個性:クラスターセル 作:鳥松
体育祭が終わり、それに伴う休日も終わった朝。跳田は連休明けの憂鬱な気分で学校に行く支度をしていた。
「はぁ~…連休明けってなんでこんなに気分が落ち込むんだろう…」
「学校に着いたら自然と気分は上がるわよ。ほら、お弁当」
「そんなものかなぁ…」
別に学校が楽しくないわけではないが連休明けとなれば気分は嫌でも落ち込むものだ。玄関で先生から弁当を受け取ってドアを開ける。
「行ってらっしゃい」
「「「お姉ちゃんいってらっしゃーい!」」」
「じゃあ、行ってきます」
皆から行ってらっしゃいをもらい、孤児院の敷地を出て学校へ向かおうとするが、行く手を阻むものがそこにいた。
「出てきたぞ!」 「それ、インタビューだ!」
そこには沢山のマスコミがおり、一瞬にして跳田の周りを囲んだ。休日にインタビューに押し掛けて来なかったのはおそらく孤児院のことを配慮してのことだろう。マスコミにも意外とそう言う配慮があるようだ。もしや、休日にもずっとここで張ってたんじゃなかろうか。
「体育祭を優勝のお気持ちは!?」
「施設の関係者はどのような反応を!?」
「個性の詳細は!?」
「あああ、あ、あの、皆さん落ち着いて…」
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「お、おはようございます……」
「おはよう、跳田さん!今日いつもより遅かったけどどうしたの?やっぱり跳田さんも声かけられた?」
「家の前に記者の人たちに待ち伏せされてまして……」
「待ち伏せ!?一気に芸能人みたいになっちゃったね…」
「あんまりうれしくn「おはよう」
ピタッ
相澤先生が入ってきたことによって先程までガヤガヤと賑やかだった教室が一瞬で静まりかえる。
「相澤先生包帯取れたのねよかったわ。」
「婆さんの処置が大袈裟なんだよ。んなもんより今日のヒーロー情報学はちょっと特別だぞ。」
(ゲッもしかして抜き打ちテストとか…)
「『コードネーム』ヒーロー名の考案だ。」
「「「「胸膨らむやつきたぁぁぁぁ!!」」」」
突然の朗報に聞いた生徒たちは喜び叫んだ。しかし、即座に相澤先生が一喝しすぐに話を聞ける姿勢へと戻る。
相澤先生が説明すると今回のヒーローネーム決めはプロからのドラフト指名によるものだそうだ。指名が本格化するのは2、3年からで今回の指名は興味によるものらしい。
というわけで今年のA組の指名はこうなった。
跳田 4212
轟 4123
爆豪 3556
常闇 360
飯田 301
上鳴 272
八百万 108
切島 68
麗日 20
瀬呂 14
「例年はもっとバラけるんだが、この3人に注目が偏った。」
「こんなに……!」
「これを踏まえ指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのにいってもらう。お前らは一足先に体験しちまったがプロの活動を実際に体験して実りある訓練をしようってこった。」
「それでヒーロー名か!」
「俄然楽しみになってきたァ!」
「まあ仮ではあるが適当なもんは…「付けたら地獄を見ちゃうよ!!!」
「この時の名が!世に認知されプロ名になってる人多いからね!」
「「「「「ミッドナイト!」」」」
教室のドアが開けられるとそこには18禁ヒーローミッドナイトが立っていた。相変わらず際どいコスチュームである。そもそも18禁ヒーローが高校の教師やってていいのかという疑問があるが授業の内容はしっかりしてるのでそこは安心である。
「まぁそう言うことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。将来自分がどうなるのか名をつけることでイメージが固まりそこに近付いていく。名は体を表すってことだ。」
(名は体を…………それにしてもヒーロー名か…あんまり考えたことなかったな……)
(そうだな…例えば………個性の名前と飛蝗をもじってメタルクラスタホッパーとか………いや、長いし呼びにくいなアイデアとしてはいいけどもっと呼びやすい名前に………)
色々考えていたが結局良さそうな名前は思い浮かばず15分が経過した。
「じゃあそろそろできた人から発表してね!」
(えっこれ発表形式……?それはちょっと私にはハードルが高い…)
早速青山君が前に立って発表するようだ。
「行くよ……輝きヒーロー『I can not stop twinkling.』!」
「「「短文!!!」」」
「じゃあ次私ねー!『エイリアンクイーン』!」
「2!血が強酸性のアレを目指してるの!?やめときな!」
「ちぇー…」
(な、なんか大喜利みたいな雰囲気に…これは受けを狙う場面なのか…!?)
「じゃあ次私いいかしら」
「梅雨ちゃん!!」
「小学生の時から考えてたの『フロッピー』」
「かわいい!!親しみやすくていいわ!皆から愛されるお手本のようなネーミングね!」
(ありがとう!フロッピー!空気が変わった!)
