少し時間がかかりましたが、何とか書けました汗
さて、俺は…………、
【Bクラスに行ってみよう】
▶【Aクラスに行ってみよう】
Aクラスに行ってみよう。
他のクラスの人でも、有益な情報を持っている人がいるかもしれない。
そう思い、Aクラスに向かうことにした。
教室を出て、廊下を少し歩くと目的のAクラスの前に来た。
俺は扉を開ける。
扉を開けると、Aクラスの生徒がまばらに教室の中にいた。
まだ放課後になったばかりだからか、大半の生徒はいるようだ。
扉の近くにいた女生徒たちがこちらに気づく。
「君……、もしかして…………」
そう言って、女生徒は一歩後退る。
しまった。まだ事件の結果が出ていない。
つまり、こちらが加害者だと思っている可能性は十分にある。
なら、自分のクラスに問題を起こした乱暴者が来たと思っても不思議ではない。
ここはしっかりと説明しないといけないな。
「もしかして、もしかして…………」
ここは、しっかりと頭を下げて、まずはポイント支給が遅れていることを謝ろう。
そう思い、頭を下げようとすると、
「もしかして! 君が噂の『王子様』!?」
「………………なんだって?」
俺がそう聞くと、キャーキャーと黄色い声で騒ぎ出す。
急に何を言い出すのかと、一瞬思考がフリーズしてしまった。
それにしても、『王子様』って、昨今聞かないワードだなとそんなことを思っていると、
「姫~! 王子様が来たよ~!」
騒いでいたうちの一人がそう言って、クラスの奥の方に呼びかけた。
すると、カツカツと特徴的な音を立てながら、一人の女生徒が近づいてきた。
その小柄な容姿からは考えられない圧を周囲に撒き散らしながら。
そう、坂柳さんだ。
「皆さん。いい加減、その呼び方を止めませんと、後悔しますよ?」
額に青筋を浮かべながら坂柳さんがそう言うが、
「もう姫ったら、照れちゃって~」
「そうだよー。あんな姿見せつけちゃってくれてー」
「うんうん。姫のピンチに颯爽と現れて、女子フロアを駆ける姿!まさに王子様だったよね~」
顔を赤らめて彼女たちは、頬を押さえる。
それを見て、坂柳さんはさらに額の青筋を浮き上がらせて、近づいてくる。
なんだ、この空気、超怖い。
しかも目の前のこの子たちは坂柳さんの殺気をまるで感知していないのが、さらに怖い。
「ふふふ。面白い冗談ですね。彼は私の『敵』ですよ? 皆さん勘違いも甚だしいですよ」
「もう照れちゃって~」
「そうだよ! ほらこの写真見てよ! こんなの見て敵って言われても信じられないよ!」
そう言った子がスマホを掲げるとそこには、坂柳さんを抱きかかえて寮を駆ける俺が写っていた。
こんな写真いつ撮られたんだ。
そして、その写真を見せられた坂柳さんはわなわなと震えだす。
「い、いい加減その写真を消して下さい!」
「え~いいじゃない。それにもう結構この写真出回ってるし」
「~~~っ!」
坂柳さんは悔しそうな表情を浮かべながら、杖で俺の足をほどほどの力で叩いてきた。
「…………痛いんだが」
「知りません!」
「あははは、すごい仲いいね二人とも」
「だから、違います!!」
坂柳さん本人は割と本気で怒ってるかもしれないが、ただでさえ小柄で、その上、可愛らしい容姿をしているので、見様によっては、年下の子がぷりぷり怒っているように見える。
そのせいか、クラスの子達からも本気で相手にされていないようにも見える。
しかし、坂柳さんは見た目と反してかなり性格が尖っているから、この子たちは大丈夫だろうか。
そんなことを思っていると、
「いい加減にしなよ。そいつ、嫌がってんでしょ」
そう言ってこちらに近づいてくるのは、真澄だった。
「あ、神室さん」
「ごめんごめん。姫が可愛すぎて」
「どうなっても知らないからね……」
そこまで悪びれていないクラスメイトに対して、真澄は実感からか呆れたようにそう言った。
坂柳さんの方は、顔を伏せているが、口元は獰猛な三日月を作っている。
「で? 蓮は何しに来たのよ?」
真澄がそう言うので答えようとすると、周りの女子たちが黄色い声を上げる。
