個性:クラスターセル   作:鳥松

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掛け持ちっていうのは良くないね


地獄の林間合宿編(2)個性伸ばし訓練

 

翌日の朝、昨夜、跳田は他の皆より早く寝たおかげで早朝の5時半という厳しいスケジュールにもついていくことが出来ていた。他の生徒は眠そうに欠伸をしている人が大半だ。

 

 

 

「お早う諸君。本日から本格的に強化合宿を行う。今合宿の目的は全員の強化及び、それによる仮免の取得だ。心してかかれ」

 

 

「というわけで爆豪、こいつを投げてみろ」

 

 

「これ……体力テストの…」

 

 

相澤が爆豪に渡したのは、入学した時にやった体力テストのソフトボール投げで使ったボールだった。

 

 

「前回の記録は705.2メートル。どれだけ伸びてるかな」

 

 

「おお!成長具合か!いったれバクゴー!」

 

 

「んじゃ、よっこら……くたばれ!!」

 

 

 

この前のソフトボール投げの時のようにボールをぶん投げた爆豪の記録は709.5m。前回記録から4mしか伸びていない結果だった。

 

「あれ?思ったより……」

 

 

「君らは様々な経験を通し、確かに成長している。だがそれはあくまで技術面や精神面。あとは体力的な成長がメインで個性そのものは成長していない」

 

 

「だから今日から君らの個性を伸ばす。死ぬ程きついがくれぐれも死なないように」

 

 

「死ぬって…何やらせる気なんですか…」

 

 

「それは彼女たちから説明してもらう。お願いします。」

 

 

『煌めく眼でロックオン!猫の手助けやって来る!どこからともなくやって来る…。キュートにキャットにスティンガー!ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!』

 

 

 

 相澤が森の方に向かって頭を下げると、茂みから4人の男女が飛び出してきて生徒たちの目の前でポーズを決める。ワイプシの自己紹介フルバージョンだ。4人揃ったのを見ると壮観である。

 

 

 

「じゃあ、サラッと説明するよ。やるべきは“個性の限界突破”。許容上限のある発動型は上限の底上げ、異形型・その他複合型は個性に由来する器官・部位の更なる鍛錬が基本。もちろん、個性によって限界突破の訓練はそれぞれ違うわ。私たちはそのサポートをするって感じね」

 

 

 

 ラグドールの『サーチ』で各々の個性を理解し、ピクシーボブの『土流』で鍛錬の場を形成、マンダレイの『テレパス』で複数の人間へアドバイスを送るという流れである。また、肉体派の虎は、単純な個性を持つ生徒たちへのサポートに動くことになっていた。

 

 

 

「まずは緑谷!跳田!我の元に来い!これより我ーズブートキャンプを行う!ただし、跳田は少し特殊な方法だ説明する!ついてこい!」

 

 

「は、はい!」     「え、は、はい!」 

 

 

 

ワイプシの一人である"虎"に呼ばれ、二人はついていく。虎から説明されたのは簡単に言えば緑谷と跳田の強化上限を上げるということ。

跳田の個性は強化系ではないがスプリングによる強化は肉体強度が直接影響するため、身体を鍛えることへのメリットは大きい。

 

 

「つまり!ひたすら我ーズビートキャンプを踊り、度々打ち込んでもらう!緑谷の説明は以上!次!跳田!」

 

 

「お前はさっきも言った通り緑谷とはやり方が違う!お前にはこの!我らのグッズをピクシーボブの土魔獣からひたすら防御してもらう!」

 

 

虎が取り出したのはワイプシの公式グッズであるぬいぐるみであった。

 

 

「これを守る…」

 

 

「そうだ!勿論我ーズビートキャンプを踊りながらな!」

 

 

「え、あのそれ普通に難しいんですけど…」

 

 

「当たり前だ!お前の戦闘は複雑で繊細な操作が求められる!それにマルチタスクがスムーズに出来るか出来ないかお前はかなり変わる!」

 

 

「さあやれ!伸ばせ!千切れ!ヘボ個性を!」

 

 

「「お、おー…」」

 

 

「返事はイエッサァ!!」

 

 

「「イ、イエッサァ!!」」

 

 

「と、とりあえず頑張りましょうか……」

 

 

「そ、そうだね……」

 

確かに跳田の個性による戦闘はマルチタスクの連続である。よって、このトレーニングは跳田にとって最適な訓練方法である。

 

しかし、出来るかどうかはまた別である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フォームが崩れているぞ!しっかり踊れぇ!!」

 

 

