ようこそペルソナ的人間模様が繰り広げられる教室へ   作:行天

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感謝:感想・評価、誤字脱字報告等々誠にありがとうございます。とても励みになります。
最近、ここ好き機能に気づき通勤退勤時に皆はどういうのが好きなんだろうと見るようになりました。
ここ好きが多いのは、綾小路のツッコミとペルソナぁと叫んでいるところみたいですね。参考にさせていただきます。




バスケットマンとのタイマン

 放課後、ある作戦のために俺は行動にでた。

 ガタッ!

 とわざとらしく立ち上がり、肩にバッグを担ぎ、片手はポケットにツッコミ、敢えて態度悪く歩みだす。

 そして、そのまま須藤の机の前に立つ。

 その様子を見て、須藤はこちらを睨みつけてくる。

 

「んだよ? 俺になんか用か? あ?」

 

 こちらを威嚇する須藤にたいして俺は……

 

 

 

 【……バスケが、……したいです】

▶【やるぞ。……表に出ろ】

 

 

 

「やるぞ。……表に出ろ」

 

 そういった瞬間、クラスの空気が凍る気配がした。

 そして、須藤は一瞬驚いた顔をし、次の瞬間には額に青筋を浮かばせる。

 

「てめぇ。誰に言ってんのかわかってんだろうな!」

「ここでは、皆の迷惑になる。いいから着いてこいタイマンだ」

「上等だ!」

 

 そう言って、俺達は教室をでた。

 後ろで「蓮くん!」と洋介が叫んでいたようだが、これは須藤との一騎打ち。

 邪魔をしてほしくない。

 なので、あえて無視して教室を後にした。

 

 

 しばらく歩き、目的の場所に着いた。

 

「ここだ」

「……てめえ。どういうつもりだ?」

 

 須藤は怒りとは違い、苛ついたようにそう聞いてくる。

 

「どういうつもりも何も……」

 

 そう言って、あたりを見回す。

 そこは公園にある各種スポーツが行えるフリープレイスペース。

 少額のポイントを支払うと道具なども貸し出してくれる場所だ。

 つまり、ここに来たということは当然、

 

「バスケしに来たのだが?」

 

 そういうことだ。

 

「つまり、てめえは俺と1on1しに呼び出したってことかよ」

「その通りだ」

「紛らわしいんだよ! タイマンって言えばケンカだろうが!」

「何を言ってるんだ? ケンカなんかしたらクラスポイントが減るだろうが」

 

 ただでさえ、ポイントが少ないのにそんなことをするはずがない。

 

「ちっ! やってられっか。俺は帰るぞ」

「逃げるのか?」

 

 俺がそう言うと、須藤の足が止まる。

 

「あん? 今、なんつった?」

「逃げるのかと言ったんだ。勝負だ須藤。お前の得意なバスケで」

 

 そう伝えると、須藤から明確な苛立ちの表情が見て取れた。

 

「言ってる意味、わかっていってんだろうな。俺に勝てると思ってんのか?」

「それは、やってみないとわからないだろう。……昨日の勉強会の件は聞いた。確かに堀北さんが言い過ぎたところはあったし、彼女も反省している。だがな……」

 

 俺は須藤に一歩近づき、面と向かって言う。

 

「それは、お前にも原因があるだろ。折角、お前の赤点回避のために開いた勉強会でのお前の軟弱な態度に」

「んだと! てめえに何が分かる!」

「だから、お前の土俵で勝負しよう。俺が勝てば、堀北さんに謝って勉強会にちゃんと参加しろ」

「……なら、てめえが負けたらどうすんだ? あ?」

「好きにしろ。なんでも聞いてやる」

「じゃあ、退学しろって言えば、するんだろうな?」

 

 須藤が挑戦的にこちら見てくる。

 俺は間髪入れずに答える。

 

「いいだろう」

「へっ、上等だぜ。後で吠え面かくなよ!」

 

 須藤はやる気になったようだ。

 

「雨宮くん!! 何言ってるの!」

 

