個性:クラスターセル 作:鳥松
先生から言い渡された三人ペアでバスに乗り、試験会場となる森林ゾーンへと向かう。バスの中で跳田はプレゼントマイクに勝つ方法を模索する。
(飛蝗で攻撃しようとすると…爆音で迎撃されるし……棘は…飛距離が足りない…うーん…)
「跳田?」
「ひゃあ!?」
耳郞さんから突然話し掛けられた。ちょっと考え過ぎてたかも…
「緊張してんの?」
「あ、いえ!緊張してる訳じゃないですけど…少し、勝つ方法を考えてただけです」
「そんなに深く考えなくてもいいんじゃない?ほら、私たちは他のところと違って三人だし、他より有利だと思うよ?それにほら、相手もプレゼントマイク先生だし」
「Hey!!!そこのリスナー!良くないぜ!そういうの!」
「ワーゴメンナサーイ」
耳郞さんは私の不安に対するの回答と共にプレゼントマイク先生を煽っているが正直、三人いるからといって簡単に勝てる相手ではないだろう。
(うーん……どうしよう…)
◆
しばらくバスに乗っていると演習試験の会場となる森林ゾーンに到着した。試験の前に試験の詳細をプレゼントマイク先生が説明してくれるようだ。
「というわけでリスナー諸君今から試験について説明していくぜ!」
「制限時間は30分!リスナー諸君の目的はこのハンドカフスをオレに掛けるor三人の内一人でもこのステージから脱出する!」
「逃げてもいいんすか」
「YES!何しろ戦闘訓練とは訳が違うからな!!」
「そう!相手はちょーー格上」
「格……上?イメージないんスけど…」
「ダミッ!ヘイガールウォッチャウユアマウスハァン!?」
「いいか!?リスナー!俺をヴィランそのものと考えろ!ヴィランと遭遇したと仮定して勝てるならよし!」
「だが!かなわないと判断し、逃げて応援を呼んだ方がナイスな時もある!」
「つまり、戦って勝つか逃げて勝つか…」
「イエス!リスナーの判断力が試される!けど、こんなの勝てるわけないって思うよな!」
「というわけでハンデとしてサポート科の優秀なクリエイターたちに作ってもらったぜ!超圧縮おもり!」
「自分のウエイトの約半分の重量を装着する!動きが制限されて邪魔でしかない!これなら君たちでも勝てるってわけだ!」
「先生、性格悪いですね…。」
「「?」」
「おおっと!勘のいい跳田ガールには気を付けないとな!」
◆
時は変わり、もうすぐ試験が始まろうとしている頃。
「私たちは中央スタートで……先生の居場所は分からなくて…先生が何処から攻撃かも分からないってことね」
「いえ…居場所は恐らくゲート前です…」
「え、なんで?」
「先生の個性なら恐らくゲート前から私たちのいる中央まで攻撃が届きます…」
「じゃあさっき跳田が性格悪いって言ってたのって…」
「先生は多分、ゲート前から動くつもりないと思います…」
「マジか…ってことは開始と同時に……!」
『皆位置についたね。』
ステージ全域に放送が鳴り響く。この声は養護教諭であるリカバリーガールの声だ。
『それじゃあ雄英高校1年期末試験を始めるよ!レディー………ゴォ!』
「二人とも耳を塞い……」
『YEAHHHHHHHHHH!!!!!!!』
「っ!!」 「うっるさ……!!」
開始と同時に耳を塞ぐがそれでも鼓膜が破れそうな程の声量。これ以上近づけるかどうかも怪しい。
「口田!あんた動物操れるんでしょ!?鳥使ってなんとか出来ないの!?」
耳郞さんの言葉に口田君は手話で答える。
「命令を出したくてもプレゼントマイクの声で動物たちが逃げってちゃう!」
「跳田は!?」
「無理です……!あんな大声出されたら飛蝗の操作が出来ないんです…それに飛蝗が音圧に耐えれなくて結局近づけない…!」
「……格上どころじゃない……!!上位互換…それに天敵…!近付けもしない…!!」
「とりあえず迂回して少しでも近づこう!このままじゃ何もできない!」
「わかった!」
耳郞さんと口田君はうなずいて、早速少しでもゲートに近づくために移動する。
「とりあえず飛蝗で攻撃しながらここまで来たけど…効果ナシ…音圧に耐えきれずに潰れちゃったか…」
「手錠掛けるにしろ、脱出するにしろ跳田が言ってたみたいにゲート前にいるから対峙は不可避でハンデもハンデになってない……」
『まぁだですかああああああ!!!』
「なのに……コレ!!もうっ…………ムリ……!」
ゲート前からの攻撃で此方を一向に近づかせてくれない。ハンデもハンデになってない。個性が不利過ぎて打開できない。
(どんな無理ゲーだ……!こんなの!)
