仮面ライダーギーツ IS ARMED INTERVENTION   作:ガンダムラザーニャ

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はっぴーでぃすとぴあさんから仮面ライダー、レイズバックル(名前は一部変えてます)、武器、敵ISのリクエストを書かせていただきました。


怒りと憎悪を力に変えるワニガメ

「ふんっ、ふんっ!」

 

とあるトレーニングルームにて、明らかに自身よりも大きく尚且重いダンベルを持ち上げ筋トレをする筋骨隆々の巨漢がいる。

 

「はぁ…っ!」

 

ダンベルを下ろし筋トレを終えて汗を拭き取ってからシャワーを浴び、手早く体を洗う。

 

鏡に映る男の表情は、厳めしいもので口は常に横一文字に引き結び眉間には幾つもの深い皺を寄せた鬼気迫るものだ。

 

これは彼の怒りと憎悪を体現したようなものである。

 

「ふぅ……」

 

体を拭き終え黒い髪を乾かし、オールバックに固める。

 

そして抹茶のシャツに上下黒いスーツを着てネクタイを結び、両手に黒の革手袋を嵌め、目元を見せないように黒いサングラスを掛ける。

 

彼の名は、沼ヶ崎咬蔵。

 

元は会社員を努めていたが、今は鉄骨工事やビルの建設現場などで働く肉体労働者だ。

 

家に帰って糖質制限の食事を取ろうと考えていたところで、通信機が鳴る。

 

「なんだ」

 

『スナッパーか?

 

街でIS乗りが暴れているらしい、急いで向かってくれ』

 

「そうか」

 

と、ただ一言で通信機を切った。

 

「……行くか」

 

彼は、ISが嫌いだった。

 

何故ならそれは、かつて愛する妻と息子を殺した原因でもあるからだ。

 

そもそも彼が筋トレをしているのは、ISを自身の手で破壊し復讐をするためだ。

 

弱い自分と決別し、仇を打つために。

 

「ここか」

 

街に着くと二人のIS乗りが暴れているのが見えた。

 

一人はミリタリーとメイド服を掛け合わせた見た目の装甲を纏った少女で、もう一人はメカニカルかつ豪奢なドレス型のアーマーを身に着けた少女だ。

 

「きゃはは!

 

ざーこざーこ♪

 

男といるなんてゲロ吐きそ♪」

 

「ほーら、遊んでいないでこの街の市役所に行きましょ?

 

あそこの市長、男らしいし♪」

 

「そうだね、あの市長さんぶっ殺してアタシたちで女性だけのものにしよ♪

 

…あっ、この街の男は全員皆殺しで、ね♪」

 

「…ふっ、くだらん」

 

遠くから聞いてる咬蔵は侮蔑を籠もった目でデザイアドライバーを取り出し、腰に装着する。

 

ドライバーの中央にはめ込まれたライダーIDは抹茶色のワニガメが描かれている。

 

そして棍棒のようなレバーが刺さったような両開き式のアイテム・ハーキュリーズレイズバックルを取り出してドライバーの右側に装填。

 

【SET!】

 

「変身」

 

咬蔵は淡々とした口調で、ハーキュリーレイズバックルの棍棒を押し込む。

 

その瞬間に両開き式の蓋が開き、その中からマントを翻して棍棒を持ったギリシャ神話の英雄・ヘラクレスが現れる。

 

【HERCULES!READY FIGHT!】

 

英雄が戦いに赴かんとするその荘厳な音と共に咬蔵の姿が変わる。

 

全身は黒いスーツを纏い、頭は敵を睨みつけるワニガメのようなヘルメットが装着され、上半身は毛皮のマントと筋肉を思わせる重厚感のある鎧を装着した憤怒の戦士・仮面ライダースナッパーへと変身する。

 

「……行くぞ」

 

そう言って彼は岩を思わせる重厚な腕と拳を構え、二人のIS乗りに近付く。

 

「はぁ?

 

誰このおっさん?」

 

「見るからに野蛮な見た目の男ね?

 

…あっ、思い出した!

 

確か仮面ライダーって呼ばれるテロ集団だわ!