 名前を呼ばれた方向を見ると、鈴音がいる。いや、鈴音だけではなく、他のクラスメイトも結構な人数がいる。

 どうやら、見に来たようだ。

 

「どうする雨宮。クラスの連中がいる前で、恥をかくのはお前だぜ」

「ぬかせ須藤。俺は負けん」

 

 お互いに挑発し、ゴングは鳴らされた。

 

 

 

 

「ルールは、オールコートの1on1。オフェンスとディフェンスは、オフェンスがシュートを入れるかディフェンスがカットすれば交代。点数は2ポイントエリアからは1点、3ポイントエリアからは2点の11点先取だ。文句ねえな?」

「ああ、わかった」

 

 俺と須藤はお互いに制服の上着とネクタイを脱ぎ、Yシャツの状態になっている。

 最初のオフェンスは須藤。

 須藤のガタイの良さとバスケットプレーヤーとしての経験からなのか、ただならぬ威圧感を感じる。

 

 そして、勝負が始まった。

 

 まず、須藤はドリブルをしながら、俺の動きの様子を見る。

 俺は須藤の進路を阻むように構える。

 そして、須藤が右側に抜けようとするのを見て、体制をそちらに向けると、

 

「あめえ!」

 

 すぐに左側に須藤はシフトして、ガードを抜け、そのままレイアップで得点を取る。

 

「今のフェイントを見抜けねえようじゃ。俺には勝てねえよ」

「……まだ、始まったばかりだ」

「はっ、そうかよ」

 

 須藤は余裕のある表情を見せる。

 

 攻守を交代し、俺はフェイントなしで右側からスピードを上げて駆け抜ける。

 須藤はそれをしっかりと追い、ガードをかける。

 

「ーーっ。くっ」

「おらっ!」

 

 苦し紛れにシュートをするが、須藤が手でボールをはたき、カットした。

 

「どうやらバスケは素人みたいだな雨宮。オフェンスにキレがねえぜ」

「ぬかせ」

「次はこっちの番だ。いくぜ。さっさと終わらせてやる」

 

 その後、こちらの全ての攻撃は須藤に塞がれ、須藤は着実に点数を稼いでいく。

 最初のうちは、コートの外からクラスメイトの「がんばれー!」、「雨宮くん頑張って!」といった応援が響いていたが、1点、1点と入れられていくうちに、その応援も聞こえなくなってきた。

 

 点数を取られていくに連れて、体力も奪われ、足が思うように動かなくなる。

 それに反して、須藤はまだ余裕があるようで、いくらこちらが攻撃に回っても必ず追いついてくる。

 そして、須藤の8回目の攻撃の際に、俺のガードはあっさりと抜かれ、足がもたれ、コートに膝を付き転ぶ。

 

「はーっ……はーっ……はーっ」

 

 息が苦しい。

 足が重い。

 膝が痛い。

 

「わかっただろ雨宮。俺はプロ目指してんだ。素人のてめえがいくら足掻こうが、勝てるはずねえんだよ」

「はーっ。はーっ。……何がいいたい」

「てめえらみてえに仲良しごっこしてる暇は俺にはねえんだよ! 本気でプロ目指してんだこっちは! 成績がなんだ! クラスがなんだ! てめえらの都合を俺に押し付けてんじゃねえよ!」

 

 須藤は俺だけじゃなく、観戦をしているクラスメイトにも向かってそう叫ぶ。

 

「さっさと終わりにしようぜ雨宮。どうやったっておめえに勝ち目はねえんだよ!」

 

 そう言って、須藤はボールを渡してくる。

 

「……いいたいことはそれだけか?」

「あん?」

「お前がプロを目指しているのが本気だというのは伝わった。だがな、お前は勘違いをしている」

「……何が言いてえんだ」

 

 須藤が苛ついたように睨みつけてくる。

 

