今回は地の文が多いので、読むのが大変かと思いますが、頑張って書きましたので、お読みいただけますと幸いです。
~~~~~side 佐倉愛里~~~~~
私は小さいときからあまり人と話すのが得意じゃなかった。
どうしてかと問われても答えられないけど、多分怖かったんだと思う。
私のお母さんもお父さんもすごく優しい人で、私は両親から愛情を注がれて育てられたと思う。
だからなのか、家の外の世界は、誰も私を守ってくれる人のいない不安な場所だった。
世界をそんな風に考えていたので、小学校に入ってからも私はあまり友だちができなかった。
低学年の時は、みんなの輪の中にいればいいだけで済んだので良かった。
でも、高学年になるにつれて、男の子も女の子も特定の子たちとよく遊ぶようになり、いよいよ私は孤立し始めた。
そんな私を見兼ねたのか、お父さんは私にカメラを買ってくれた。
最初は、なんで?としか思わなかったけど、多分、何か趣味でもできれば、毎日鬱屈とした様子の私が変わるかもしれないと思ったのかもしれない。
そして、お父さんの読みは当たった。
カメラで何かを撮るようになってから、私の世界は変わり始めた。
レンズ越しに除く外の世界は、自分の目で見るよりも輝いているように見えたからだ。
それから小学校を卒業するまで、私はただただ世界を撮り続けた。
中学に上がっても、私はあまり変わらなかった。
小学校からの交友関係がありきの公立の中学だったので、友だちはやっぱりできなかった。
ただ、変化は起きていた。
体の発育が急に始まったから。
元々そんなに食べる方じゃなかったのに、胸はどんどん大きくなって、お尻も丸みが出るようになった。
そうなるようになってから、周囲の目が少しずつ変わってきた。
男の子たちは変な目つきで見てくるようになり、女の子たちは話しかけてくれるようになった。
最初は、話しかけられるようになって嬉しかった。
でも、
私は話しかけられても、不安や怖さで上手く言葉を返すことができなかった……。
それを知られると、男の子たちは、より私にかまってくるようになり、私の目ではなくて、胸を遠慮なく見てくるようになった。
女の子たちは、逆に話しかけてくれなくなり、私の陰口を言うようになった。
どうして?
怖い……。
そして、私はたまに学校を休むようになった。
学校を休むとき、お母さんやお父さんは心配してくれた。
ごめんなさい。
私は罪悪感を感じるようになった。
なんでこうなったんだろう……。
そんな風に思って、ふと部屋の鏡を見た。
いつもの見慣れた自分の顔が映っていた。
私の顔はみんなからどう思われているんだろう。
本当に純粋な疑問だった。
そこで私は、買ってもらったカメラで自分を撮ってみた。
映っているのは、なんとも言えない微妙な表情をしている自分の顔だった。
なんだか、カメラに映った自分の顔がそんな顔だったのが許せなくて、何度も撮り直した。
一枚、一枚と枚数を重ねるごとに、表情の作りが上手になってきた。
そんなことを続けていくうちに、納得の一枚ができた。
すごく嬉しくなって、お父さんにお願いして、パソコンからプリントアウトしてもらった。
その写真を見たお父さんは、私のことを「愛里は世界一可愛いな!」と親バカ丸出しで褒めてくれた。
お母さんも「あら、可愛く撮れたわね。アイドルみたいね」と褒めてくれた。
両親に褒められたことが嬉しくって、私は自分をよく撮るようになった。
それからは、学校では目立たないように伊達メガネをして、髪も結うようになり、家に帰っては、とにかく自分を可愛く撮るために没頭した。
そんなことを続けていると、また、ふと思った。
みんなはどう思うんだろう。
でも、学校の人には相談できない……。
色々考えて出た結論は、ブログだった。
私はお父さんに我儘を言って、パソコンを買ってもらって、そこから勉強をして、自分のブログを作った。
ドキドキと不安や期待を胸に、その時一番よく撮れたと思った写真をアップロードした。
アップロードしてから、数分ごとにチェックしてみたけど、アクセス数は2件とかそのぐらいで、私はそのまま、少しがっかりして眠ってしまった。
翌朝、あまり期待をしないでブログを見てみると、アクセス数が……2000件を超えていた。
そのことに驚いて、何度も見て直してしまった。
そして、写真を投稿した記事にはコメントついていた。
『すっごい可愛い!』
『めっちゃ美人じゃん!』
『可愛いいいいいい!』
『惚れた……応援してます!』
『とっても可愛いですね!ウラヤマシィ(><)』
『これは来るぜ!ビックウェーブがよおお!』
『…………良い笑顔です』
たくさんの人が私を褒めてくれる。
そのことに、全身に電気が走って、ゾクゾクっと背筋に嬉しさとは違う嬉々としたものを感じた。
そこからは、もうドップリとハマってしまった。
