ようこそペルソナ的人間模様が繰り広げられる教室へ   作:行天

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感謝:誤字脱字報告いつもありがとうございます!


今日は少し早めに投稿です。




再会の文学少女

 5月の第3週の最終日、ついに中間テストが実施された。

 この一週間で、色々なことがあったが、クラスの皆はむしろその前の二週間よりモチベーションを上げていた気がする。

 今の皆ならきっと大丈夫だろう。

 そう思い、テストに臨んだ。

 

 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン

 

 そして、5科目全ての試験が終了した。

 過去問もあったので、試験の回答には、かなり手応えを感じた。

 ここ最近色々あったので、久々にゆっくりしたい気分だ。

 さてどうしようか……、

 

 

 

 【クラスの皆と打ち上げに行く】

 【鈴音と二人で遊びに行く】

 【桔梗と二人で遊びに行く】

 【清隆と二人で遊びに行く】

 【健と一緒にバスケ部に行ってみる】

▶【図書館に行く】

 

 

 

 そうだ。

 そういえば、今日は借りていた本の返却日だ。

 ちゃんと返しに行かないと。

 そう思い、図書館に行くことにした。

 教室を出ようとした際に、鈴音と桔梗にどこに行くのか聞かれたが、借りた本を返しに行くだけだと伝え、足早に図書館に行くことにした。

 

 

 

 図書館に着き、返却BOXに本を返した。

 また、何か新しい本でも借りようかと思い、館内を歩いていると、奥の席に座って本を読んでいるひよりを見つけた。

 そういえば、すごい久しぶりに感じるな。

 さて、どうする……、

 

 

▶【久々に会えたことに嬉しさを感じつつ、声をかける】

 【クラス間での競争もあることだし、遠慮する】

 

 

 久々に読書仲間に会えた嬉しさを胸に、ひよりに話しかけようと近づいていった。

 近づいていくと、ひよりと目が合った。

 彼女はパァと花が咲くような笑顔を見せたあと、瞬時に真顔に戻り顔をそらしてしまう。

 え……、どうしてだ。

 少し気まずいと思いつつも、ひよりに声をかけることにした。

 

「やあ、ひより。久しぶりだな」

「…………つーん」

 

 ひよりはわざわざ声に出して、私聞いてませんといった素振りを見せる。

 そこまで怒ってはいないのか?と思いつつ、隣に座ることにした。

 

「えっと、ひより、さん?」

「…………つーん!」

 

 え、なに、可愛いぞ。

 しかし、どうやらご機嫌斜めのようだ。

 さて、どうしようか……、

 

 

 【「チョリース!元気してたぁ?」とわざらしくチャラく言う】

▶【「そうだよな……、クラス間の競争も始まったし、もう話したくもないよな。ごめん……もう話しかけないよ」と演技っぽく言う】

 

 

「そうだよな……、クラス間の競争も始まったし、もう話したくもないよな。ごめん……もう話しかけないよ」

 

 と演技がかった台詞を吐き、立ち上がろうとする。

 すると、ひよりはバッと俺の腕を掴んでくる。

 

「違います! そんなことを思っていません!」

 

 と青ざめた顔をして、必死な様子でそう言ってくる。

 やりすぎたかと瞬時に思い、すぐに訂正することにした。

 

「ごめん。冗談のつもりだった……」

「………………グスッ」

 

 そう伝えると、ひよりの目元がうるみ、顔を伏せて少し鼻をすする音がした。

 その様子を見て、大慌てで謝ることにした。

 

「ごめん! そんなつもりはなかったんだ! 本当にごめん」

「……グスッ。許しません……、意地悪な蓮くんは嫌いです……」

 

 ガ――――ン!

 俺は頭に雷が落ちたように衝撃を受ける。

 なんてことをしてしまったんだ……俺は……。

 

「ごめん! 嫌わないでください! 本当に俺が悪かった!」

 

 誠心誠意、頭を下げて、心から謝った。

 

「……、本当に悪いと思っていますか?」

「本当の本当に思っている」

「じゃあ、私のお願いを聞いてくれますか。そうしたら許してあげます」

「何でも言ってくれ。ひよりが気が済むように」

 

 そう答えると、ひよりは徐ろにスマホを取り出してきた。

 そして、少し目元が赤くなった目を上目遣いに、スマホで口元を隠して、こういった。

 

「連絡先教えてください……」

「……あ、はい」

 

