ようこそペルソナ的人間模様が繰り広げられる教室へ   作:行天

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感謝:たくさんのご感想、誤字脱字報告等々、誠にありがとうございます。1話から読み返して見たら、主人公の言動がだいぶ変わっていますが、いい意味で気にしないでやっていこうと思います。




作戦会議2

 翌日、登校すると清隆はいつも通りに見え、櫛田さんはニコニコしていて、いつも通りに見えるが、怒っているようにも見える。そして、鈴音は表情こそいつも通りだが、いつもより覇気がないように見える。

 そして、なぜか女子たちがこちらを見ながらヒソヒソとしている。

 なぜだろう?

 自分の席につくと、トコトコと櫛田さんが近づいてくる。

 

「雨宮くん」

「ん? どうした櫛田さん」

「今日のお昼はどうするの?」

「ああ、昨日のそちらの様子も聞きたいし、清隆と堀北さんと4人で話をしたいんだが、櫛田さんは大丈夫か?」

「うん。私も雨宮くんに聞きたいことあるんだ! 『絶対』一緒に食べようね!」

 

 そう言った櫛田さんから妙な圧力を感じたので、「あ、ああ……わかりました」と咄嗟に答えてしまった。

 それだけ聞くと櫛田さんは女子たちの輪に戻っていき、何やらコソコソと話している。

 あ、そういえば勝手に後ろの二人の予定も決めようとしてしまった。

 

「清隆に堀北さん。二人も昼に時間をもらってもいいか?」

「ああ、オレは大丈夫だ」

「……。私も大丈夫よ……」

「……大丈夫か堀北さん?」

「ええ……」

 

 どうやらこれ以上は、この場であまり話したそうではないな。

 そう思い、静かに1限目の準備を始めた。

 

 

 

 

 昼休みになり、4人で食堂にやってきた。

 昨日は出費があったので、節約のため、山菜定食にした。

 4人が全員席に着いたところで、昨日の進捗状況を聞いた。

 

「それで、メールを見たが、何があったんだ?」

 

 そう切り出すと、隣に座っていた鈴音は気を落としたように目を伏せた。

 その様子を見て清隆が説明を始めた。

 

 

 要約すると、途中まではいい感じに勉強会が進行していたそうで、作戦は成功かに見えた。

 しかし、しばらくして須藤が「やってられっか」と匙を投げようとしたことから、空気が不穏な方向に変わり、その態度を見た鈴音が強い物言いで須藤の姿勢を批判したらしい。

 そして、決め手は須藤が熱中しているバスケットへの思いも否定してしまい、須藤は離脱。その様子を見て、池、山内、沖谷くん(自分から参加したらしい)も席を立って勉強会から抜けたとのことだ。

 その後、櫛田さんや清隆にも言い過ぎであることを指摘され、昨日は自然解散となったらしい。清隆の話では昨日までは自分の主張を曲げようとしなかった様子だったので、今の落ち込み方は、何を思ってなのかはわからないとのこと。

 そこまで聞いて、

 

「堀北さん」

 

 そう呼ぶと隣に座った堀北さんがビクッと体を震わせた。

 その様子を見て俺は、

 

▶【帰った後に、何を考えたかを聞いた】

 【君は悪くないと慰めた】

 【黙って抱きしめた】

 

 

「その様子だと、帰った後に自分で考えたことがあるだろ。教えてくれ」

 

 そう伝えた。

 そうすると、鈴音は話し始めた。

 

「昨日、帰った後、昨日のやり取りを振り返ったわ。最初は、どうして分からないのかしらと思ったの。でも、櫛田さんになぜ敵を作るようなことを言ってしまうのか、綾小路くんに須藤くんのバスケットへの思いを考えろと言われたことを思い出して、そして、……あなたの言ってくれたことを思い出したの」

 

 そこまで言うと鈴音は一拍置くように、深く呼吸をする。

 

「誰しも得手不得手があって、良いところも悪いところもある。そうして、考えたら須藤くんにとってバスケは、私がAクラスに行きたいという想いと同じぐらい重要なものなのではないかって……」

 

 だんだんと声が小さくなっていく。

 

「そう思ったら、私、自分の価値観をぶつけるだけで、相手のことも考えないひどい人間だと思って、そんな人間、……雨宮くんに呆れられてしまうと思ったら…………」

 

 そこまで話すと鈴音は黙ってしまった。

 その様子を見て俺は……、

 

 【心底がっかりしたよ、堀北さんと伝える】

▶【ちゃんと反省できて、偉いなと伝えつつ頭を撫でる】

 

 