毎日のように自分の写真を撮り、簡単なコメントを付けてアップするだけで、多くの人が私のブログを見てくれるようになって、どんどんアクセス数やコメントが増えていった。
そんなことを2か月ぐらい続けていると、アクセス数は100万を有に超えて、ブログサイトのランキングの上位に常に自分のブログがいるようになった。
そして、ブログサイトの運営さんから一通のメールが届いた。
それは、芸能プロダクションからのモデルの依頼だった。
このとき、驚きのあまり、しばらく呆然としていたと思う。
そして、嬉しさと不安が入り混じり、迷いに迷って、私は両親に相談した。
私がブログをやっていること、それが人気があって芸能プロダクションから話があったことを相談すると、まず、お父さんが今までにないくらい怒った。
お父さんは「今すぐ、そのブログをやめなさい! 私の愛里が世の男どもにぐぐぐぐ!」と言って、猛反対した。
でも、お母さんは「愛里はどうしたいの?」と聞いてくれたから、私はブログを始めたことで自分のことをもっと好きになれたこと、挑戦してみたいという気持ちを素直に伝えた。
そう伝えるとお母さんは「いいわよ。やってみなさい。私たちもちゃんと見守ってるから」と言ってくれた。
お父さんは「母さん!? マイプリティエンジェルを芸能界みたいな盛ったクズどもの巣窟に行かせるなんて正気か!」とまた猛反対。
でも、お母さんが「私に最初に、『お前の胸が好きだ!』なんてクズみたいな告白をしてきたのは一体どこの誰でしたっけ?」とお父さんを威圧すると、お父さんは借りてきた猫みたいに大人しくなった。
その後は、お父さんが中心となって、芸能プロダクションとやりとりをしてくれた。
担当の人は女性の人で、私が人前に出るのが苦手なことを伝えると、自分で撮った写真を芸能プロダクション経由で公開したり、現場に来る必要があるときは、両親と一緒で良いなどの好条件を提示してくれた。
お父さんが水着とかの撮影だけは絶対に許さないと伝えたときも、そうしたオファーはくるので、都度確認をとっていくので、その都度回答してくれれば良いと言ってくれたことをきっかけにお父さんも折れて、活動ができるようになった。
芸能名は『雫』。
シンプルだけど良い名前だなと思った。
そうして、芸能活動と学生を両立し始め、私の世界は人生で一番キラキラと輝いていた。
…………あのことが起こるまでは。
芸能活動を始めて、マンガ雑誌のグラビアにも出させてもらうと、私の知名度はすごく広がった。
ブログも毎日更新していたので、更新するたびに、数え切れないコメントがつくようになった。
……でも、そんなコメントの中には、好意的なコメントばかりでは無いものが見られるようになった。
否定的なコメントがつくことは、すでに慣れていたけど、まるで私生活を監視されているような気持ち悪いコメントが、同じハンドルネームの人から送られてくるようになった。
最初は可愛いとかそんなありきたりなコメントだったけど、運命とか、恋人とかを言い始めて、私が外で撮影したときは、「これって○○市の○○公園だよね」のように、場所を特定するようになった。
怖かった。
最初は、両親に相談しようと思った。
でも、そうしたら、辞めさせられてしまうと思った。
それだけは嫌だった。
そのぐらい私はこの活動が、もう自分の生活に無くてはならないものだった。
でも、怖い。
そんな風に時折、不安を覚えながらも、私は活動を続けた。
だけど、ある朝、家のポストを開くと、切手も宛名もない手紙が一枚入っていた。
中身を見た瞬間、私は凍りついた。
『愛しの雫へ』
タイトルを見た瞬間に、私は手紙を破り、家に入り、ゴミ箱に捨てた。
怖い怖い怖い。
私は恐怖でどうかなりそうだった。
でも、幸いなことに、受験を間近にしていた時期だった。
私は以前、進路を考えたときに知った高度育成高等学校の入学を目指すことにした。
外との連絡を断つことができる環境、そのときの私にはそれしかないと思った。
両親に迷惑をかけないように、そう思って、進路をそこに決めた。
そして、入学試験に受かることができた。
お母さんは、日本でも最高峰の学校に受かったことに、まるで自分のことのように喜んだ。
お父さんは、「愛里の顔が3年間も見れない……だ、と、嫌だああああああ! パパ死んじゃうううぅうぅ!!」と全力で入学を止めに来たけど、お母さんの説得(物理)で認めてくれた。
学校生活を始めると、その環境に安堵しつつも、クラスに馴染めないことと、それまで自分を支えてくれた活動ができなくなったことで、不安が強くなり、私は殻に閉じこもるようになった。
でも、束の間の不安だった。
学校がくれたポイントで、デジカメを買ったとき、気持ち悪い人に絡まれた。
でも、その後にパソコンを購入して、自分のブログを開いたときに、私は恐怖に体を支配された。
あの気持ち悪いコメントが更新されていて、『今日はたくさん話すことができたね。嬉しかったよ』と書かれていた。
