ようこそペルソナ的人間模様が繰り広げられる教室へ   作:行天

1 / 41
生暖かい目で、作者の妄想に付き合っていただければ幸いです。


第1章 実力至上主義の学校
入学


 それは、失意と義憤から始まった。

 生まれ故郷から追われるかのように始まった。

 最初に降り立ったのは、小さな喫茶店だった。

 奇異な目、懐疑的な目を向けられて始まった学校生活。

 しかし、彼は抗った。

 蔓延る理不尽に、偽りの悪しき正義に。

 そして、出会いを重ねた。

 苦楽をともにした仲間たちと。

 やがて彼は、彼らは反逆の翼となった。

 そして、迎えた大団円(ハッピーエンド)

 

 

 しかし、彼は思った。

 もし、別の人生があったのなら、今度は恋人がほしいと。

 そう、彼は仲間たちと絶大な信頼関係を結んだが、特定の誰かとは深い間柄にはならなかった。

 後悔は残らなかったが、欲望が残った。

 だからこそ、願ってしまった。

 

 そして、その願いを面白そうという理由だけで叶えてしまった存在がいた。

 

 これは、完結した未来から始まる平行し交差した過去の世界の物語。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

 

 4月

 桜彩る季節。

 春から通う東京都高度育成高等学校に向かうバスに乗り、座席からぼんやりと窓から見える景色を眺めている。

 

 無為な時間を過ごしているとバス停を通過するたびに人が増えていることにふと気づく。

 サラリーマンやOLらしき大人もいれば、同じ制服を着た学生もちらほら見受けられる。

 

 ご年配の女性が立ったままでいるな…。席を譲ろう…。

 

 

《主人公の優しさが磨かれた!》

 

 

 しばらく再びぼんやりと外を眺めていると、同じ制服を着た学生らが降車し始めるのが視界に入ったので、少し慌ててバスを降りた。

 

 

 

「ねえ!きみ!」

 

 バスを降りて、天然石を連結加工した作りの門の前で足を止めていると誰かを呼ぶような声が聞こえたので、振り返ると同じ制服を着た女生徒がこちらを見ながら近づいてきた。

 

「さっき、お婆さんに席を譲ってたでしょ?すごいね。私誰かに席を譲ってもらえないか聞こうか迷ってたら、きみがすぐに譲ってくれたからびっくりしちゃった」

 

 そういって、女生徒は人懐っこい笑顔を向けてくる。

 どうやら先程の自分の行動を見られていたらしい。

 短めの明るい髪色と十人が見たら十人が可愛い、愛らしいと思うような容姿で太陽のような笑みで褒められ、驚きと照れくささを感じた。

 

「君も一年生だよね?」

 

 その投げかけに、首を縦に振り頷く。

 

「私、櫛田桔梗です。よろしくね」

「ああ、俺は雨宮蓮です。よろしく」

「へえ、雨宮、蓮くん…。うん。なんだかカッコいい名前だね」

「ありがとう。そっちも桔梗の花の桔梗であってるか?」

「うん。そうだよ」

「そうか。綺麗な…いい名前だね」

「え!?…そ、そうかな。…な、なんだか照れちゃうな」

 

 そう言って眼の前の美少女は、照れくさそうにする。

 

「あ、雨宮くんよかったら、途中まで一緒にいかない?」

「ああ、いいよ」

「やった。それじゃいこう」

 

 そう言って、彼女を頼りに校舎まで向かうことになった。

 道中、他愛もない話をしながら、善行はするものだとしみじみ思った。

 

 

 

 

 その後、櫛田さんと玄関で別れ、自分が所属することになるクラスを確認しにいった。

 

 クラス表を見ると1-Dクラスが自分の教室になるようだ。

 

 少し迷ったものの「1-D」と書かれたプレートの教室に入ると、すでに何人かのクラスメイトがいて、早速歓談している者や席に座って過ごしている者が見て取れる。

 

「あ、雨宮くんも同じクラスになんだ!」

 

 そう言ったのは、先程まで一緒だった櫛田さんだった。

 どうやら自分のときと同様に、すでにクラスメイトと挨拶を終えて、仲良く話していたようだ。

 

