とある別世界の魔法使い達   作:雨宮茂

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妖精の瞳

 伊庭くんって今日学園都市に来たの?」

 

 「はい、会社ぐるみで急に」

 

 「外の会社? どんな会社なの?」

 

 外から来た。御坂美琴、この少女もその項目に反応する。いつきはこの疑惑の視線を知っている。ファミレスで出会った四人の仲のいい女の子たち。その一人である麦野沈利という少女はもっと睨むくらいの迫力だったが、目の前の御坂はただ不思議そうにしていた。

 

 「いやぁ、僕もよく知らないんだよね」

 

 「ふーん。親の事業か。後を継ぐなら今の内に勉強するんじゃないの?」

 

 実際は彼が魔術結社〈アストラル〉の社長だが、この科学のオンパレードで魔術の単語はどうも言い辛い。それにここでの身の振り方をまだ模索中なのだ。曖昧に誤魔化したら、自分より年下の女の子に諭された。情けなくて乾いた笑いをしながら頭を掻く。

 

 「ははは、言う通りです。それじゃ、連れがいるのでさよなら御坂さん」

 

 「そう? なんだったら携帯のアドレス交換する? どうせこの街のことよく知らないんでしょう」

 

 「ありがとう。でも僕の携帯ここで使えないんだ。だからまたの機会で」

 

 手を振って、その場を去ろうと背を向けたと同時に、爆発音が当たり一帯に響き渡った。

 

 びっくりして音源のほうに振り向くと、銀行のシャッターが爆発で捲れ上がっていた。形を見て、内側からの爆発だと直ぐに気づいた。

 

 そして顔を隠した三人組の男が黒い煙の中から飛び出してきた。

 

 「ご、強盗!? どうしよう、警察に電話、使えないんだった携帯」

 

 「心配ないわよ。そうでしょう黒子」

 

 「そうですわね。三分くらいで終わりますので、お姉様は絶対に関わらないで下さいまし」

 

 ツインテールの女の子は鞄から腕章を取り出すと、素早く制服に装着する。

 

 その時見えた文字にいつきは首をかしげた。

 

 「風紀委員?」

 

 それは学校の風紀が乱れていないか取り締まる存在ではなかっただろうか。その存在がなぜ強盗に立ち向かうのか分からず、呆気に囚われていると御坂が笑って黒子を指差した。

 

風紀委員(ジャッチメント)って言って黒子はそれに所属してるの。強制じゃなくて自主的に参加なんだけど、試験に合格したら漸く名乗れるの。アイツは強いから心配しないで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は、白井黒子が強盗を倒したところに戻る。

 

 「そちらの方、大人しく自首するなら無駄な戦闘は行いません。今すぐ盗んだ物をお渡しなさい」

 

 「くっそ! お前はこれを持って逃げろ!」

 

 改心を求めた白井の言葉を無視して、男はナイフを取り出す。どうやら能力者は今倒れている発火能力(パイロキネシス)のリーダーだけらしい。

 

 その無謀ともいえる行いに、白井は腰に手を当てどうしようもない馬鹿を見るような目をした。

 

 太もものベルトから一本、鉄の矢を取り出す。それだけで男は竦みあがった。

 

 「ほら、お止しなさい。私もいい加減この手の説得は無意味だと思っておりますので、掛かってきたら問答無用で実力行使ですわ」

 

 「う、わあぁぁぁぁ!!!」

 

 「はぁ……」

 

 男は切迫する叫び声を上げ突撃してくるのに対して、白井はため息をついた。

 

 鉄の矢をしまうと、軽くステップを踏んで、身体を素早く回転させる。美しい型の上段回し蹴りは男の顎に吸い込まれるようにヒットした。

 

 白目を向いて倒れた男からナイフを奪い、辺りを見渡すと最後の一人は子供を人質に取ろうとその腕を掴んでいた。

 

 「こっちに来いガキ!」

 

 「助けてお兄ちゃん社長!」

 

