個性:クラスターセル   作:鳥松

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急に感想来るじゃん……。おかげでモチベ上がったぜ!


必殺技をつくろう(2)

 

 

あれから四日後……。

 

 

 

「ふっ!」

 

 

 エクトプラズムに向け、三人に()()の剣を振るう。左手に持っているのは戦闘訓練やインターンでも使っていたアタッシュカリバー。右手にある剣は新しく作ってもらった黄緑が目立つ剣だ。

 三人のエクトプラズムは三方向から跳田に向け攻撃する。三人の内二人は左右からの攻撃、最後の一人は跳田の背後から攻撃を行う。

 跳田はその攻撃を2つは左右の剣で受け止め、背後からの攻撃は盾を作り出して受け止める。

 

 

 

「ハアッ!」

 

 

 

 そのまま二刀の剣を回転させて振るい、三人のエクトプラズムを吹き飛ばす。すぐさま跳田は右手の剣に飛蝗を纏わせエクトプラズムに向け、放つ。

 すると剣筋をなぞるように斬撃となってエクトプラズムに飛んでいく。跳田が大きく振る程大きくなった斬撃は三人の内二人に命中し、二体のエクトプラズムは跡形もなく消え去る。残った一体は左手のアタッシュカリバーをその一体にぶん投げることでエクトプラズムの身体に深く突き刺さり、同じく消え去った。

 

 

 

「見事ダ。短期間デ、ヨクゾココマデ練リ上ゲタ」

 

 

 

「いえいえ、先生のおかげですよ。先生がいなかったら未だにボコボコにされてますよ」

 

 

 

「ソウ謙遜スルナ。既二私デハ相手二ナラン程二成長シテイル」

 

 

 

「でも以前に比べると付け焼き刃でしかないので……もっと頑張らないと」

 

 

 

「イイヤ、付ケ焼キ刃以上ノ効果ガアルヨ、仮免試験デハナ」

 

 

 

 エクトプラズムはにっこりと笑って跳田に微笑みかける。強面の彼から笑顔が見られるのは珍しいことで、跳田もこんなに朗らかに笑うエクトプラズムは初めて見た。

 

 

 

「……そう言われると嬉しいです……!」

 

 

 

「おっす、桐子。調子どう?」

 

 

 

「あ、響香ちゃん。ぼちぼちって感じだよ」

 

 

 

 そう言って跳田に近付くのは耳郞だった。どうやら必殺技の習得が一段落ついたようで手を振りながら調子を聞いてきた。

 

 

 

「あれ、響香ちゃんコスチューム変わった?」

 

 

 

「お、気付いた?いいでしょこれ。あとで見せたげるよ。てかそういうアンタも結構変わってんじゃん」

 

 

 

「良かった気付いてもらえて。戦闘スタイルを大幅に変えたからその関係で結構変えてもらったんだよね」

 

 

 

 耳郞はブーツのスピーカーの他に両手首にもスピーカーが追加されている。更にヘッドホンがつけている。入学当初こそ目立つ物こそブーツだけだったが現在は色々小物が追加されていて変化が大きい。

 跳田の変化は武器だけに留まらずコスチュームにも反映されている。濃紺のドレスシャツにネクタイ、フレンチ·コンチネンタル風のダークスーツに変更されており、全体的に黒を基調とした装いとなっている。

 

 

 更に前述した右手の武器だが名前は『プログライズホッパーブレード』と言うらしい。この武器は刃部分に飛蝗を纏わせることで推進力を付与させ、斬撃にして飛ばせるというハイテク武器だ。

 

 

 

「これすごいハイテクですごいんだ!いやぁ作ってくれた発目さんには感謝ですよ」

 

 

 

「あー…あの押しが強い人ね……」

 

 

 

「ま、まあ技術は本物だし……」

 

 

 

 この装備を作ってくれたのはサポート科1年の発目明だった。彼女の技術は確かに本物で素晴らしい物を作ってくれたが、アイテム作りに熱意がありすぎてあれやこれやと色んなアイテムを進められ本題に入るのにすごく時間がかかった。

 しかもその中には失敗している物もあったのでよく爆発していた。跳田は三回くらい爆発した。

 

 

 

「そこまでだA組!!」

 

 

 

扉を勢いよく開けて入ってきたのはB組の担任であるブラドキングだった。B組の物間しかりA組に対して当たりが強いのは何故だろう。

 

 

 

「今日は午後から我々がTDLを使わせてもらう予定だ!」

 

 

 

「ああそっか、B組も仮免受けるのか」

 

 

 

「そういえば試験の当日どうするんだろ。B組と一緒なら戦わないといけないってことだけど……」

 

 

 

 相澤とブラドキングの話によるとどの学校でも受験日や会場をずらすのがセオリーになっているらしく、A組とB組は別会場で申し込みしてあるらしい。

 

 

 

「にしても他の学校は2年生が多い中でウチらは1年で受けるんだもんなー……緊張してきた……」

 

 

 

「そっか、訓練の年季も違うし経験も段違い、さらに相手の個性は全くわからない……厳しくなりそう」

 

 

「うわ~……」

 

 

