個性:クラスターセル 作:鳥松
本日の朝のホームルームはそろそろ近い夏休みについて相澤先生からお話があるようだ。
「えー…そろそろ夏休みが近いが…もちろん君らが30日間休める道理はない」
「まさか……」
クラスの全員がさらなる試練を覚悟した。今まで生徒に様々な試練を課してきた雄英ならば今回はもしかしてもっときつい苦行が待ち受けているのではないかと思った。
かくいう跳田もミルコが言っていた意味ありげな言葉があったので少し身構えた。
「夏休み林間合宿をやるぞ」
「「「「「知ってたよーーーやったーーー!!!」」」」
相澤先生が話した瞬間に生徒たちから歓声が上がる。生徒各々の楽しみなことやイベントのことについて話しており、非常に楽しそうな雰囲気である。跳田も皆と寝食を少しの間共にするということで少しワクワクしていた。
(いいですね…合宿…。カレーとか肝試しとか…楽しみだなあ…)
「ただし、その前の期末試験で合格点に満たなかった者は…学校で補習地獄だ」
「みんな頑張ろーぜ!!」
つまり赤点なら林間合宿にはいけないということだ。前回の跳田のテスト順位は21人中11位。そして跳田は今回の期末試験についてこんなことを思っていた。
(まあ、今回も二週間くらいしっかり勉強すれば大丈夫かな)
◆
そして…期末試験まで残り一週間を切った6月最終週……
「全然勉強してねー!」
「体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねー!」
中間試験と言えば入学ばかりであったため範囲も狭かったが今回の期末試験は勉強する暇もあまりないのと…
「演習試験があるのが辛えところだよな」
中間試験の順位が9位の峰田が余裕そうに言った。
「あんたは同族だと思ってた!」
「お前みたいなやつはバカで初めて愛嬌が出るんだろが……どこに需要があるんだよ……!」
「世界…がな…」
周りを見下ろすような口調で言う峰田を横目に一人黙々とテスト勉強をしている人間がいた。
「どんだけ余裕ないんだ跳田」
「うっ…違うんです…耳郞さん…定期テストの時はいつもこれくらいなんですが今回は少々勉強する暇がなかったと言いますか…」
二週間勉強すればいけるだろ、の精神で過ごしていた跳田の計画は多忙によって見事打ち砕かれ、絶賛テスト勉強に追われていた。
「でも任せてください!今回のテストはいつもより自信があります!」
「え、なんで?逆じゃない普通?私、二次関数の応用でつまずいちゃってて…」
「それはですね、ウチの先生は頭がとても良いんです。いつもは手を借りてないんですが今回は緊急事態ということで教えてもらってたんです。あとなんか頭の回転が速くなった気がします!」
「へぇーいいなあ」
「耳郞さん、座学ならお力添えできるかもしれません」
「演習の方はからっきしでしょうけど……」
「ワリィ俺も!八百万、古文わかる?」
「ヤオモモー!私もー!」
「俺もー!」
八百万のもとへ苦戦をしていた生徒たちが多数集まる。そして八百万の顔はパッと明るくなり、
「良いデストモ!!」
嬉しそうな様子で了承し、ワクワクしながら紅茶のことなどを話していた。
(私も先生に勉強見てもらお!」
◆
そして、その日の午後…
「んだよロボなら楽チンだぜ!」
「お前らは対人だと個性の調節大変そうだからな…」
緑谷たちがB組の人たちから演習試験の内容が入試試験のようなロボ戦だということ聞いたそうことで、教室には安堵の声が広がっていた。
「そうですね…単純な対人戦闘よりは楽そうですからね。あとは勉強頑張りましょう!」
「おーし!頑張ろー!」
「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ、何がラクチンだアホが」
この雰囲気に水を差したのは爆豪だった。
「アホとはなんだ!アホとは!!」
「調整なんて勝手に出来るもんだろアホが!」
「なァ、デク!」
「個性の使い方分かってきたか知らねぇけどよ…お前はつくづく俺の神経を逆撫でするな…」
「あー、あれか前のデク君、爆豪君みたいな動きになってた」
「体育祭みたいな半端な結果は要らねぇ…次の期末試験なら個人の成績に否応にも優劣がつく…!」
「完膚なきまでに差ァつけて…てめェぶち殺してやる!」
「跳田ァ…てめェもなァ!」
爆豪はそう言って教室の戸を勢いよく開け、教室から出ていった。
「久々にガチなバクゴーだ…!」
「なんで私まで…こわい」
「まけずぎらいなんだね!」
◆
時は変わり、週末。跳田は先生監修のもと、孤児院で勉強に励んでいた。
「それでここに代入すると……」
「………出来た…!」
「さすが桐子ちゃん。やっぱり覚えがいいわね」