フロッピーの発表を皮切りに次々と他の皆がヒーロー名の発表を続けていく皆センスのいいヒーロー名でミッドナイトの審査を通っていく。
「思ったよりずっとスムーズ!残ってるのは再考の爆豪君と飯田君と緑谷君、そして跳田さんね」
「い、いいでしょうか…?」
「はい!跳田さん!」
「進化し続けるという意味を込めて……『ライジングホッパー』」
「いいわね!分かりやすいし、カッコいい!いいセンスね!」
結構考えたヒーロー名だったが、なんとか先生のお眼鏡にかなったようだ。ライジングホッパーなら個性の意味も入ってるし、ライジングに意味も持たせてるし、何よりカッコいい。我ながらいいヒーロー名だと跳田は自分で自画自賛した。
その後も緑谷君、飯田君、爆豪君のヒーロー名も順に発表されていく。3人のうち二人は決まったが爆豪君は結局決まらずヒーロー名は名前のままになった。
授業が終わったあと相澤先生に職場体験についての説明がされた。期間は一週間で実習先は指名があった人はそのリストから選ぶシステムのようだ。跳田にもリストが配られたが、そのリストはまるで教科書のように分厚かった。
(どうしようかな……)
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「跳田!ちょっと俺にもリスト見せてくれよ!」
「いいですよ、見るのが少し大変なので手伝ってくださいね」
「峰田お前、自分のはいいのかよ。40人の中から決めなきゃいけないんだろ」
「んだよ瀬呂ォ自分は指名あるからってオイラはもうMt.レディにするって決めてんだよォ!」
「い、いやそんなつもりは…悪かったって。それに指名で言ったら俺だって9件だぜ!すぐ見終わっちまったよ!」
「有名な人はいたかしら跳田ちゃん。」
「それが……」
跳田が瀬呂、峰田、蛙吹にリストを手渡すと…
「なにィ!?No.3ヒーローのホークスにNo.4のベストジーニストォ!?さらにNo.5のミルコやNo.9ヒーローリューキュウまで!?」
「まさかこんなに有名な人たちから指名が来るとは…」
「すごいわ跳田ちゃん。」
「で!?誰にするんだよ選り取り見取りだぜ、こりゃあ!」
瀬呂が少し興奮気味に跳田に話す。跳田はこの選択肢の多さに完全に迷っていた。
(この中で一番私にとって実りがある体験になるもの……)
「よし、決めました。」
そう言って跳田は登録用紙に名前を書く。
「決まったのかー跳田!見せてくれ!」
「私はここにします」
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時と場所は変わり、放課後職員室。
相澤先生が生徒から渡された希望用紙に目を通していた。そこにスナイプ先生が後ろから話かける。
「職場体験か」
「即決が何人か」
「大事な行事だ。考えさせろよ。ウチなんか今になって後悔してるやつもいるぞ…」
「そうだな…ん?」
「どうした?」
「……跳田の希望先、ミルコか……」
「おお、良いじゃないかNo.5からの指名なんて中々ないからな」
「まァ…確かに…そうなんだが…ミルコからちゃんとした指導が受けられるかは微妙だな…。大方、苦手な近接戦闘を強化するためなんだろうが…」
「確かにそうだが…そんなに心配なら違う希望先を勧めてもいいんじゃないか?近接戦闘を学びたいならもっと他のヒーローからも指名がきているだろう?」
「…………いや、このままにしておこう。プロの世界を知るのにはいい経験になる。それに知名度も高いから一般人にも認知されるからプロになった時のいい土台になるはずだ」
「………………お前も大概生徒思いだよな…」
「?何か言ったか?」
「いや、何も…」
そう言ってスナイプ先生は相澤先生の前から立ち去る。
さて、跳田の選んだ先はNo.5ヒーローのミルコ。高い機動力とパワーでヴィランを捩じ伏せる強いヒーロー。跳田の課題である近接戦闘を鍛えるには良い先生になってくれるに違いない。
だがそれは彼女がしっかり指導してくれればの話。彼女はNo.5ヒーローとしての活躍の他に男勝りの性格や強気な態度でも知られている。当然跳田はある程度のことは知っていたが正直よく知らなかったので
「指名くれるくらいなら指導とかもきっとしてくれるでしょ!」
という甘い認識で希望用紙に名前を書いていた。果たして跳田の運命は……?
というわけでミルコです。ホークスやリューキュウでずっと悩んで来ましたが悩んだ末にミルコにしました。
まあ理由としましてはミルコだったら活動の自由度高そうだったからです。次回からは原作にはない私の想像で書くお話なのでまた期間が空くと思いますが気長に待っていてください。
いい忘れてました。ヒーロー名に関してですが、メタルクラスタホッパーにしようとしてたんですが長いし呼びにくいと思ったのでライジングホッパーにしました。結局長いけど他のアイデア思い浮かないのでこれで。思い浮かんだらもしかしたら変えるかも。