 そんなことでいいのかと思いつつ、そういえば連絡先を交換していなかったなと思い、すぐに自分のスマホを取り出して、操作を始めた。

 ピロンと交換が終わった電子音がすると、ひよりは嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「よかった。これでいつでも連絡できますね」

 

 本心からの言葉なのか、少し赤くなった目元と小さく咲いた小花のような笑顔を見て、思った。

 

 守りたい――、この笑顔。

 

 自分で泣かせておいて、何を言ってるんだと思ったが、強くそう決心した。

 

 

 その後、仲直りしつつ、お互いに近況報告をした。

 どうやらクラス間の競争が分かり、Cクラスは早々に一人の男子がリーダーに名乗りをあげたらしい。

 龍園翔という生徒だ。

 そして、かなり強引な手段でクラスをまとめ上げたらしく、彼の指示で、情報の統制を図っていたらしい。

 曰く、安易に彼に背くと、暴力という手段を使い、制裁が加えられるとのこと。

 幸い、ひよりは学力はクラスでもかなり上位だったらしく、また、龍園の意向に反発したわけではないため、特に害されてはいないとのことだ。

 しかし、そうした背景もあって、試験期間中の図書館のように生徒が集まるところで、他のクラスの生徒と会うこともできず、かといって、連絡先を知らないので、目立たないところで会うこともできなかったというわけだ。

 そこまで話し、ひよりは「……寂しかったです」と締めくくった。

 だから、そうした気持ちの反発なのか、少し意地悪をしたくなったのかもしれない。

 そんなひよりに対して、俺は……、

 

 

▶【俺もひよりに会えなくて寂しかったよ】

 【いつでも会いに来てくれればよかったのに】

 

 

「俺もひよりに会えなくて寂しかったよ」

 

 そう伝えると、ひよりは一瞬驚いたような顔をした後に、はにかむように笑う。

 

「蓮くんも私と同じ気持ちだったのですね。……なんだか、嬉しいです」

 

 そう言って、少し照れたように彼女は言った。

 そんな様子を見て、こちらも顔が少し熱くなった。

 そして、その後は、これまで会えなかった分の読んだ本の感想を言い合い、次はどの本を読もうか等、読書仲間談義で盛り上がった。

 

 下校時刻になり、二人で一緒に寮まで帰ることにした。

 帰り道、ひよりが神妙な顔をして話してくる。

 

「蓮くん。気をつけてくださいね……」

「急にどうしたひより」

 

 そう言って、心配そうにこちらを見てくる。

 

「龍園くんが、今後、何かしらの動きを見せてくると思います」

「動き?」

「……はい。おそらく、よくないことだと思います」

「よくないこと……か」

「何をするかはわかりませんが、今はその様子見ということで、色々なクラスにCクラスの生徒を使ってちょっかいを出しているみたいなんです。だからーー」

 

 ひよりは続けざまに何かを言おうとするが、俺はひよりの口に指を当て、自分の口にも人さし指を立てて、静かにするように見せる。

 

「ひより。それ以上はあまりしゃべってはだめだ。裏切りだと判断されるかもしれない」

「で、でも! もし蓮くんに何かあったら! それに、誰も周りにいませんし!」

 

 ひよりは必死に伝えようとしてくれるが、これは危険だと思った。

 

「それでもだ。……ひよりが心配してくれる気持ちは本当に嬉しい。でも、それでもしひよりに何かあれば、俺は自分を許せなくなる。……だから、大丈夫だよひより」

「蓮くん……」

「そうだ。契約書でも書こうか。例えば、『椎名ひよりからCクラスの情報を聞いて、万が一Cクラスが不利益を被った場合は、雨宮蓮は自主的に退学をする』とかどうだ。これだけ強く書いてあれば、Cクラスの人たちに一緒にいるところを見られても大丈夫だろう」

 

 なかなかいい案かもしれないと勝手にうんうんと満足げにうなずいていると、ひよりは怒ったような表情でこちらを見てくる。

 

「いやです。そんな大事な友だちが傷つくような契約なんてしたくありません! 私たちはただ共通の趣味を楽しんでいるだけなのに! クラスの誰にも文句は言わせません! それに冗談でも自分から退学するなんて言わないでください!」

 

 小さな体からは発せられているとは信じられないような声で強くひよりはそう言った。

 まいったな。

 