「イ、イエッサ!」

 

 

「おい、ピクシーボブのグッズが魔獣に壊されてるぞ!しっかり守れぇ!全然出来てないぞぉ!」

 

 

「イ、イエッサ…!」

 

 

「よぉーし、二人まとめて打ってこい!」

 

 

「5%デトロイトスマッシュ!」 「おおおっ!」

 

 

虎に向けて強化した腕で攻撃を放つ。緑谷君も一緒に打つが虎の個性である"軟体"によりにゅるりと避けられる。

 

 

「よォーし、キレキレじゃないか二人ともォ!筋繊維が千切れてない証拠だよ!」

 

 

そういって跳田と緑谷両方を同時に殴りつける。彼(?)の前では男女の差など関係なく両方等しく平等なのだ。

 

 

「イエッサ…!」

 

 

「声が小さいぞォ跳田ァ!おい、向こうにも集中しろ、魔獣の魔の手が迫ってるぞ!」

 

 

「うぐ…イエッサ……!」

 

 

ぬいぐるみを魔獣から間一髪で守りきる。このトレーニングの難しい所は同時並行して行う2つの事がひとつひとつ難しいことにある。

 

まずは、ぬいぐるみを魔獣から守ることについて。単純に魔獣の量が多く、攻撃の頻度も激しい。こちらから攻撃して数を減らすことも出来ないのでつらい時間がずっと続くのである。

 

 

次に我ーズビートキャンプ。単純に動きが複雑で分かりにくく、完璧にこなそうとするとぬいぐるみの方が危なくなってしまう。

 

さらに今までダンスなどやったことのない跳田にはトレーニング用のものだったとしても難しい。

 

2つは実に単純でわかりやすいことであるが同時に行うとなると大変である。

 

 

 

(あー…やばいかも…昨日と違って身体も疲れてきた…最後まで出来るかな…)

 

 

始まってまだ二時間程であるが既に跳田の身体は限界だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、昨日言ったね、世話を焼くのは今日だけって!」

 

 

「己で食う飯くらい己でつくれ!カレー!!」

 

 

「確かに…。災害時など避難場所で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環…。他のヒーローと協力して料理をする事もあるかもしれない!さすが雄英、無駄がない!世界一旨いカレーを作ろう、皆!」

 

 

机に置かれているのはたくさんの食材。それはカレーを作るための材料だった。この全員が疲労困憊の中料理を作れとはなかなか鬼畜である。

 

 

「はぁー……死にそう…全身が痛い…眠い…」

 

 

「ほら早く作るぞ桐子。頑張れ」

 

 

「なんで余裕そうなんですかー…響香ちゃーん…」

 

 

「くっつくな…暑い…私も疲れてるんだよ…」

 

 

「もう無理です動きたくないです…」

 

 

「じゃあほら、じゃがいもの皮剥いて。やり方はわかるよな?」

 

 

「うぅ~…はぁ~い…」

 

 

そう言われて跳田はピーラーを持ってじゃがいもを剥いていくがそのスピードはかなり遅い。完成に間に合うか不安なスピードだ。

 

 

「跳田ー?皮剥き終わったかー?耳郞が跳田がやってるって言ってたけど……って」

 

 

「うおおおい!?何寝てんだ!てかじゃがいもに顔突っ込むんじゃねぇ!」

 

 

様子を見にきた瀬呂が目にした光景はじゃがいもの入っていたザルに顔を突っ込んだまま、寝息を立てる跳田の姿だった。瀬呂はあわててザルを取り上げるがそこでも衝撃の光景が目に入る。

 

 

「おま…これ…半分も終わってねぇー!?」

 

 

「えあ…?どうかしましたか…?瀬呂君…?それになんでじゃがいも持ってるんですか……?」

 

 

「うるせぇこのやろう!ピーラー貸せ!もう俺が全部やってやるよおおお!!」

 

 

食材を切る係だった瀬呂がピーラーを取り上げ、ものすごい勢いで皮を剥いていく。

 

 

瀬呂の頑張りのおかげで無事カレーを作り終えることに成功はしたが、何もしていなかった跳田は食べ終わったあと一人で片付けをやらされたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合宿3日目 昼

依然として個性伸ばしの訓練は続けられていた。

跳田は虎の訓練の動きに慣れ始めていた。

 

「よォーし!跳田!我ーズビートキャンプの動きにも慣れてきたな!」

 

 

「え、イ、イエッサ」

 

 

「動きに慣れてはこの訓練の意味がない!というわけでお前の我ーズビートキャンプは終わりだ!」

 

