個性:クラスターセル 作:鳥松
あれからあっという間に時が過ぎ、既に最終日。現在、跳田はミルコに別れを告げているところだった。
「……ミルコのおかげで少し強くなった気がします。それにあれから個性になにか異常が出ることもなかったですし、本当に何から何までありがとうございました。」
「いいんだよ、それくらい。それに、意外と楽しかったしな。」
「私も初めて近くで指導をしてもらいましたけど初めて知ることがいっぱいで本当に楽しかったです…!」
「おう、そりゃ良かった。これから頑張れよ跳田。雄英はこれからが大変だぞ」
ミルコが深刻そうな声色で話す。先ほどまでの会話の声色とは全く違う様子だった。結構突然だったので少し驚いた。
「これから、ですか……。一体何があるんですか…?」
「それはな……!」
「……ごくり」
固唾を飲んでミルコの回答に耳を傾ける。これからミルコが話すような困難が待ち受けていると思うと正直気が滅入る。
「それはな……その時になったら分かる!」
「えぇ!?答えてくれないんですか!?」
「はっはっは!!お前やっぱ面白いな!お前のそういう顔大好きだぞ!」
私はミルコに騙された挙げ句、その光景を笑われてしまった。恥ずかしくなって顔が赤くなってしまった私を見て、ミルコはまた爆笑する始末。
「~~~~っ!な、何笑ってるんですか!!期待して損しました!」
「いやあ、初日から思ってたけどよ、お前のそういう顔がコロコロ変わるところ、やっぱ面白いなと思ってよw」
「からかわないでください!もう帰ります!!」
「すまんすまんw………じゃあまたな!跳田!!」
「……はい!また!!」
ミルコ別れを告げ、笑顔で手を振ってミルコと別れる。
なんだかんだあったが、とても有意義だったし、何より楽しかった。私にとって今回の職場体験は忘れられない物となるだろう。
ミルコのおかげで前より少しは成長したはず…これからも頑張っていこう。
◆
翌日、通常通り学校が始まった。跳田が教室のドアを開けると教室の中は職場体験の話で話題が持ちきりだった。
「へぇー、ヴィラン退治とかもしたんだ!」
「避難誘導とか後方支援で実際交戦はしなかったけどね」
「それでもスゴいよー!」
「私もトレーニングとパトロールばかりだったわ。一度隣国からの密告者を捕まえたくらい」
「お茶子ちゃんはどうだったの?この一週間」
「とても…………有意義だったよ……」
「目覚めたのねお茶子ちゃん」
「バトルヒーローのところ行ってたんだっけ」
自分の席についた跳田が麗日を見てみると以前とは全く違う雰囲気を纏っており、何かオーラのようなものまで見えるようだった。
峰田と話していた上鳴が後ろを振り返って話す。
「まあ一番変化つうか大変だったのは……お前ら三人と跳田だな!」
「そうそう!ヒーロー殺しと紅!」
「命あって何よりだぜマジでさ!」
「緑谷たちはエンデヴァーに助けられたんだってな!さすがNo.2だぜ!」
「…そうだな、助けられた」
「というか跳田のことニュースでめっちゃやっててすごかったな!」
「ねー!どのチャンネルでも跳田のことしかやってなかったからびっくりしたよー!」
突然こっちに話を振られたので少し驚いた。さっきまで緑谷君たちの話をしていたのでこのまま触れられないと思っていたのに。
「やめてくださいよ……たださえ死ぬ思いしたのに起きたらテレビで大々的に報じられてたからウンザリしてるんです……マンホールヒーローとかいう不本意すぎるあだ名付けられてるし………」
「正直初めて聞いたときは笑っちまったけどいいじゃねぇか!あだ名がつけられるのは知名度が高い証拠だぜ!」
「そうですけど……結局、紅との戦いもギリギリだったし、なんなら負けてミルコに助けられちゃったし…個性がなんか変化したとかで色々大変だったし……はぁー……」
跳田は職場体験のことを色々思い出してどんどん暗く落ち込んでいく。先ほどの麗日とはうって変わって跳田の周りには負のオーラが漂っていく。
「上鳴のせいで跳田がどんどんネガティブになっていく…」
「えぇ!?俺のせいかよ!」
「跳田も跳田で大変だったんだな……」
「
「なんか…すみませんでした…」
◆
時は変わり、オールマイトが担当するヒーロー基礎学。今回は運動場γに来ていた。
「ハイ、私が来た」
「というわけでやっていく訳だけどもね。ハイ、ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女!元気か!?」
「ヌルっと入ったな」
「久々なのにな」
「パターンが尽きたのかしら」
オールマイトが次に説明したのは今回の授業について。