「お前が本気でバスケのプロを目指すように、本気で勉強をしている人だっている。本気で友達を大事にしようとする人だっている。誰が、何を、本気になるかは、その人のものであって、お前みたいな自分のことしか考えてないやつが勝手に貶していいものじゃない! お前が、自分が正しいように言っているのはな!俺だってムカつくんだよ!」

 

 そう言って、俺は立ち上がり、須藤を見る目に力を込める。

 

「……いいぜ。こっからは容赦しねえ。かかってこいよ素人」

 

 須藤はそう言って、開始位置につく。

 須藤は体力も気力も十分。

 こちらは、体力は底をつきかけ、息もあがっている。

 どっからどう見ても差は歴然。

 だが、

 俺は…………、

 

 

 

 

『どうした……諦めるのか?』

 

 不意に声が響く。

 

(俺は、諦めない)

 

 

『ならば、足掻くというのか』

 

(足掻いてみせる)

 

 

『それは何のために……』

 

(友のため、クラスのため)

 

 

『それだけか?』

 

(そして、目の前の分からず屋と自分のために)

 

 

『はっはっはっ。よかろう……その覚悟、聞き届けたり』

 

『再び、契約だ』

 

『我は汝、汝は我……』

 

『己が信じた正義のため、あまねく理不尽に立ち向かい、心折れずに立ち向かいし、強き意思を持つ者よ!』

 

 

 

「ペ、ル……、ソ、ナァァ!」

 

 

 

 体中に熱く、血潮が燃えるような熱が駆け巡る。

 鼓動がビートを刻み、脈動が呼応する。

 もう、俺は、『負けない』

 

「なに、わけわかんねえこと叫んでんだ。さっさと来いよ」

 

 須藤が呆れたようにそう言い、俺はそれに応えるようにボールを渡し、ボールを返される。始まりの合図だ。

 返された瞬間に、須藤の左側を抜こうとする。

 当然須藤は、すぐにガードに入ろうと体制を傾かせる。

 油断、なのだろう。

 俺が右側に瞬時に踵を返すと、須藤は驚いたように見る。

 そして、そのまま須藤のガードを駆け抜ける。

 ガードを抜け、真っ直ぐとゴールへと駆け、そして、フリースローライン目掛け、ボールを持ち、1、2っ!

 

「アルセーヌ!!」

 

 まるで翼が生えたかのように、足は浮き、体は空を駆ける。

 そして、そのまま、ゴールドリングへとボールを持った手を運ぶ。

 

 ダァアン!!

 

 ボールはリングへと吸い込まれる。

 直接ボールを掴んだまま放り込むこのシュートの名は『ダンクシュート』。

 そして、このフリースローラインからの跳躍を人はこう呼ぶ。

 

「……エアーウォーク、……す、すげえ……」

 

 須藤が驚きを隠せないように、呆然とつぶやく。

 そして、先程まで静まり返っていたギャラリーが沸き上がる。

 俺は振り返り、須藤にボールをパスする。

 

「まずは、1点だ」

「ーーっ。面白え!」

 

 須藤は先程までの余裕な表情を好戦的な色に塗り替える。

 ここからが本当の勝負の始まりだ。

 

 

 その後、8-1であった点差を着実に俺は埋めていった。

 ある攻撃では、

 

 ーーーーカットインーーーー

    くらえッ!

 ーーーーーーーーーー

 

 流れるように須藤の身を躱し、反転したままレイアップ。

 またある守備では、

 

 ーーーーカットインーーーー

     奪えっ!

 ーーーーーーーーーー

 

 須藤のフェイントを読み切り、交差する瞬間にボールを奪い取る。

 そして、またある攻撃では、

 

 ーーーーカットインーーーー

     貰った!