「呼び捨て!? もしかして――!」「神室さんも王子のことが好きなの!?」「え、え、じゃあ、姫と王子は想い合っているけど、神室さんも王子が好きで、じゃなくて、二人も好き合っていて……、あ、つまり、二股!?」「二股王子様!? サイテー……」「それもう王子じゃなくて、ただのクズ男じゃん」「でも、そんな人には見えないような……」「ということは、姫と神室さんがこの男子を取り合っているってこと?」「二股じゃなくて三角関係!? トライアングラー!?」「でも姫と神室さんって最近仲良さそうだし、取り合ってる感じじゃないし、……まさか、共有財産!?」「ああ、もう! 情報が多すぎてわけわかんないよ~」「取り敢えず、もう二『ま』た疑惑の三角関係な共有財『さ』んの『男』、略して『マサオ』くんで良いんじゃない?」「ちょ、ちょっと、や、やめて、笑いが……」
……好き放題言われてるなあ。
どうやら俺はマサオくんになってしまったようだ。
坂柳さんは「マサオくん……くく」と笑うのを必死に抑えている様子で、真澄は「蓮に変なあだ名つけないでよ!」と怒っている。
そして、俺はこう思った。
もう帰ってもいいだろうか、と。
事件のことを聞ける雰囲気、というか聞く気が失せてしまった。
「今回のことはAクラスにも迷惑をかけてすまなかった。皆にもそう伝えておいてくれ」
そう言い残して、俺はAクラスを後にした。
《蓮は『なんの成果も!! 得られませんでした!!』を手に入れた》
帰宅した。
さて、夕方だ。何をしよう……、
【疲れたので寝よう】
【美味しいものが食べたいな料理でも作ろうか】
【風呂に入ってさっぱりしたいな】
【こんなときは読書だな】
▶【誰かと話したいな】
なんか、今日は色々あって、誰かに話を聞いてほしい気分だ。
まあ、しばらくすればまた賑やかになるんじゃないだろうかとそんなことを考えた。
ピンポーン
ん? 誰か来たようだ。
そう思い、玄関を開けると真澄がいた。
「真澄? どうしたんだ?」
「別に……、最近来ると他の子がいるから、ちょっと早くきただけ」
「そ、そうか」
「上がるわよ」
そう言って、真澄は部屋の中に入っていった。
強引だ。
その後、お茶でも入れようかと思い、キッチンに入ると、「私がやるから座ってなさいよ」と言って、勝手知ったるなんちゃらといった感じに、テキパキと用意をしてくれる。
甲斐甲斐しい。
その後、「今日のこと、怒ってる? 変なあだ名をつけられて」と聞いてくるので、「怒ってないよ」と伝えると安心したような表情をして、「あのあだ名はやめるようにあの後ちゃんと言っておいたから安心して」と言ってくるので、「ありがとう」と言って、頭を撫でると気持ちよさそうな様子になった。
そんな感じで、のんびり話しているとだんだん疲れが出たのかウトウトしてきた。
それを見て、真澄が近くまで寄ってきて、「ほら、こっち」と言って、自分の膝のあたりをポンポンと叩く。
……そこに寝ろということだろうか。
流石に恥ずかしいと伝えると、真澄は俺の頭を掴み強引に引っ張り、そのまま自分の膝の上に乗せた。
柔らかい感触がする。
そんなことを思っていると、そのまま真澄は俺の頭を撫でてくる。
……整髪剤が手につくぞと思いながらも、それは口にせずにされるがまま、撫でられていると、とても心地が良く、そのまま俺は眠ってしまった。
意識が沈む前に、「ふふ、かわいい……」という小さな声が聞こえた気がした。
♪♪
《蓮に対する真澄の好感度が上がった》
その後、鈴音、桔梗、ひよりが今日もやってきて色々と世話を焼いてくれた。
日課の説得をし、今日も泊まるのだけは遠慮してもらった。
だけど、やはり布団は持って帰ってもらえなかった。
心なしか布団たちが、「いつ、お家に帰れるの……」と言っている気がした。
翌日、今日は学校は午前中だけの半ドンだ。
ホームルーム前に洋介たちが、Bクラスとの協力を取り付けてくれたようだ。
学校の掲示板に情報求むの張り紙や学校のHPの掲示板を使って情報提供を呼びかけてくれているようだ。
そういうことならば、Bクラスにいってちゃんと礼を言わないといけないな。
今日は、午前の授業が終わったら、Bクラスに行くことにした。
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン
放課後だ。
早速、Bクラスに行くことにした。
廊下を出て少し歩くと、Bクラスに着いた。
俺は教室の扉を開く。
扉を開くと、Bクラスの生徒たちが教壇の前で何やら話し合っていた。
