ようこそペルソナ的人間模様が繰り広げられる教室へ   作:行天

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ストックがなくなっていくんじゃぁ。
今書いているのも1話にしては長編になっているから、分割しようかな。
いや、でも1話にまとめるからこそ、味わえる熱量があるし……。
と悶々している今日このごろ。

感謝:怪猫蜜佳様、南無鉢様、ゆづ缶様、神城幻燈河貴様、痒見沢武晶様誤字脱字報告ありがとうございます。たいへん助かっております。




生徒指導室と生真面目不器用な少女

 生徒指導室に入り、俺と清隆は促されて、給湯室らしきスペースに立たされる。

 

「いいか、私が出てきて良いと言うまでここで物音を立てずに静かにしてるんだ。破ったら退学にする」

 

 そう言って、給湯室のドアが閉められた。

 ……理不尽だ。

 

「なあ、蓮。どうする?」

 

 清隆が聞いてくる。

 さて、どうする。

 

▶【大人しく言うことを聞いておこう】

 【ここを出よう】

 【やらないか?】

 

 

 なにか理由があるのだろう。

 

「なにかあるんだろう。大人しく言うことを聞いておこう」

「お前がそういうなら、わかった」

 

 二人して大人しくすることにした。

 程なくして、ドアの向こうから誰かが入ってくる音がした。

 

「それで、私に話とはなんだ? 堀北」

 

 どうやら、今入ってきたのは、堀北さんらしい。

 

「率直にお聞きします。何故私が、Dクラスに配属されたのでしょうか」

「本当に率直だな」

「先生は本日、クラスは優秀な人間ほど上位のクラスに行くと仰いました。そして、Dクラスは学校の『不良品』が集まるクラスだと。私は自分がDクラスになるとは思えません」

 

 どうやら、堀北さんは自分がDクラスに配属されたことが納得できないらしい。

 その後も入試での好成績や面接での問題のなさを主張し、茶柱先生もそれについては同意したが、一方で堀北さんをどこかあざ笑うような返答の仕方をする。

 堀北さんが言わんとすることは分かる。

 しかし、成績が良い=人として優れているというのは、わかりやすいかもしれないが、それは間違っていると思う。

 堀北さんはその後も茶柱先生を問いただすが、望んだ回答を得られないとわかり、退室しようとする。

 そして、茶柱先生はそれを引き止めた。

 

「出てこい雨宮、綾小路。出てこないと退学にするぞ」

 

 暴君だ。

 二人で給湯室から出た。

 その様子を見て堀北さんは、訝しむ表情を見せる。

 

「私の話を……聞いてたの?」

「ああ」

 

 そう答えると、堀北さんは茶柱先生をにらみつける。

 

「……先生、何故このようなことを?」

「必要だと判断したからだ。そうだな……、まずは綾小路、お前からだな。お前は面白い生徒だな、綾小路」

「茶柱、なんて奇特な苗字をもった先生ほど面白い男じゃないすよ、オレは」

「全国の茶柱さんに土下座してみるか? んん?」

 

 清隆、この空気で冗談を言うとは度胸があるな。

 

「入試の結果、国語、数学、英語、社会、理科、全ての科目が50点。そして、今回の小テストも50点。これが意味するものが何かわかるか?」

「偶然って怖いっスね」

 

 全てが50点。そんなことが偶然でありえるのか。

 意図的だとしても、そもそも配点が明かされていない状態で、50点で揃えるということは、その配点基準すらもテストの時間で見抜いたことになる。

 個人情報保護法はどこへやら茶柱先生は清隆の情報を構わず話し、清隆はそれに対して、言葉を選び、肯定しないように躱していく。

 堀北さんも清隆の行動に対して、なぜ?といった様子だ。

 

「あなたは……どうしてこんなわけのわからないことをしたの?」

「偶然だっての。隠れた天才とか、そんな設定はないぞ」

「どうだかなぁ。ひょっとしたら堀北、お前よりも頭脳明晰かもしれないぞ」

 

 困惑する。白を切る。挑発すると三者三様を見せる。

 そして、茶柱先生はこちらを向いてくる。

 

「そして、雨宮。お前はSシステムに気づいていたのか?」

「いえ、10万円、10万ポイントを毎月もらえるとは思っていませんでしたが、システムについては気づいていません」

「なるほどなるほど。システムに気づいていなかったのが、結果、少なくとも3名のクラスメイトを退学から救い、日々の行動でポイント全損の危機を回避した。いやあ、優秀だなお前は。どこかの誰かとは違うようだ」

 

 茶柱先生がそう言うと、堀北さんがあからさまに反応する。

 

「何が言いたいのですか。茶柱先生」

「堀北。目を背けるのは良くないぞ。今回の小テスト堀北は90点、雨宮も90点。学力は拮抗しているわけだ。そして、雨宮は体育でも好成績を出し、クラス内でも交流関係には問題はなく、お前が見下していた生徒も救っている。まあ、いらぬ恨みは買っているようだがな。くくく」