 

私たちの特権のISを破壊してるって有名よ」

 

女二人が嘲笑しながら言うが、それを気にも留めず、スナッパーは黙って彼女達を見据えながら、歩く。

 

「へぇ、やるの?

 

きゃー怖い!でも、私達は怖くないけどね!」

 

「ほら、やっちゃいなさいよ!」

 

そう言ってメイドは両肩のミサイルが発射され、雨が降るようにスナッパーに向けて撃ち込まれる。

 

だが。

 

「は?」

 

「へ?」

 

ミサイルによる大爆発を直撃しても、まるで何事もなかったかのように、煙が晴れた先では平然と立っているスナッパーが立っていた。

 

「ちょ……ちょっとどういうこと!? どうして無傷なの!?」

 

「な、なんなのこいつ……!? 気持ち悪い……」

 

動揺している二人を他所に、スナッパーはゆっくりと歩き、二人に近付きながら拳を構える。

 

「おっ、落ち着いてよ!

 

よく考えたら相手は丸腰だよ?

 

殴られてもシールドエネルギーも絶対防御もあるから、痛くも痒くも」

 

「そ、そうよね?

 

ふうっ、男のくせにビビらせるんじゃないわよ!

 

そんな拳で私たちに敵うと思ってんの!?」

 

二人は落ち着きを取り戻し、余裕の笑みを浮かべながら言う。

 

しかし、スナッパーはだから何だと言わんばかりに黙ったまま構えを解き、そして―――

 

「……」

 

「えっ、がはぁ!?」

 

一瞬で距離を詰め、メイドの腹をぶん殴った。

 

殴られた衝撃で数センチ後ろに下がり、そのまま地面に膝をつき、血を吐いた。

 

「がはっ、あぁっ!?」

 

「えっ、ちょ、ちょっと冗談よね?

 

い、今のってあまりにも弱かったからわざとオーバーリアクションして、ドッキリを仕掛けようとしてるんでしょ?」

 

メイドの様子がおかしい事に気づき、冷や汗を流しながらも引き攣った笑顔を浮べ、そう尋ねる。

 

「ちが、う…!

 

今、シールドエネルギーを突き破る勢いで、殴ってきたのよ、あいつ…!」

 

腹部を押さえ、苦しげに顔を歪め、血を吐き出しながらそう答えた。

 

「…っ、こいつ!

 

よくもやってくれたな!

 

こうしてやる!」

 

と、今度はドレスの女が全身の装甲から機関砲を生やし、乱射する。

 

だが、スナッパーは表情を変えず、両腕を胸の前で交差させ、弾丸を受け止める。

 

「ぬっ…!」

 

衝撃で下がりそうになるがスナッパーは足を踏ん張って耐える。

 

「よし、今がチャンスね!」

 

と、メイドは立ち上がってミサイルを打ち上げ、スナッパーの頭上に落ちていく。

 

「…!」

 

スナッパーは避けることもできず、そのままミサイルに直撃し、大爆発が起きる。

 

「…ふぅ」

 

弾幕と爆発に巻き込まれ耐えきったが、煙の中で軽く息を切らしていた。

 

(奴らはミサイルと機関砲を使ってくる。

 

火力に優れる分、機動力に難があるな。

 

火力について防げはするが、生憎と俺は足が遅い。

 

となると、このハーキュリーズを下にするしかない。

 

だがこれは強い踏み込みでの突進があれど移動だと素の状態よりも遅くなってしまう。

 

狙うなら、強い踏み込みからの一撃で鎮めること、だな。

 

となると、報酬で手に入れたこいつとは相性が良さそうだ)

 

と、冷静に判断しながら取り出したのはフロント式ライター型のアイテム・リベンジャーレイズバックルを取り出し、ドライバーの左側に装填した。

 

【SET!】

 

ハーキュリーズレイズバックルのレバーを押し込み、リベンジャーレイズバックルのヤスリ部分を3回擦ることで、ライターの本体が開きその中から憤怒の形相が現れ、ライダーIDの周りが炎が燃えるように激しく光る。

 

【DUAL ON!

 

GET READY FOR HERCULES & REVENGER!