 捕まった女の子は薄桃色の髪をした、どこか巫女服をアレンジを加えて物を着た特徴的な子だった。

 

 そして、その助けを求める声にいち早く反応したのは、

 

 「みかんちゃん!!」

 

 いつきだった。なにも考えず走り出した彼を、御坂は止めることができず見送る形になる。

 

 「ちょっと伊庭くん! ったく、黒子にはあとで謝るか……」

 

 彼女はポケットの中からゲームセンターにありそうな一枚のコインを取り出した。

 

 後ろに居た黒髪の女の子、佐天涙子は不思議そうにコインを指差す。

 

 「御坂さん、それをどうするんですか?」

 

 「まぁ、見てなさいって」

 

 銀色の表面がきらりと光った。佐天が空中にコインが打ち上げられたと気づいたときには、いつきはみかんを人質にとった男と対峙していた。

 

 「みかんちゃんを放してください!」

 

 「こっちに来るな!」

 

 ナイフの先をいつきに向けて、男は怒鳴る。

 

 歩道と車道の間にポールが無いことをいつきは感謝した。これなら、相手の懐に一気に入り込める。例え自分が斬られても、みかんは守れるだろう。

 

 気づかれないように、脚に力を込める。一瞬で音を超える師・隻蓮(せきれん)には遠く及ばないが、一般の人間には負けることはない。

 

 男が後退することに僅かの間、気を取られた瞬間、いつきの眼帯に覆われた右目は針で突かれたような痛みを訴えた。

 

 それは魔法を感知した時の痛み。仲間の誰かが魔法で援護してくれているのかと思ったが、それは違うと右目が告げた。

 

【……ナンダ、アレハ】

 

「い、た……」

 

 右目が捩れた。知らないものを認識して、視ようとする。意識を侵食しようとまではしないが右目はなにかを見ていた。そにも伝わる。

 

 右目、妖精眼(グラムサイト)の視線の先には、今まさにコインを弾いた御坂がいた。

 

 そして視線は光の速さで迫る一本の軌跡を追う。それは魔術という訳ではないはずだが、右目は光の速さとどこを通過するのかを完全に把握していた。いつきも同時に理解する。彼女が何を目掛けて撃ったのか。

 

 そして、いつきの頭の中にとある単語が浮かんだ。

 

超電磁砲(レールガン)

 

 磁力で打ち出されたコインは正確にナイフを吹き飛ばす。極限までに威力を抑えられた一撃は、男を傷つけることは無かった。

 

 予想を遥かに上回る状況に男が放心しているのをいつきは逃がさなかった。力強く踏み込み、拳を振るう。

 

 五行拳。

 

 五つの属性を理解し、その力を身体に循環させることにより威力を増す中国の体術。旧アストラルの契約社員、隻蓮に教わったものの一つだ。

 

 身体がすっと反応する。腰と脚を絞りアッパーカットを連想させる動きで男の顎を打った。

 

 腕から全身に染み渡る反動が、敵を倒したことを教えた。ぐらりと揺れ、崩れ落ちた男の腕からみかんが逃れると目に涙をためたみかんがしがみ付く。

 

 「うわぁぁぁぁん!! 恐かったよぉ!」

 

 「みかんちゃんもう大丈夫だよ。ほら、泣かないで」

 

 やさしく桃色の髪を梳く。

 

 そうするだけで、みかんは泣き止み大きく空気を吸い込む。

 

 「うん、ありがとお兄ちゃん社長」

 

 「おーい!! 大丈夫だった伊庭くん?」

 

 みかんを抱きしめたまま、声のする方角を向くとシャンパンゴールドの短い髪をした女の子が元気に手を振ってやってきていた。

 

 「あ、御坂さんさっきはありがとう。おかげで助かりました」

 

 「そんな、ただのお節介だったみたいじゃない。伊庭くんかなり鍛えてるんだね? さっきのアッパーカットすごかったよ」

 