あの人が……、ストーカーが、ここにいる……。
あまりの恐怖に私はトイレに駆け込み吐き戻してしまった。
怖い、怖い、怖い、怖い。
その日を境に、私は不安を紛らわすためなのか、今に思えば、少しでもそのことが忘れられるように、学校内を彷徨い歩いて写真を撮り続けた。
ある日、特別棟で写真を撮っていると、誰かが争っている声が聞こえてきた。
隠れながらそちらを見ると、同じクラスの須藤くんと雨宮くんがいて、雨宮くんが知らない男の子たちに殴られていた。
喧嘩の現場を見てしまい、怖くて、体に力が入らず、しばらく、その様子を見てしまった。
だけど、知らない男の子たちから殴られている雨宮くんがやり返さないでいる。
そんな不思議な光景だった。
でも毅然と後ろにいる須藤くんを庇うかのように立つ雨宮くんを見て、不思議と私の体には力が戻った。
そして、私は巻き込まれたくなくて、その場を逃げるようにして去った。
その時、自分のことが本当に嫌になった。
その後、私が見たことは事件となった。
私は茶柱先生が目撃者はいないかと言ったときに、すぐに名乗り出ることができなかった。
怖かった。
巻き込まれたくなかった。
自分のことでいっぱいいっぱいだった。
でも、クラスの人たちは、雨宮くんと須藤くんを助けるために、一生懸命だった。
そんな光景を見て、私は本当に孤独なんだと痛感した。
私は目撃者で、私が名乗り出れば雨宮くんたちを助けられるかもしれないのに。
罪悪感を感じた。
でも怖かった。
皆から責められるかもしれない。
そう考えると、
早く終わってほしいとさえ、思った。
だから、天罰が下ったのか、デジカメが壊れてしまった。
最初は、どうしようと思った。
でも、唯一の心の支えであったものがなくなり、私は想像もできなかった強い不安と恐怖を感じた。
すぐに直さないとと思い、電気屋に行くと、修理受付に『あの人』がいた。
私は逃げた。
その日は、不安と恐怖でなかなか寝ることができなかった。
だから、次の日に櫛田さんがデジカメのことを聞いてきてくれたときに、私は藁をもすがる思いでお願いした。
学校が休みの日、櫛田さんから事前に雨宮くんが一緒に来ることを提案された。
少し緊張したが、雨宮くんなら大丈夫だと自分に言い聞かせた。
初めて雨宮くんを見た時は、カッコいい男の子だなとありきたりな感想を私は持った。
次に意識した時は、社交的で羨ましいなと思った。
事件のことで、話しかけられた時は、一瞬ビックリしたが、無理をしなくて良いと言われて、内心ほっとした。
その時の彼は、今まで関わってきた男子とは違い、私の目を真っ直ぐと見てくれた。
彼の目は、嫌らしさも、偽ろうとする様子もなく、ただ穏やかに真っ直ぐとした目だった。
安心感……。
そうしたものに近い気持ちが湧き出た。
だから、雨宮くんなら大丈夫だと自分に言い聞かせることができた。
(リア充爆発してくれないかな……)
思わず心の中で悪態をついてしまった。
だって、私のことで今日は来てくれたはずなのに、何故か櫛田さんは雨宮くんと腕を組んで待ち合わせ場所にやってきた。
二人は付き合ってるんだろうなぁ。
爆発してくれないかなぁ。
もちろんそんなことは口に出すことはできず、二人に付いていくように電気屋に私たちは向かった。
電気屋では櫛田さんが率先して、あの気持ち悪い人とやり取りをしてくれた。
気持ち悪い店員さんは、櫛田さんを口説いている。
怖い……。
私にあれだけ執着しているように見せて、他の子に見境なく声をかけている目の前の人が人に見えなかった。
自分本位。
全く他者のことを考えずに、自分の好き勝手に生きている目の前の『これ』が、私には不気味に思えた。
そして、住所と連絡先を書くように言われたとき、私はパニックになった。
やだ。いやだ。
こわい。
だれか、
助けて、助けて……。
「佐倉さん、ペンを貸して」
その声を咄嗟に反応して、手に持ったペンを渡すと、そこには雨宮くんがササッと自分の連絡先を書いている光景が目の前にあった。
そして、それを止めようとされたのに対して、彼は臆することなく、『あれ』を黙らせた。
すごい。
本当に、すごい。
その後は、また二人の後についていく形で、電気屋を後にした。
さっきのことに驚き過ぎて、ぼぉっとしていると、櫛田さんが『あれ』が雨宮くんに対して、失礼な態度をとっていたことに、悪態をついた。
私は、櫛田さんのような人でも悪態をつくことに、何故か彼女に親近感を憶えて、嬉しくって同意した。
そして、雨宮くんが私を庇ってくれたことを知り、感謝を伝えると、彼は当たり前だと云わんばかりに、私を気遣ってくれた。
どうして、彼はここまで人のために動けるんだろう。
どうして、恐れずに立ち向かえるんだろう。
羨ましい……。
……ううん、違う。
これは憧れだ。
私も彼のように強くなりたい。
だからなのか、その日の別れ際、私は証言することを二人に約束した。
