個性:クラスターセル   作:鳥松

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頑張ります。


戦闘訓練

 オールマイトの初めてのヒーロー基礎学は、屋内での対人戦闘訓練であった。生徒は『ヴィラン組』と『ヒーロー組』の2対2のコンビに分かれて屋内戦を行う。

 

 状況設定は『ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事。ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事』である。

 

 核兵器の回収はタッチする事。捕まえるには捕縛テープを相手に巻き付ける必要がある。そして、ペアを決める方法はクジ。だが、

 

 

(ん?これってまさか…)

 

 

 

「先生!A組は21人!このままでは一人余ってしまいます!」

 

 

 

飯田君がいつも通りハキハキとした声で抗議した。

 

 

「安心したまえ、飯田少年!そんなこともあろうかとクジのなかに星マークが書かれているものを入れた。これを引いた人は最後に他の人と組んでやってもらう。まあ、例えば、そのときのペアは……私が選ぶことにする!」

 

 

 

(なんか猛烈にいやな予感がしてきたな…ま、まあ確率は21分の1だし、そんなピンポイントで当たることなんて…)

 

 

 

「星マークを引いた人は…跳田少女か!では跳田少女は最後の番になるな!」

 

 

 

(ありました。引きましたよ、見事に。そんなことある?ピンポイントで引くなんて…)

 

 

 

 跳田はショックのあまり四つん這いになって悲しんでいた。

 

 

「は、跳田さん…そんな悲しまなくても…。」

 

 

 茶髪の女の子が心配して話し掛けてきた。名前は確か麗日だったろうか。

 

 

「うっ、ありがとう麗日さん…やさしいんだね…。」

 

 

 危うく泣きそうになってしまったが、なんとか踏みとどまった。すると麗日さんは照れ臭そうに言った。

 

 

「い、いやぁ~そんなことないよ~。」

 

 

 

「よし、ペアも決まったところだし、早速訓練、初めていこうか!!」

 

 

 

 第1試合からド派手な戦いとなり、爆豪君が大爆発を起こしたり、緑谷君が一階から上の階の床を全部ぶち抜いたり、彗星ホームランだったりと盛りだくさんだった。他の試合も見応えのある戦いばかりだった。特にビックリしたのは轟君と障子君の試合。轟君が一瞬でビル全体を凍らせ、開始から一分ほどで試合が終わってしまった。対戦相手の尾白君と葉隠さんはちょっとかわいそうだったが、順調に試合は終わって行き、気づけば私の番だった。

 

 

「さて、次は最後の跳田少女の番だな!じゃあペアは…一瞬で勝負がついてしまったから、轟少年のグループから出そう!相手は葉隠少女と尾白少年。跳田少女のペアは障子君にしよう!」

 

 

 

 対戦相手が決まり、ペアは障子君。先程の試合を見る限り目や耳を使った索敵が得意そうだ。陣営はヴィランチーム。

 

 

「よろしく…障子君。」

 

 

「ああ、よろしくな跳田さん。」

 

 

 初めて喋る相手なので緊張したが、普通に喋ってくれそうな人だった。

 

 

「じゃ、じゃあ作戦考えようか。まずは個性の詳細を教えてくれないかな…。」

 

 

「そんなかしこまらなくて大丈夫だ。俺の個性は『複製腕』簡単に言えば目や耳などを腕に複製できる。索敵に使えるだろう。」

 

 

「えっと、私は『クラスターセル』金属の飛蝗を出せる。飛蝗は形を変えたり、視覚を共有できたりできるよ。」

 

 

「そうか、ならお互いの索敵能力を活かして奇襲をかける作戦で行こう。だが、問題なのは葉隠だ。」

 

 

「う、うん。透明だから私の飛蝗も見えないし、不確定な要素があると奇襲は成功しにくいから…」

 

 

「なら俺が音で探そう。だが、俺の個性は戦闘能力はあまり高くない。奇襲の攻撃を任せていいか?」

 

 

「うん。私は戦える個性だから私が攻撃するね。それと、これを試すいい機会だから。」

 

 

「それは…アタッシュケースか?」

 

 

「まあ、そんな感じ。でもこうやって開くと…」

 

 

「なるほど、それはいいな。では、攻撃を頼むぞ。」

 

 

「うん!あ、あとこれ!」

 

 

「これは…」

 

 

「無線機!葉隠さんの位置はこれで知らせて。」

 