 

「イ、イエッサ…?」

 

 

「これからは我と組み手をしながらぬいぐるみを守ってもらう…!」

 

 

「イ、イエッサ!って、え!?」

 

 

「どうした…」

 

 

「そ、そんな…流石にそれは無理ですって!」

 

 

「いけるだろぉ…?Plus Ultraだろぉ…しろよウルトラァ!」

 

 

「そ、それは流石に難しすぎるというか…」

 

 

「返事はイエッサァ!」

 

 

虎はウダウダ言う跳田の顔を容赦なくぶん殴り、喝を入れる。

 

 

「イ、イエッサァ!」

 

 

跳田も覚悟を決めて返事をするが全く自信はない。因みにこれを近くで見ていた緑谷やB組の一部の生徒は恐怖で戦慄していた。

 

 

(((う、うわぁ………)))

 

 

「何をするにも原点を常に意識しておけ。向上ってのはそういうもんだ。何の為に汗書いて、何の為にこうしてグチグチ言われるか常に頭に置いておけ」

 

 

相澤の言葉を聞いてふとあることを思い出す。

 

 

【それはお前の罪、そしてお前の原点。忘れるな。お前は何をしても聖人にはなれない。】

 

 

その言葉は体育祭の終わりに見た、ある記憶である。跳田自身が"クロ"と名付けたそれは跳田のトラウマを呼び覚まし、それが原点だと言った。

 

跳田はこれを言われてもよくわからなかった。いや、理解をしようとしなかった。考えたくなかった、否定したかった。

 

 

(いやなこと…思い出しちゃった…)

 

 

「ボッーっとしてるゥ!動けぇ!」

 

 

「イエッサァ!」

 

 

いや、今はこんなこと考えている暇はないと跳田はトレーニングに集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、今日はこれくらいにしておこう。それでは全員着替えたら夕食作りにかかれ」

 

 

「「「「はい……」」」」

 

 

空はもう紅くなり、時刻も既にいい時間だ。今日もトレーニングに明け暮れた生徒たちはへとへとだ。

 

 

「う、うわあああ!」

 

 

「!?どうしたんだ、緑谷君!」

 

 

「は、跳田さんが…し、死んでる…」

 

 

「そ、そんな…一体何があったんだ…彼女が…なぜ…」

 

 

 

トレーニングが終わったというのに姿が見えない跳田を緑谷が少し探してみるとそこにあったのは倒れたまま動かない跳田だった。

 

 

 

「いや死んではないでしょ……ほら生きてる」

 

 

耳郞が脈や呼吸などを確認するとしっかり生きており、寝ているわけでもなく意識もあった。

 

 

「実は我と組み手をしていた訳だが、我のキャットコンバットが熱くなってしまってな!つい、ボコボコしてしまった!」

 

 

「コワイ、トラ、コワイ」

 

 

「えぇ…」

 

 

「動かないんですけど…そんなボコボコにしたんすか…」

 

 

「いや!動けなくなるほどやった訳ではないがな、流石にぬいぐるみを魔獣から守りながらはキツかったようだな!」

 

 

「大丈夫か、跳田君!」

 

 

「ハッ!私は一体…」

 

 

「跳田さん、立てる?」

 

 

「任せてください…今立ちますからぁ~~…」

 

 

「跳田さんが溶けるみたいに流動的に!?」

 

 

「頑張れー!立ち上がれー!」

 

 

この後なんとか跳田は立ち上がり、夕食作りに向かって行ったが、残った虎は今日のことについて思い返していた。

 

 

(あやつ…最初こそはダメダメだったが…途中からは我のキャットコンバットに対応し始めていた…それもぬいぐるみを魔獣から守りながら…。素晴らしい成長力!)

 

 

(しかし…同時に途中から少し……笑っていた…?あの様子だと本人も気付いてないようだったが……それにラグドールの言っていたことも気になる…)

 

 

『あの子の個性ねー、なんか変なんだ。あちきの"サーチ"で見てもなんか…文字化けしてるっていうか変な漢字が浮かんでるっていうか…"死"とか"滅"とかの文字が浮かんでて個性の詳細が見えなかったんだよねー』

 

 

(ラグドールの個性が通用しなかったことなど今までなかったのだが…それに本人に自覚のない戦いへの愉悦…一応、警戒しておかなければ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は変わり夜、日程にある肝試しの時間である。

 

 

「さて!…腹も膨れた!皿も洗った!お次は…」

 

 