「はっきり仰ってはいかがですか?」

「ほういいのか? では、言ってやろう。ただ勉強と少し運動ができるやつと、勉強も運動もできて、社交的で問題未然防止・解決能力、行動力もあるやつ。果たしてどちらが人として優れているかは言わずともわかるだろう。そんなやつさえDクラスに配属されているのに、どうして自分はAクラスに行けると思うのだ」

「ーーーっ!! それは! ……っ」

 

 茶柱先生にそう言われると、堀北さんは黙ってしまった。

 正直に言うと、本当にやめてほしい。

 

「茶柱先生。やめてください。頑張っている人を貶すような例え話に自分が使われるのは、はっきり言って不愉快です」

 

 茶柱先生に目に力を入れて、はっきりそう伝えると、堀北さんが「雨宮くん……」とつぶやくのが視界の外から聞こえた。

 

「ふっ。まあ、今日はこのぐらいでいいだろう。それに職員会議の始まる時間だ。ここは閉めるから三人とも出ろ」

 

 そう言って、茶柱先生に追い出された。

 何を話すわけではなく、3人揃って歩き出す。

 教室に戻る気も、どこかに寄る気も起きないので、昇降口に自然と足が向ってしまう。

 しばらく歩くと、堀北さんが小さくつぶやくのが聞こえた。

 

「……茶柱先生に言われたこと。正しいのかもしれないわ」

「堀北さん?」

「だってそうでしょう? 私はまだ何もしていない。自分が結果を出せばそれでいい。あれだけ言われてもまだその考えは自分の中で覆せない。でも、雨宮くんの優秀さは理解できるの……だから」

 

 ちがう。

 それはちがう。

 

 

 【堀北さんを抱きしめる】

 【堀北さんの頭を撫でる】

▶【堀北さんの脇腹を軽くチョップする】

 

 

 えいっ

 

「いたっ。ちょ、ちょっと何するの!」

「おちつけ」

「なっ!? 私は冷静よ!」

「随分声が大きいようだが?」

「それはあなたが、」

「そうだな。俺は女子に暴力を振るった最低野郎だ」

「そ、そこまでは、言ってないわ……」

「だから、勝手に俺を優秀だと決めつけないでくれ」

「え?」

 

 堀北さんが目を丸くする。

 

「俺だって間違うことはある。池や山内が悪態を付けば、ふざけるなと思うし、須藤が怒鳴れば、心の中で舌打ちもする」

「そ、それは、あなたに否がないのだから当然じゃない」

「それに、堀北さんに脇腹をチョップされたときは、いつも『暴君め』とか『暴力女』と悪態をついてる」

「……なんですって?」

 

 堀北さんの声のトーンが1オクターブ下がり、ドスを利かせる。

 少し怖いが進めよう。

 

「だけど、不幸になってしまえとは思わないし、その人たちがどうしようもない人間だとは思わない」

「……ごめんなさい。あなたは何が言いたいの?」

 

 堀北さんに伝えたいことは、

 

「誰にだって、得手不得手があって、良いところも悪いところもあって、誰かのために何かをやってあげたいと思うこともあれば、誰かを憎らしく思うこともある。だから俺は自分も含め、人が完璧である必要はないと思っている」

「雨宮くん……」

 

 伝えたいからこそ、言葉に力を込める。

 

「なぜ堀北が、勉強を頑張ってきて、Aクラスにあがりたいかの理由はわからない。……でも、これまでの自分の頑張りを俺と比較して辱めるのはやめろ。お前は何一つ無駄な努力はしていない」

「……それ、でも、このままじゃ……」

「今からだって遅くない。お前が何かを得ようとするなら、進めばいい。それが困難であるなら俺を頼れ。お前が懸命に何かを為そうとするならば、俺が力を貸すと約束しよう」

「あなたが、私のために、力を貸してくれると言うの……?」

「ああ、『鈴音』という名の通りに、お前の言葉が、頑張りが、誰かの心に、鈴の音のように深く染み渡るように広がるように、俺は力を貸そう」

 

 そこまで伝えると、堀北さんは、顔をそらし、表情を悟られないようにか片手を頬に添えてこういった。

 

「…ありがとう///」

 

 

 

*************************

      我は汝…汝は我…

   汝、ここに新たなる契りを得たり

        契は即ち、

   囚われを破らんとする反逆の翼なり

 我、「女教皇」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり

   自由へと至る、さらなる力とならん…

 

   ペルソナの力を育てる人間関係

    「女教皇」コープが解禁した!