「ごめん。そんなつもりで言ったんじゃないんだ。ただ、話を聞く限り、龍園という男子は自分の意に反する人に何をするかわからない。俺と会うことでひよりが傷つくようなことには絶対なってほしくないんだ」

「蓮くん……。それでも、私は、いやです」

 

 ひよりは沈んだ表情を見せる。

 ちゃんと伝えよう。

 

「わかった。じゃあ、約束してくれ。もし、こうやって一緒に過ごしていることに対して、龍園やCクラスの人たちが何かしらの条件を出してくるようだったら、ひよりだけで決めないで、俺に相談してくれ。二人で解決しよう」

 

 そう伝えると、ひよりはこちらをじっと見てきて、次第にその目に熱が帯びてくる。

 

「はい。約束します。……私、蓮くんがそこまで考えてくれて、本当に嬉しいです」

「俺もだひより。クラス間の競争は始まったけど、俺はひよりとのこの関係が好きなんだ。大事にしたいんだ」

「私もです……蓮くん」

 

 お互いに想い合うように見つめ合う。

 しかし、なんだか気恥ずかしくなり、お互いに目をそらしてしまう。

 そんなやり取りをしつつ、俺たちは寮に帰り、それぞれの自室に帰った。

 

《蓮の知識が磨かれた!》

 

 

《「星」のコープのランクが3に上がった!》

 

 

 

~~椎名ひよりside~~

 

 私は自分の部屋に戻り、カバンから今日、彼と借りた本を出しました。

 そのまま、机に向かい、私は読み始めます。

 いつもなら、このまま読書に没頭し、本の世界を楽しむはずでした。

 しかし、今日は、目の前の本の文字が頭に入ってきません。

 その代わり、浮かび上がるのは、大事な友人のこと。

 

 中学の頃、私には多くはないけれど、話の合う友人がいました。

 そして、この学校に入学することで、連絡は取れなくなることはわかっていました。

 寂しくはありましたが、それでも、きっとこの学校でもそういう友人ができるだろうという期待がありました。

 しかし、私が所属することになったクラスには同じ趣味を持つ人はいませんでした。

 けして、クラスの人たちが嫌いというわけではありません。けれど、好きでもない、まだそういう感情を抱くような関係性でもありません。

 だからなのでしょう。

 たまたま図書館で見かけた彼に自然と関心を持ったのは。

 

 最初は、何を読んでいるんだろうと本に目が行きました。

 しかし、観察をしていると、まるで本に食いつくように読み、時折、うんうんと頷き、ほうと真新しいものを見るように驚き、面白いのか口元がニヤけるなど、周りを気にしないかのように集中している彼を見て、私は「ああ、この人、本を読むのが好きなのですね」と思いました。

 そう思ったら、なんだか自分が一人ぼっちでは無い気がして嬉しくなりました。

 中学の時の友人は同性だったので、異性に話しかけるのは少し緊張しましたが、それよりも同じ本好きに出会えたことの喜びの方が勝っていました。

 私が声をかけると、彼は礼儀正しく返してくれたので、安心して話を続けることができました。

 私は同じものに興味を持っている彼とのつながりが欲しくて、また話しかけてもいいかを聞けば、彼は快く「もちろん。いつでも声をかけて」と優しく言ってくれました。

 その後、お互いの好きな本を紹介し合って、気づけばお互いに感想を話す約束をして、一緒に本を探して……。

 私は入学して以来、一番楽しい時間を過ごしました。

 

 帰り際、私は彼との確かなつながりが欲しくなり、勇気を出して、友達になってほしいと口に出して伝えました。

 友達になってくださいなんて小学校の低学年の子みたいなことを言って、馬鹿にされてしまうかもと頭によぎり、少し後悔しそうになりました。

 でも彼は馬鹿にするどころか優しい笑みを浮かべて、「もちろん。これからよろしく椎名さん」と手を差し伸べてくれました。

 嬉しい。

 同じ本が好きな友人ができて。

 嬉しい。

 こんな優しい人と友人になれて。

 その日は、心なしかいつもより胸の内が暖かくなったことを鮮明に覚えています。

 

 4月の間は、毎日ではないですが、よく図書館で会い、彼と本の話で盛り上がり、隣合わせで静かに本を読み、そして、また話しをする。

 私のことを名前で呼んでと少しからかってしまったこともありました。

 そんなからかいも彼は許してくれます。

 そんな彼との時間が楽しくて仕方ありませんでした。

 

