寝正月してたら書く気が全く湧きませんでした
いやすんません
ウマ娘編はウマ編より気ままに進むんで焦っちゃやーよ?
ではどうぞ
選考レース当日、多くのウマ娘がレースに向けて緊迫している中、レウスとルーチェはターフの隅で呑気に話していた。
「調子はどうルーチェ?」
「絶好調だよ」
緊張してる様子も無く、他のウマ娘のことなんか眼中に無いかのように明るく話す二人を、周りのウマ娘たちは横目で眺めている。首席の新入生、その肩書きは意識させるには十分すぎるもので、自分たちの合格のために潰しておきたい旗印だ。
「ルーチェはレース免除でもよかったんじゃない?」
「一応だよ、一応」
「もー、そんなこと言ってるとヘイト溜まっちゃうぞー」
レウスは軽い様子でヘラヘラと言う。首席であってもレースには出ろ、あの頭の固そうな東条トレーナーのことだからこうルーチェに言ったのだろう。
「どうせ走るならレウスと一緒がよかったなー」
「えー、それだとルーチェが合格できないでしょ?」
「は? その場合落ちるのはレウスでしょ?」
ルーチェが自分の欲望を口にすると、二人の間に闘志が激突する。さっきまでの仲睦まじい空間は何処へやら、息もできない程の圧が周囲を呑み込んだ。
「…………今はよそうか、他の子に悪いしね」
「……レウスから振ってきた癖に」
「まぁ、ルーチェとやりたいのは事実だけどそれは今じゃないよ」
「じゃあ何時やる?」
「一番デカい舞台の時」
「いいね♪ あ~楽しみだな~」
圧が消える。
圧力から解放されたウマ娘たちは息を吹き返し、二人を見やる。軽い口調はそのままで、まるで今日のレースのことなど気にもしていない内容に怒りを覚える。自分たちは敵どころか意識すらされていない、プライドの高い子は既に青筋を浮かべて二人を睨んでいる。
「次のレースに出走する人はゲート前に集合して下さい」
「行ってくるね、ルーチェ」
「行ってらっしゃい、レウス」
そろそろレウスのレースが近いので、レウスはゲートに向かう。レウスとルーチェの会話を聞いていた他の出走者はレウスを睨みつけてるが、レウスは気にも留めない。レウスの頭の中には、みんながどのように壊れるかしか考えていない。
「やりますか」
王よ慢心を持て
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結果から言うと、レウスは先行で3馬身差、ルーチェは逃げで大差で勝って合格、見事チームリギルへの加入が決まった。
「では改めて、これからお前達を担当する東条ハナだ。よろしく」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
合格者は数人、何十人も居たうちのレース勝者、その中でもタイムが優秀だった者のみだ。順に自己紹介を軽くしてからこれからのスケジュールと出走希望のレース用紙を渡され共同は解散、本格的なトレーニングは明日以降となる。
「今日はこれにて解散だが、アルギュロスレウス、お前は後で私の所に来い」
「え?」
「では解散!」
この後の予定を考えながら話半分に聞いていたレウスは突然の指名に少し情けない声を出してしまう。話を真面目に聞いてないのがバレたのか? いやそんな馬鹿な、と思考を回しながらルーチェに一言言っておく。
「先行っててルーチェ」
「……何したのレウス」
「な、何のことやら?」
心当たりが無いわけでも無いレウスは半笑いでいなして東条トレーナーの元へ向かう。
部屋に入った瞬間から向けられる鋭い眼差しに内心溜息を零しながら東条トレーナーに話しかける。
「用とは何でしょうかトレーナー?」
「アルギュロスレウス、単刀直入に聞くぞ。お前、先のレースで手を抜いただろう?」
「……何故でしょう?」
いきなりのピンチに心臓が笑い始めるレウスに隙を見せぬよう東条は斬り込む。
「最後の直線、お前はまだ脚を残していた、だがお前は加速せずそのままゴールした。何故だ?」
「……あなたの目が間違ってる可能性は?」
レウスは急所を隠すように相手の懐をつつくが、東条はそれを受けながら続ける。
「その可能性もあるかもしれない。だが、レース後息を切らしてないお前の姿を見て確信した。……何故だ? 何故全力で走らない?」
「……?」
本気で分からないという顔をするレウスを見て東条の疑問は強まる。何故? 何故コイツは走らない?