 彼女に「これからよろしくね」と軽く挨拶をして、自分の名前が書いてあるネームプレートが置かれた席に探す。

 窓際の後ろから2番目の席に自分の名前を見つけた。

 

 自分の机に荷物をかけると、さらに後ろの席にすでに男子生徒が座って、こちらを見ていた。

 眠たげな目が印象的な男子で、何を話すこともなくこちらを見ていたので、思い切ってこちらから話かけてみた。

 

「俺は雨宮蓮です。よろしく」

「…ああ、俺は綾小路清隆です。よろしくな」

 

 綾小路と答えた男子は少し驚いたような様子を見せながらそう答えた。

 そうして、自分の席につくと、後ろから綾小路が話しかけてきた。

 

「なあ、雨宮って呼んでいいか?」

「ああ。俺も綾小路でいいか?」

「ああ、問題ない」

「じゃあ、改めてよろしく綾小路」

「よろしくな雨宮」

 

 そうして挨拶するのはいいが、

 

「…………」

 

 どうやら綾小路は話題を出すのがあまり得意ではないのかこちらを見ながら黙ってしまった。

 こちらから何か話題を振ろうかと考えていると、

 

「雨宮。さっきお前に話しかけていた女子は前からの知り合いなのか?」

 

 と不意に聞いていた。

 

「いや、朝登校中にたまたま知り合っただけだよ」

「そうなのか。……初めてあった女子と、すごいなお前」

「え、いや、ただ挨拶して、軽く会話しただけだが……」

「そうか。そんなに大したことではないのか……」

 

 そう言って、綾小路は少し考えるような仕草をする。

 なんだか独特な雰囲気を持ったやつだと思った。

 

「よし。なあ、オレは綾小路清隆。よろしくな」

 

 綾小路はそう言って、彼の右側に座っている女生徒に話しかけた。

 

「………………」

 

 話しかけられた女生徒は、視線も合わせず、ただ手に持った文庫サイズの本に目を向けていた。

 その様子を見て綾小路は、あからさまに肩を落とす。

 

「……どうやらオレには、まだ早いらしい」

「いや、別に綾小路が何か悪いわけではないだろう……」

 

 綾小路は、なんというか距離感の掴み方が不器用なんだろうと思った。

 このままでは、何とも気まずいので、その女生徒に自分も話しかけてみた。

 

「雨宮蓮です。よろしく」

「………………」

 

 無視された。

 

 いや、もしかしたら、耳が良くないのかもしれない。

一見補聴器の類は見えないが、可能性はゼロではないだろう。

 そう思い、その女生徒の前まで行き、この前本で読んで覚えた手話の「こんにちは」を見せてみた。

 

「……はぁ。話しかけてほしくないというのが態度でわからないのかしら」

 

 そう言って、目の前の彼女は、面倒くさいという様子を隠さずにこちらを向いた。

 綺麗な黒髪を長く伸ばし、整った目鼻立ちから、百人が見て百人は美人と答えるだろう美少女だと思った。

 

「よかった。聞こえていたのか。同じクラスになった雨宮蓮です。よろしく」

「私はよろしくしようとは思わないから別に挨拶は不要よ」

 

 そう取り付く島もなく、彼女は再び本に目を落としてしまった。

 ここまではっきりとただ挨拶をしただけの人を拒絶できるのは、一周回って素直に関心してしまった。

 そんなことを考えていると綾小路が再び話しかけた。

 

「オレは綾小路清隆。…まあ、席が隣同士になったんだし、名前ぐらい教えてくれないか。何かと不便だし」

 

 綾小路がそう言うと、黒髪ロング美少女は「はぁ」とわざとらしくため息をついて言葉を続けた。

 

「堀北鈴音よ」

「堀北鈴音か。これからお隣同士、よろしくな」

「さっきの話を聞いていなかったのかしら?私はよろしくするつもりはないから不要よ。それと気安く下の名前まで呼ばないで、はっきり言って不快よ」

 

 …いや、なんというか。

 ……うん。あきらめよう。

 

 綾小路とアイコンタクトを取り、触らぬ神に祟りなし、もとい触らぬ堀北に祟りなし作戦を取ることにした。

 

