個性:クラスターセル 作:鳥松
ん…あれ…ここどこ?私…USJで…ヴィランに殴られて…あのあと…
「あぁ起きたのかい。ここは保健室だよ、重症だったんだからあんまり無理をするんじゃないよ。」
ドアからリカバリーガールが入ってきた。私の寝ているベッドのカーテンを開けてそう言った。
「え…重症…あっヴィランと戦ってそれで…」
「あんたの体、かなりボロボロだったよ。ヴィランに殴られた時点で動けなくなってもおかしくないダメージだったはずだよ。」
「それは…、なんだっけ…何があったんだっけ…? すみません…よく…思い出せないです…。」
「そうかい。怪我は治ってるけど、まだ寝てな。しばらくくしたら起こしにくるから、その後は早退しな。あんまりむりをするんじゃないよ。」
「はい…。」
(私…最低だな…本当はしっかり覚えてるのに…自分がヴィランに対して何をしたのかも何もかも…飛蝗に嫌いだとか、いなくなれとかいつも思ってたけど、これじゃあ私も何も変わらないな…)
(人を…殺した…、あのヴィランは死んでないだろうけど…それでもあれは、普通なら死んでる。完全に、殺す気でやった。ああしないと止められなかったから。
これじゃ小さい頃と同じに…でもあれぐらいやらなかったら…私は今頃…
いや、やめよう。もう後悔しても遅い。無傷で無力化できない私が悪いんだ…。)
(雄英に入ってから自分の個性を使う機会が多くなって、勘違いしてたんだ。自分が強いって。)
(私はまだまだ弱い…強くならなきゃ…)
しばらくするとリカバリーガールが起こしにきた。そのまま今日は早退し、孤児院に帰るとものすごい勢いで先生が言い寄ってきたが、なんとか事情を説明して事なきを得た。
次の日
リカバリーガールのおかげで問題なく登校することが出来た。
「あっ跳田来た!おはよ!良かったー昨日のことがあったから来ないかと思ったよー…」
私が教室に入ると、芦戸さんが話しかけて来た。芦戸さんはUSJのことで心配してくれていたらしく、その声はいつもより元気がなかった。
「おっおはよう…芦戸さん。リカバリーガールのおかげだよ…。」
「いやいや、あの脳ミソヴィランを相手にして普通に登校出来てるのがおかしいって。」
瀬呂君が言うと、
「確かになー!あのヴィラン相手にあそこまでやれたのはまじですげぇと思うわ!」
「い、いやあ…個性の相性が良かっただけで……」
実際、あのヴィランが炎などの範囲攻撃が出来る個性だったら長い時間相手はできなかっただろう。さらにあの時は元々救助訓練で武器を持っていなかったため、近距離攻撃の対処は個性で盾をつくる位しかできなかった。
跳田はす少しごまかしながら自分の席に座った。
「しっかしどのチャンネルも結構でっかく取り上げてたなー!」
「むりないよ…ヒーローを養成する学校が襲われたんだから。」
「あの時先生が来なかったら俺たち…」
「やめろよ!瀬呂!考えただけでもちびっちまう!」
「うっせぇぞ!黙れカス!」
ほかのクラスメイトも昨日のUSJの件で話題が持ち切りだった。
「さすがオールマイトだよな!あの凶悪なヴィランを撃退したんだからよ!それに、さっきも言ったけど跳田もな!」
「ああ、少し跳田の評価を見直さなければな。」
「い、いやあ…だからあれは色んな事情が…」
「みんなー!朝のホームルームが始まる!速やかに私語を謹んで席に着席したまえ!」
飯田君が教室の前に立って大きな声でみんなに呼び掛けた。が、
「着いてるよ。着いてねーのお前だけだ。」
飯田君の皆への呼び掛けは空回りに終わってしまったようだ。
「ねー!梅雨ちゃん、今日のホームルーム誰がやるんだろ?」
「そうね、相澤先生はケガで入院中のはずだし。」
梅雨ちゃんがそう言うと教室のドアが開かれ、包帯で巻かれた一人の男が入ってきた。
「おはよう。」
「「「「「「相澤先生、復帰早えーーーー!」」」」」
教室から入ってきた男の声は相澤先生のもので、クラスの全員は跳田含め驚いていた。
(相澤先生!?私の怪我どころじゃない重症のはずだったのに!?)