 

READY FIGHT!】

 

その音声と共に下半身に血錆びたゴツゴツとした鎧のような禍々しい装甲を纏う。

 

「えっ、姿が変わった!?」

 

煙が晴れて、姿が変わったスナッパーを見て驚く二人だが、スナッパーはそのままドライバーの上部のボタンを押して、2つのレイズバックルが左右で入れ替わるように回転させる。

 

【REVOLVE ON!】

 

それと同時に、スナッパーの上下の装甲が入れ替わった。

 

マントは腰巻きになり、手には明らかに重いであろう赤黒い大斧が握られている。

 

(この斧、刃が重いのに柄が短くてアンバランスだな。

 

もしかしてそういう設計か?

 

まぁ使ってればやり方はわかるか)

 

スナッパーは斧を見てそう思いながら肩で担ぐように構える。

 

その姿は怒りと憎しみに染まった英雄・ヘラクレスを彷彿とさせた。

 

「くっ、この!」

 

「くらえっ!」

 

機関砲とミサイルの雨が再びスナッパーを襲う。

 

それに対してスナッパーは斧を振り上げ、足を踏み込む。

 

「はぁ…!」

 

呼吸を整え、全身に力を込める。

 

筋肉が膨張し、踏ん張る足の力で地面が割れる。

 

そして、斧を地面に叩きつけた。

 

「ぬぅああああっ!!」

 

次の瞬間、叩きつけられた場所から波紋が広がる様に衝撃波が走る。

 

それにより機関砲とミサイルは全てかき消された。

 

「なっ!?」

 

「うっ、嘘でしょっ!?

 

って、へ?」

 

間の抜けた声を上げて、メイドは見た。

 

先程まで離れていたはずのスナッパーが、いつの間にか目と鼻の先の所まで来て、仮面越しでもはっきりとわかるような怒りと憎しみに満ちた眼差しで見下ろしながら斧を振り上げるのを。

 

それはまるで、ヘラクレスの怒りを体現しているようだった。

 

そのまま無慈悲に、一切の容赦もなく、振り下ろされる大斧。

 

斧の刃は、メイドのISの装甲を破壊し、生身にも襲いかかった。

 

「きゃああああぁぁぁっ!!!」

 

凄まじい衝撃により吹き飛ばされ、壁に激突。

 

「ひっ、い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

それを見たドレスの女はすぐさまISのスラスターを吹かせて勢いよく空を飛んだ。

 

しかし。

 

「ふんっ!」

 

「きゃっ!」

 

スナッパーが投げてきた斧が直撃し、地面に墜落してしまう。

 

「うっ、うぅ…!」

 

スラスターが破壊されて、飛ぶこともできない。

 

それにISの姿勢制御にも異常が出てきたからか、立つこともできなくなっていた。

 

もはや展開した状態では這いずることしかできなかった。

 

ズン…!ズン…!

 

そしてゆっくり近付いてくる重い足音に恐怖しながら、その顔を見上げた。

 

そこにいたのは、怒りに燃えるスナッパー。

 

殺意にまみれた視線に射抜かれ、女はもう震えることしかできなくなっていた。

 

「あっ、あぁ……」

 

「…お前たちはさっき、この街を襲っていたな。

 

なら、トドメをくれてやる前に聞かせろ。

 

何が楽しかった?何がそんなに可笑しかった?」

 

「ひぃっ…!」

 

スナッパーが初めて女に向けて発した言葉は、一つ一つ、その端々で怒りと憎しみが籠められていた。

 

「どうしてこんなことをする?どうしてわからない?どうして忘れる?なぜ人の命を蔑ろにする?何故奪おうとする?何をそこまで差別する必要がある?」

 

それはまるで呪いの様に。

 

耳からではなく魂に直接刻み込む様に、言葉を吐き出す。

 

女の心に、憎悪を、怨念を、殺意を、叩き込む。

 

だが、その言葉でさえも、今の彼女には聞こえていなかった。

 

彼女の頭の中には、自分のこれから待っているであろう未来が映っているからだ。

 

「嫌だ、死にたくない、助けて」

 

死への恐怖から、自然とその単語が出てくる。

 

「ふざけるな」

 

だが、スナッパーはそれを一蹴。

 

「ふざけるなよ。

 