 照れたように笑いながら、御坂はいつきの手を指差した。

 

 彼女が言いたいことが分かった。確かにいつきは体術を学んでいる。そこらの人よりは、体の動かし方のどは熟知しているつもりだ。しかし、一般の人にさっきの動きが鍛えていると思われたのは初めてである。普通の人の前でこうして使わなかったというのも、一つの要因かもしれないが。

 

 「い、いや御坂さんがしてくれた援護に比べれば、僕なんて………」

 

 これは本心だった。

 

 「ああ、超電磁砲(レールガン)ね。そりゃそうよ。あれは〈電撃使い〉の中でも私だけがつかえるんだから。コインを音速の三倍の速さで打ち出すと、さっきみたいなのが撃てるってわけ」

 

 「お、音速の三倍!!?」

 

 「ねぇ、それって速いの?」

 

 絶句するいつきの腕にみかんがぶら下がりながら訊ねてみるが、答えは返ってこなかった。

 

 どうにも先ほどの発言に、みかんの声がシャットアウトされたらしい。

 

 「音速の三倍。やっぱりすごいや学園都市って。能力者ってみんなそうなの?」

 

 「それは」

 

 「それは違いますわ!」

 

 いつきと御坂の間の空間に割り込むようにして白井黒子が現れた。

 

 「ふふふ、お姉様は学園都市が誇るLEVEL5!しかも地位は第三位という御方! 常盤台のエースとはこの、あだっ!?」

 

 「いい加減にしなさい! ごめんね伊庭くん。こいつってたまに暴走するの。でも悪い奴じゃないのよ?」

 

 「御坂さーん最後が疑問系ですよー。気持ちは分かりますけど」

 

 頭に花飾りを付けた女の子は、後頭部を叩かれた白井を労わる訳でもなくそっと針を刺した。

 

 「うーいーはーるぅー。貴女最近、敬いというものが欠けていますわよ?」

 

 「えー、そうですか? ちゃんと先輩として敬ってますよ。だって今回の犯人逮捕は白井さんが大活躍だったじゃないですか」

 

 初春という少女の絶賛に白井は暗い影を落とした。

 

 「そうでもないです。わたくしの慢心でそこのお嬢さんに怖い思いをさせましたし、お姉様が居なかったらどうなっていたことか」

 

 悔やんでも悔やみきれないという表情で俯いてしまった白井に、その場の者は掛ける声を失った。

 

 そこに、まだ子供の高い声が静かに響く。

 

 「ありがとうお姉ちゃん!」

 

 それは屈託のない、なんの悪意も込められていない純粋な言葉だった。

 

 自分のことを気にしてくれた人にみかんは、持てる限りの想いを尽くし、この言葉を選んだ。

 

 「そんな……、こちらこそありがとうございます」

 

 「よかったですね白井さん。それじゃ、警備員が来るまで私たちが見張りしないといけませんから、先に帰ってください」

 

 初春はいつきとみかんに手を振って別れを告げた。白井を引き連れ出動していった後姿を見送る。

 

 ちょうどそこに、鈴を振った声がいつきの名前を呼ぶ。

 

 「イツキ大丈夫ですか?」

 

 「アディリシアさん?」

 

 振り返った先には、黄金の縦ロールを翻し黒いドレスには金糸銀糸が彩り複雑な紋様を描く。白くきめ細かい肌に、宝石と見間違うほど美しいエメラルドの瞳がいつきの周りにいる見覚えのない少女を捕らえる。彼女こそ、古代ユダヤ史上最高の王と歌われたソロモンの末裔であるアディリシア・レン・メイザース。

 

 始まりの異形を今に残す歴史の奇跡は、こうして結晶と化していた。

 

 彼女に流れる時間と積み重なってきた王の気質が御坂達を圧倒する。遠目から見ても視線を集める容姿だが、近くで見ると同性でも見惚れてしまう。太陽の下でも負けずに輝く黄金の髪を後ろに掃いアディリシアは、いつきにデコピンを喰らわせた。