 ーーーーーーーーーー

 

 須藤が深めに守備位置をとったことを逆手にとり、3ポイントラインからシュートして、決める。

 そうして、その3ポイントシュートで、8-9と逆転した。

 

「はーっ……はーっ……はーっ。お前、また、実力を隠していやがったのか」

「はーっ……はーっ。そんなわけあるか」

「やるぞ! おらぁ!」

「こい!」

 

 そこからは泥沼であった。

 9-9、10-9、10-10まで持っていくのに、軽く十数回の攻防を行う。

 両者体力は、底をつき、気力だけで戦っている。

 

 そして、須藤の守備の際に、脇を抜けようとした際に、

 

「いかせるかぁあ!」

 

 無理な体制から須藤が腕をふり、

 

 ゴッ!!

 

 須藤の肘が顔面にぶつかり、俺は勢いもあり、倒れ込む。

 

「あっ」

 

 須藤も意図しない予想外のプレイだったのだろう。驚いたようにつぶやく。

 その様子を見ていたギャラリーは、「ひどい!」、「わざとね! 最低!」、「卑怯だぞ!」と批難する声をあげる。

 須藤は、「ち、ちげぇ。今のは……」と焦ったように言う。

 その様子を見て、俺は……、

 

 

 

 【勝つためには暴力か……。最低だな須藤】

▶【(ギャラリーに向かって)少し、静かにしてくれ】

 

 

 

「少し、静かにしてくれ」

 

 ギャラリーに向かって、力を込めてそう言うと、皆、それを見てか押し黙る。

 そして、須藤は俺に近づき、勢いよく頭を下げた。

 

「すまねぇ雨宮! 今のは俺のファールだ。でも、信じてくれ! 俺はわざとじゃ……」

「わかってる。お前がバスケに対して、本気で、真摯に向き合っているのは、この場で、一緒にプレイしている俺が一番よくわかっている。さあ、もう一度だ!」

 

 そう伝えると、須藤は少し目を震わせ、すぐに「ーーっ。おう!」と答えてくれた。

 

 

 その後、最後の1点を入れるために俺達は何度も攻守を交代する。

 そして、須藤の攻撃。

 すでに、足も腕も限界に来ていた。

 須藤がシュートを行おうとボールを構えた瞬間、俺はジャンプする。

 しかし、須藤は落ち着いて、構えた状態で、大きく1歩横にそれ、綺麗なフォームでシュートを放った。

 そして、美しい放物線を描き、ボールはゴールリングへと吸い込まれていった。

 

「ーーっ。しゃあ!!」

 

 須藤は、感極まるように、自分の勝利を喜んだ。

 ギャラリーは歓声こそあげないが、須藤がどれだけ本気でバスケに打ち込んでいるのか理解したのだろう。

 小さな拍手が次第に大きくなり、温かい大きな拍手に変わっていった。

 俺は、なんとか立ち上がる。

 

「俺の負けだな……」

 

 そう須藤に伝えると、須藤は首を横に振る。

 

「雨宮。……いや、途中のファール。本当の試合だったら、1発退場もあったかもしれねえ」

「でも、これは試合じゃないぞ」

「んなこと、関係あるか。俺はバスケだけには、いい加減になりたくねえ。確かに最後は俺の意地で勝ちたかった。でも勝負には勝ったかもしれねぇが。試合では俺の負けだ」

「……面倒くさいなお前」

「う、うるせえよ!」

 

 そう言い合って、お互いに笑い合う。

 

「須藤。これで皆にもお前の本気は伝わったと思う。でも、俺の本気は伝わったか?」

 

 そう聞くと、須藤は真剣な表情になる。

 そして、俺とその後ろにいるクラスメイトたちに向かって頭を下げた。

 

「ああ。悪かった! 皆、すまねえ! 俺のせいでクラスポイントが減ったのに、意地になっちまってた!」

「いや、皆もお前を腫れ物扱いしていたのは事実だ。お前が意地になるのもわかる」

「雨宮……おめえ」

「でも、皆、今、目の前の試験を乗り越えようと協力して頑張っている。だから、お前のバスケにかける情熱を少しでいい。俺たちの方にも向けてくれないか」

 

 そう伝えると、須藤は力強く頷く。

 

「んなもん、当たり前だろ!」

 

 そうして俺たちはがっしりと握手をした。

 

 

 

*************************

      我は汝…汝は我…

   汝、ここに新たなる契りを得たり

        契は即ち、

   囚われを破らんとする反逆の翼なり

 我、「戦車」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり

   自由へと至る、さらなる力とならん…

 

   ペルソナの力を育てる人間関係

    「戦車」コープが解禁した!

