みなさん前話が最終回だと思ってやがりますか?
まだあるよコンちくしょー!
ではどうぞ
「今日はお時間を頂きありがとうございます」
「いえいえ、彼を語らせてくれるんですから時間なんて些細なものですよ」
デカいカメラが佇むスタジオで、一人の男とテレビ局のオーナーが軽い挨拶を交わす。男はこのようなインタビューにはもう慣れており、緊張感は感じずリラックスしていた。
「ではよろしくお願いします、藤原さん」
「よろしくお願いします」
男の名は藤原 達哉。アルギュロスレウスの幼少期を世話した、言わば親代わりのような存在だ。彼はアルギュロスレウスの奇妙な生い立ちを知る数少ない生き証人であり、彼に見染められたホースマンの一人。故にインタビューは国内外問わず数多くこなしてきた。牧場のオーナーである橘が押し付けたとも言えるが……。
しかし、彼はそんなこと気にしてはいなかった。それは、彼の左手の薬指の輝きが物語っている。
アルギュロスレウスは引退後、故郷である自分たちの農場へやって来た。それからアルギュロスレウスを一目見ようと沢山のヒトが牧場を訪れ、農場はだんだん大きくなっていった。アルギュロスレウスの経済効果に驚かされていたが、これからが大変だった。取材に次ぐ取材、またはインタビュー諸々、テレビ出演や押しかけてくるテレビ局の対応。これが国内からの話だけでなく、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアと凄い数の依頼が舞い込んできててんやわんやだ。
その中で、彼の人生に明るい出会いが訪れた。
イギリスからの取材で、彼はいつものように対応していた。当時彼を取材した女性記者が今の彼の奥さんだ。念の為言っておくが、彼の容姿は良い。素敵な一目惚れだったのだろう。
彼を取材するうちに完全にほの字の奥さんは、取材の続きと称して飲みに誘い、肉食獣もビックリな食い付きで美味しく頂いたという。そして流れでゴールイン。強かな女性というのはいつの世も存在しているものだ。
美味しく頂かれた彼は不幸かと言われると全然違う。当たり前だ、こんなド田舎では出会いも糞も……いや牧場に糞はあるが、もあったもんじゃない。なのに美人な奥さんが出来たのだ、鼻の下は地面に刺さるくらい伸びるに決まってる。子宝にも恵まれ、家庭は幸せそのものだ。
少し脱線したが、今日の取材はアルギュロスレウスの血統のウマが好成績を出したので新たな血統が確立したとして、特番が組まれたのでその中でアルギュロスレウスに関する取材だ。
「では最初に、アルギュロスレウスとはどういったウマでしたか?」
「レウスは一言で言うと元気なウマでした。よく食べ、よく寝、よく走った活発な子でしたよ」
「なるほど、アルギュロスレウスが産まれてきた時はどうでした?」
「レウスは産まれてすぐ育児放棄されましてね、身体が小さかったもんだから少し過保護気味に世話してたのを覚えてます」
「アルギュロスレウスが現役の時はどういった気持ちでしたか?」
「毎レース驚きました。あんなに小さかったウマが、今では他のウマと張り合ってたんですから」
「アルギュロスレウスは引退後、藤原さんの働いてる牧場へと入りましたが、当時の心境はどういったものでしたか?」
「普通に嬉しかったです。最後まで怪我無く走ってくれたのもそうですけど、また自分がレウスの世話を出来るのが嬉しかったですね」
「アルギュロスレウスは最初は人気がありませんでしたが、そこの所はどう思われますか?」
「いや、妥当だなと。自分でもレウスの血統見たら最初は推しません。ホントになんで走れたんでしょうね?」
「はははっ」
~~~~~
「凱旋門賞を勝ち取った時は如何でしたか?」
「言葉が出なかったです」
「あの有馬記念は熱かったですね」
「あのレースより熱いレースを私は知りませんよ」
「アルギュロスレウスの戦績を振り返って、どう思われますか?」
「戦績ですか。そうですねぇ。最強とか色々言われてますけど、
世界を獲ったウマですね。自分はこれが一番しっくり来ます」
~~~~~~~~~~
取材は滞りなく進み……。
「本日はありがとうございました」
「ありがとうございました」
後に放送されたアルギュロスレウスの特番では、このようなトピックになった。
銀色バ、世界を獲る
アルギュロスレウス
戦績37戦3■勝
主な勝ち鞍
・凱旋門賞
・ブリーダーズカップ・クラシック
・キングジョージIV&クイーンエリザベスS
・ドバイWC
・ゴールドカップ
・皐月賞
・日本ダービー
・菊花賞
・有馬記念(■回)
次回、ほんとの最終回!
お絵描きターイム!(時間かかります)
ではまた!