だが雅人はそんなことはお構い無しの様子で、パトカーから降りるとその女を尾行し始める。雅人が尾行していくと、段々雅人の脳裏に2年前の事が思い浮かぶ
(まさか、こんなところでまたアイツを見るとはな。レミリアの話聞いといてよかった)
すると、その女は路地裏に入るが、雅人は少し駆け足で路地裏に入る、と同時に目の前に無機質な金属で出来た銃口が突きつけられる
「・・・やっぱり気づいてたのか」
「気づかねえ方がおかしいだろ?少しは成長したな、雅人」
女は雅人の名前を呟く。どうやら彼女は、いや、二人ともお互いの事を知っている様だった
灰色の髪に赤い目、彼女全体から伝わってくる鋭い殺気、そして何より、彼女の顔は紛れもなく霊夢と同じだった
「私と出会ってからもう二年になるんだな」
「あっという間だとは思うさ。とにかく、銃を下ろしてくれ」
「・・・なら先にお前の相棒にそう言え」
「?」
雅人が後ろを振り返ると、そこには彼女に拳銃の銃口を向ける霊夢の姿があった
「・・・・霊夢、銃を下ろせ。こいつは俺の知り合いなんだ」
「知り合いならなんで銃を向けてるのよ!」
「うるせえなぁ、久々に会えた知り合いへのちょっとした挨拶さ。まあいい」
彼女は片手で持っていた銃を下ろすと、少し遅れて霊夢も銃を下ろす
「ユニット2だっけか?あの吸血鬼達は無事戻れたのか?」
「・・・・レミリアが言ってた奴はやっぱりお前だったのか、禍霊夢」
「ああ」
禍霊夢と呼ばれた少女はガシガシと頭を掻く
「うちの元帥様が
「・・・そりゃお気の毒に」
すると、雅人と霊夢のインカムから女のオペレーターの声が響いてくる
【本部よりユニット1隊員へ、至急本社へ帰投せよ】
「了解。すまんな禍霊夢、また当分会えなさそうだ」
「いんや。また会えるさ。近いうちにな」
「雅人!早く行くわよ!」
「分かった!」
霊夢と共に本社へ戻ろうとしていたが、不意に禍霊夢が雅人の腕を掴み、雅人が振り向いた瞬間に禍霊夢の温かく、柔らかい唇が雅人の唇に重なる
「むぐっ!?」
雅人は思わず目を見開くと、禍霊夢は顔を離す
「じゃあな、雅人。愛してるぜ」
禍霊夢はそう言って何事も無かったかのように、歩き去っていく
雅人の唇にはまだ、禍霊夢の柔らかい唇の感触が残っていた
「・・・やれやれ」
雅人は霊夢が乗る車に乗ると、霊夢はスピードを出して本社へと向かっていく
ーー同日 GIEF本社 ブリーフィングルーム
作戦司令官である幽々子がいつもののほほんとした雰囲気とは違い、歴戦の軍人らしい雰囲気を放っていた
「・・・皆、揃ったわね」
「なあ幽々子、今回は何するのぜ?」
「・・・それを今から説明するのよ」
幽々子がそういうと、モニターにアフリカ大陸の絵が映し出される
「先週、ソマリアでの作戦中だったユニット18が全滅させられたことは知ってるわね?」
「ええ、勿論知ってるわ」
「隊員の一人が言った『番犬』という言葉、これを知っている隊員が居たの。入ってきて」
幽々子がそう言うと、ユニット4の轟 真が入り、幽々子と入れ替わって正面に立つ
「知ってる奴もいるかも知れないが、改めて自己紹介だユニット4、轟 真伍長だ。よろしく」
「さて、早速本題に入るぞ。この番犬と言うのはハッキリ言って、ユニット18を全滅させた部隊の通称だ。アイツも知っていたんだろうな」
すると、妖夢が手をあげて質問を問いかける
「その番犬と言うのはどこの所属なんですか?」
「・・・日本だ」