「これ以上は鼓膜やられる…どうしよう……。!」
岩陰に隠れていた耳郞さんが何かに気付いたようだ。
「口田の個性って動物に命令して操れるんだよね…!?」
口田君が耳郞さんの質問にこくりと頷いて応える。
「虫いた!あんた虫は操れるの!?アリンコ!」
「キャアアアア!!」
耳郞さんが虫を口田君に見せると口田君は逃げて木陰に隠れてしまった。
「虫、ダメなんだ……」
(虫……虫……!ハッ!そうだ!虫ならこの状況を打開できる!)
「口田君!虫………」
『そこかあああああああ!!!』
「んぎっ……!!」
「痛っ………!だめ……とりあえず……!相殺!」
耳郞さんが耳のイヤホンジャックをブーツに刺して音を出してプレゼントマイク先生の爆音を相殺する。だが、気休め程度の相殺じゃ打開はできない…!
「口田君!虫を操れるかだけ教えてください!」
口田君は親指を立てて可能というサインを出した。
「なら!まだ勝てる!耳郞さん、岩を!」
「うん!」
耳郞さんがイヤホンジャックを岩に刺すと岩は砕けてバラバラになった。岩のあった場所からはムカデなどの様々な虫が蠢いていた。
『おーーーーい!!!』
「ごめん!怖いだろうけど!」
「これしかないんだ口田君!虫を操れるなら…!私の飛蝗も操れる筈なんだ!」
「あんたがやれば勝てるかもなの!時間も少ない!だってヒーロー志望でしょ!?そんならクリアしようよ!!」
口田君を励ます耳郞さんの耳からは血が流れていた。恐らく先ほどの爆音で鼓膜が破れてしまったのだろう。
(耳郞さん耳が…!!僕が退いてしまったばっかりに…耳郞さん…!)
口田君の足元には以前ムカデやゲジゲジが蠢いており、虫嫌いの人からすればかなりきついだろう。
(でも…これしか………ごめんね、口田君!)
「口田君!笑って!」
「え……?」
「私の先生の言葉だけど笑えば辛いことも吹き飛ぶんだって!だから…笑って!そんで試験に合格しよう!性格の悪い先生を泣かしてやろう!」
(そうだ憧れの雄英に入ったんだ…!前進してこその雄英さ!そうさ、心はいつでも……Plus Ultraさ!)
「お行きなさい、小さき者どもよ…騒音の元凶なるその男を討ち取るは今です…。いいですか………」
「超喋るじゃん!!」
「口田君!私の飛蝗も!上空から向かわせて先生の声を上に向かせて!」
(うっ…いや辛くても笑って望めば吹き飛ぶんだ!そうだ!いける!)
「っ~!お行きなさい……」
「耳郞さん!万が一また攻撃が来たらさっきみたいに迎撃して!ごめん!痛いだろうけど!」
「任せて、跳田!」
一方、ゲート前のプレゼントマイクは余裕綽々と言った様子で口笛を吹きながら佇んでいた。
「そろそろタイムアップだぜぇ」
しかし、上空から跳田の飛蝗の大軍がプレゼントマイクを襲う。先ほどまでの少量の飛蝗とは訳が違う量の飛蝗だった。
「おぉ!?そんなに多く来られると……』
『YEAHHHHHH!!!!』
「困るんだよなぁ、俺は虫が大嫌いなんだよ……ん?」
プレゼントマイクの足元の地面が突然小さく盛り上り、口田君が命令を出したムカデなどの虫がプレゼントマイクの足から這い上がっていく。
「うおおおお!?」
(さっきのバッタの大軍は音をこの虫に伝わらせないようにするためのーーーー!)
