個性:クラスターセル   作:鳥松

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10月に入ったら投稿が早くなると言いましたが、10月も忙しかったのであんまり早くならないかもです。


雄英体育祭(5)最終種目 第一戦目

 

「ほら、そろそろ起きな。もうすぐ昼休憩が終わるよ。」

 

 

リカバリーガールがそう言って跳田を起こす。

 

 

 

「ん、ふわぁ………んー!」

 

 

 

目が覚めた跳田は大きなあくびをし、大きな伸びをして起き上がった。

 

 

「まさか本当に昼休憩が終わるまで寝てるとは思わなかったけど、あんた本当に本戦出れるのかい?」

 

 

「多分大丈夫です…」

 

 

「そういえばあんた昼何も食べてないだろ。ほら、スニッカーズお食べ。」

 

 

「ありがとうございます、リカバリーガール。」

 

 

「ならさっさと行きな、遅れちまうよ。」

 

 

「はい、ありがとうございました。リカバリーガール。」

 

 

そう言って跳田は保健室を後にする。もらったスニッカーズを食べながら歩いていると携帯にメッセージが来ていることに気付く。

 

 

「ん?麗日さんからだ。なんだろ…えーと何々?」

 

 

《レクリエーションの間、女子は全員チアの格好で応援しなきゃいけないらしいから控え室のチアガールの衣装着てからこっち来てね!》

 

 

 

「え、そうなの?そんな話、初めて聞いたけど…」

 

 

 

跳田にはまったく見覚えのない話だったので少し不審に思ったが、まさか麗日さんが私を騙そうとするなんてそんなことするはずがないと自分で納得し、控え室に行って着替えを済ませた。

 

 

 

『さぁ、そろそろ午後の部を始めるぜ!…って、どーしたA組!?』

 

 

 

そこには腹部が見える程短いチアコスチュームを着てミニスカートを履いているA組女子の姿があった。皆、表情が暗く、気分が沈んでいるのがわかる。

 

 

「峰田さん上鳴さん騙しましたわね!!」

 

 

「アホだろあいつらっ!」

 

 

ガッツポーズをする峰田君と上鳴君が見える。あの二人の様子から察するに騙されてしまったのだろう。 

 

 

「ぐっ、着るのすごい躊躇したのに…!騙されていたなんて…!」

 

 

「なぜこうも峰田さんの謀略にはまってしまうの私…」

 

 

「まぁ、本選まで時間空くし、張り詰めててもシンドイしさ!いいんじゃない!?やろうよ!」

 

 

 

「好きね、透ちゃん」

 

 

 

葉隠さんはポンポンを振って乗り気だが、耳郞や跳田は不満が絶えないようだった。

 

 

 

『さァさァ、皆楽しく競えよレクリエーション!A組の女子たちも応援してくれるってよ!それが終われば最終種目。進出4チームからなる総勢16名からなるトーナメント形式!一対一のガチバトルだ!』

 

 

 

 

 

「それじゃあ、くじ引きで組み合わせを決めちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります。レクに関して進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。温存したい人もいるだろうしね。んじゃ、1位チームから順に…」

 

 

「すみません、俺辞退します。」

 

 

会場全体がざわつく。辞退の理由に尾白はは騎馬戦時の記憶が無く、気付いた時には勝利を収めていたという。その結果は己の意思でも実力でも無いのに、本選に選出されるのは自分のプライドが許さないようだった。A組の生徒たちも引き留めたが尾白君の決意は固く辞退は譲らなかった。それに加えてB組の庄田君も辞退を発表し、判断は主審のミッドナイト先生に託された。

 

 

 

「そういう青臭い話はさァ…」

 

 

 

 信念とプライドを掲げた棄権の申し出に対して、主審であるミッドナイトは2人を舐め回すようにジックリと見つめた後、鞭を大きく振るった。

 

 

 

「好み!!尾白、庄田の棄権を認めます!5位のチームから新たに2人を選出するわ。5位のチームは拳藤さんのチームだけど……」

 

 

 

「あのーそういう話なら途中から動けなくなかった私たちより終盤まで点数をキープしてた鉄哲のチームがいいと思います。」

 

 