力になりたいとそう思った。
そして、そうすれば自分が強くなれるかもしれないと思ったから……。
次の日、茶柱先生に私は自分が目撃者だと伝えた。
でも、茶柱先生からは疑いの言葉をかけられた。
櫛田さんが庇ってくれたけど、茶柱先生の言っていることも間違っていなかった。
だから、悔しかった。
自分がもう少し強かったら、あの時、名乗り出ていれば、と。
だから審議の場で出席できるかと聞かれたときに、私は意固地になってできると言った。
自分の部屋に戻り、ベッドの上に横になって、明日の審議について考えた。
上手く言えるかな。
ちゃんと聞こえるように言えるかな。
途中で言えなくなったらどうしよう。
Cクラスの人たちから野次を飛ばされたらどうしよう。
信じてもらえなかったらどうしよう。
クラスの人たちの足を引っ張ったらどうしよう。
私は自分でどんどんネガティブな方へと考えていってしまった。
本当に、自分に、嫌になりそうになったその時、電話がかかってきた。
びっくりして、慌ててスマホの画面を見ると、連絡先を交換したばかりの雨宮くんからだった。
な、なんだろう。
その時、ドキドキしながら電話に出た。
スマホから聞こえる雨宮くんは、優しい穏やかな声で私にお礼を言ってくれた。
まだ、何もしていないのに、彼は私が勇気を出してくれたことを認めてくれた。
嬉しかった。
だから、雨宮くんが電話を切ろうとしたときに、私は無我夢中で止めてしまった。
そして、無意識に彼に悩みを聞いて欲しくなって、部屋に呼んでしまった。
雨宮くんが部屋に来て、私はストーカー被害に悩まされていることを打ち明けた。
彼はたどたどしい私の話を焦らせたりしないで、真剣に聞いてくれた。
自分のブログとそこに映っている自分を見せるのは、恥ずかしかった。
彼が可愛いなと言ってくれた時は、嫌悪感はなくって、ただただ嬉しかった。
そして、『あれ』の気持ち悪いコメントを見せると、彼は怖い表情になった。
私も怖くなり手が震えた。
でも、雨宮くんは本当に、……本当に優しい人だった。
私が怖い思いをしていたことを「怖かっただろう」と、察してくれた。
私が誰にも相談できずに辛かったことを「辛かっただろう」と、理解してくれた。
私が勇気を出して相談したことを「俺に話すのは勇気がいることだっただろう」と、私の小さな勇気を認めてくれた。
私が自分なりに頑張っていたことを「よく頑張ったな」と、褒めてくれた。
今にも感情が溢れそうな私に「勇気を振り絞ってくれてありがとう、本当に、ありがとう」と私の目を見ながら、気持ちを伝えてくれた。
そして、私が助けてと懇願したら、
「俺に任せろ」
その言葉に、私は我慢ができなかった。
目から溢れ出る涙が我慢できない。
口から漏れる嗚咽が我慢できない。
押し込めていた不安を表に出すことを我慢できない。
そんな、みっともない姿を見せた私を、雨宮くんはお母さんやお父さんが、大好きな家族がしてくれるように、抱きしめてくれて、背中を優しく叩いてくれた。
その後、恥ずかしさで死にそうだった。
顔は熱くて、鼓動はタップダンスの音のように脈打つのが早くなっていた。
雨宮くんはそんな私に、安全のために一緒に登下校しようと言ってくれて、帰っていった。
そして、その日は、不安な気持ちや怖い夢も見ないで、熟睡することができた。
審議の日、私はすでに始まっている中の様子が気になり、そして、いつ呼び出されるか緊張していた。
でも、櫛田さんがそんな私に話しかけてくれた。
彼女もきっと心配しているはずなのに。
そう思うと、また罪悪感が生まれた。
そして、いよいよ呼び出されると、私はピリピリと張り詰めた場の空気に飲まれた。
堀北さんに促されたけど、声が出なかった。
頑張って言葉にしようとしたけど、どうしても出なかった。
なんで!
なんで! 出ないの!
なんで私はこんななの!
そして、Cクラスの先生が私を責め立てた。
悔しい……、悔しい!
そんな思いで一杯だった。
でも、また、彼が助けてくれた。
Cクラスの先生の発言を、私を侮辱していると指摘して守ってくれた。
そして、雨宮くんは、
「大丈夫だ。俺たちが側にいる」
その誰よりも頼もしくて、誰よりも優しげな言葉に、喉をつっかえていたものが無くなった。
私は頑張って証言した。
実際に見たことを頑張って伝えた。
クラスの、ううん、雨宮くんの力になりたいと思って、ちゃんと話した。
恥ずかしかったけど、自分の写真も証拠として見せた。
そして、私が目撃者で、証言が認めてもらったとそう思った瞬間に、また、Cクラスの先生が割り込んできた。
Cクラスの先生は私を目撃者だと認めるけど、嘘の証言をしていると言った。
ちがう!
私は嘘なんかついてない!
そう思って、反論したけど、Cクラスの先生は私が無我夢中で話したことの隙間を縫うように、言葉の綾を的確についてきた。
そして、私はウソつきにされた。
悔しい、悔しい、悔しい!