*************************

 

 

 

 

 

「あのー、いちおうオレもいるんだが……、告白なら誰もいないところの方がいいんじゃないか蓮」

「!⁉? あ、綾小路くん!! な、な、なにいってるの!?///」 

 

 清隆がそう言うと、堀北さんが慌てだす。

 

「告白? なんのことだ清隆?」

「……マジか。そこまで雰囲気だして、これも無自覚でやってるのか」

「?」

 

 清隆が心底呆れたようにそう言う。

 堀北さんは、自分のカバンから何かを取り出す。……コンパス?

 

「だまりなさい綾小路くん。今のは見なかった。聞かなかった。いいわね?」

「いや、お前らが勝手に盛り上がっ」

「い・い・わ・ね?」

「OK。とりあえず、そのコンパスをしまおうか。話はそれからだ」

 

 そう言いつつも、清隆はじりじりと後退し、退路を作っていく。

 そして、一目散に逃げた。

 

「ま、待ちなさい!」

 

 堀北さんもすぐに後を追いかけた。

 

「二人とも廊下は走るなよー!」

「「お前(あなた)は空気を読めーーー!」」

 

 

 

 ……理不尽だ。

 

 

 

 その後、結局清隆は昇降口で捕まり、堀北さんの説得(恐喝)によって、先程のやりとりは口外しないことを、スマホのボイスレコーダー機能で録音までされて、約束させられていた。

 

 清隆はそのまま別れて、足早に一人で帰ってしまった。

 仕方ないので、堀北さんと寮まで一緒に帰ることになった。

 寮の前で別れる前に、

 

「そういえば、あなたさっき、私のことを呼び捨てにしていたわよね」

「ああ、堀北って確かに言ってたかもしれないな」

「そ、そうじゃなくて、その、下の名前で」

「? 鈴音?」

「!? きゅ、急に呼ばないで」

「ああ、ごめん。気をつけるよ堀北さん」

「……………」

「な、なに?」

 

 じとーと目を皿にして睨みつけられる。

 と思ったら、目を急に背けて、

 

「ほ、ほかの人がいないときは、名前で呼ぶことを許可するわ」

「どうしたんだそっちこそ急に」

「そ、それはーーっ。……こ、こほん。これから、あなたには色々と手伝ってもらうかもしれないから。そのとき、い、いちいち敬称で呼び合うのも面倒だわ。そ、それだけよ!」

 

……よくわからないが、堀北さんがそういうのであれば、そうしよう。

 

「わかった。鈴音」

「ーーっ! それじゃあ雨宮くん。また明日っ」

「え? そっちは名前で呼んでくれないのか?」

「わ、わ、私はいいの! それじゃあ!」

 

 そう言って、寮の中に入っていってしまった。

 よくわからないが、鈴音と少しだけ仲良くなれた気がした。

 

 

 

 

《蓮の優しさが磨かれた!》

 

《蓮の度胸が磨かれた!》

 

 

 

 




 平素よりお気に入り、感想評価、誤字脱字報告等々誠にありがとうございます。

 さて、早速掘北さんとのコープが開放されましたね。
 もう少し後でも良かったかなと思いましたが、いいや、最速でイケ!と思いこのタイミングにしました。
 ちょっと、チョロすぎないと思う方もいるかもしれませんが、堀北さんも見返りを求めず、無条件で自分を支えてくれると熱を込めて言われて、ATフィールドが融解しちゃったということにしていただければ幸いです。


 そして、この後の綾小路の心の声


(全教科50点の件、有耶無耶になってよかった。雨宮は目立つから、一緒にいれば目立たてなくて済むかもな……)


 と壁役、風よけのために行動を一緒にすることを積極的に考えたそうな……。



 ということで、
 もしも選択肢のコーナー(筆者の妄想です)

 【大人しく言うことを聞いておこう】
 【ここを出よう】
 【やらないか?】

 【ここを出よう】を選ぶと堀北さんと鉢合わせで、堀北さんのくだりが聞けなくなるのと、茶柱先生の好感度が下がります。
 【やらないか?】を選ぶと、主人公が脱ぎ始め、綾小路が掌底で眠らせます。以降、1学期の間、綾小路が近づいてきません。


 【堀北さんを抱きしめる】
 【堀北さんの頭を撫でる】
 【堀北さんの脇腹を軽くチョップする】

 抱きしめるも頭を撫でるも残念ながら、普通に嫌がられます。
 それ以下でも、それ以上でもありません。


 以上です。

 アンケートのお願い
 実は、もしも選択肢のコーナー自分ではすごい気に入ってるんですが、割りと書くのが大変で、そんなに人気がなければ、書きたいときに書こうと思っております。
 アンケート次第では継続しますので、ご意見いただけますと幸いです。

 よろしくお願いします。

後書きの「もしも選択肢のコーナー」は続けた方が良いですか?

  • 続けたほうが良い
  • 書きたいときで良い
  • 別にいらない
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