「わかったわ。では、終盤ギリギリまで高得点をキープしていた鉄哲チームを主審権限で5位とします!鉄哲チーム!あなたたちの中から2人を選び出しなさい」

 

その後鉄哲からは鉄哲君、塩崎さんが選ばれ、鉄哲君は男泣きをしていた。

 

 

「鉄哲くんと塩崎さんが繰り上がって16名が揃ったわ!全員にクジを引いてもらい…組み合わせはこうなりました!」

 

 

 

第1試合 緑谷 対 心操

 

第2試合 瀬呂 対 轟

 

第3試合 鉄哲 対 切島

 

第4試合 爆豪 対 麗日

 

 

 

第5試合 跳田 対 飯田

 

第6試合 常闇 対 八百万

 

第7試合 塩崎 対 上鳴

 

第8試合 芦戸 対 青山

 

 

 

「初戦は飯田君…」

 

 

「よろしくな、跳田君。」

 

 

「うん、よろしく。飯田君」

 

 

 

二人はそう言って別れた。レクリエーションが始まると本戦に出場する何人かの生徒は姿を消し、控え室に入って行った。作戦を考える者や戦いに備える者、様々な者がいたが、跳田は作戦を考えていた。

 

 

他のA組の女子はチアコスチュームの格好で応援していたが跳田は少し申し訳なく思いながらもこっそり抜け出し、控え室で飯田君に勝つための作戦を考えていた。

 

 

 

そして、レクリエーションが終わるとセメントス先生がトーナメント戦を行うためのステージを作っていた。跳田は観戦席に座り、同級生たちの戦いを見ようとしていた。ステージ作りが終わると、

 

 

 

『ヘイガイズ!アァユゥレディ!?色々やってきたが、結局これだぜ、ガチンコ勝負!頼れるのは己のみ!心技体に知恵知識!総動員して駆け上がれ!』

 

 

 

 ついに始まった最終種目に観客たちは歓声をあげる。早速、第1試合の選手である緑谷と心操がステージに上がると、スタジアムの熱気が更に膨れあがった。

 

 

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にする。あとは“まいった”とか言わせても勝ちのガチンコだ!怪我上等!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから、道徳倫理は一旦捨ておけ!だが、もちろん命に関わるようなのは駄目だぜ!アウト!ヒーローはヴィランを捕まえる為に拳を振るうのだ!さぁ、行くぜ!?レディィイ、スタートォ!!』

 

 

スタートの合図同時に緑谷君が心操君に走る。が、直後に緑谷君の動きが止まる。

 

 

「ああっ、せっかく忠告したのに!」

 

 

 

「え、どういうこと尾白君。」

 

 

 

跳田が疑問に思い、尾白に聞く。

 

 

「心操の個性だよ。俺も第二種目のときにそうだったんだけど、心操の言葉に受け答えると意識がなくなって、やつの言いなりになるんだ。」

 

 

 

「つまり…あいつに受け答えたら実質負けってことじゃねぇか!」

 

 

「ひぇー…最悪の初見殺しだな…」

 

 

瀬呂君と上鳴君がそう話し、跳田はもし戦うことになったときを考えて対策を考える。

 

 

(でもわかってれば喋らなければいいだけだからネタが分かればそんなに大したことはないのかな…)

 

 

 

 

緑谷君は心操君の言いなりになりそのまま場外へと歩いていく。

 

 

(このままじゃ…緑谷君…!)

 

 

その時、洗脳状態となっていた緑谷君から猛烈な衝撃が発生する。緑谷君の状態をよく見ると右腕の二本の指が変色し、折れていた。

 

 

 

『――これは…緑谷!とどまったああ!?』

 

 

 

「指が折れてる…個性を暴発させて洗脳を解いたのか…!」

 

 

「まじかよ!緑谷!」

 

 

「んぬぁあああ!」

 

 

 

「心操くん場外!緑谷くん、二回戦進出!」

 

 

 

 緑谷は突き出された心操の腕を掴み、大きく投げ飛ばした。心操の足が場外に投げ出され、審判のミッドナイトが決着を告げる。試合が終わった後二人は何か話しているようだったが、観客席からは聞こえなかった。