「先生!無事だったのですね!」
「俺の安否はどうでもいい。それよりまだ戦いは残ってる…」
相澤先生の言葉でクラス全員が身構える。つい昨日あんなことがあったのでは当然だ。
(まさか、まだヴィランが!?)
「雄英体育祭が迫ってる…!」
「クソ学校っぽいのキターーー!」
「まてまて。」
体育祭という言葉を聞いて切島君はとても盛り上がっていたが、上鳴君によって、現実に戻される。
「ヴィランに襲撃されたのに体育祭なんかやって大丈夫なんですか?」
「また襲撃されたりしたら…」
耳郎さんと尾白君が不安そうに相澤先生に聞いた。
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が磐石だと示す考えらしい。警備も例年の5倍に増やすそうだ。何よりウチの体育祭は最大のチャンス。ヴィランごときで中止していい催しじゃねぇ。」
「ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ。かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ、全国が熱狂した。今は知っての通り規模も人口も縮小した。そして日本において今!かつてのオリンピックに変わるのが雄英体育祭!」
「もちろん、名のあるヒーローも見に来ますのよ、スカウト目的でね!」
「当然トップヒーローの事務所に入ったほうが経験値も話題性も高くなる。時間は有限プロに見込まれればその場で将来が決まるわけだ。」
「年に一回、合計三回のチャンス。ヒーローを志すなら絶対外せないイベントだ。その気があるなら準備は怠るな!」
「「「「「「はい!!!」」」」」
「ホームルームは以上だ。跳田、放課後職員室来い。」
「えっはい。」
突然呼ばれて驚いたが、このタイミングなら恐らくあのことだろう。
授業が進み、昼休み。
「デク君!飯田君!頑張ろうね、体育祭!」
「顔がアレだよ!麗日さん!」
麗日さんが普段とは違う何か決意を固めたような顔で言った。
「皆!私頑張る"ー!」
「お、おー!」
麗日さんのキャラがいつもと全く違うのでびっくりしたが、跳田も一応受け答えとおいた。
(さて、私には今日やらなきゃいけないことがある)
麗日さんにも負けない決意を固めた表情。そんな跳田がしなくてはならないこと、それは
(今日こそ、友達作ろう!)
未だ出来ていない友達づくり。クラスメイトと話す機会がないわけではないが、定期的に話すような相手は未だ見つけていない。
(とりあえず、目星をつけるのだ。今日ちょうど目立っていた、麗日さんや麗日さんと仲がいい緑谷君などがいいだろう。そして、話しかけるなら皆が食事をとる今がチャンス!二人は学校の食堂でとることは調べがついている!)
ちなみになんで跳田がそんなことを知っているのかと言うと跳田は友達を作るためクラスメイトを観察し続けていたからである。そんなことをしなくてもクラスメイトたちは普通に友達になってくれそうだが、跳田はコミュ障故にそんなことは想像もつかない。
(いざ!心火を燃やして!)
「あ、あの…み、緑谷君…」
「へっ!?は、跳田さん!?どっどうしたの?」
話しかける前は決意に満ち溢れ、自信満々と言った面持ちの跳田だったが、話しかけ時は声は裏返り、はっきりと話せなかった。
「そ、その…ご飯を一緒に食べても、い、いいでしょうか…」
「全然ええよー!跳田さんは食堂で食べてるの?」
「い、いや弁当なんですけどい、いいですか…?」
「うんうん!わかったよ!じゃあ行こうか!二人共!」
「そ、そそそそそうだね…」
人とまともに話せない跳田。そして女性とまともに話せない緑谷。二人が合わさってしまったため、先程の会話は心底滑稽に思えただろう。今回は幸い、麗日が間に入ってくれたため、綺麗にまとまったが、いなかったら二人の会話は悲惨なことになったことだろう。このあと飯田君も入ってきて合計4人の人数になった。
「そ、そういえば麗日さんはなんでプロヒーローになろうとしてるの?」
「えっ?そ、それは…」
「お金!?お金が目的でヒーローに?」
「き、究極的にはね!なんか不純でごめんね…!飯田君と立派なのに…私恥ずかしい…」
「なぜ!生活のために目標を掲げることのなにが立派じゃないんだ?」
「そ、そんな不純だなんて…お金だって大切だし、立派な動機だよ…」
「うんうん。でも意外だね…」