「他の子は自分が勝つ為に必死になって走っている。お前のレースに出てた子もそうだ、その子たちに対して全力を出さないのは失礼だと思わないか?」
「え? 思いませんけど?」
アッサリと返すレウスに東条は固まる。レウスのそれはスポーツマンシップに大きく反したものだ。トレーナーとして、これは矯正する必要がある。そう思った東条が口を開く前に、レウスが語り出した。
「全力を出して無いのは認めます。でも私は
「どういうことだ?」
全力と本気は違う。そう語るレウスには揺るぎない芯があった。
「簡単ですよ。私は
「
「兎に角、私は先のレースは全力を出すべきでは無かったと言ってるんです」
「それはまた余裕なものだな」
東条は笑いながらレウスに言いやる。リギルの選考は学内でもトップレベルだ、それを全力を出すべきでは無いと言うレウスは間違いなく化け物クラス。だが疑問の根本はまだ残ったままだ、東条はレウスに再度問う。
「再度問う、全力を出さなかった理由はなんだ?」
「はぁぁぁ、……簡単に言うと能ある鷹は爪を隠す、ですよ」
心底面倒くさそうに溜息をするレウスに東条は眉を顰める。
「ぶっちゃけると私は別に今日のレースの勝ち負けなんてど──でもいいんですよ。私が本当に勝ちたいのはGIだけです。それ以外の勝ち負けなんてレースのおまけですよおまけ」
「……今日のレースに勝ちたかった子を馬鹿にしてるのか?」
「今の話に他の人のこと関係あります? 私は基本GIしか見てないし勝ちたくない。最悪GIに勝つ為ならGIIで負けてもいいと考えてる。……まぁ負けるのが嫌なんで勝つよう走るんですけど。
その為に情報を完全に統制させてるんです。レースは情報というファクターが入り乱れる場所だ、GIレースは既に始まってるんです。よーいドンなんて有り得ないね」
「……爪を隠すにしても、お前がGIレースに出るまでトレーニングで変わってくるだろ?」
「人の癖ってのは中々直せないんですよ。例えば、私と同じレースの二着の子、あの子はスパートに入る時必ず右脚で踏み込む。三着の子はコーナーに入って2秒後必ず後方を確認する。四着の子は重心が左寄りだから右回りではコーナーでよく膨らむ。こういった相手の癖を知り、己の癖を悟らせない。やるなら徹底的にですよ」
レウスの思惑は分かった。勝利への貪欲な姿勢、不安分子は許さないストイックさがそうさせたのだろう。今日負けた子たちは負けるべくして負けたのだ。強みを潰され、己の力を満足に発揮出来ずにレースが終わる。悔しいことこの上無いだろう。
「それに……
憎らしそうに歯を鳴らしながら呟くレウス。東条はこのことに1つ思い当たることがあった。
「……お前の言い分はわかった。時間を取らせて悪かったな、もういいぞ」
「失礼します」
礼をしてレウスが退室するのを確認してから東条はある書類を取り出し眺める。
「アルギュロスレウス、筆記試験は全教科満点で堂々の一位、
そして…………
実技試験は総合
レウスの相手は低くとも三十位には入る者たちだった、それを3馬身差で下したレウス。レースに絶対は無い、そう言われればそうだが、これはなんとも
「大変なことになりそうだ」
東条トレーナーは、一人呟いた。
レウスのレース観は大体こんな感じです。
まだバーサーカーしてないんで、まだ。
そろそろタイムリープの時間よー
ではまた!