お前たちがその言葉を吐くな。

 

俺はお前たちを許さない。妻を奪ったお前たちを許さない。息子を奪ったお前たちを許さない。お前たちが空を飛ぶことも許さない。お前たちが人を襲うことを許さない。お前たちがそれを盾にする事も許さない。

 

俺が絶対に、俺がこの手で潰す。俺がこの世で一番憎んでいる存在が目の前にいるんだ。俺の憎悪は消えない。俺の怒りは収まらない。俺の息子の命を返せ。俺の妻を返せ。返してくれ。もしそれができないのなら」

 

振り上げた斧に力を込める。

 

そして。

 

「消えろ」

 

渾身の力を込めて、振り下ろした。

 

ズガァンッ!!と、地響きの様な轟音が響く。

 

だが、実際に女の首が刎ねることはなかった。

 

何故なら、女のすぐ真横の地面に斧を振り下ろしたから。

 

その一撃は地面を深く切り裂き、辺りには亀裂が走る。

 

あまりの威力と恐怖に、女は白目を剥いて泡を吹き、失禁しながら失神していた。

 

「……ふん」

 

どこか不服そうにしながらも、スナッパーを女をゴミを見るような目で見下ろす。

 

「……お前たちには殺す価値もない。せいぜい怯えながら生きるがいい。まぁ、お前たちのしたことがもうバレてるから、もう二度と、空など飛べないだろうがな」

 

そう言い捨てると、その場から離れていった。

 

そして人気のない場所で変身解除した咬蔵は、懐から一枚の写真を取り出した。

 

それはどこにでもいるような、優しい家族の写真。

 

美しくて優しい妻と、可愛らしい息子の姿。

 

そしてもう一人、小柄でひ弱ながら、優しく笑みを浮かべている男が写っている。

 

この男こそ、かつての咬蔵だった。

 

今では寡黙でストイックな性格だが、かつては妻に尻に敷かれながらも子煩悩で、家族を愛していた。

 

だがある時、IS乗りが家に襲撃してきた。

 

ISを使った強盗だった。

 

それで、妻や息子を見るなり『男に股を開いた裏切り者とその生まれてはいけなかった忌み子』と罵り、ISに羽交い締めされて動けない自分の目の前で惨たらしく殺されてしまった。

 

特に息子は、必死に小さな手を伸ばして助けてと叫び、それでも届かないまま、無残にも引き裂かれた。

 

自身も瀕死の重傷を負った。

 

そして意識を取り戻した時には、全てが終わっていた。

 

家も何もかも焼け落ち、跡形もなく消え去り、妻は息子の亡骸を抱えて泣き崩れ、弱くて何もできなかった自分を憎む目を向けるだけだった。

 

そこから先はよく覚えていない。

 

ただひたすらに、ISへの憎しみに駆られ、働いていた会社を辞めて、弱い自分を捨てるためにひたすら筋肉を鍛え、ISの試合の映像を見ながらどのようにすれば殺せるか、それを延々と考え、気付いたら今の性格になっていた。

 

だが咬蔵にとって、妻と子のことは何よりも大事で、忘れたことなど一度もなかった。

 

だからこそ、ISによって殺されたというのならば、ISに復讐したいと心の底から思っていた。

 

その際に現れたツムリから、仮面ライダーに選ばれたからとデザイアドライバーとライダーIDを手渡された時にはこれがあればISを破壊できると思っていた。

 

だがISは破壊してもIS乗りは殺してはならないという誓約が課せられてるので、生まれてこの方誰も殺したことがない。

 

本当なら先程の二人もすぐに引き返してでも、殺された自分の妻と息子がされたような目に合わせて殺してやりたいとすら思っている。

 

それ以上に、先程トドメに斧を振り下ろす瞬間に、頭の中で妻と息子の笑顔を思い出して、それができなかった。

 

「…甘いな。

 

弱さは捨て去ったはずなのに」

 

咬蔵は空を見上げ、どこか辛そうにしていた。

 

しかし、街で暴れていた二人のIS乗りはもう撃破したので、もう自分のすることは何もない。

 

そう割り切って、咬蔵は壁に背をつけて低糖質のプロテインのドリンクを飲むのであった。

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