 しかし、5月になり、この学校のシステムが1年生に公開されました。

 彼のクラスであるDクラスは学年でも飛び抜けて低いクラスポイント。

 きっと彼はショックを受けているかもしれないと思うと自分のことのように苦しく思いました。

 そして、Cクラスは、自分のことを「王」と宣言し、クラスを支配する存在、龍園くんが頭角を現しました。

 もちろんクラスメイトたちも黙ってはいませんでしたが、そうした反乱分子を龍園くんは即座に徹底的に皆の前で制裁を加えました。

 それだけであれば、ただの不良生徒の一言ですみましたが、カリスマとも言える才覚を龍園くんは備えていました。

 俺に従えば、他のクラスを叩きのめし、このクラスをAクラスにしてやる。

 そんな龍園くんの言葉は、Aクラスしか望む進路を選択できないと説明されたばかりのクラスメイトたちには、少なからず彼に期待してしまった様子でした。

 幸いなことに、私は人より観察力があることを自負しています。

 だから、龍園くんが行う統治の意味が理解できたので、下手な反発や行動を見せなければ、現状大丈夫だろうと判断することができました。

 

 それから、しばらくは様子見も兼ねて大人しく観察することに徹しました。

 そして、目をつけられないように行動もしました。

 しかし、それはつまり、蓮くん。彼との楽しい時間を過ごすこともできなくなってしまうことでした。

 あれだけ頻繁に会っていたのに、連絡先を交換していなかったことは本当に悔やみました。

 心の何処かでいつものあの場所に行けば、彼といつでも会えると勝手に思いこんでいました。

 段々と寂しくなる気持ちが積もり、図書館に足を運んで見れば、4月は閑散としていたのが嘘のように、試験勉強をする生徒で混み合っていました。

 これでは、彼がいたとしても、誰かに見られてしまうかもしれない。

 そう思い、自然と足を運ばなくなりました。

 普段から授業を聞いていて、地頭(じあたま)も悪くなく、自習も適度にしているため、私は試験勉強への苦労はほとんどなく、ただ、1日1日と彼に会えない寂しさが積もっていくばかりでした。

 そして、どうしても我慢できなくなり、もしかしたらと何処かで期待しながら、図書館に足を運び、入口から様子を見に行った日、彼がいました。

 すぐに声をかけたい。

 いつものように本のことで語り合いたい。

 そう思いながら、近づこうとし、

 そして、

 それを見てしまいました。

 クラスメイトと楽しく笑い合いながら、図書館の机を囲む姿を。

 

 

 

 気づいたら私は自室に帰っていました。

 自分がこんなにも寂しい思いをしているのだから、きっと彼も同じ気持ちだろうとどこかで思って、いえ、信じていました。

 でも、それは傲慢な考えで、彼に私以外の交流があるのは少し考えれば当然のこと。一人ぼっちなのは私だけでした。

 その傲慢な自分の考えに私は恥ずかしくなりました。

 でも、同時に、納得ができない気持ちもありました。

 だって、あんなにも二人で過ごしたあの場所で、私がこんなにも寂しい気持ちでいるのに、彼はそんなことを気にもせず、友人たちと楽しく過ごしていたんです。

 身勝手なのはわかっていますが、その時の私に自分の気持ちを押さえつけるには、彼との会わない時間が長すぎました。

 

 

 試験が終わり、私はいつもの様子に戻った図書館にいました。

 あれだけ賑わっていた様子はもうどこにもなく、静かなその様子がいつもなら落ち着くはずなのに、今日は『怖い』と感じました。

 本さえあればいいなんて、思っていた頃もありました。

 でも、それは本心ではない。ただの強がり。

 そんな暗い考えがつきまとい、もう帰ってしまおうかと考えていたその時、誰かが近づいてくる気配を感じてそちらを見ました。

 ……蓮くん。

 蓮くん!

 彼でした。

 試験が終わったばかりなのに、わざわざ図書館にくる。

 その選択をした彼と気持ちが通ったようで、私の嬉しいという感情の高ぶりを急速に感じました。

 …………でも、やっぱり納得できません。

 私はこんなにも苦しい思いをしたのに、近づいてくる彼はそんなことを気にもせず、機嫌よくこちらにきます。

 ――いじわるをしてやりましょう。

 そんな考えが一瞬で頭をよぎり、私は行動に移していました。

 私の行動を見て、彼は戸惑ったような様子です。

 私は内心、『してやったり』そんな言葉が浮かびます。

 そして、そんな私にどうするんだと云わんばかりに構えていると、彼は、

 

 

「――もう話しかけないよ」

 

 

 え、

 え?