「肝を試す時間だー!」

 

 

楽しそうな芦戸だったが相澤のある一言によって一瞬で顔が青くなる。

 

 

「その前に大変心苦しいが補習組はこれから俺と授業だ」

 

 

「嘘だろ!?」

 

 

相澤に連れていかれる補習組を見て他のA組の生徒は哀れみの目を向ける。

 

 

 

「おいたわしや……芦戸さん…一番楽しみにしてたのに…」

 

 

 

「はい、という訳で脅かす側先攻はB組。A組は二人一組で3分置きに出発。ルートの真ん中に名前を書いた御札があるから、各自それを持って帰ること!」

 

 

 

「闇の狂宴…!」

 

 

 

 マンダレイの説明に、常闇がソワソワとし始めた。麗日曰く、彼は昼頃も先ほどのように呟いていたらしい。表情には出ていないが、芦戸のように彼も肝試しを楽しみにしていた1人なのだろう。

 

 

 

「脅かす側は直接接触禁止で個性を使った脅かしネタを披露してくるよ!創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスの勝利だ!」

 

 

 

「やめて下さい、汚い…」

 

 

 

「なるほど!競争させる事でアイディアを推敲させ、その結果個性に更なる幅が生まれるワケか!さすが雄英!」

 

 

「さあ引けい!全員混ぜこせだぁ!」

 

 

虎の掛け声を機に生徒たちはペアを決めるくじ引きをひいてはいく。引いていくと跳田のペアは最近仲の良い耳郞となった。

 

 

 

「ウチ怖いの無理だから頼んだよ…桐子……」

 

 

「ま、まま、任せてくださいよ、わ、私大丈夫で、ですから!」

 

 

「ほ、本当か?それ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肝試しは始まり、既に跳田と耳郞の順番になった。ピクシーボブに呼ばれて暗闇の森林へと進んでいこうとする中であった。

 

 

 

「じゃ、次3組目…ハネタキティとジローキティ!GO!」

 

 

「うぅ~やっぱり怖いなぁ…」

 

 

「ダ、ダイジョウブダヨ、響香チャン…」

 

 

「………あのさ、お前もやっぱ怖いの無理だろ…」

 

 

「そ、そそそそんなことな、なななないよぉ!?」

 

 

「なんか…………お前見てたら怖くなくなってきたわ」

 

 

「えっ!そうですかぁ…へへへ。ま、まあ!そんなに怖いなら手を繋いであげますよ!これなら安心ですからね!決して私が不安だからとかではありませんよ!」

 

 

「はいはい、ありがと」

 

 

(今回の合宿は響香ちゃんに頼りきりでしたからね、今くらいはいいとこ見せてやりますよ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うわああああああ!!??!!!?」

 

 

跳田たちが暗闇の道を歩いていると黒髪の女の子が地面から突然にゅっと頭から出現し、跳田はビックリして叫び散らしていた。そしてそれを見て呆れる耳郞。

 

 

 

「お前が驚きすぎて驚く気にならないわ…」

 

 

「な、なんでそんなに平然としてるんですかぁっ!?ひ、ひひ人が地面から出てきたんですよぉっ!?」

 

 

 

出発する前、良いところを見せてやろうと意気込んでいた跳田だったが今の所醜態しか見せていなかった。

 

 

「はいはい、早く行きましょうねー」

 

 

「まっ、待ってくださいよぉ!」

 

 

スタート前で怖いと言っていた耳郞だったが跳田の醜態を目にし、不思議と驚く気ならなかった。

 

 

 

「あっ!見てください、中間地点ですよ!確か札を持って帰ればいいんでしたよね!私言って来ます!」

 

 

「あれ?ラグドールは?」

 

 

跳田は中間地点を見つけると先ほどまでとは打って変わって走りだす。跳田は必死過ぎて気付いていないが中間地点にいるはずのラグドールがいない。

 

 

「これを取って早くゴールに……」

 

 

「ばあっ!!」

 

 

「イヤアアアア!!!??!?」

 

 

「あー…やっぱり…」

 

 

中間地点のラグドールは茂みに隠れて驚かせようとしていたらしい。跳田は見事に引っ掛かり、叫び声をあげる。

 

 

 

「アハハ!!引っ掛かった!はい、これお札!よろしくねジローキティ!」

 

 

「あ、はい」

 

 

「桐子?札もらったよ?桐子?」

 

 

「ハイ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁー…怖すぎる…なんですかこの地獄の企画!つらいのは個性伸ばしだけで精一杯なんですけど!」

 

 

「アハハ……ん?てかなんか変な匂いしない?」

 

 

「え?ああ、確かに…」

 

 

 

突如として漂う焦げ臭いような何か変な匂い。前にいたのは爆豪、轟ペアだ。驚き過ぎて個性が暴発でもしたのだろうか。

 

 

しかし…この匂いはただの前兆でしかなかった。

 

 

「なんだろ…このけむ…り……」

 

 

「響香ちゃん?どうしたんですか?え!?響香ちゃん!?起きてください!」

 

 

(何で…!?まさかこの煙…有毒!?不味い!早くここから離れないと!)