今回行うのは救助訓練レース。複雑に入り組んだ運動場γで5人4組に分かれて1組ずつ訓練を行っていく。オールマイトが救難信号を出したら街外から一斉にスタートし、誰が一番最初にオールマイトを助けられるかの競争。
早速組を決めるためにくじを引くと一組目は緑谷、尾白、芦戸、飯田、瀬呂、跳田となった。
一組ではない他の生徒は待機しているお座敷で誰が一位になるかの予想をしていた。
「クラスでも機動力高いやつが集まったな」
「俺、瀬呂一位」
「あー…うん、でも尾白もあるぜ」
「オイラは芦戸!」
「緑谷君と跳田さんは若干不利かなあ…」
「え、緑谷は分かるけど跳田はなんで?」
「体育祭の時に大きく跳んでたでしょ?あれ、回数制限があるって言ってたから…」
「へぇー意外な弱点だな。跳田は結構万能だと思ってた」
生徒たちが話しているとオールマイトからスタートの合図が出される。
一番最初に前に出たのはテープで滞空性能が高い瀬呂。空中機動力が高い瀬呂は他より有利なようだ。跳田も負けじとスプリングの跳躍を使い、瀬呂君に並ぶ。
「やっぱり来るよな、跳田!」
「負けないよ瀬呂君!」
しかし、競い合う二人の背後から緑谷が以前とは全く違う機動力で二人をはなしていく。
「おおおお緑谷!?なんだその動きぃ!?」
「前と全然違う…!」
跳田も緑谷と同じような感じで移動はしているが緑谷の方が身体の使い方がうまい。跳躍力は跳田の方が高いが、跳田は跳躍力が高過ぎて無駄が多い。
そうこうしている間に緑谷はどんどん後続を引き離していく。
だが…
ズルッ……
「「「あ」」」
緑谷は着地したところは濡れたパイプ管だったため、滑って落ちてしまった。
そのままギリギリ跳田が一番にオールマイトの元にたどり着き、一位になった。
「だ、大丈夫ですか…?緑谷君…?」
「だー!悔しい!惜しいかった!」
「今回の一番は跳田少女だったが、皆入学時より個性の使い方に幅が出てきたぞ!!この調子で期末テストへ向け準備を進めてくれ!!」
この日の授業は他の組をやってそのまま終わった。A組はコスチュームから着替えるため更衣室へと入っていった。
「へぇー跳田さん、回数制限克服したんだ」
「色々悩んでたんですが使い続ければなくなるなんて思ってませんでした…」
「ははは、ミルコのおかげだね!」
跳田たちが雑談をしていると隣の男子更衣室からうっすら峰田の声が聞こえる。
「見ろよこの穴!ショーシャンク!恐らく先輩方が頑張ったんだろう!」
「え、穴?うわ、本当だこんなところに」
「あ、じゃあウチに任せて」
耳郞さんがそういうと壁に片方のイヤホンジャックを挿し、もう片方のイヤホンジャックを先ほどの小さな穴に入れて向こうの覗き魔を撃退した。
「あああ!!」
壁の向こうから峰田君の悲鳴が聞こえた。穴からこちらを覗こうとしていたなら刺さった箇所は恐らく目のだろう。
「結構えぐいことしますね……」
「ありがと、響香ちゃん」
「なんて卑劣……!すぐ塞いでしまいましょう!」
「耳郞さん?どうかしましたか…?」
覗き魔を撃退した耳郞だったが、そこ顔はいつもより暗かった。そのまま跳田の元に無言で近づいていく。
「え、え?どうしたんですか…?え?あ、握手ですか?じゃ、じゃあ……」
耳郞は跳田の元に行くと無言で手を差し出した。そして固い握手をすると呟いた。
「仲良く…しような…」
「え?あ、はい…??」
「何か通じたのね…響香ちゃん」
「どういうことか分かりませんが良かったですわね!跳田さん!」
「う、うん…?」
こうなった理由としては峰田が話していた言葉にあった。
(ウチと跳田だけ何も言われてなかったな……)
跳田と耳郞は体型が似通っており、何とは言わないが身体のラインもほぼ同じだった。この時耳郞は跳田とは仲良くしようと決めた。
今回は少し短めですね。このシリーズを描きたかった理由はこの設定で神野編をやって跳田ちゃんを曇らせたかったからなので早い神野に行きたいですね。
今回の補足
·ミルコにいじられる跳田ちゃん
ミルコは反応がいい後輩をいじってそう。自己解釈という名の偏見
·救助レース
描いたとおり跳田は飛び過ぎて最短ルートを行く緑谷よりは遅い。スピードとしては瀬呂よりほんの少し速いくらい。
·何も言われなかった二人
跳田ちゃんは貧乳です。大きいのはだめです(鋼の意思)
因みに仲良くなるフラグ。曇らせるなら友人もいた方がいい!
今回は短い!次回から期末試験に入れるかなー…。相手とペアは大体決まってるので次回は早い投稿できる気がする。感想や評価をしてくれると作者は泣いて喜びます。