 こればかりは一年で仮免取得という他の学校でも珍しい状況なので仕方がない。とはいえ試練は乗り越えていくしかない。試験内容がそこまで厳しくないことを祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈み辺りが暗くなったころ、A組の女子たちは風呂から上がった後に寮の共有スペースにて談笑中だった。

 

 

「ふへぇぇ~~……毎日大変だァ……!」

 

 

「圧縮訓練の名は伊達じゃないね」

 

 

「あと一週間もないですわ」

 

 

「ヤオモモ必殺技どう?」

 

 

「うーん…やりたいことはあるのですが、まだ身体が追い付かないので少しでも個性を伸ばしておく必要がありますわ」

 

 

「梅雨ちゃんは?」

 

 

 

「私はよりカエルらしい技が完成しつつあるわ。きっと透ちゃんもびっくりよ」

 

 

「桐子ちゃんは?」

 

 

 

パァン!!!

 

 

 

「うわぁっ!?」

 

 

突然跳田の両手の間から何かが弾け、衝撃波が炸裂した。ソファーではなく背もたれのない椅子に座っていた跳田は後ろにぶっ飛んで倒れた。

 

 

 

「いったぁ………」

 

 

「何やってんだ………ほら大丈夫?」

 

 

 

「す、すみません……ありがとう響香ちゃん」

 

 

 

すかさず耳郞が立ち上がってひっくり返った跳田に手を差し出す。跳田もその手を掴んで起き上がった。

 

 

 

「今のなにー?!音凄かったけど!」

 

 

 

「えぇと、私の個性って壁とか大きいものなら作れるんですけど仕組みが細かくて小さい物は作れないので挑戦してみようかなと……」

 

 

 

「へぇ~……じゃあ今のは何作ろうとしてたの?」

 

 

 

「拳銃を作ってみようかなと……。携帯でパーツの設計図を調べて作ってみようとしたんですけど……弾丸すら作れなくて……八百万さんの凄さがわかりました……」

 

 

 

 実は前から考えていた武器の創造。跳田の飛蝗は形は割りと自由に変えられるがあまりに小さいものは作れない。ということであまり精密な機械などは作れないし、弾丸など小さなものは作れない。剣などは作れないことはないが切れ味のないただのハリボテにしかならない。

 今まで戦闘には使用せず、練習することもしなかったが今回の圧縮訓練を機にやってみようということだ。

 

 

 

「私の個性は構造や材質を知っていればいいので……」

 

 

「あ、確かに……」

 

 

「それと銃を使うのでしたら撃つには火薬なども必要なのであまり実用的ではないのでは……」

 

 

 

「う……確かに……」

 

 

 

「難しいんだな~……」

 

 

 

「にしても失敗したら弾けるのか……あんまり屋内でやるなよ」

 

 

 

「すみません………」

 

 

 

「それそのまま相手にぶつけたら強そうじゃない!?」

 

 

 

「あー……確かに……確か……に……?あ……」

 

 

 

「確かに!!」

 

 

 

 突然跳田が椅子から声を上げながら立ち上がる。同席している他の生徒もビクッと体を跳ねさせて驚く。

 芦戸の何気ない言葉が跳田に何か気付きを与えてくれたようだ。

 

 

 

「ちょっ、ちょっと!そっ、外行って来ます!!」

 

 

 

 跳田は突然寮の玄関に向け走りだし、そのまま外へと飛び出していってしまった。

 

 

 

「何か気付いたようね、桐子ちゃん」

 

 

 

「最近調子良さそうで安心したよねー」

 

 

 

「うんうん、というより前よりイキイキしてるから安心したよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ?緑谷君?練習ですか?」

 

 

 

「わ、跳田さん」

 

 

 

 跳田が中庭に出向くとそこには緑谷の姿が。緑谷は飛び上りながら蹴りを繰り返していた。汗だくになりながら練習している緑谷の足元にはびっしりと文字が書かれたノートがあった。

 

 

 

「それ飯田君のレシプロバースト?ああ、そっか、蹴りメインにしたんだっけ」

 

 

 

「そうなんだ!飯田君に身体の使い方を教わってスタイルを変えたんだ。そういう跳田さんも近接メインに変えたんだったよね」  

 

 

 

「うん、まあそうなんだけど……正直それ以外進んでなくて……必殺技がまだ定まってないからさ、ちょっと思い付いたことをやってみようかなと」

 

 

 

 

「体育祭で使ってた蹴り技あったよね!?それは必殺技じゃないの!?」

 

 

 

「い、いやあ…あれは正直実用的ではないというか……」

 

 

 

 緑谷が言っているのは体育祭や保須で使った『メタルライジングインパクト』である。錐形を形作りそれに飛び込んでドリルのように敵を削り飛ばす技。確かに威力はあるが生身の人間に使うには威力がありすぎて下手したら死んでしまう。それは今の跳田にとって絶対に避けなくてはならないことである。

 

 

 それ以外にもデメリットはある。飛び上がって近付いて敵に攻撃する関係上、隙は生じるし以前の中距離メインの戦闘スタイルとも合わない。『メタルライジングインパクト』の派生技である『ライジングインパクト』も同様の理由であまりいい技とは言えない。