 

 「あ痛!」

 

 「まったく、イツキにはトラブルを吸引する力でもついているのですか? 一度御祓いでも受けることをお勧め致しますわ」

 

 「無理だよアディリシアお姉ちゃん。きっと猫屋敷さんにもお婆様にも祓えないよ。だったこれ性格だもん」

 

 「もっと正確に言うならば、悪癖に近いでしょう。今回は純粋に被害者ですが」

 

 少女にもボロボロに言われ凹んでいるいつきに御坂は肩を叩く。

 

 「ねぇ伊庭くん。この人知り合いなの?」

 

 「ごめん紹介が遅れたね。えっと」

 

 どこから話そうか悩む前に、アディリシアは片手を上げていつきを制した。

 

 「自己紹介くらいは自分で。始めましてアディリシア・レン・メイザースです。この度は彼とミカンを助けて頂いてありがとうございます。学園都市には投資家として参入しております」

 

 「わー、お姫様みたい……。日本語お上手なんですね。私は佐天涙子です」

 

 「よろしくメイザースさんでいいのかな? 私は御坂美琴。伊庭くんが言ってた会社の人ですか?」

 

 会社の一言にアディリシアは難しい顔をした。

 

 「私は大株主ですから間違いはないですわ。あとアディリシアで構いません。私はミコトと呼ばせてもらいます。ルイコもよろしいですわね?」

 

 「え、はい。大丈夫です!」

 

 「名前で呼ばれた……。うんそれじゃ、よろしくねアディリシア!」

 

 初対面だというのに、いきなり下の名前で呼ばれても不思議と嫌なものではなかった。引っ張るような惹きつける目に見えない力が、この魔女にはある。それはカリスマと言われるものだろう。

 

 「アディリシア様こちらにいましたか。車の準備ができております」

 

 「あらダフネ。思ったより早かったですわね」

 

 折り目正しく、無駄のないお辞儀にアディリシアは頷き、男性用のスーツを着た麗人ダフネの登場にまたもや御坂たちは固まった。

 

 御坂はお嬢様学校で知られている常盤台中学の者だが、ここまでダークスーツが似合い、ここまで令嬢もしくは姫という形容詞が似合う人を見たことがない。側につき従う従者が揃い、アディリシアの気質が際立った。

 

 いかにも人の扱いに慣れえている。

 

 「それでは参りましょう。ミコト達も来ます? と言っても直ぐに屋敷に案内することはできませんが」

 

 「いいの? それよりどこに行くのよ?」

 

 「そう言えば、学校に書類を届ける途中だったね。時間は大丈夫なの?」

 

 不安そうに腕時計を見るいつきにダフネは大丈夫だという。

 

 「よかったねお兄ちゃん社長! それじゃ早速行こう美琴お姉ちゃんに涙子お姉ちゃん」

 

 みかんが二人を引っ張り黒塗りされたベンツまで連れて行く。学園都市で出来た新しい友達ということで、はしゃいでしまっているらしい。

 

 その和む風景を見送って、いつきはアディリシアに疑問をぶつけて見た。

 

 「どうして御坂さん達を誘ったの?」

 

 「簡単な話です。あの風紀委員(ジャッチメント)が言ってましたが学園都市第三位、御坂美琴。それが確かならどこよりも情報は確かですし、なにより」

 

 そこで、言葉を区切りアディリシアは一気に言い放った。

 

 「イツキあなたの右目、超能力に反応しましたわね?」

 

 「う、うん」

 

 「具体的にはどうでした?後遺症などは?」

 

 具体的に、それはいつきにも分からない。あの右目さえ―――――

 

 【……ナンダ、アレハ】

 

 知らなかったのだから。魔法、魔術、神の神秘に反応する神代の魔眼、〈妖精眼(グラムサイト)〉は魔の法則で組み上がったものをなんであれ看破する。見抜く。理解する。

 