そして、そのうちの一人がこちらに気づき近づいてくる。
それは一人の女生徒だった。
ストロベリーブロンドの腰まで伸びる長髪に、紺色よりも青いスカイブルーの瞳は日本人離れした容姿をしている。しかし、それとは反して、人懐っこそうな笑みを浮かべていて、見るものを魅了すると同時に、明るく朗らかに照らすような美少女であった。
しかし、この子は……、そうだ、図書館で山脇と言い争った際に仲裁してくれた、確か一之瀬さんという名前だ。
「雨宮くんだったよね? 話は平田くん達から聞いたよ。怪我をしたって聞いたけど大丈夫?」
そう言って、一之瀬さんは本当に心配そうにこちらを見てくる。
裏表のない言葉だなと直感で思った。
たった一言でこれほどの信頼感を思わせるのは、素直にすごいと思い、そして、彼女こそがBクラスのまとめ役なのではないかと思った。
俺は、彼女の善意に敬意を払う意味も含めて、頭を下げた。
「今回は、Bクラスにも迷惑をかけて本当にすまない。それと、力を貸してくれて本当にありがとう」
「にゃはは。大丈夫だよ。それにCクラスの人には、私たちもちょっかいかけられてたからね。クラス間の競争があるのはしょうが無いけど、こういうやり方は認められない。認めちゃだめだと思うの。……それが、Bクラスのみんなの総意だから」
一之瀬さんが真っ直ぐこちらを見ながらそう言うと、後ろにいるBクラスの皆も同様に真っ直ぐとこちらを見ながら頷く。
良いクラスだな。
素直にそう思った。
そして、改めて俺は頭を下げた。
「じゃあ、早速だけど、Bクラスの方でわかったことを共有するね。昨日から掲示板で情報提供を募っていたんだけど、石崎くんについて一つ同じ地元の中学の子からで、どうも石崎くんは中学時代は相当悪だったみたい。喧嘩の腕も結構立つらしくて地元じゃ恐れられてたんだって」
「なるほど。だから、あのとき小宮と近藤だけじゃなかったのか」
「用心棒ってところかな? 神崎くんはこれ見てどう思う?」
そう一之瀬に言われて、近づいてくる男子がいた。
背は高く、体格もがっしりとしている。
「そうだな……、そもそも今回の動きは仕組まれていたと考えると、3人で須藤を罠に嵌めるために動いた。当初の予定なら須藤に攻撃させて、3人がかりでも負傷したということにして、須藤の凶暴性を追求する……そんな流れじゃないか」
「ああ、俺もそう思う。小宮と近藤が何かを企んでいることは俺も考えていたが、あそこに石崎がいた理由は、そうした考えもあったのか」
「だが雨宮、そこにお前がいたことで、やつらの予定が狂った」
「そうだな。だから、やつらはこちらを小突いて手を出させようとしてきた。だが、手を出してこないからムキになったといった感じだな」
「しかし、よく石崎の攻めに耐えきれたな。雨宮も喧嘩慣れしているのか?」
「いや、単に我慢強さには自信があるだけだ」
「ふっ、面白いやつだな」
神埼のキレのある考察に、俺は同意する。
「二人とも流石だね! そうするとやっぱり重要なのは……」
▶【目撃者の存在か】
【監視カメラの存在だ】
「目撃者の存在か」
「うん。やっぱり今回の件とは関係ない第三者の目撃証言が大事だと思うの」
「そうだな」
「Bクラスは引き続き、情報提供を呼びかけるよ。あ、そうだ。情報が入ったら連絡するから連絡先教えてくれる?」
「ああ、もちろん」
そう言って、俺は自分のスマホを起動して、連絡先交換のための画面を表示する。
一之瀬さんは手慣れた手付きで操作し、交換をした。
その後、俺はBクラスの皆に礼を言って、Bクラスを後にした。
《『石崎の中学時代の噂』を手に入れた!》
ピロン
廊下に出た後に少し歩いていると、メッセージが入った音がした。
確認すると先程まで話していた一之瀬さんだ。
『急にごめんね。実は、私も相談したいことがあるんだけど、いいかな?』
そんなメッセージであった。
さて、どのように返信しようか……、
【『すまない。また今度でもいいか?』】
▶【『もちろんだ。俺で良ければ』】
『もちろんだ。俺で良ければ』
俺がそう送信すると、すぐに『ありがとう! じゃあ、13時半に昇降口で待ち合わせね!』と返ってきた。
時間になったら、待ち合わせ場所に行こう。
昇降口では、まだチラホラと帰宅する生徒の姿が見られた。