雨宮くんの力になれなかったことが悔しかった。
でも、雨宮くんは諦めなかった。
彼がいきなり提出した動画は、まさに私が見た光景の、彼視点のものだった。
動画の中の雨宮くんは強かった。
決してやり返さずに、自分で決めたことを曲げずに、そして、須藤くんのことを思い、一生懸命だった。
目もつむりたくなる暴力の数々に、彼は決して臆したりしなかった。
そして、最後まで膝を折ること無く、Cクラスの人たちを退かせた。
まるで、映画のようだった。
でも、映画のように作られたものではなく、人の、彼の意志が創り上げたグッドエンドだった。
心が震えた。
勇気が出た。
人はこんなにも強くなれるんだと思った。
その後、石崎くんと呼ばれたCクラスの人が、雨宮くんにとっての逆鱗に触れて、あり得ない出来事が目の前で起きた。
あの優しい雨宮くんが、人を殺さんとばかりの勢いで怒った。
私はこわくなった。
でも、不思議と怖くはなかった。
気味の悪い恐れとは違って、誰かのために怒りの感情を爆発させる雨宮くんに畏れを抱いた。
だから、こわかったけど、怖くなかった。
その後、雨宮くんはあれだけのことをしたCクラスの人を退学から助けた。
その様子に私は強い憧れを持った。
彼のように人として強くなりたい。
強く、そう、強く私は思った。
次の日、ポイントが振り込まれて、クラスポイントも上がったことで、クラスが賑わっているそんな中、私は考えていた。
彼は「俺に任せろ」と言ってくれたけど、これは私が自分で解決しなくちゃいけないと思った。
いつまでも、彼を頼っていては、自分はいつまでも弱いままだと思った。
私は決心した。
絶対に、『あれ』なんかに負けてやるか。
そう思い、私は教室から出ていった。
放課後のケヤキモール。
私は例の電気屋の前にいた。
中に入り、わざと練り歩いた。
そして、『あれ』がこちらに近づいてくるのが見えて、わざと行き先を知らせるかのように外に出た。
電気屋を出て、誰かがついてくる気配を感じる。
怖い。
でも、怖がっちゃダメ。
私も強くなるんだ。
そして、ひと目のつかない路地裏に入って、後ろに向き直った。
路地裏の角から『あれ』が現れた。
いやらしい笑みを浮かべているのを見て、体が強張った。
でも、手をぎゅっと力強く握って、自分を奮い立たせた。
「へへへ、雫~。僕をこんなところに誘うなんて、悪い子だね~」
「……、やめて」
「え? なんだって?」
「もう! 私につきまとうのは止めて下さい!」
私は力強くそう言ってやった。
するとヘラヘラした顔は、すぅと真顔になった。
「どうしてそんなことを言うんだい? 君と僕は運命でつながった間柄じゃないか! 君を想う気持ちは止められないよ! 君も同じだろ~」
「そんなこと、思ったこともありません! 本当に気持ち悪いのでやめてください!」
私がそう答えると、目の前の『これ』は目をカッと開いて怒った顔になった。
「うるさい!! なんでそんなことを言うんだ! お前は僕のものだろう!?」
「私はあなたのものじゃない! あなたみたいな人は――大っ嫌いです!!」
「黙れ!」
「きゃああ!」
私は突然襲いかかってきた目の前の『これ』に押し倒された。
そして、覆いかぶさられた。
「や、やめて!」
「へへへ、生意気なこと言う割には弱いじゃないか」
「離して!」
「そんなんじゃ、全然効かないよ~。……さあ、生意気な子には分からせてあげないと、ねっ!」
「いたっ!」
必死に抵抗するけど、まるで力が違った。
気持ち悪い顔が目の前に迫り、私は恐怖でパニックになった。
でも、振りほどくことはできなかった。
そして、ニヤニヤと醜悪な顔でそう言って、私の頬を叩いた。
「愛の鞭だよぉ。これで、君が誰のものかわかっただろ~」
「……わ、」
「わ?」
私はこの人ではない『これ』に、力いっぱい言ってやった。
「私はあなたのものじゃない! あなたのものになんかならない!」
「…………あっそ、じゃあもう一発いこうか」
そう言って、『これ』は私を叩こうと腕を振り上げる。
私は目をぎゅっとつむる。
悔しい。
怖い。
誰か……、
誰か、助けて…………、
「ペルソナァァ!」
聞き慣れない言葉が聞こえた。
叩かれたような痛みはない。
ゆっくりと目を開けると、誰かの背中が見えた。
でも、すぐに誰の背中かわかった。
地面に転がる『あれ』と私の間に立って、立ち向かうその力強い姿は、
私の憧れの人だった。
~~~~side out~~~~
審議の次の日、ポイントが振り込まれていることを確認し、登校した。
教室に入ると、浮かれ気分のクラスメイトたちと挨拶を交わし席に着いた。
ホームルームが始まると、茶柱先生から改めて、審議の結果が伝えられ、ポイントの修正が入ったことを知らされて、ホワイトボードに先生が書いて提示された。
Aクラス 1004
Bクラス 745
Cクラス 538
Dクラス 247
先週よりも30ポイントだけ高い発表ではあったが、クラスからは嬉しそうな歓声があがった。
先月に比べれば1万5千ポイント近いプライベートポイントの上昇は、ほとんどポイント使い切ったクラスメイトたちにとっては嬉しいことだった。