 つまり跳田が今出来る必殺技は実用性の低いロマン技と言える。

 

 

 

「だからさっき新しい技を思いついたんだ」

 

 

 

「飛蝗は自分より小さいものに形は変えられない。無理矢理やろうとしても形を保てず弾けてなくなってしまう」

 

 

 

 跳田の指先から十匹程の飛蝗が出現し、跳田から少し離れた空中の一点で集まる。そして飛蝗は自分よりも小さい豆粒程の大きさの球体に形を変えようとする。当然安定せず、今にも弾けそうになる。

 

 

 

「この弾ける性質を利用して小さい物体を複数の飛蝗で作ろうとすれば弾ける際にかなりのエネルギーが生まれる筈……」

 

 

 

バァン!!!

 

 

 

 小さな球体から発せられるその衝撃はそのサイズに合わず手榴弾が爆発したような風圧が発生した。当然近くにいた緑谷の髪や服は風になびき、ノートに至ってはどこかへ吹き飛んでいってしまった。

 

 

 

「ああっごめんなさい!」

 

 

 

「ううん、気にしないで……それより今のは成功!?」

 

 

 

 緑谷は自分のノートよりも跳田がやったことについて興味津々のようだ。目を煌めかせながら跳田を見る。

 

 

 

「うん…!これなら近接戦闘に織り混ぜながら使えるし、威力もいい感じ……飛蝗の数を減らせば威力も調節出来るだろうし……」

 

 

 

「やったね、跳田さん!」

 

 

 

「うん、ありがとう緑谷君!というかこれどうにかして前に飛ばしたり……?」

 

 

 

 跳田は先程とは違い手のひらを自分の前に見せるように突きだし、今度はそこで球体を作る。イメージとしては某漫画によくある気弾である。

 

 

 

パァン!!

 

 

 

「痛っ……!!」

 

 

 

 手のひらで作ったからと言って漫画のように飛んでいくわけではなく球体は最初の位置である跳田の手のひらで爆発し跳田の手のひらに傷を残した。

 

 

 

「大丈夫!?」

 

 

 

「大丈夫大丈夫……!全然平気だよ。すぐ治るし」

 

 

 

 跳田の手のひらの傷はみるみる治っていき、遂には怪我をする前と変わらぬ様子まで回復した。

 

 

 

「それって……!」

 

 

 

 緑谷の頭に過るのはUSJで相対した黒い脳無だった。脳無も『超再生』という個性で欠損した腕や脚を再生していた。跳田の手のひらが治る様子がそれと重なったのだ。

 

 

 

「神野の時に色々あったんだ。あのオールフォーワンのことは嫌いだけど、ある物は全部使わないとね」

 

 

 

「でも……」

 

 

 

 緑谷はこれ以上言葉を重ねることをやめた。不必要に詮索していまうと跳田の思い出したくない記憶を呼び覚ましてしまうと考えたからだ。

 人から与えられた個性、それは緑谷も同じだった。

だから言いたいことは沢山あった。その中から一番伝えたいことを簡潔に伝えようと思った。手を跳田に差し出しながら

 

 

 

「………僕の力もさ、人から授かった個性なんだ」

 

 

 

「え……それってどういう……」

 

 

 

「だから今自分のモノにしようとしてる最中でさ……例えその個性がヴィランのモノだったとしても大事なのは使い方だと思うんだと思うんだ……その…う、うまく言えないけど……」

 

 

 

「その……一緒に、頑張ろうよ!お互い自分のモノに出来るように!」

 

 

 

 緑谷の言葉は跳田にとって気休めにしかならないし、余計なお世話だったが、その気休めは圧縮訓練の時間外ですら練習を重ね、張りつめている跳田にとっては少し、気が楽になった。

 緑谷の個性が人から授かったモノというのは少し気になるけど考えていても答えは出ないような気がして深くは考えず緑谷が差し出した手を取る。

 

 

 

「……うん、頑張ろうお互いに!」

 

 

 

「何をしとるのかね、夜中に大きな音を出して!近所迷惑だからもう中に入りたまえ!」

 

 

 

「わわっ、ごめん飯田君!」

 

 

 

「あ、確かにそうだった音量大きすぎた……」

 

 

 寮の扉が開くとそこには顔を出す委員長の飯田の姿が。跳田が思案していた必殺技の音量が大きすぎたようだ。甲高い何かが爆発したような音は確かに夜中に出すにしては大きすぎた。

 

 

 

(ありがとう……緑谷君)

 

 

 

 緑谷と二人で寮の中に入っていく。そしてその光景を暗い顔をしながら共有スペースの窓から見つめる耳郞の姿があった。その様子を見ていた芦戸が少しからかうように言う。

 

 

 

「恋だ」

 

 

「違う」

 

 

 




·新技
簡単に言うと空中に爆弾を設置出来るみたいな感じ。


·メタルライジングインパクト
よくよく考えると、生身の人間にやると死ぬじゃん!ということであまり使わない方針で……


·プログラライズホッパーブレード
久々のゼロワン要素。飛ぶ斬撃はロマン


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