 

「よし、わかった。お互い頑張ろう。」

 

 

 私は頷いた。障子君は核のところはへ行き、私はその場所にとどまった。

 

 

 場所は変わり、尾白、葉隠ペア。

 

「障子君は索敵が得意そうだし、奇襲をする作戦で来ると思う。」

 

「じゃあどうするの?尾白君。」

 

「そうだな…まず二人の個性からみていこう。障子君は目や耳を腕に複製する個性だと思う。この個性だと戦闘能力自体はあまりなさそうだ。次に、跳田さんの個性だけど、個性把握テストで、彼女は小さい飛蝗を出していた。そして、立ち幅跳びで足場を作っていたところをみると、形を変えることもできそうだ。」

 

 

「ふむふむ。」

 

 

「でも、小さい飛蝗を出すだけなら、戦闘能力は高いと言えないはず。つまり曲がり角やドアを開けた先をしっかりクリアリングすれば奇襲のリスクは大分下がると思う。」

 

 

「うんうん。じゃあ私は何をすればいいの?」

 

 

「葉隠さんは、僕が二人のどちらと戦闘になったときに隙をみて核がある場所に向かってほしい。戦いになったらどのみち大きな音はなるだろうから近づけるはずだよ。」

 

 

「りょーかい!」

 

 

「じゃあ慎重に行こうか。葉隠さん。」

 

 

「うん!行こう!尾白君!」

 

 

二人は方針を決め、訓練へと赴く。

 

 

 

「それでは、最終試合、始め!」

 

 

 オールマイトが始めの合図をしたと同時に二人はビルの中に入っていった。

 

 

「障子君、聞こえる?二人は中に入ったよ。」

 

 

『聞こえている。葉隠の姿はあるか?』

 

 

「いや、見えないよ。そっちは?」

 

 

『微かだが二人の足音が聞こえている。尾白と葉隠は一緒に行動しているようだな。』

 

 

「わかった、二人が別行動したのがわかったら教えてくれる?」

 

 

『了解した。』

 

 

 

 ビルの至るところに待機させた飛蝗と視覚を共有し、二人の行動を監視する。飛蝗が数匹いたところで見えにくい場所なら気付かれにくい。あとは設置するだけで即席の監視カメラの完成だ。

 

 

(二人はまだ二階にいる、障子君からの連絡はないから別行動もしてない。)

 

 

 二人は見る限り奇襲を警戒し、クリアリングを念入りにしている。こちらの作戦をある程度読んでいると思ったほうが良さそうだ。

 

 

 そんなことを考えていると、そろそろ待機している三階に来そうだ。

 

 

(そろそろ三階…相手が奇襲をかけるならこのタイミングだろうけど…。)

 

 

 尾白と葉隠の二人は慎重に核のある場所に向かっていた。障子が音を聞いていることを前提として会話をしないようにしている。

 

 

(ドアを開けるタイミングで奇襲をかける可能性がもっとも高い。ならばドアごと攻撃してぶっ壊す!)

 

 

バァン!

 

 

攻撃しながらドアをぶち破り部屋に入るが、

 

 

「!?」

 

 

そこには誰一人いなかった。

 

 

尾白が辺りを見渡していると、

 

 

ガシャァン!!

 

 部屋の左側に付いている窓から跳田が飛び出してきた。突然のことで二人の反応が遅れる。二人が固まっている間に跳田は手にもっているショットガンを発砲した。

 

 

 放たれた弾は尾白に着弾し、弾けた。すると中から無数の飛蝗が飛び出し、尾白を囲むように広がった。

 

 

(なんで窓の外から…!それにこれは…)

 

 

「攻撃しろ、飛蝗。」

 

 

跳田がそう言うと飛蝗は尾白に突撃し、突進を喰らわせる。

 

 

「ぐっ」

 

(ひとつひとつはたいしたダメージじゃないけど、数が多い!なら!)

 

「尾空旋舞!!!」

 

 尾白は体と尻尾ひねらせ、周りの飛蝗を自分に寄せ付けないように散らし、跳田のほうに向かっていく。

 

(このまま攻撃…!)

 

 

跳田に近づき、尻尾を使って攻撃するが…

 

 

ガァン!

 

 

「これは…!」

 

 

跳田は飛蝗の形を壁のように変化させ、ガードした。

 

 

「まだまだっ!」

 

 

そのまま尾白は攻撃を繰り返すが全て的確な位置に壁を出され、ガードされる。

 

 

(見切られてる!?くそ!)