 自分の手を隣に座る鈴音の頭に優しくぽんっと置く。

 

「ちゃんと自分で反省できてるじゃないか。偉いな堀北さんは」

 

 そう伝えると、一瞬驚いた表情をしたのち、鈴音の瞳が揺れているのが見えた。そしてすぐに顔を伏せてしまう。

 

「大丈夫。今、考えたことをちゃんと須藤に伝えて謝れば良い。俺も一緒にいるから」

「…………グスッ。ええ、ちゃんと謝るわ」

「そうだ。それでこの試験、みんなで乗り切ろう」

 

 そう伝えると、さっきまでの弱々しい雰囲気はもうなく、顔を上げた鈴音の顔は、力強い表情に戻っていた。

 

 ナデナデ、ナデナデ……

 

「あ、雨宮くん! も、もう大丈夫よ!///」

 

 鈴音は顔を赤らめながら、俺の手を取り、頭から剥がした。

 

「もう少ししてても良いけど?」

「け、結構よ!」

「そうか。撫でるの気持ちよかったんだが」

「ーーっっ。へ、変態みたいなこと言わないで!」

「へ、変態……。ご、ごめん堀北さん…」

「あ、いや、別に、嫌だったって、わけじゃ……」

 

 そんなやり取りをしていると、

 

「……ねえ、綾小路くん。私たちは一体何を見せられてるのかな……」

「櫛田。その気持ち、よぉく分かるぞ」

 

 正面に並ぶ二人がそんなことを言ってきた。

 

「あ、あなたたち! 何見てるのよ!」

「いや、見てるんじゃなくて、オレたち見せつけられてるんだが……」

「あはは……。そうだよねー。堀北さんって、すっごく雨宮くんと仲良いんだねー」

「そ、そんなことは……///」ゴニョゴニョ

 

 ピシッ!

 鈴音の最後の言葉を聞いて、そんな音が聞こえたような気がした。

 その瞬間、ガタッと綾小路が椅子を動かして櫛田さんと少しだけ距離を置いた。

 どうしたんだ?

 そんなことを考えていると、満面の笑みで櫛田さんがこちらを見てくる。

 

「よかったぁ。二人が仲良くなって。やっぱり、クラスメイトは仲良くしなくちゃね。あ、そうだ! そういえば、雨宮くん。話変わっちゃうけど、昨日の夜、こんな写真がグループチャットで送られてきたの!」

 

 そう言って、ニコニコ愛想の良い笑顔を浮かべて櫛田さんが自分のスマホの画面をこちらに向けてきた。

 そして、

 そこに、

 映されているものは、

 

 

 昨日、2年生の先輩たちにバーらしきところで一斉に抱きつかれている俺だった。

 

「………………」ダラダラダラ

「………………」ニコニコニコ スッスッスッ(スマホをスワイプする音)

「………………」キョトン……ギロッ! ジィィィ

「………………」ヤレヤレ

 

 沈黙が4人の間を走る。

 食堂の喧騒がいつもよりもやけにうるさく聞こえる。

 やましいことはしていない。

 しかし、額から汗が止まらない。

 自分に問いかける。

 

 【諦めるのか?】

 【諦めるのか?】

▶【諦めるのか?】

 

 

 俺は『諦めない!』

 覚悟を決めて、目をカッと意識して開くと隣から声がかかる。

 

「……雨宮くん。この写真に写っているのは何かしら? おかしいわね。私たちは昨日あれだけ大変な思いをしたのにあなたは『いつ』『どこで』『だれと』『何を』していたのかしら?」

 

 息継ぎもなく鈴音がそう言ってきて、ゆっくりと手刀を作り上げていく。

 その言葉を聞いて、こう答えた。

 

 【誤解だ!!】

 【ペルソナぁ!!】

▶【『昨日』『バーで』『2年の先輩たちと』『遊んで』きました!】

 

 

「『昨日』『バーで』『2年の先輩たちと』『遊んで』きまし「ーーふん!!」ダボアq#%ァァ……」

 

 そして、俺は食堂のテーブルの上に沈んだ。

 

 

 

 

 その後、ことの経緯を懇切丁寧に説明することになった。

 1つ1つ順を追って説明しているが、1つ1つ説明するたびに、暴君ーーではなく鈴音からビシッビシッと悶絶をギリギリしない力加減で脇腹にチョップが入り、なぜかさっきから櫛田さんの足からだろう衝撃が、弁慶の泣き所に当たりまくっている。

 一通り説明を終え、証拠の過去問を見せると、皆の関心はそちらに移ったらしい。

 

「さすがね雨宮くん。こんな抜け道があるなんて思いもつかなかったわ。……『入手方法』は、ともかく」

「そうだよね。私もびっくりしちゃった。『女の子と遊ぶだけで』こんなすごいもの手に入れちゃうなんて」

 

 おかしいな。

 どうやら、まだ許されてないらしい。

 というか櫛田さんそんなキャラだったのか?