そんな中、俺はクラスを見回すと、佐倉さんだけが何やら浮かない顔、いや、何かを考えているような顔をしていることが印象に残った。
放課後になり、佐倉さんが目立つぐらいの勢いで教室を後にしたのが目に入った。
ストーカー被害がまだ続いている可能性が高いので、一人で帰ってほしくはないと思いつつ、急ぐ用事でもあったのかと考えていると、洋介と軽井沢たちがささやかながら祝勝会を開かないかと誘ってきてくれた。
それに対して俺は……、
【そうだな。テンアゲでパリピたいな!】
▶【嫌な予感がする。佐倉さんを探そう】
俺はありがたく気持ちを受け取る言葉を伝えつつも、さっきの佐倉さんの様子が気になり、用事があるということで断り、教室を後にした。
急いで昇降口まで来たが、佐倉さんの姿は見えない。
彼女に対して心の中で謝りながらも佐倉さんの下駄箱を確認すると、上履きがあったので、すでに外に行ったことがわかった。
どうしようかと考えていると、
「あれ、雨くん? どうしたの一人で?」
そう声をかけてきたのは、一之瀬と白波さんであった。
二人の様子から、ぎこちなさは見られなかったので、友だちとしてまた仲良くなったのだろう。
「一之瀬。それに白波さんも。うちのクラスの佐倉さんを見なかったか?」
そう聞くと、二人は顔を見合わせてから、こちらに向き直り、首を横に振った。
「佐倉さんがどうしたの?」
「ああ、ちょっと様子が変だったから心配になって。……さて、どうしようか」
そう俺が考えようとしたところ、白波さんがこちらを見て聞いてくる。
「雨宮くん。その、佐倉さんって子の連絡先は知っていますか?」
「ああ、この前交換したからな」
「じゃあ、その子の連絡先画面を開いてみて下さい」
俺は白波さんが言う通りにスマホを操作した。
「その画面の下の方に、位置情報サービスの表示があるはずです。許可になっていますか?」
「えっと、……ああ、なってる」
「じゃあ、タップしてください。そうすれば、その佐倉さんって子がいる場所がわかりますよ」
言う通りに操作をすると、確かに地図アプリが開いて、佐倉さんと思わしきピンが動いているのが表示された。
「本当だ。すごいな白波さん」
「ええ、すごおい! そんな機能あったんだ! 千尋ちゃんよく知ってるね!」
一之瀬がそう言うと、白波さんは「え、えっと、前に使ったことがある、だけ、だよ」と何かを誤魔化すように答えた。
俺はあまり気にしないことにして、表示されているピンを見ていると、ケヤキモールにいることがわかった。
ケヤキモール…………!?、まさか、佐倉さん。
俺は、最悪のもしかしたらを考え、急いで靴に履き替える。
その様子を見て、一之瀬が驚いたように声をかけてきた。
「どうしたの雨くん!?」
「悪い一之瀬、急いでる。嫌な予感が当たるかもしれない」
「!? 私にできることはある!?」
「……頼む。もし可能だったら、手の開いている人を集めてくれ。理由は後で説明する!」
「うん、わかった!」
一之瀬にそれだけ伝えて、俺は佐倉さんに追いつくために、走った。
ケヤキモールに到着し、俺は改めて位置情報サービスを開く。
すると少し進んだ先で、ピンが止まっていることに気づく。
まずいっ――!!
俺はさらに足を速めて疾走した。
そして、
瞬間、俺は叫んだ。
体に力を入れて、男の襟を引っ張り投げるように、佐倉さんから引き剥がした。
目の前の佐倉さんは、目をぎゅっと結び、恐怖に耐えていた。
……俺はすぐに、地面に転がした男に向き直る。
「ひぃ! なんだお前! お、お前! 雫と一緒にいた男か!? ぼ、僕と雫の邪魔をしやがってぇええ!」
目の前の男が自分勝手に喚く。
怒りがこみ上げてくる。
「……ゆるさん」
「く、くるなぁ~! あっちいけ!」
俺が一歩一歩近づくと、男は腰を抜かしながら、手を振り回す。
そして、自分の腰からカッターナイフを取り出してこちらに向けてきた。
「刺すぞ! ぼ、ぼ、僕は本気だぞ!」
「……やってみろ、このクズが」
俺がそう言うと、男は「ち、ち、ちくしょーーー!!」と叫び、カッターナイフを両手に持って、突っ込んで来た。
瞬間、佐倉さんが「雨宮くん!!」と叫ぶ声が聞こえた。
大丈夫だ。
「ジャックランタン!!」
俺が叫ぶと、カボチャ頭にとんがり帽子を被り、ランタンを片手に持った姿が目の前に現れた。
「アギ!」
そう指示を出すと、ジャックランタンの持つランタンから、火の玉が男の持つカッターナイフ目掛けて放たれた。
ボウッと小さな音を立てると同時に、男の両手が燃える。
「あああああ! 熱い熱いあついぃぃ! なんだよこれええ!」
男の手からは、カッターナイフが落ち、燃え広がる手を振り回して消そうともがき転げ回る。
俺はさらに一歩、一歩と男に近づいた。
「熱い、痛い! 来るな! 来ないでくださいぃ!」
「……お前は、佐倉さんがそう言って、止めたのか?」
「ごめんなさい! もう、しません! しませんから!」
「………………」
俺は黙って、泣きじゃくる男の髪を乱暴につかんだ。
「いぎぃいぃい! もう、しませんからぁ~」