 

 

尾白は負けじと攻撃を繰り返すがガードされ、突然壁がなくなったと思うと、ショットガンを構えた跳田が現れた。

 

 

「まずっ」

 

 

ズドン!

 

 

攻撃の隙に放たれたショットガンを対処できず、尾白は後方へぶっ飛んだ。

 

 

「ぐっ」

 

 

(強い…!しかも最初の攻撃のときにドアが塞いでる!これじゃあ葉隠さんが核のところに行けない!)

 

 

(ということは核に行くには跳田さんを倒すしかない!)

 

 

 

「尾白君!私が隙を作る!尾白君はその時に攻撃を!」

 

 

「わかった!」

 

 

葉隠は打開する策を思い付いたのか尾白に声かける。

 

 

(仕掛けて来る!)

 

 

跳田が攻撃に備えると、葉隠の体が光出した。

 

 

「うあっ!」

 

跳田自身はサングラスを付けていたが、飛蝗と視覚を共有していたせいで、光をモロに喰らってしまった。

 

 

「はああぁっ!」

 

 尾白はその隙に跳田に尻尾を使い跳田の首もとに攻撃した。普通の人間なら気絶してもおかしくはなかったが、跳田は攻撃の直前に飛蝗との視覚共有をやめて視力を確保。直前で攻撃をガードすることに成功した。しかし、ガードが不十分だったため、跳田は大きくふっ飛んだ。

 

 

『おい!跳田!大きな音がしたが大丈夫か!?返事をしろ!おい!?』

 

 

 

(痛った…。くそ、間に合わなかったか…)

 

 

(ああ…でもこの感じ…少し楽しいな…。)

 

 

(くそ!まだだめか!)

 

 

 無線機の通信など意に介さず跳田は立ち上がったが、その表情は急所に攻撃を受けたにも関わらず恍惚としていた。そして、飛蝗と視覚を共有している目は少し赤みがかっていた。

 

 

「やるね…ならもっと!いこう!」

 

 

 そう言って跳田は先程よりも多くの飛蝗を出し、無数の棘に形を変え、部屋を埋め尽くすほど棘を伸ばした。

 

 

「葉隠さん!」

 

 

 跳田が棘を伸ばして攻撃する直前、尾白が葉隠を庇おうと葉隠のもとに向かったが間に合わず、二人とも棘でふっ飛んでしまった。

 

 

『おい!跳田!大丈夫か!?』

 

 

「ハッ、え?しょ、障子君?何?ど、どうしたの?」

 

 

『どうしたもこうしたもお前が戦闘に入って大きな音がしたと思ったらお前からの連絡が途絶えて…』

 

「え?あっそうだ、あの時攻撃を喰らって…あのあと…」

 

 

「しゅーりょー!ヒーローチーム両者気絶により、ヴィランチームの勝利だ!障子少年と跳田少女は戻って来て!ヒーローチームの二人は担架で保健室へ!」

 

 

「え?終わり?二人は…え?」

 

 

「これは…」

 

障子君が上の階から降りてきて状況を確認した。

 

 

「え?これ、私が…?」

 

 

「大丈夫、気絶してるだけだ。だが…これは少し…やり過ぎだったな…。」

 

 

「う…あとで謝ろう…。」

 

 

(それにしても私なんで記憶が少し抜けてるんだ?攻撃されたあと何があったんだ?なんであんなに楽しい気分だったんだろう…?)

 

 

この戦いが終わってからほんの少し、ほんの少しだけいつも頭の中に響く声が小さくなったことは跳田自身も知らない。




 少し中途半端ですがここで終わります。初めて書いてみましたが戦闘描写はどうでしたか?跳田ちゃんが何してるか想像できましたかね…。ゼロワンを見たことある人なら出来ると思いますが、初めて見る人とかわかるんですかねこれ。
 話は変わりますが今回跳田ちゃんが持ってた武器はアタッシュショットガンです。ゼロワンはいろんな武器が活躍してますが、その中でも少し出番が少なかったアタッシュショットガン。私はわりと好きなんですけどね…これからは他の武器も出していく予定です。ちなみにサウザンドジャッカーはさすがに出せません。

追記
文が読みやすいように文頭を一文字分あけました。他にこうして欲しいとかあったら教えてください。本文もちょっと手直ししました。
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