 

 

第二試合 瀬呂 対 轟

スタートの合図と同時に瀬呂君がテープで轟君を巻き付け場外に出そうとするが、轟君は氷結で大氷壁を作り出しこれを阻止。瀬呂君を凍らせて動けなくし、第二試合は轟君の勝利で終わった。

 

 

第三試合 鉄哲 対 切島

この試合はお互いの個性が似ていることもあって単純な殴り合いとなった。両者一歩も譲らぬ攻防の末に二人は同時に倒れ試合は引き分けとなった。両者の回復を待って腕相撲で決着をつけるそうだ。

 

 

 

 

第四試合 爆豪 対 麗日

この試合は壮絶なものとなった。麗日さんが開始と同時に爆豪君に向かって走ると、爆豪君は容赦なく個性で攻撃した。その後は麗日さんが突進して、爆豪君が爆破する、この繰り返しだった。だが、麗日さんの目はまだ諦めておらず、何か作戦があるように感じられた。麗日さんの頭上を見るとステージの破片が麗日さんの個性によって浮遊しており、麗日さんが個性を解除するとその破片は浮力をなくし、落下していく。それに合わせて麗日さんも爆豪君に向かって走っており、ついに勝負が決まるかに思われた。

だが、爆豪君は先程よりもかなり大きい爆破で破片を一撃で消し去り、麗日さんは大きく吹き飛ばされた。麗日さんは諦めず、爆豪君に向かっていくが、麗日さんは疲労で倒れ、第四試合は爆豪君の勝利となった。

 

 

 

「麗日さん…やっぱりすごいな。私も頑張ろう。」

 

 

第四試合を控え室で見ていた跳田はそう言って自分の番である第五試合のためステージへと向かう。

 

 

 

『騎馬戦を一位で通過!攻撃防御なんでもござれの万能マン!A組、跳田桐子!!!』

 

 

プレゼントマイク先生の声と共に跳田とその対戦相手である飯田がステージに立つ。歓声で沸き立ち、大勢の人がいる舞台。いつもの跳田なら緊張していたが、今はその逆。一対一のガチンコ勝負を前に跳田は、笑顔だった。

 

 

「嬉しそうだな跳田君、君は緊張していると思ったのだが。」

 

 

「あー、なんでだろう。自分でもわかんないけど、多分楽しみだからかな…飯田君や皆と戦うことが。だから存分に戦おうね、飯田君。」

 

 

「ああ!全力を尽くすとしよう!」

 

 

『レディー…スタート!』

 

 

 

開始と同時に飯田は奥の手、レシプロバーストを使い跳田に接近する。

 

 

(あのバッタを自由にさせてはいかん!バッタを展開させる暇を与えず、勝負を決める!)

 

 

その飯田のスピードに対応出来ず、跳田は側頭部に協力な蹴りを喰らってしまう。

 

 

「がっ…」

 

 

 

『おおっ!飯田の攻撃が跳田のコメカミにクリーンヒットォ!さすがの跳田も飯田のスピードには対応できないかー!?』

 

 

「今、大分重いの入ったぞ!あいつ立てんのか!?」

 

 

 

観客席で見ている瀬呂が声をあげる。蹴りを喰らった跳田はそのまま倒れそうになるが、飯田に服を掴まれ場外へ連れて行かれる。

 

 

(残り7秒!動く気配はない!このまま場外へ…!)

 

 

脳震盪で動けないと思われる跳田の服を掴み、勝利を確実にするため場外へ投げ飛ばす。

 

 

が、

 

 

跳田を投げ飛ばした先に突如出現する壁。気絶したと思われていた跳田が作る壁と同じだった。投げ飛ばされた跳田は壁に激突した。

 

 

 

(これは…跳田君の…?なぜ動ける!?)

 

 

突如、跳田の体から飛蝗が飛び出し、飯田に向かって突進する。飯田は距離をとり、それを回避。その時には既に跳田は起き上がっていた。

 

 

「痛った…ははっ、やっぱ速いなぁ…飯田君。でももう、慣れた。」

 

 

『なんと跳田、起き上がったァー!まだまだ勝負は終わってないぞ!』

 

 

(残り4!まだ間に合う!)