 

 

跳田は急いで耳郞を抱え、スプリングで強化した足で跳躍し、近くの森へ逃げる。

 

 

しばらく移動するとガスのない所へなんとか着いた。

 

 

 

「響香ちゃん!?大丈夫ですか?!起きてください!」

 

 

「ケホッ…私も不味い…少し肺に入った…ぐ、手足が痺れる…。とりあえず周囲の様子を…!」

 

 

 

飛蝗を周囲に放とうとした跳田を阻む男が一人。男は手から蒼炎を出し、跳田に向けて放出する。

 

 

 

「う"あ"あ"あ"あ"っ!?」

 

 

木の陰から出てきたヴィランは蒼炎を纒い、顔がツギハギの男だった。

 

 

「あーあー…いけないなぁ。もっと周りには気を配らないと」

 

 

蒼炎は跳田の背中を焼き、火傷の痛みを跳田に感じさせる。

 

 

「なんで……ここに…ヴィランが…!」

 

 

「抵抗するなよ跳田桐子。ウチのボスがお前を連れてこいってうるさいんだ」

 

 

(相手は炎の個性で私とは相性が悪い…逃げようにも響香ちゃんを抱えたまま逃げ切れる自信がない…!どうする…!でも、響香ちゃんを守るには戦って勝つしか…)

 

 

(いや、やるんだ!勝てなきゃ私も死ぬ!戦って勝つしか道はないんだ!)

 

 

「う"っ…ぐうぅっ……」

 

 

 

『鳥籠』……!

 

 

 

身体を動かすと背中の火傷が痛む。しかし、ここでやらなければ二人とも死んでしまう。跳田は痛みに耐えながら飛蝗を操作し、まずは耳郞を鳥籠に入れ、安全を確保。それと同時に飛蝗をヴィランに向けて放つ。

 

 

しかし、それは無駄に終わる。飛蝗の大群は蒼炎によって打ち落とされ、無意味な結果に終わる。だが、耳郞の安全は確保できた。

 

 

 

「無駄だぜ跳田桐子。お前の弱点は割れてる。お前は炎にめっぽう弱い」

 

 

「うっ…あ"あ"あ"あ"っ!」

 

 

 

「となれば近接しかないよなぁ。だがなぁ、無駄なんだよ」

 

 

 

「ネホヒャンッ!」

 

 

「脳…っ!」

 

 

 

バキィッ!

 

 

 

攻撃のため男に近づいた跳田だったが、頼みの近接攻撃も突然出現した脳無に阻まれ頭をドリルのついた腕で殴打される。吹き飛ばされた跳田は頭から血を流している。それでも必死に立ち上がろうとするが身体が動かない。

 

もはやただ死を待つだけの獲物と化した跳田を連れだそうもヴィランの男が近づいている……




はい!ごめんなさい!ここで終わりです!こんなところで終わってすみません!


今回の補足

·個性伸ばし
作中でも言ってる気がしますが跳田のやっていた訓練を簡単に説明すると「二つのことを同時進行で行い、それを適切に処理しよう!」ということです。もちろんぬいぐるみ側では視覚共有をしながらやっているので、その映像の情報を脳で処理しなきゃいけない訳です。

あと、組み手ですがぬいぐるみの映像プラス自分が見ている映像を脳で処理しなくてはいけないのでガチで難しいです。


·男女平等パンチ
虎なら女の子とか関係なくこのスタンスでいくと思う。まあ、元は女の子ですから殴っててもあんまり違和感ない。


·ビビり
書いてて楽しかった。弱点は多ければ多いほどいい。


·肝試し中の耳郞さん
自分より怖がってる人がいると怖くなくなるあれ。


·荼毘
ヴィラン連合の中で一番跳田に相性がいい。近接攻撃も脳無を使うことでカバーしている。


·跳田たちのいる場所
場所的にはコースの中心部の森の中。原作で八百万さんがいたところと近い。
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