「……いいか。二度と佐倉さんに近づくな。声もかけるな。視界にも入るな」
「わ、わがりまじだぁ~。だから、だから、もうやめでぇ」
「破ったら、……今度はおまえの全身を……焼く!」
「あっ、――――………………」
そう脅すと、男は失禁し、そのまま気を失い、地面に転がった。
男が気絶したことで、路地裏は静寂に包まれた。
俺は佐倉さんの方に向き直り、駆け寄る。
「佐倉さん! 大丈夫か!?」
「はい、……はい。雨宮くん……、わたし、わたし」
佐倉さんは震えながら、立ち上がる。
俺はそんな彼女の前に立つ。
「すまない。遅くなって、怖い思いをさせたな」
「……、う゛うん。ち、ちがうんです。わた、私が、私がいけないんです」
目の前にいる佐倉さんは涙混じりに話し始める。
「私、雨宮くん、みたいに強くなりたかったんです。だから、自分で、なんとか、しなきゃって」
「……そう、だったのか」
「でも、でも、やっぱり、私は、全然ダメで……、結局、一人じゃ、何もできなかった」
そう言って、彼女は力なくそう言う。
俺は…………、
▶【お前は強い】
【お前は弱い】
「何言ってるんだ佐倉さん、お前は十分強い」
「……え?」
不思議そうにそう言う佐倉さんに俺はちゃんと伝えたくて、彼女を抱きしめた。
そして、伝えたい事を言葉にする。
「ストーカーに脅かされながら、一人で耐えて、その上、そんな辛い状況の中、俺たちのために動いてくれた。人と話すのが苦手って自分で言ってたのに、俺たちのために、そんな苦手なことにも目を背けずに助けてくれた」
「で、でも、それは雨宮くんがいたから……」
「ありがとう……、でも、それでも、それは佐倉さんが勇気を持って行動してくれたからだ。誰かのためを想って行動できたじゃないか。それを強さと言わずになんだって言うんだ。喧嘩が強いのも強さかもしれない。弁が立つことも強さかもしれない。でも、何より、自分が辛かったのに、誰かのために行動すること、それは代えがたい『強さ』だろ。……大丈夫だ。お前は強い。他の誰が認めなくても、俺が文句なんか言わせるか。佐倉愛里は強くて優しい女の子だ」
俺がそう言うと、腕の中で佐倉さんは体を震わせて、
そして、
「わああああぁぁ! 怖かったよぉ! 怖かったぁぁ」
「ああ、そうだな。……心配、したんだぞ」
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
「謝るな。……よく、頑張ったな」
「ぁぁああああぁぁ……」
そうして、彼女が泣き止むまで、俺は気丈に戦ったこの強く心優しい少女をしっかりと抱きしめていた。
その後、一之瀬が数人の生徒たちと一緒に駆けつけてくれたことで、すぐに警備員と学校の教員が呼ばれ、男は捕縛された。
俺は佐倉さんと事情聴取ということで、学校に戻り、先生たちに事情を説明した。
その途中に、男が勤めていた家電量販店の店長が大慌ての様子で面会に来て、佐倉さんが被害者だと知るなり、地面に擦り付ける勢いで土下座をして謝罪をした。
ストーカー男の対応については、二度とこのようなことが起こらないように学校側も厳正に対応するとのことで、俺たちからの事情聴取が終わるとバタバタと忙しそうに先生たちが駆け回った。
今日のところは、寮に帰るように言われて、俺たちは帰路についた。
そして、寮の前で別れ、俺は自室に戻り、早めに寝支度を行って、ベッドに沈むように横になった。
意識が薄れゆく中、俺は佐倉さんが今日は不安や恐怖に
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テキスト『自分と被写体の写真映りが良くなる。一定条件が満たされた状況で撮影をすると決定的瞬間を撮影することができる。「写真を撮ること、それは同じ照準線上に頭、目、心を合わせること。つまり、生き方だ」』
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まどろみの中から目が覚めた。
数日前に見た不思議な場所だ。
そして、自分の牢から出て、広間に向かった。
広間の中央には、相変わらず誰も座っていない長机があり、その横に、白い可愛らしい円形のティーテーブルが置かれ、長い綺麗な髪をした少女が座って、お茶を飲んでいた。
ラヴェンツァだ。
こちらが近づくと、彼女はこちらに気づき、笑顔を向けたと思いきやすぐに怒ったような責めているような表情に変わった。
「ご機嫌よう、私のトリックスター」
「……こんにちは」
彼女はそう言うと、目で椅子にかけるように促してくる。
俺は大人しく座ることにした。
そして、席につくと、彼女は話し始める。
「……まったくあなたという人は、また無茶をして、言ったでしょう? 辛くなったら私の名を、ラヴェンツァと呼びなさいと」
「ラヴェンツァ」
「…………もう一回、痛い目みますか?」
俺は全力で首を左右に動かした。
「はぁ……まあ、いいでしょう。怪我の功名、というところでしょうか、今回も多くの人と絆を結ぶことができたようですね」
……確かに、色々あったが、そのおかげで、仲良くなれた人も増えたと思う。