 そんなことをやっていると、スーツを着た一人の女性が教室へと入ってきた。

 シワのないスーツときりりとした顔つきからやり手のキャリアウーマンと思わせる、長いポニーテールの女性である。

 

「えー新入生諸君。私はDクラスを担当することになった茶柱佐枝だ。普段は日本史を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく。今から1時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を配らせてもらう。以前入学案内と一緒に配布はしてあるがな」

 

 そう言って、茶柱先生は配布物を用意し始めた。

 たしか、入学案内には、外部との連絡も接触も禁止。許可のない敷地内からの外出も禁止。そして、Sシステムというものがあるということが書かれていたのは覚えている。

 

 その後茶柱先生は、学生証端末(スマホ)がクレジットカードのようなもの。ポイントで学校の敷地内のものは購入できる。最初に10万ポイント振り込まれている。ただし、カツアゲやいじめなどはするな的な説明をした。

 

 茶柱先生が教壇をあとにするとクラス内が図らずも手に入った大金の話題で盛り上がる。

 何買おう、遊びに行こうよなど様々な会話が入り乱れる。

 そんな中で、スッと手を上げる男子がいた。

 

「皆、少し話を聞いてもらってもいいかな?僕らは今日から同じクラスで過ごすことになる。だから今から自発的に自己紹介を行って、1日も早く皆が友達になれたらと思うんだ。入学式まで時間もあるし、どうかな?」

 

 好青年という言葉を体現したような男子がそう言うと、「賛成!」と口々にクラスメイトが賛同する。

 言い出しっぺということなのか好青年こと平田洋介が自己紹介をすると、クラスの女子たちは、ほうっとうっとりするような目を向ける者が多くいた。

 

 その後、順繰り順繰りと自己紹介を勧め、「じゃあ次は私だねっ」と元気よく立ち上がったのは、櫛田さんだった。

 

「私は櫛田桔梗と言います。中学からの友達は1人もこの学校には進学していないので1人ぼっちです。だから早く顔と名前を憶えて、友達になりたいって思います」

 

 はきはき緊張もない様子でここまで言えるのはすごいなと関心する。

 

「私の最初の目標として、ここにいる全員と仲良くなりたいです。皆の自己紹介が終わったら、ぜひ私と連絡先を交換してください」

 

 今朝も思ったが櫛田さんはとてもフレンドリーな女の子のようだ。

 

「それから放課後や休日は色んな人とたくさん遊んで、たくさん思い出を作りたいので、どんどん誘ってください。ちょっと長くなりましたが、以上で自己紹介を終わりますっ」

 

 うん。これぞ100点満点の自己紹介だろう。

 クラスの男女問わず、彼女に向ける視線が好意的なものだとすぐにわかった。

 

 その後、赤髪に剃り込みを入れたガタイの良い男子がやってらんねーと教室を後にする珍事があり、数人それに続いて教室を出るという連鎖反応が起きた。

 堀北さんも当然のようにそれに続いた。

 

 気まずい雰囲気が少しクラスに流れたが残ったクラスメイトで自己紹介を続けた。

 

 高円寺六助と名乗った男子が、自己紹介と言う名の脅しをすることもあったが、なんとか自分の番まで回ってきた。

 席を立ちこちらを向いてくれるクラスメイトの方を向く。

 

「雨宮蓮です。趣味や特技はこれといってないけど、興味を持ったら何でもやってみるのが好きです。これからよろしくお願いします」

 

 そう言って、クラスメイトの反応を見るが、まばらな拍手をもらうところをみると特徴のある自己紹介にはならなかったようだ。

 そして、後ろの席の綾小路の番になる。

 

「えー、えっと、綾小路清隆です。その、えー、得意なことは特にありませんが、皆と仲良くなれるよう頑張りますので、えー、よろしくお願いします」

 

 綾小路はそう言うと席に座る。

 どうやら同じく特徴的な自己紹介にはならなかったようだが、妙な親近感をこのとき感じた。

 

 

 

 入学式を終えて今日は下校となった。

 さて、今日から自炊自活生活が始まるし、とりあえず生活品と食料を買いに行こうかと考えていると、綾小路から声をかけられた。

 

