感想で重くなったという声がチラチラ聞こえてます
……しゃあなし勘弁してくんろ
物語が進めばマシになる……かも?
ではどうぞ
日が傾いて空に紫と橙の境界が現れる。
アルギュロスレウスは、いつもと同じく橘家にご飯を食べに来ていた。
「ただいま」
「お邪魔します」
「おかえりなさい。レウスちゃんもおかえり」
レウスを快く受け入れたのは橘の奥さん。橘家は息子さんが自立しており、この家には橘と奥さんの二人で暮らしていた。
「ただいまとは言いませんよ」
「もう、レウスちゃんのいけず」
橘の奥さんはレウスのことを娘のように可愛がっており、レウスもその暖かさに救われてる部分もあった。
「手伝いますよ。皿出しときますね」
「全くよくできた子ね。レウスちゃんはいいお嫁さんになるわよ」
「ありがとうございます」
奥さんはキッチンで晩御飯を作っていた。レウスはキッチンに入りお皿を取り出して並べる。
レウスが橘と出会った日から、こうして晩御飯は橘家でご馳走になっている。橘とレウスが出会った時、レウスは空腹だった。施設でもご飯は出てくるが、レウスにはあまりにも少な過ぎた。施設のヒトに足りないと訴えても、皆同じ量だから我儘は駄目と取り繕って貰えなかった。施設にウマ娘はアルギュロスレウスただ1人。ウマ娘はヒトよりも食事量が多いのは周知の事実のはずだが、この環境が改善されることは無かった。
レウスは一日中空腹に苦しめられていた。本で植物の毒の致死量を調べ、野草や虫を食べてギリギリ食いつないでいた。偶然レウスが橘の近くを通りかからなかったら今でも同じことをしていただろう。
橘はレウスに温かい飯を腹一杯食わせ、ある程度の事情を聞き出した。話を聞いた橘は激しく怒ったが、こんな環境でも施設に居るか居ないかで自分の立場は大きく変わってしまうとレウスが諭して怒りを収めた。すると、橘は飯くらいは食わせてやるとレウスに提案し、レウスは労働の対価としてご飯を要求すると交渉を持ちかけた。それがレウスと橘の出会いだった。
「ほ~れ、沢山お食べ」
「いただきます」
「いただきます」
机の上には白飯、味噌汁、山盛りサラダ、山盛り唐揚げに漬物。
レウスはまず味噌汁を啜る。味噌とだしの温度が身体を巡って体温を上げる。次にサラダ、ごまドレッシングのかかった野菜の色鮮やかな色は新鮮さの証。レタス、トマト、キュウリと纏めて箸で掴んで口に放り込む、ドレッシングが青臭さを消してゴマの風味が喉から鼻へ伝う、食感はシャキシャキとリズムを刻んでいる。メインの唐揚げを1つ、かぶりつくと衣に亀裂が走り肉汁が溢れる。ぷりぷりとした鶏肉が舌と歯を駆け巡り、サクサクな衣との見事なバロックダンスが繰り広げられている。白飯をかきこみ、口の中の肉の脂と白米の甘さが相乗されて更に美味くなる。白飯を飲み込むと次は漬物だ。コリコリとした食感とさっぱりとした味わいで口の中の名残りをリセットさせてくれる。このローテーションを幾度か繰り返す。
「おかわり」
「は~い」
~~~~~
「おかわり」
「は~い」
~~~~~
「おかわり」
「は~い」
~~~~~
「おかわり」
「は~い」
~~~~~~~~~~
「ご馳走様」
「お粗末様」
箸を置いて食事を終える。うん、満足だ。
「レウスちゃん小さいのによく食べるわねぇ~」
「小さいから食べるんですよ」
「本当に良い食いっぷりだわ~。作ったかいがあるってもんよ」
「毎日大満足です」
レウスは少し出ているお腹を撫でながら奥さんと話していると、壁の時計が目に入った。
「もう帰りますね」
「おう、気をつけろよ」
「泊まっていけばいいのに」
「勝手に外泊するのはあまり良くないんですよ。では、おやすみなさい」
レウスは礼をして帰路につく。橘夫婦はその背中に何処か暗い雰囲気を感じていた。
「ねぇ、やっぱり引き取らない?」
「…………」
2人きりになった部屋で橘の奥さんは切り出した。
「レウスちゃんを引き取っても生活に困る訳でも無い。なんで引き取らないのよ?」
橘は座って腕を組み、目を伏せる。
「レウスはな、
「そんなの何の根拠もないじゃない」
「ああ、根拠は無い。ただの直感だ。でも、俺にはレウスがずっと
「……それまでレウスちゃんが辛い思いをしたとしても?」
「……ああ、俺たちにはレウスの居場所を作ってやることは出来ない」
「そう……」
日は落ち暗闇が外を満たす。月光は、くすんだ銀髪を照らしていた。
救いはないんですか~
ラッキーアイテムとか
無いです(迫真)
ではまた!