 まって?

 まってください?

 いや、

 いや!

 いやです!

 やめてください!

 私は、蓮くんが、彼が離れていってしまうことに、これまで感じたこともないような『焦り』と『恐怖』を体感しました。

 行かないで。

 離れないで。

 私を一人にしないで!

 そう思った瞬間に彼の腕をつかむと、彼は焦ったようにさっきの言葉が冗談であることを言ってくれました。

 私は安堵したと同時に、彼の言葉が頭から離れなくて、もし本当にそうなってしまったらと考え、自然と涙が止まらなくなってしまいました。

 

 

 

 

 そして、

 連絡先を手に入れることができました。

 これでもう寂しくありません。

 その後、なぜ今まで会えなかったかを彼に説明し、最後に素直に自分が感じた寂しさを伝えたら、

 

「俺もひよりに会えなくて寂しかったよ」

 

 ――嬉しい。

 一瞬、嘘かとも思いましたが、彼の表情からは本当にそう思ってくれていたことがわかってしまい、ポカポカと胸の内が暖かくなりました。

 

 

 

 帰り際、優しい彼が龍園くんの策略に巻き込まれないようにお話しようとすると、彼は私の話を遮るようにして、そして、私のことを心配してくれました。

 でも、クラスのことを気にして、彼との関係を我慢することのほうが嫌でした。

 彼が冗談交じりに自分の退学をかけた契約の話をしたときは、なんでそんなことを言うのか本当にわからず、ムキになって言い返してしまいました。

 でも、理由は私のためにでした。

 彼が自分の退学をかけてまで、私を心配してくれる、この関係を大事に思ってくれる。それをちゃんと言葉にして伝えてくれる。

 今までの人生で感じたこともない幸福感がありました。

 同時に、感じたこともない胸の高まりを感じました。

 

 

 

 私は、手に取っていた本を閉じます。

 素晴らしい本に出会ったときの嬉しさや楽しさ、そういったもの以上に今、私を満たしてくれているこの感情には、なんて名前がついているのでしょう。

 私は、人より勉強ができるという自負があります。

 私は、人より観察力があるという自負があります。

 でも、そんな私でも、この大切で、優しくて、暖かい気持ちで満たされているこの感情を上手く言葉にできません。

 手に取ったスマートフォンの連絡先に表示される『雨宮蓮』という名前を見ただけで、さらにこの感情が強くなります。

 でも、分からないですが、決して嫌なものではなく、むしろ好ましいものであることはわかります。

 だから、もし神様と呼ばれるような方がいるなら、

 どうか、神様。

 この私の名も知らない心地良い気持ちが、私の大切な蓮くんにも伝わりますように……。

 私は手に持った彼の名前が表示され続けているスマートフォンを抱きしめるように胸に当てて、そう祈りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

prrrrrrrr……、prrrrrrrr……、

 

『もしもし、ひよりか。どうした?』

「え、え、え!? れ、蓮くん!?」

『ん? どうした慌てて?』

「え、あの、ど、どうして電話を!?」

『何言ってるんだ。そっちからかけてきたんじゃないか』

「あ、これは、その、違うんです。何か、用事があったわけでは、間違えて押しちゃったみたいで!」

『ははっ、なんだ間違い電話か。ひよりもおっちょこちょいなところがあるんだな』

「も、もう――!」

 

 こんなことは伝わらないでほしかったです。

 神様のいじわる。

 

 

 