「いやいや先生のおかげだよ!というか先生ってこんなに頭良かったんだね」
「まあ、私の個性は"
「え?そうなの?いいなぁ…というか先生の個性の話聞いたことなかったんだけど」
「それは…聞かれたことなかったし、それに…実はもう
「え!?なんで!?」
「さあ…大体10年前くらいに突然使えなくなったからね…」
「…先生それ勉強大丈夫だったの?」
「記憶したことが消える訳ではないから大丈夫だったよ。それに学校とかもほぼ終わりかけだったし」
「へぇー…でもなんで使えなくなったんだろう?元々大人になったら使えなくなるものだったのかな?」
「さぁね、ほら手が止まってるよ。頑張って!」
「うっ…はい!」
◆
そして迎えた筆記試験当日、滞りなく終わったが跳田はいつものテストよりも手応えを感じていた。
「なんかすごいできた気がする…」
先生の指導のおかげもあるだろうが今回のテストがよく出来た理由は別にあった。
まず、跳田の戦闘は見た目よりも頭を使う。大軍の飛蝗を自在に動かすためには一回一回指示を出す必要がある。
それにプラスして飛蝗と視覚を共有しながら状況を把握し、飛蝗に的確な指示を出していくことがこの個性を使う上で重要な訳だが、こんなことを続けていけば効果は脳トレの比ではないだろう。
まあ、本人がそのことに気付いてないが。
◆
更に別日を迎え、きたる演習試験当日。A組は雄英にあるバス乗り場へコスチュームを着て集合していた。緑谷たちが言っていた情報が確かならロボを使った演習の話だが………
「先生多いな……?」
生徒たちの前にいるのは8人ほどの先生。ロボを使った演習を行うには随分と大人数だ。
「諸君なら事前に情報を仕入れて何する薄々わかってるとは思うが………」
「入試みてぇなロボ無双だろ!」
「花火!カレー!肝試ーー!!」
「残念!諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
突然、相澤先生の捕縛布からひょこっと飛び出したのは雄英の校長先生である根津校長だった。
「校長先生!」 「変更って…」
生徒たちから驚きの声が挙げられる。そしてそれを諭すように校長先生から説明がされる。
「これからは対人戦闘、活動を見据えた、より実践に近い教えを重視するのさ!というわけで…」
「諸君にはこれから二人一人組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」
「先生方と…!?」
「そうだ。なお、ペアの組と対戦する教師は既に決定済みだ。動きの傾向や成績、親密度…諸々踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ。まず、轟と八百万がチームで………俺とだ。」
その後も次々と組み合わせが発表され、ついに跳田も発表される。
「次は三人ペアだ。耳郞と口田と跳田で……プレゼントマイク」
今回、教師陣と戦うということで絶対に当たりたくない人物が三人いた。
一人はもちろんオールマイト。圧倒的パワーと耐久力でこっちの戦略を全て破壊してくる。絶対戦いたくない。
もう一人は相澤先生ことイレイザーヘッド。個性を消されると何も出来ない。私の個性ではどう足掻いても勝てない。
最後は、プレゼントマイク。爆音を出され続けると、飛蝗の操作が出来ない。飛蝗の大軍飛行による攻撃をしようにも音という広範囲での攻撃をされては飛蝗が音圧に耐えれるか怪しい。よって辛い。
そして見事に三人の内の一人と当たり、たださえ辛いのにペアは二人とも音に関する個性。二人の個性を主軸にしようにもプレゼントマイクに描き消されるだろう。
つまり完全にメタられているのである。
(最悪だ……勝つビジョンが浮かばない……どうしよう…)
完全に不利な状況で演習試験が始まる…。
次回からVSプレゼントマイクです。正直別の人でも良かったかな…と思ってます。
今回の補足
·先生の個性
もう使えない。もはや何も言うまい。業が深いね!
·頭脳の成長
跳田の戦闘は色んな情報が常に入ってきてそれを整理しながら戦うので頭の体操になる。ゼロワンだとこの作業を人工知能に任せてたと思われる。
·VSプレゼントマイク
正直、オールマイトでも良かったがなんか書けなかった。
相澤先生だと轟、八百万で完成してるからなんかここで水差すのもなー、と思ったので断念。
他の先生はいい勝負出来そうなのがセメントスだけなので無理だった。
というわけでプレゼントマイクとなりました。跳田自体、弱点は多いのに教師陣でその弱点をつけるのがプレゼントマイクしかいないのが悪いんだ……!
A組の中なら弱点つける人多いのに……!
今回はこれで終わりです。感想や評価をくれると作者は叫びながら夜の町を走り回ります。