 そんなことを思っていると、

 

「さっそくクラスの皆に配らないとね!」

 

 櫛田さんがそう言った。

 しかし、それまで静観していた清隆が口を開く。

 

「それは待ったほうがいいんじゃないか」

「え? どうして綾小路くん」

「確かに、それを渡せば赤点は間違いなく回避できるだろ。だが、そういった過去問はこの先も有効なのか?」

「どういうことだ清隆?」

 

 そう聞くと、清隆はこちらを見てくる。

 

「考えてみろ。今回は全く同じ問題になるだろうが、次からは本当にそうなのか? オレはこの学校がそこまで甘いとは思えないが」

「確かに綾小路くんの言う通りね。実力を測るということは、当然そもそもの学力だって試されるはずだわ」

「ああ。だからこそ、今回を機に少なくとも勉強をするといった習慣をつけることが大事なんじゃないか?」

 

 確かに清隆の言う通りだ。

 いくら、今回この過去問でやり過ごしたところで、結局のところ赤点組に関しては、退学を先延ばしにしているにすぎないだろう。

 

「なら、どうしよっかこの過去問」

「そうだな。試験3日前ぐらいが一番効果が高そうだな」

「わかった。そうしよう」

 

 4人で頷きあう。

 

「そうしたら、まずは須藤くんたちがまた勉強会、もしくは自分たちで勉強をするようにしないとだけど、私が謝って、上手くいくかしら……」

「それなら俺にいい考えがある」

 

 そう伝えると3人がこちらを見てくる。

 

「大丈夫。とりあえず今日は、俺にまかせてくれ」

 

 

 

 

 

to be continued……

 

 




 平素より、お気に入り登録、感想・評価、誤字脱字報告等々誠にありがとうございます。

 ここまでお読みいただいた方も気に入っていただければ、お気に入り登録、感想・評価等、何卒よろしくお願いいたします。


 だいぶ、堀北さんのATフィールドがガバり始めた気がします。そして、櫛田さん本性ちょっと出てますよっと思いながらも書くのがやめられませんでした笑。
 一応後付の言い訳としては、主人公が誰にでも全力で真正面から他者と関わっているのを少なからず見てきていると思うので、それが原因ですかね。

 さて、次回は書いていて個人的に楽しかった回なので、楽しみにしていただければと思います。
 ただ、イチャイチャ的なものではないので、そちらは期待しないでいただければ幸いです。


 では、いつもの
 もしも選択肢のコーナー(妄想です)

 【帰った後に、何を考えたかを聞いた】
▶【君は悪くないと慰めた】
▶【黙って抱きしめた】

 慰める方は、あまり良い選択とは言えません。折角堀北さんが成長しようとしているのに、甘やかすことになります。そうすると彼女の中で、自分は悪くないという振り出しに戻ることになり、かつ主人公は甘やかしてくれると悪い意味の依存が始まります。そのため、人の成長に興味のある綾小路が内心悪態をつくのと、櫛田さんのストレスがたまります。
 黙って抱きしめる方も上に近い状態になりますが、こちらの方が軽症です。最後には突き飛ばされることは確定しています。


▶【心底がっかりしたよ、堀北さんと伝える】
【ちゃんと反省できて、偉いなと伝えつつ頭を撫でる】

 この選択を選ぶと、堀北さんはちょっと病み、櫛田さんは歓喜します。
 さらにこの状態を放置すると、最終的に堀北さんが第三者の介入により後々クラスを裏切り始めます。


 【諦めるのか?】
 【諦めるのか?】
 【諦めるのか?】

 なにを選んでも同じです。こういう選択肢ってたまにあるよね。


▶【誤解だ!!】
▶【ペルソナぁ!!】
 【『昨日』『バーで』『2年の先輩たちと』『遊んで』きました!】


 誤解だを選ぶと、周囲の評価がただのスケコマシくんになります。ちゃんと理解してるじゃねえかと思われてしまうわけですね。
 ペルソナぁ!を選ぶと、ペルソナが出現し、その場から逃亡が図れますが、なぜか櫛田さんがスマホを投げてきて、主人公の後頭部にあたった後、シュルルと放物線を描き、櫛田さんの手元に戻ってくるという超絶技能を見せてくれます。そして、堀北さんによって、引きづられて元の場所に座らされます。


以上です。
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