 それが反応してなお、理解できなかった。

 

 分からないと、首を横に振る。

 

 「具体的には分からない。右目が知りたがってた。あと、後遺症は心配しなくて大丈夫だよ。なんともないから。……気になるんだけど」

 

 おずおずといつきは訊ねたがアディリシアは既に自分の思考の海にダイブしていた為に、ダフネが応えた。

 

 「どうしましたいつき様」

 

 「学園都市第三位ってすごいの?」

 

 プッツン、と音を立てて何かが切れた。

 

 それは髪も肌も、瞳の色さえ漂白されたダフネから発せられて訳でなく、その隣にいるアディリシアからだった。

 

 錆びた人形のように、ぎこちなくアディリシアがいつきに振り向く。その表情は呆れではなく、憤怒だ。

 

 「イツキ、第三位というだけで上から三番目と理解できるでしょう? それが学園都市規模ですのよ!? つまり、学園都市の虎の子の一人! 価値としては非常に高いのです!」

 

 「はいぃぃ!! 分かったから呪力を収めて!」

 

 小動物顔負けで震える姿に、今度こそ呆れアディリシアはいつきを先に車へ行くように促した。

 

 「もう。私は直ぐに行きますから、もう先に行っててくださいまし」

 

 「はい、ごめんなさい」

 

 小さくなる背を見送りアディリシアは自慢の片腕であるダフネに意見を求めた。

 

 「どう思います?右目が超能力に反応したことは、疑いようがないみたいですが」

 

 「気になるのは、右目が御坂様だけに反応したことです。先ほどの戦いで能力を使ったのは、強盗と風紀委員の二名もでした。しかしいつき様の右目は反応していないようでした」

 

 「ええ、そこが気になります。能力のLEVELに反応したと見るべきでしょうか?」

 

 主の結論にダフネはそっと引き下がって意見する。

 

 「では、能力の発生並び関連事項を調べるほかないですね。結論はそのあとでもよろしいのでは?」

 

 この聡明な主は、いつきの事となると少々視界が狭くなる傾向がある。それは惚れた弱みであり、あの若い社長が無茶をして生死の境に跨った数が、魔法使いに関わるだけで増えるからだ。

 

 危険な芽は早々と摘み取っていきたいのよく分かる。

 

 「さて、協会からの急な派遣に学園都市。まさか協会がこの科学の世界と協定を結ぶために〈アストラル〉を異動させたなら、協定を結んでいる〈ゲーティア〉も見逃せませんわ」

 

 だが、同時に〈アストラル〉は魔法業界でもっとも動かせやすいのだ。一個の魔術系統に拘らず、社長はほとんど魔術に関して素人。しかし人材は一品。

 

 この箱庭にある霊脈(レイライン)の管理を押し付けてきたのだ。まだなんの色にも、魔術の特性に染まっていないそれは魔法使いにとっては宝だ。しかし学園都市は魔法業界と水面下でにらみ合っている。

 

 魔法使いの一派が下手に入り込めば賊と思われ、宣戦布告と捉えても文句は言えない。だから平和の使者。

 

 よく言う親善大使に〈アストラル〉は選ばれた。汚れ役を押し付けられてと言っても過言でない過酷な現実でもある。

 

 きっと今頃外の魔術業界からは〈アストラル〉への誹謗中傷が蔓延しているに違いない。

 

 科学に加担した、と。

 

 そうならない為にアディリシアは〈ゲーティア〉を率いてここに来たのだ。

 

 協会から最高の位を認められたAAAランクの結社が参加すれば、ほとんど閉口するしかない。〈アストラル〉に喧嘩は売れても、古代イスラエルの王。ソロモン王の血と魔術を受け継ぐ〈ゲーティア〉には逆らえないのだから。

 

 ペンダントにした五芒星の護符を握り締めアディリシアは誓った。

 

 この平穏を守るために、自分は彼らの盾になろうと。

 

 その、まだ小さな背中をダフネは支えた。

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