時間より早く来て待っていると、廊下の奥から歩いてくる一之瀬さんが見えた。
ほどほどに生徒がいる中、やはり彼女の容姿は目立っており、道行く生徒たちに声をかけられながらこちらに向かってくる姿を見ると、柔らかくも力強い、良い意味で場を支配するような存在感があった。
「あ、雨宮くん。ごめんね、またせちゃったかな?」
「いや、大丈夫だ」
「ありがとうね。すぐ終わらせるからちょっと付いてきてくれる?」
そう言って一之瀬さんは靴を履き替え始めたので、俺も靴を履き替えた。
そして、彼女に導かれるまま校舎の裏側へ向かう。
しばらく歩きたどり着いたのは、体育館裏であった。
そこで一之瀬さんは立ち止まり、こちらを見てくる。
「実はね、私……………………」
「ん? どうした?」
なにやら言いづらそうにしている。
そして、一之瀬さんは一回深呼吸をすると、言った。
「告白されるみたいなの!」
「…………なんだって?」
大きな声で彼女はそう言った後に、一枚の手紙を取り出してきた。
ハートの可愛いシールが貼られた薄いピンク色の手紙だ。
そして、その中を開けて一枚の便箋を取り出してこちらに渡してくる。
こういったものは他の人に見せないほうが良いと思うのだがとは思いつつ、好奇心もあり、見せてもらうことにした。
中には、一之瀬さんのどこを好きになったのかが綺麗で丸っこい可愛らしい文字で書かれていた。
どこからどう見ても女子からのラブレターだ。
そして、それを受け取った一之瀬さんも女子だ。
俺は一之瀬さんに手紙を返しながら、話しかける。
「……確かにこれは難題だな。確認だが、一之瀬さんは女の子に対してそうした感情は持てる人か?」
そう聞くと、慌てたように手の平を前に出してブルブルと振る。
「ち、ちがうよ! ノーマルだよ! でも私、恋愛には疎くって、男の子にもそういう気持ちになったことがなくって、どうしたら相手を傷つけずに済むのか。仲の良い友だちでいられるのかがわからなくて、同じクラスの子だから、……クラスの人にも相談できなくって」
確かに、相手がクラスの人なら、ただでさえセンシティブな恋愛感情だ、噂にでもなったら、きっと奇異な視線に晒されてしまうだろうことは簡単に想像できる。
「しかし、一之瀬さんなら、同性は初めてかもしれないが、男子から告白はよくされているじゃないのか?」
「えっ!? そ、そんなこと全然ないよ! 私、告白されたことないもん」
「そうなのか、意外だな」
本当に意外だ。別に高嶺の花というほど、近づきづらいわけでもないし、むしろ、愛嬌もありそうで、言いふらすような性格とも考えられないから、告白しやすさはトップクラスだと思うのだが。
そんなことを考えていると、一之瀬さんは困ったような顔をしながら、
「だからもう、ほんとどうして、って感じなの、……雨宮くん、だから彼氏のフリをしてくれないかな」
「……なるほど、そういうことか」
確かに、すでに付き合っている人がいれば、断りやすいだろう。
でも、本当にそれで良いのだろうか。
「一之瀬さんはそれで良いのか?」
「うん。それが一番相手を傷つけなくて済むって色々調べたら出てきたから、あ、もし雨宮くんが困るっていうなら、すぐに別れたことにするから、私がフラれたことにしてくれていいし」
……一之瀬さんは自分が言った通り、こうした状況には慣れていないだろう。
だからこそ、自分がやろうとしていることの意味に気づけていないのだろう。
なら、俺は…………、
【彼氏のフリをする】
▶【彼氏のフリをしない】
「……あの、一之瀬さん……その人は?」
背後から話しかけられ振り向くと、そこには小柄で大人しそうなショートヘアの女生徒だった。
先程Bクラスに行ったときも顔を見た気がする。
彼女はこちらを警戒している様子で見てくる。
「千尋ちゃん。ごめんね知らない人を連れてきちゃって、知ってると思うけど、彼はDクラスの雨宮くん」
「……もしかして、一之瀬さんの彼氏……とか?」
「あ、それは……えっと……」
一之瀬さんは、言い淀んでしまう。
そうだよっと、一言答えてしまえば、それまでのことだ。
だが、きっと彼女の中で、友だちに嘘をつくことへの後ろめたさが、顔を合わせたことで強くなったのだろう。
「どうして、雨宮くんがここにいるんですかっ」