「なあ、雨宮。この後暇か?」

「ん?ああ、生活品と食料を買いに行こうか考えてたぐらいだから別に予定はないが」

「それなら丁度よかった。オレもその辺を買いに行こうかと思ってたんだ。良かったら一緒に行かないか?」

「ああ、いいよ」

 

 一人で行くのも味気ないし、むしろ嬉しいぐらいだと内心思った。

 そんなやり取りをしていると

 

「やあ、雨宮くんと綾小路くんだったよね」

 

 平田くんが話しかけてきた。

 

「そっちは平田くんだったか。何か用事か?」

「うん。この後、クラスの皆と遊びに行く予定なんだけど、良かったら二人もどうだい?」

 

 そう言って、平田くんは俺たちを遊びに誘ってくれる。

 しかし、平田くんが来た方向を見ると、なんというかきゃぴきゃぴしている。というか女子の比率が多い。というか女子しかいない。

 ちらっと横目で綾小路を見ると、表情の大きな変化はないが、心なしか苦虫を噛んだような表情に見えた。

 今日の今日で、先程隣の席の女子に手痛い対応をされたばかりかもしれない。

 堀北さんが刻み込んだ言葉のナイフはどうにも重症らしい。

 

 

 

 さて、どうするか

 

 【平田くんの誘いを受けて、一緒に遊ぶ】

 

▶【綾小路との予定を優先する】

 

 

 

 うん。先に約束したのは綾小路の方だからな。

 

「ごめん平田くん。今日は綾小路と生活品なんかを買いに行こうって先に約束してたんだ。遊びに行くと買い忘れとかするかもしれないし、また今度でもいいかな」

 

 そう伝えると、平田くんは少し残念そうな顔をする。

 

「うん。こちらこそごめんね。タイミングが悪かったみたいで」

 

 そう答える平田くんを見て少し寂しそうな印象を受けた。

 もしかしたら、男子がいないから心細かったのかもしれない。

 

「いいんだ。俺も皆と遊んでみたいし、平田くんさえ良ければまた誘ってほしい。……そうだ。よかったら連絡先を交換しないか?」

 

 そう伝えると平田くんは花が開いたように笑顔になった。

 

「もちろんだよ!また、皆で遊ぶ予定を立てたときは必ず誘うよ!」

 

 そう言って、お互い連絡先を交換した。

 

「あ、その…オレもいいか?」

 

 その様子を見て綾小路も学校支給のスマホを取り出す。

 平田くんは快く「もちろん」と答えて、3人で連絡先を交換した。

 

 その後、綾小路と2人で教室を出る。

 

「雨宮」

「うん?」

「お前、……良いやつだな」

「そうか?普通のことだと思うが」

「そうなのか。これが普通なのか」

 

 なにやら少し噛み合わないような気もしたが、対して気にもせず、俺たちは足を進めた。

 

 

 

*************************

      我は汝…汝は我…

   汝、ここに新たなる契りを得たり

        契は即ち、

   囚われを破らんとする反逆の翼なり

 我、「隠者」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり

   自由へと至る、さらなる力とならん…

 

   ペルソナの力を育てる人間関係

    「隠者」コープが解禁した!

*************************

 

 

 




こんな感じでダラダラ続けていければと思います。



高度育成高等学校学生データベース

氏名 雨宮蓮
学籍番号 S01T00xxxx

部活 無所属

誕生日 11月26日

評価

学力 B+

知性 B

判断力 A

身体能力 B

協調性 B-

面接官コメント
学力、中学時代の身体測定共に平均以上であり、内申点も高く中学の担任からも高い評価を受けている。面接時も堂々とした佇まいで、質問にも芯を感じさせる一貫性のある考えに基づいた回答ができている。上記の内容からAクラスへの配属が妥当であると判断。入学後の活躍を期待する。

追記
面接試験終了後から合格発表待機期間中に暴力事件に関与した疑いあり。本人は否定しているが、すでに示談となっているため詳細は不明。不確定要素が多いため、Aクラス配属からDクラス配属に変更するものとする。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。