「ウチの家、建築業者やってるんだけど、全っ然仕事なくてスカッピンなの!こういうの言わないほうがいいと思うんだけど」
「麗日さんの個性なら活躍できると思うけど…」
「でしょ!?私、父に言ったんだよ!でも…」
「私は絶対ヒーローになってお金稼いで父ちゃんと母ちゃんに楽させてげるんだ!」
「ブラボー!麗日君!ブラボー!」
「や、優しいんだね…!麗日さん…!」
(立派だなぁ…私なんかより…。全然私なんか遠く及ばないなぁ…)
そのあと、オールマイトが緑谷君をご飯に誘ったため、3人でご飯を食べることになった。食堂に入り、席に座った頃、
「そういえば、せっかくだから跳田君のことも聞いてもいいだろうか。」
「確かに、気になるなー跳田さんはなんでヒーローを目指そうと思ったの?」
三人でそれぞれの食事をとっていると、二人が質問をした。
「わ、私?私は………恩返しかなぁ…お世話になってる孤児院の先生に。」
「えっ跳田さんって孤児院で暮らしてたの?」
「う、うん小さい頃に両親が二人とも…」
「それはすまない…言いたくないならいいんだ。」
「ううん、大丈夫。だからね、ヒーローになって先生に私はもう大丈夫だって、伝えたいんだ。」
「ブラボーだ!いい志しだ跳田君!」
「じゃあ私と同じ感じだ!お互い頑張ろう!跳田さん!」
「うん、麗日さん!」
昼休みが終わって、授業も終了し、放課後。跳田は朝ホームルームで言われた通り、職員室に向かおうとしていた。
「ななな、何事だぁ~!?」
教室のドアの前には他のクラスの人と思われる人たちが入り口を塞ぐように立っていた。
「なんだよぉ!出れねぇじゃん!なにしに来たんだよぉ!」
「敵情視察だろ、雑魚。ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中を体育祭を前に見に来たんだろ。そんなことしても意味なえから。どけモブ共。」
「知らない人のこととりあえずモブって言うのやめなよ!」
「噂のA組、気になって見に来れば随分と偉そうだな。こういうの見ると幻滅しちゃうな。雄英は俺ら別クラスにもチャンスを残してくれた。体育祭の結果によっちゃヒーロー科編入も考えてくれるんだってさ。」
紫の髪でツンツンしてる髪型の生徒が言った。
「敵情視察?少なくとも俺はヒーロー科とか言った調子にのってると足元ごっそり掬っちゃうぞって宣戦布告に来たつもり。」
(わ、わー大胆不敵…それはそうとして早く職員室行きたいから退いてくれないかなー…)
「おうおう!隣のクラスのもんだけどよぉ!ヴィランと戦ったっていうから話聞きにきてみれば随分調子のってるなぁ!」
(((この人も大胆だなー…))))
そんな言葉には目もくれず、爆豪君は廊下を歩きだした。
「おい!まて爆豪!お前のせいでヘイト集まりまくってんじゃねぇか!」
「関係ねーよ。上にあがりゃ関係ねぇ。」
(わーすごいこと言うなー。てかそろそろ通して下さい…)
このあと何とか教室の外に出ることが出来たが放課後から少し時間が経っていた。
「す、すみません…遅れました…。」
「来たか、じゃあこっち来い。」
職員室に入ると相澤先生が椅子に座って待っていた。相澤先生に案内された場所は応接室だった。相澤先生が応接室の椅子に座り、私はその向かいに座った。
「今から話すのはUSJのことについてだ。」
少し中途半端ですが一旦切ります。次回は体育祭準備の会を挟んでから体育祭です。次回ですが、感想にあったアイディアを使用させていただきます。感想をくれた方、本当にありがとうございます。今回、会話が多めでマジで自分小説書くの下手くそだと実感しました。
唐突に解説コーナー。
跳田ちゃんのコスチュームについて。
1.無線機
飛蝗に付けて連絡を取ったり人にそのまま渡して使ったりと結構重要な役割がある。
2.サングラス
無線機の位置がわかるよう目の部分はディスプレイになるハイテク機器。視覚共有するときに目の色が黄色に変わるのでそれを見られないようにする効果もある。相澤先生のゴーグルのパクり。
3.スーツ
防刃、防弾仕様。ジョ○·○ィック2に出てきた防弾スーツのパクり。
4.アタッシュショットガン
飛蝗を弾の形変化させて飛ばす。地球に優しい。飛蝗を使っての細かな造形が出来ないためかなり大きくなってしまっている。今後はアタッシュカリバーは出す予定だが、アタッシュアローは考えてない。USJの時は救助訓練だったため持っていってない。