千尋と呼ばれた女の子は、想定外の状況に混乱して涙目になってしまう。
勇気を出して、告白しようとしたら、全く関係のない他人がいた。
彼女のショックは相当のものだろう。
わなわなと泣き出しそうに震える彼女を見て、一之瀬さんはあたふたと慌て、同じくパニックになってしまっている。
「あ、あの、どこか行ってもらえませんか。私これから一之瀬さんに大切な話があるんです」
「わ、ちょっと待って千尋ちゃん。その、えっとね、実は雨宮くんは……」
一之瀬さん、彼女は『大切な話』と言ったんだ。
お前はその言葉を続けちゃだめだ。
「大丈夫だ。一之瀬さんとは付き合ってない」
「雨宮くん!?」
俺がそう言うと、一之瀬さんは驚いたようにこっちを見る。
だからこそ、今ちゃんと言ってやらないと、いけないと思った。
「一之瀬さん。お前はそれで良いと本当にそう思うのか」
「それは……」
「誰かに告白するっていうのは、とても勇気がいるんだ。上手くいくかもしれない。上手くいかないかもしれない。幸せな関係が築けるかもしれない。二度と相手にされないかもしれない。特別な時間が作れるようになるかもしれない。後悔しか残らないような結果になるかもしれない。言葉にしたい溢れ出すような気持ちを、後ろ髪を引っ張られて中々言葉にできないその気持ちを、真剣に、本気で、真摯に、必死の想いでお前に伝えようとしている、とても勇気のある行動なんだ」
「っ――」
「お前はどうしたら相手を傷つけないようにできるかを言っていたが……、それだけじゃないだろう、どうしたら『自分も傷つかないか』を考えていたはずだ」
「そ、そんなことは……」
「だから逃げるな一之瀬さん。相手の本気を恐れるな。避ければその後に残るのは、それこそ後悔だけだ」
「雨宮くん……」
俺はそれだけ伝えて、踵返し、勇気ある少女の前に立つ。
「俺は雨宮蓮。君は?」
「……白波千尋、です」
「白波さんの勇気ある行動に水を差して、本当にすまない」
俺はそう言って、白波さんに頭を下げる。
白波さんは驚いたような顔をする。
「安心してほしい。俺は今日この場にいたことを誰にも話さないから」
それだけ残して、俺はその場を後にした。
少し歩き、寮へと続く並木道にあるベンチに腰をかけた。
俺も偉そうに好き放題言っておいて、誰かに告白するような勇気など無い。
だからこそ、白波さんは勇気ある者、勇者だ。
そんな勇者の行く末を見守りたいと自然とそう思った。
それから5分ほどした後、目の前を白波さんが小走りで駆け抜けていった。
目には薄らと涙を浮かべながら。
そして、それからしばらくして、トボトボと一之瀬さんが歩いてくる。
「あ……」
こちらに気づくと、一之瀬さんは気まずそうに俯く。
そうしながらも静かに近づいてくる。
「一之瀬さん、……頑張ったな」
そう伝えると、一之瀬さんは顔を上げる。
「私、間違ってた。……でも、雨宮くんに言われて、ちゃんと私の気持ちを伝えられたよ。……恋愛って難しいんだね」
「ああ、そうだな」
「……明日からはいつも通りにするからって言ってたけど……。元通りやっていけるかな」
「できるさ。二人なら」
「うん……。今日はありがとう。それとごめんね、変なことに付き合わせちゃって」
「気にするな。俺こそ偉そうなことを言って悪かった」
そう伝えると、一之瀬さんはキョトンとした顔をする。
「雨宮くんが謝ることなんてないよ。全然ないよ」
そう言って、ぐーっと両手を空に向けて伸ばし、元の愛嬌のある笑顔になった。
「うん! 今度は私が協力する番! 何かあったら力になるからね!」
「ああ。頼りにしている。一之瀬さんも何かあったらいつでも頼ってくれ」
「呼び捨てでいいよ。なんだか呼びにくそうだもん。それに……」
一之瀬さんは笑顔を満開に咲かせながらこう言った。
「私たち、もう友だちでしょ?」
**************************
我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「女帝」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、さらなる力とならん…
ペルソナの力を育てる人間関係
「女帝」コープが解禁した!