(これだから森は……!!)
「キャアアアア!!」
先生は悲鳴をあげながらそのまま気絶し、倒れた。この事実は当然耳郞さんの耳に入る。
「聞こえた!今だ、行こう!」
「うん!」
跳田たちがゲート前に行くとプレゼントマイクは気絶しており、そのまま楽々とゲートを通過出来た。ゲートを通過するとゲートの表示が変わり、合格が出来た。
「な、なんとかなった…!」
「ええ本当に……本当に…良かった……!」
「え、ちょっと何、泣いてんの…?」
無事試験をクリア出来たことに安心して感極まって涙が自然と出てくる。心配して二人が声を掛けたりオドオドしている。
そんな二人をガバッと引き寄せてハグをする。当然の行動に二人は困惑しているようだ。
「え、あっおい!本当にどうした跳田!ちょっと変だぞ!」
「う~~!変じゃないです…愛してます二人とも…」
「なっ…!おい、本当に変だぞ!跳田!」
「跳田じゃないです…桐子って呼んでください…」
「はぁ?どうしたんだ本当に…てかいい加減放せ」
「跳田さん……?」
「いやです…呼んでくれないと放しません…」
「はぁ?何なんだ本当に……………………じゃ、じゃあ。と、桐子…?」
「わー!ありがとうございます!響香ちゃん!次、甲司君!」
「え…あ…と、桐子…さん…?」
「んふふふ、ありがとう甲司君!へへへ、満足ですありがとうございます!今日から二人は私の親友です!」
「本当にどうしたんだ跳田…」
「違います!響香ちゃん!桐子です!」
「あー、はいはい。ごめんな、桐子」
「んふふ、そうです!」
跳田は満足そうに微笑むと二人をハグしていた腕を放してそのままふらふらと歩いていく。
「本当に……うれしいなぁ……へへ、へ」
「ちょっ、跳田!?」
「跳田さん!?」
ふらふらと歩く跳田は突然バタりとその場で倒れて動かなくなってしまった。突然倒れた跳田に二人は駆け寄る。
「すー、すー…むにゃむにゃ、ふへへ…」
「寝てる…な……。こいつ疲れると幼児退行するんだな…」
「ごめん口田、バスまで運んでくれない?」
口田はこくりと頷き、跳田を抱えて耳郞とバスまで一緒に歩いていった。
展開が……原作とほぼ変わってない……!すみません。友達フラグ立てるのちょっと無理やりだったかも。
今回の補足
·プレゼントマイクになす術なし
もう少し近ければ飛蝗じゃなくて棘で攻撃できるんですけど距離が離れてると届かないので一方的に攻撃を食らうだけなんですよね。
·やればできる男、口田
今回の試験のMVP。この男がいなければ勝てなかった。
·口田の個性で飛蝗の操作
私の自己解釈的には人間以外の生物ならほぼほぼ操れると思っています。跳田の飛蝗は機械ではないので怪しいけど個性の適用範囲に納めた。
これで弱点が増えたし、なんならA組に天敵が増えた。
·戦いが終わると絶対に寝る女
さて、跳田が寝たとき皆さんはこう思っただろう。
「なんで寝るんや!今回ほぼ何もしてなかったやろ!」
理由なんですが、跳田は騒音攻撃を受けると体の中の飛蝗がびっくりして、外に出ようとするんですよね。
だから試験中、跳田は飛蝗が外に出ないように必死に抑えていた訳ですね。
だから疲労が溜まって寝てしまったという訳です
·名前呼び
友達フラグを立てるためのやつ。名前呼びは絶対に定着させろ。
耳郞さんたちが名前で呼んだあと、普通に名字呼びしてますが、耳郞さんたちはふざけているだけだと思ったのでまだ定着してないんです。
今日はこれくらいかな?次回は買い物に行って、その次から林間合宿編です。そろそろこの小説の山場に行きそうです。
今回はこれで終わりです。
評価をくれた人がいらっしゃいました。ありがとうございます。
というわけで私はこれから叫びながら夜の町を走り回ってきます。
これからも評価や感想、よろしくお願いします。