すると、モニターに鎖に繋がれた獰猛な犬が描かれたイラストが表示される
「この番犬という部隊は、まだGMDSができる前に防衛省によって組織された陸上自衛隊の極秘部隊だ。主な任務内容はテロ組織への攻撃、及び日本に不利益な情報を持った人間の抹殺」
「・・・日本を守る自衛隊とは思えないな」
雅人は思わずため息をつく
「その通り。番犬の情報は当然だが一般には公開されていない。それどころか防衛省の最重要機密事項になっている。一般部隊の自衛官はおろか日本政府関係者でも知っている人間はほんの一握りだ」
すると、話を聞いていたはたてが手をあげて真の話を遮る
「ちょっと待って、なんでそんな情報を真が知ってるの?」
「特戦時代に入隊の誘いが来たのさ。まあ、断ったがな」
「・・・・納得したわ」
「さて、俺が知ってる情報はここまでだ」
真は幽々子と入れ替わると、幽々子が正面で説明し始める
「さて、今真が言ったように、敵は自衛隊の極秘部隊。そして、本来なら戦争権を否認しているはずの日本が先に我々を攻撃した。これだけで立派な報復理由になるわ」
「このままやられっぱなしの私達じゃないことはここにいる皆が知っているわね?」
「・・・・つまり、私達に何も知らない自衛官を殺せと」
「ご名答よ、文屋」
すると、モニターに日本の地図が映し出され、そこからどんどん国土に近づいていき、最後に自衛隊の駐屯地のような場所が映し出される
「今回襲撃するのは陸上自衛隊のこの駐屯地。作戦決行日は明後日の現地時刻で01:20。作戦名は
「「「「yes ma'am!!」」」」
ーー翌日 日本 某ビジネスホテル 307号室
たった今チェックインしたばかりのユニット1、ユニット4の面々は男女に分かれて別々の部屋に居た
「・・・真、お前平気か?」
「何がだよ?」
「自衛官を撃ち殺すことに、だよ」
雅人の質問に、真はすぐ答えようとしたが、その口を一旦閉じる
「・・・・正直、よくわかんねえ。もしかしたら俺の同僚だった奴もいるかもしれない。そいつ等もまとめて撃ち殺さなきゃならない。そう考えると躊躇するかもしれない」
「・・・・敵は同じ日本人だもんな」
雅人は真の複雑な気持ちに、同じ日本人として同情したのか、真の肩をポンポンと軽く叩く
「・・・・くよくよしても仕方ねえな」
真はそう言うと、タバコを口にくわえてライターで火をつける
「その意気、さ」
ーー同日 日本 某自衛隊基地 現地時刻 午前01:19
【HQより合同チーム、作戦時刻まであと1分前だ】
「了解、いつでも攻撃できる」
霊夢の手には、自衛隊の装甲車やトラックに付けられたセムテックスの起爆装置が握られていた
【そりゃいいことだ】
「雅人、後何秒?」
「19秒だ」
腕時計で確認していた雅人が正確な秒数を告げるが、刻一刻と1秒ずつ過ぎていく
「・・・カウント、ゼロ」
「了解、起爆」
霊夢は手に持った起爆装置のボタンを親指で強く、押し潰すように力を込める
その瞬間、辺りに凄まじい爆発音が響き、基地内の灯りがすぐに点く
「HQ、車両の爆破に成功。奴等がわんさか来るわよ」
【了解した。基地内の自衛官に対して攻撃を許可する】
「了解、これより攻撃を開始する」
霊夢が通信を終えると、独特なハンドサインで部隊に指示すると、霊夢達強襲班は光学迷彩に身を包み、サウンドサプレッサーを付けた其々のメインアームのセレクターを解除する
「全員、状況開始」
霊夢がそう言うと、混乱が巻き起こる基地内の自衛官達にほとんど音も無くライフル弾が飛んでいく