*************************

 

 

 

 

 

「さて、もうひと仕事だ。須藤。お前に謝りたいって人がいるんだが……堀北さん!」

 

 そう呼ぶと、フェンスの向こうから鈴音が姿を現す。

 鈴音はしっかりとした足取りで俺と須藤のところまで歩いてくる。

 そして、目の前で立ち止まり、静かに、しかし、しっかりと頭を下げた。

 

「須藤くん。ごめんなさい。私はあなたがバスケットボールに真剣に向き合う気持ちを侮辱したわ。許されることじゃないかもしれないけど、でも、ちゃんと謝らせてほしいの。本当にごめんなさい」

 

 一度顔を上げ、そう伝えると鈴音はもう一度深く頭を下げた。

 それを見て、須藤も真剣な表情をしてから頭を下げた。

 

「堀北。俺の方こそすまねえ! お前が俺たちのために勉強を見てくれるっていうのに、ふざけた態度だった。これからは真剣に取り組むから、頼む! もう一度、勉強を見てくれねえか?」

 

 須藤は、男らしく謝罪し、はっきりとそう伝えた。

 鈴音はそれを見て、いつもの気の強そうな、しかし、それでいてどこか優しげな表情で「ええ。もちろんよ」と言って、須藤の言葉に答えた。

 その二人の様子を見て、俺は安堵した。

 これで、もう大丈夫だろう。

 そう思ったら、力が抜けて、限界を超えた膝では立っていることもできず、そのままバスケットコートに背を預け、仰向けに倒れた。

 

「おい! 雨宮!」

「雨宮くん!」

 

 二人が心配そうに覗き込んでくる。

 そんな二人を見て、俺は笑顔で答える。

 

「大丈夫。ちょっと気が抜けただけだ」

 

 それを聞いて、二人も安堵したようだ。

 

「心配させないで、全く…………こんな無茶をして……」

 

 傍らに膝をついて座った鈴音が、少し潤んだような瞳をしながら、そっと俺の頬に手を添えてくる。

 冷たくて、火照った顔には気持ちの良い手だった。

 そんな鈴音を見て、一言だけ伝えたくなった。

 

「……だが、無茶をしたかいはあった」

 

 そう今の自分の気持ちを伝えるかのように微笑む。

 すると、鈴音は照れたような怒ったようなどちらとも言えない表情をして、手を添えた頬をつねってくる。

 

「い、いひゃい……どうひて」

「し、知らないわ! 自分で考えなさい!」

 

 どうやら、お気に召さなかったようだ。

 

 

 

《『女教皇』のコープのランクが2に上がった!》

 

 

 

 

 

 その後、俺が立ち上がると須藤が声をかけてくる。

 

「おめえら、……付き合ってんのか?」

 

 須藤がそう言うと、鈴音はボンッ!と一瞬で顔を爆発させる。

 

「な、な、なにを言ってるのかしら! そ、そんなわけないでしょ!?///」

「そうだぞ須藤。堀北さんと付き合っているわけないだろ? ーーガフゥ!」

 

 俺がそう答えた瞬間。

 鈴音の肘が俺の脇腹にめり込んだ。

 ひどい。いたい。

 

「な、なにを、するんだ」

「なんとなく、イラッときたの。ごめんなさい他意はないわ」

 

 暴君。

 

「なに?」

「な、なんでもありません……」

「ふん!」

 

 そう言って、鈴音はプイッとそっぽを向いてしまった。

 須藤は苦笑いしながら、俺の肩に腕を回してこう言った。

 

「雨宮……。おめえ馬鹿だな」

「馬鹿はお前だろ須藤」

「んだと!? このやろ!」

 

