個性:クラスターセル 作:鳥松
第1種目50メートル走
まずは出席番号が最初の飯田君と蛙吹さんから。
「よーい、スタート」
バヒュン!
飯田君は足についているエンジンで勢いよくスタートした。
「3秒04」
ここではすべて機械が測定して判別している。すごーい、ハイテクー。
(さすがにあの見た目からしてやっぱり足が速いな、あの個性なら蹴りをするときにも役に立ちそう…)
いろんな人が創意工夫をしながら50メートルを走るなか、跳田もどうやって50メートル走るか考えていた。
(いや、どうしようかこれ…どうやったら速いんだろうか…)
そうこうしている間に順番がやって来た。
(てかあの不良君とかぁ…まあ当たり前だけど。念のため壁張っとこ…)
手のひらから飛蝗を出し、形を変化させて自分の横に壁を張る。
「爆速ターボー!!!」
不良君は手のひらを爆発させてその勢いで進んでいた。爆発の風圧がこっちにも来てしまっていた。
(危な、壁張っといて良かったな…)
そして、創意工夫する他の生徒を見て、跳田が考えた速く走る方法は…
タッタッタッタッ…
ただ走る。それが跳田が考えた方法だった。
(思い付かないわけじゃないけどぶっつけ本番でやるには不安が多すぎるからなぁ…これが一番安全。)
次はあのモジャモジャ頭の男の子の番だったが、入試で見せたあのパワーは一切見せず、跳田と同じように走るだけだった。
(なんで使わないんだろう?デメリットが大きすぎるのかな?あ、でも入試のときも個性使ったあとは骨が折れてたな…。それが原因か。だとしたら大丈夫かな?)
第2種目握力
これも工夫できるとこはないのでただやるだけ。他の人の心配をしている場合じゃなくなってきた。
第3種目立ち幅跳び
これならいける。
「次、跳田。」
前に出て準備をする。まずは飛蝗を出して、形を変えて足場を作る。要らなくなった足場を消してその先に新しい足場を作る。それだけでもう即席の橋の完成だ。しばらくやっていると、
「跳田、それいつまでできる?」
「あー、意識がある限りずっとです。」
「そうか、じゃあ無限だな。」
「まじかよ!?無限とかあんのかよ!?これ!?」
第4種目 反復横跳び
これも普通にやる。頭に葡萄みたいなものを乗せていた生徒は弾力をつかってやっていたが、自分が作る壁はそんなことはできない。
第5種目 ボール投げ
茶髪の女の子は個性を使って私の立ち幅跳びと同じ無限というスコアを出していた。
「マジかよ!?また無限!?」
そして、私の番。まあこれは簡単だね。
「次、跳田。」
「よーし、行ってらっしゃい!」
手から5匹ほど飛蝗を出し、ボールを掴んでもらい、飛んでいってもらった。とは言っても所詮は飛蝗なので飛ぶスピードは遅い。
「跳田、それどこまでが限界だ?」
「まあ、5匹なんで700メートルくらいでしょうか。」
「じゃあ700メートルだな。」
わりかし高い記録をもらったところで、次は、問題のモジャモジャ頭の子だ。
「えぇい!」
もう後がないのに個性を使っている様子はなく、記録も46メートルと普通だった、困惑していると…
「個性を消した。まったくあの試験はつくづく合理性に欠けるよ。」
「個性を消す…?あっ!あのゴーグル、そうか!見ただけで個性を抹消する個性…抹消ヒーローイレイザーへッド!」
「イレイザーへッド…?知ってる?」
「私知らない。」
クラスの大半がその名前について知らないようだった。
「見たとこ個性の制御が出来てないんだろ。また誰かに助けてもらうつもりだったか?」
「助けてもらうなんて…」
「個性は戻した。ボール投げは二回。さっさと済ませろ。」
そう言ってボール投げを再開し、ぶつぶつとなにかを言いながら振りかぶって、
「スマッシュ!!!!」
かけ声と共にボールをブッ飛ばした。結果は700m超えの大記録。
「先生…! まだ…動けます」
緑谷は指の痛みに涙を浮かべるが、変色して腫れ上がった人差し指すらも握り込み、力強い拳を作って相澤にアピールする。相澤も思わず目を見開きニヤリとする。しかし……
「どーいうことだ!ワケを言え!デクてめぇ!」
そこに一人ブチ切れた爆豪が右手を爆破させながら緑谷に襲いかかる。だが彼は、一瞬で相澤に捕縛された。
「炭素繊維に特殊合金を混ぜ込んだ捕縛武器だ。ったく、何度も個性使わすなよ・・・俺はドライアイなんだ。時間がもったいない、次、準備しろ」
第6種目 持久走
まあこれもただ走るだけ。途中から飯田君が爆走してきたり、バイクに乗った子がいたりと個性を使わずやるより実に飽きない持久走だった。
第7種目 長座対前屈
ちょっと反則気味だが良いやり方を思い付いた。まず、通常通りやる。そのあとは手から飛蝗を出し、飛蝗同士を前後で繋いで距離を伸ばす。こうすれば30メートルぐらい出来ると思ってやってみたのだが、
「ぐっ、ぐぐぐぐ」
「1メートル20センチ。」
飛蝗を前後で繋いでバランスを保つのが難しくて、全然できなかった。
(まあ今後の課題かな…これは。)
第8種目 上体起こし
飛蝗に体操服を上から掴んでもらい、少しでも回数を稼げるようにする。もともと筋力は人並みなので、そこまでの記録は期待してない。
「記録、45回。」
まあまあの結果になった。女子の記録と考えれば上々だろう。そして、これにて全8種目の個性把握テストは終了した。最下位の20位は除籍処分。あの結果なら最下位は間違いなく彼だろう。
「んじゃ、パパッと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括表示する…ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」
相澤はハッと鼻で笑いながら結果を表示する。その言葉に多くが『はーーー!!?』と叫ぶ。だが、一部の生徒はソレに気付いていたようだ。
「あんなのウソに決まっているじゃない…ちょっと考えればわかりますわ……」
「そゆこと。これにて終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類あるから目ぇ通しとけ」
(結構本気っぽい感じで言ってたけど嘘だったのか…先生演技うまいな…)
そんな跳田の順位は全体の9位。慣れないことばかりやったが、こんなものだろう。それにトップ2の二人は色々と規格外だったからまあ仕方がない。
(この人たちとこれからヒーローになっていくのか。ちょっと心配だけどきっと戦闘訓練はあると思うから、それだけは、ちょっと、楽しみだな。)
ヤバい…。戦闘訓練がもうすぐ始まっちまう…。コスチューム…戦闘描写…ウッアタマガッ…
あ、ちょっと言い訳させてほしいのが今回個性使って大記録!みたいな感じにしたかったんですが、案が全然思い付かなかったのであんな感じになりました。違うんや…この個性の強いところはそこじゃないんや…スポーツテストじゃ生かしづらかったんや…