 

 

飯田はまだ時間内のレシプロを使い、再び跳田を気絶させようと攻撃を仕掛ける。だが、

 

 

ガァン!

 

 

先程と同じスピードで放たれた蹴りを跳田は壁を作り出し、ピンポイントで飯田の攻撃をガードする。飯田は驚いていたが、負けじと攻撃を繰り返す。だが、いずれも通用せず、レシプロの時間が切れてしまう。

 

 

 

その隙を見逃さず跳田は飯田の腹めがけて思い切り、殴った。その攻撃は16歳の少女が繰り出したものとは思えないほど重く力強かった。

 

 

 

跳田の渾身の攻撃が鳩尾に当たった飯田はその後、腹を抑え倒れた。

 

 

 

「飯田君、行動不能!跳田さんの勝利!」

 

 

 

会場の観客から一斉に歓声が沸き上がる。

 

 

『最初の展開から逆転!飯田の攻撃を完全に見切って跳田二回戦進出だぁ!』

 

 

 

「飯田君の攻撃が速すぎて色んなとこから飛蝗出しちゃったな…服が破れちゃった。」

 

 

担架で運ばれる飯田君を横目に跳田はステージを後にし、観客席に戻った。観客席に戻ると、A組の生徒から話しかけられた。

 

 

 

「跳田さん頭大丈夫だった!?」

 

 

 

「うん、保健室行ってきたから大丈夫だよ。ちょっと疲れたけど…」

 

 

「にしても、よく動けたよな。俺完全に脳震盪で動けなくなったと思ったんだけど。」

 

 

「まぁ、あれは半分賭けだったんだけど自分の脳の隙間に小さい壁を作って脳を動かなくしたんだ。」

 

 

 

「じゃあ元々頭に攻撃喰らう前提で準備してたのか!?」

 

 

 

「うん、飯田君は必要以上に痛め付けたりせずに一撃で勝負を決める攻撃をすると思ったから、始まったときに作ったんだ。」

 

 

「頭に来るって分かってたならガードできたんじゃないかしら。」

 

 

「まあ、そうなんだけど…ガードした後の攻撃を防げるかって考えると多分無理だからまず、速さに慣れて攻撃を完全にガード出来るようにしようと思って敢えて攻撃を受けたほうが確実かなって…」

 

 

「なるほど…次の攻撃に備えると同時に飯田の油断を誘ったのか…徹底してるな…。」

 

 

 

「こんぐらいやんないとあのレシプロには勝てないと思ったから…」

 

 

「まあそれは確かに……あっもうすぐ第6試合始まるぜ!」

 

 

 

皆がステージに注目するなか跳田だけは一人で考えていた。

 

 

(やっぱり…戦ってるとなんか…楽しい…?私ってこんなんだったけ?)




戦闘になると性格変わる系女子。性格が変わるのは理由があったりしますが、まあそれは追々やりましょう。

今回の話の補足。

「自分の脳の隙間に小さい壁を作る。」
現実なら絶対無理だと思う。今回は脳震盪対策に使用。


「飯田君のスピードに慣れる。」
騎馬戦のレシプロは3人の重さがあったので少し遅かったかもしれないので飯田君単体のスピードは恐らくかなり違うはず。という訳で跳田ちゃんはまず攻撃を敢えて受けてスピードに慣れてから勝負を決めようとしたんですね。



「服が破れた。」

いつもの跳田ちゃんは手のひらから飛蝗を出してやっています。相手の近接攻撃をガードする時はゼロワンのサウザー戦のようにある程度の数の飛蝗だけを移動させながら壁を作っていますが、今回は飯田君の攻撃が速すぎて壁をいちいち作りなおしているとガードが間に合わないので普段は出さない腹や胸から飛蝗を出して壁を作っていたので服が破れたという訳です。

因みに体操服の換えは控え室に用意してあるっぽいのでそれに着替えました。


「飯田君に腹パン」
スプリング入りの攻撃。さすがに手加減はした。


はい、今回は分かりにくかったと思うので補足説明を入れました。前も言いましたが戦闘シーンはゼロワンの戦闘シーンを見るとイメージがしやすいと思います。

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