 俺が言い返すと須藤は笑いながら、組んだ腕とは反対の拳でグリグリと頭にこすりつけてくる。

 地味に痛い。

 

「よっしゃ! 腹減ったな! なんか食いに行こうぜ! もちろん『蓮』! おめえの奢りだからな!」

「どういうことだ!」

「金欠なんだよ。試合には負けたが、勝負は俺の勝ちだしな。気前よく奢ってくれよダチ公!」

 

 まったく、調子が良いやつだ。

 

「あら、いいわね。私の分もお願いね」

「もしもし堀北さん。なぜ」

「あら? 2年生の先輩方には気前よく貢いでおいて、まさか昼食を奢ってあげた私には何もしてくれないの?」

「…………誠心誠意奢らせていただきます。レディー」

「よろしい」

 

 そんなことを言いながら、俺達は何を食べようか話しながら、すでに薄暗くなっている夕日を後目に歩き出した。

 ポイント残るといいな……。

 

 

 

 その後、後をついてきた洋介・清隆、軽井沢グループに、ちゃっかり池と山内も一緒に夕食を食べることになり、楽しい一日を過ごした。

 どうやら皆のわだかまりも少しは和らいだようだ。

 

 

 

 

 しかし、その傍ら、一人の少女が誰にも見られないところで、暗い感情を溜め込んでいることを知らずに……。

 

 

♪♪

《蓮の魅力が磨かれた!》

 

♪♪♪

《蓮の優しさが磨かれた!》

 

RANK UP!

 

《蓮の優しさのランクが2に上がった。「控えめEX」から「聞き上手EX」に成長した!》

 

 

 

 




 平素より、お気に入り登録、感想・評価、誤字脱字報告等々誠にありがとうございます。

 ここまでお読みいただいた方も気に入っていただければ、お気に入り登録、感想・評価等、何卒よろしくお願いいたします。

 ということで、須藤回でした。
 最初はマジでケンカさせようかとか、主人公に圧勝させようかとか色々考えたのですが、須藤というキャラを私なりに分析にして、こういう展開なら主人公と仲良くなれて、周囲からの評価も上がり、熱い展開になってくれるのではと妄想力100%で行いました。
 イチャイチャ的なものは無いって前回書きましたが、最後にちらっとイチャイチャしてました。
 お詫びいたします。

 最後に少し不穏な文章がありますが、次回ではなく、次次回でよくわかります。
 この話も書いていて好きだったのですが、次次回は完全に筆者の暴走が生み出した産物なので、好き嫌いがあるかと思いますが楽しみにしていただけますと幸いです。


 それでは、
 もしも選択肢のコーナー(妄想です)

▶【……バスケが、……したいです】
 【やるぞ。……表に出ろ】

 バスケができます。
 しかし、クラス中が肩透かしを食らうので、ギャラリーがほとんどいませんので、須藤が謝罪&周囲からの評価UPの機会を失います。
 また、主人公が挑発してバスケをやる流れではなく、「磯野ー遊ぼうぜー」ぐらいに捉えられるので、イメージとしては、キャッチボールしながら、お互いの言い分を聞いて、和解させる的な感じなので、平和な解決方法になります。


▶【勝つためには暴力か……。最低だな須藤】
 【(ギャラリーに向かって)少し、静かにしてくれ】

 須藤が調子を崩し、主人公が最後に勝負で勝ちます。
 周囲からの評価は上がってしまいますが、須藤は自分のバスケに対する想いをバキバキに砕かれてしまうため。残念ながら、つぎのテストは過去問があっても集中できず、退学になってしまいます。
 そうすると体育祭などの須藤が活躍する場面でのクラスポイントの獲得が難しくなります。
 余程、須藤が嫌いな人以外は選ばないほうが無難でしょう。
 また、堀北さんと須藤も和解できませんので、堀北さんのコープもあがりません。
 そうするとこの後待ち受けるとあるイベントで、特殊演出が見れなくなります。



異常です(選択肢にかける情熱的な意味で)。
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