 平素より、お気に入り登録、感想・評価、誤字脱字報告等々誠にありがとうございます。

 ここまでお読みいただいた方も気に入っていただければ、お気に入り登録、感想・評価等、何卒よろしくお願いいたします。



 はい。ということで、椎名ひよりさんの回でした。
 昨日に引き続き、心理描写マシマシでお送りしました。

 今日は言い訳はしません。
 ただ一言、言うならば、

 『これが俺のひよりだ!』

 ということです。


 つまり何が言いたいかというと、
 彼女は聡明で、観察力に優れています。
 そして、別にコミュニケーション能力が劣っているわけではなく、人付き合いが特別悪いわけでもないのです。
 しかし、入学当初はクラスも落ち着かず、龍園がオラオラしている中で、クラスで落ち着いて交流できるはずもなく、特別友だちづくりが上手なわけでもないので、ある意味孤立している(クラスの男子は高嶺の花とか思ってそうだけど)状態と考察しました。
 また、原作を読んでも彼女は別に一人が良いということはなく、自身でも言っていますが、友達が少ないだけなのです。
 でも、一之瀬さんの悪評がまん延した際は、みーちゃんと綾小路との会話のときに、友達が少ない私にも声をかけてくれる良い人と言って、一之瀬さんのことを心配する様子が描かれています。
 つまり、彼女は基本的にメチャクチャ優しく、ある意味主人公と同じくらい人として素晴らしい感性をおもちなのです。
 だから、そんな彼女が友達がいない状態を寂しく思うことは当然であって、
 その状態で、すでに交友関係を結んでいる主人公を探し求めてしまうことは必然なのです。……QED。
 ということで、彼女の場合は、先んじて書かせていただいたヒロイン二人とは違って、恋心を自覚していき、育ませていくことが、コープの成長なのです。


 わかってもらえたでしょうか。


 あれ、いつの間にひよりさんへの愛が漏れてしまい、怪文書みたいになってる……。
 あ、でも、いくら主人公の人たらしの方法が、揺さぶってから優しくするとといったDV男みたいな行動原理だったとしても、ひよりさんを泣かせてしまったことは深く反省しております。
 でも、その描写がどうしても書きたかったんや! オラは悪くねえだ!



 ということで、次回で原作1巻はおしまいの予定です。
 よう実二次創作の中で、中間テストまでの内容で、20話超えているのは私の二次創作ぐらいではないだろうかと思う今日此の頃。




 では、もしも選択肢のコーナー(妄想です。)

 【久々に会えたことに嬉しさを感じつつ、声をかける】
▶【クラス間での競争もあることだし、遠慮する】

 そんな選択肢が許されるとでも思ったのか? ……おっと、まだ上の後書きを引きずってますね。
 この選択をすると、当然椎名さんとのコープは上がりません。
 椎名さんも気づかないので、そのまま帰宅となります。


▶【「チョリース!元気してたぁ?」とわざらしくチャラく言う】
 【「そうだよな……、クラス間の競争も始まったし、もう話したくもないよな。ごめん……もう話しかけないよ」と演技っぽく言う】

 チャラく言うの選択肢を選ぶと、椎名さんに呆れられてしまいますが、彼女は普段どおりに仲良くしてくれて、お互いに満足します。
 後の流れはあまり変わりませんが、特殊演出の方向性が少し変わってきます。
 ある意味正解かもしれませんが、心の揺れが大きくなるほど対象を意識するのが人間だと思うので、そうした経験をする、させることが大切なのです。



 【俺もひよりに会えなくて寂しかったよ】
▶【いつでも会いに来てくれればよかったのに】

 この選択肢もちょっと椎名さんが不貞腐れます。理由としては、彼女は普通に会いに行こうとしていますので、この選択肢を選ぶと心の中でそのことを思い出し、主人公に不満を覚えます。
 時にはちゃんと自分の気持を言葉にして、相手に伝えることが大切ということです。



 異常です(筆者の椎名ひよりさんへの偏愛具合が)



 追記
 すみません。最初の選択肢をコーナーに入れるの忘れていました。
 私の中でひよりさんと会いに行く以外の選択肢がなったので、忘れてました汗。

 【クラスの皆と打ち上げに行く】
 【鈴音と二人で遊びに行く】
 【桔梗と二人で遊びに行く】
 【清隆と二人で遊びに行く】
 【健と一緒にバスケ部に行ってみる】
 【図書館に行く】


 クラスの皆とを選ぶと軽井沢グループ+みーちゃん+他女子数名+平田+池・山内と一緒に打ち上げに行けます。その後の選択肢次第では新しいコープも開放できますが、焦る必要はありません。
 鈴音とを選ぶと、鈴音好感度大アップ、桔梗の嫉妬心大アップしますw
 桔梗とを選ぶと、その逆です。
 清隆とを選ぶと、綾小路とのコープが深まり、特殊演出が見れますが、タイミングは今じゃない方が、演出効果が深まります。
 健と一緒にを選ぶと、バスケ部に強引に誘われて、選択肢次第でバスケ部に入部するので、そのままバスケットボール全国大会編が始まり、この二次創作のタイトルが改題してしまいます。

 とこんな感じの妄想です。
 



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