**************************
平素より、お気に入り登録、感想・評価、誤字脱字報告、ここ好き!等々誠にありがとうございます。
ここまでお読みいただいた方も気に入っていただければ、お気に入り登録、感想・評価、ここ好き!等、何卒よろしくお願いいたします。
はい。ということで、盛りだくさんでした。
今回の話は、そんなに文字数はなかったのですが、かなり書くのが遅くなってしまいました。
理由の一つは、調子にのってしまったからですね。
これまでのアンケートでは、選択肢の一番上に来るものが、必ず投票されていたので、今回はBクラスになるだろうなとか適当なことを考えて、アンケート結果を待たずに書き始めました。
そして、良いところまで書けたなと思い、アンケート結果を見てみると、かなり僅差でAクラス行きになっているではありませんか。
そこからは地獄でした。
先にBクラス行きのシナリオを先走り書いて、そこからAクラスに先に行ったことに辻褄を合わせるために、書いては消しを繰り返し、そしてなんとか形にできました。
基本的には一之瀬さんのシーン以外は、独自路線でいけたかなと思います。
一之瀬さんは早めにコープ開放したくて、やはり原作のイベントを踏んで置こうと思い、原作ベースに作成しました。
改めて原作を読み返しながら、原作とは違う言い回しができたんじゃないかなと思います。
さて、次回は作中内では休日です。
後は予想通りの展開です(原作知らん人すんません)。
お楽しみに!
では、もしも選択肢のコーナー(エクストリーム妄想です)
【疲れたので寝よう】
【美味しいものが食べたいな料理でも作ろうか】
【風呂に入ってさっぱりしたいな】
【こんなときは読書だな】
【誰かと話したいな】
言わずもがな。前前前回の後書き参照です。
【目撃者の存在か】
【監視カメラの存在だ】
監視カメラの選択をすると、この後の一之瀬さんの告白イベントは発生しません。
理由は、ちゃんと話しを聞いてくれているかというところで、一之瀬さんの意図をしっかりと理解する知性がないと信頼してもらえないからです。
そうすると、一之瀬さんはクラスの男子に頼めないので、おそらく南雲パイセンあたりに相談してしまうかもしれませんね。
図らずも原作の南雲パイセンの望んでいた通りの思惑になってしまうため、一之瀬さんがN○Rされてしまうかもしれませんね。
ちなみに平田くんは軽井沢さんという彼女がいるから却下。
綾小路くんはのSSでは本当にこっそり行動しているので、頼まれませんし、下手するとまだ認識してもらえていない可能性があります。
南雲パイセンによる闇堕ち一之瀬さんが見たい方は、ご自分でお書き下さい。
【『すまない。また今度でもいいか?』】
【『もちろんだ。俺で良ければ』】
ここも断ってしまうと、上のような展開になるかもしれませんね。
危ない選択肢です。
【彼氏のフリをする】
【彼氏のフリをしない】
ここで、彼氏のフリをすると、白波さんは落ち込みながら諦めてくれます。
しかし、当然構内に噂が広まり、約1,2名ヤバメのヒロインがいるので、注意が必要です。
しかも、ハーレムルートを構築していると、何回か色々な女性と遊び歩いているのを目撃されて、白波さんに「一之瀬さんっていう、最高の彼女がいるのに……」と思われ、ある日、薄暗い曇りの日、遅くなり、帰路についていると、後ろから焼けるような痛みが走り、振り向くとそこには――!!
以上です。