「まあ、また女の子ばっかりですが」
「………………」
「し・か・も、可愛い子ばっかりですが」
「………………」
「浮気者」
なぜ、俺はこんなにも責められているのだろうか。
というか、背丈も大分差のある目の前の少女が、とても怖いのは何故だろうか。
そんなことを考えていると、目の前の少女は立ち上がり、ガタガタと自分の座っていた椅子を運び、俺の隣までぴったりとくっつくほど近づけ、そして再び腰をかける。
そして、ラヴェンツァは徐ろにテーブルに置かれた菓子をつまむようにしてもつと、こちらに向けてくる。
「……あーん」
「……」
「あーーん」
「……」
「あああーーーん!」
「…………」
「あと3秒以内に口を開きなさい。さもないとあなたの魂を束縛します。はい、3、2、1」
「あ、あーん!」
「よろしい。んん! はい、あーーん」
そして、強引に、ものすごい笑顔で食べさせてくれた。
菓子を口に含むとこの世のものとは思えない美味しさが口の中に広がった。
「ふふ、お味はいかがですか?」
「美味しい」
「本当ですか!? ……よかった。……それ、私の手作りなのですよ」
「ラヴェンツァはお菓子作りが上手なんだな」
そう言って、俺はラヴェンツァのつい頭を撫でてしまう。
彼女は気持ちよさそうに一瞬して、すぐに、
「じょ、女性の頭を軽々しく撫でるのは、い、いかがなものでしょうか」
「わ、わるい」
そう言って、手を離すと、すごい速度でその手を掴んでくる。
「……誰が止めろと言いましたか?」
「…………撫でても?」
「あ、あなたがそこまで言うなら、いいでしょう!」
そう言って、ズイッと自らの頭を差し出してくる。
俺は改めてその頭を撫でた。
彼女は気持ちよさそうに目を細め、そのままこちらに寄りかかってくる。
そんな感じで少し撫でていると、天井から光が漏れ始めた。
「む、もうそんな時間ですか。……残念です。…………いいですか、これからも多くの人と絆を結んで行くのです。そうすれば、私と過ごす時間も伸びますので」
「……どういうことだ」
「そういう、システムなんです」
「は、はぁ……」
そして、彼女はこほんとわざとらしく一呼吸いれると、寄りかかったまま話してくる。
「まあいいでしょう。現世での数十年くらいは大目に見ます。どうせその後、あなたはここに戻ってくる
「……どういう」
ラヴェンツァの言葉がどういうことか俺が聞き終える前に、光が広間を包み、そして、俺はまた、まどろみの中に帰っていった。
☆☆☆第2章『暴力事件勃発』クリア☆☆☆
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はい。ということで、ストーカー撃退回でした。
賛否両論あるかもしれませんが、まあ私の解説(言い訳)を聞いて下さい(4回目ぐらいだっけ?)
まず、佐倉さんの過去については、ちょいとオリジナル要素を入れております。
理由としては、原作を読んでいて、なんで佐倉さんって人と話すのが苦手なのに、グラビアアイドルできたんだろうと思ったわけです。
だって、事務所と契約しているなら、宣材写真とか普通に撮るだろうし、カメラマンが女性とは限らないですし、そもそもどうやってグラビアアイドルになれたんだと。
原作的にはグラビアアイドルになってから、急に姿が消えたということで、グラビアアイドルになる⇒ブログ始める⇒ストーカー被害にあう⇒学校に入学というルートなのは間違いないと思ったんですが、そうするとグラドルになってから後天的にあの性格になったはずなんですよね。
だけど、私は考えました。
あのコミュニケーションの状態が後天的な原因でなるか?
そもそもストーカー被害で引退したなら、いくら外部との接触を遮断しているとは言え、娘を一人にするか?
とね。
そこで、私なりの解釈で、今回は原作の設定を捻じ曲げました。
そもそも蓮くんが現世にいらっしゃるわけですから、因果律が多少変わってもおかしくない!と割り切りましたw(暴論)
ということで、今回の流れになりました。
独自改変で妄想が捗ってしまい、過去最長の独白シーンになってしまった汗
ついでに、言うと、
佐倉さんのお母さんも彼女に負けず劣らず、どころかオリジナル的な意味で大層なおもちをお持ちです。
また、主人公にあてられて、変わりたいという思いを憧憬させて、ストーカー対峙の流れとしました。
しょうが無いね。
蓮くんかっこよすぎだから。
あと、櫛田さんが佐倉さんに暴言を本SSではさせていません。
これは櫛田さんの成長もありますが、筆者としては、櫛田さん=承認欲求のバケモノ、佐倉さん=隠れ承認欲求の権化って感じに捉えているので、お互い毛色は違っても根っこは誰かに認められたい、褒められたいと思っているので、仲良くなれると思うんですよね。
だから、櫛田さんを佐倉さんに比較的仲良く絡ませています。
原作的には、櫛田さんが掘北さんに固執しすぎてしまうことと、綾小路くんが佐倉さんに憧れを抱かせるところまで行っていないので、仲良くなる様子はありませんでしたが、何か歯車が合えば、仲良くなれそうだと思う今日此の頃。
と佐倉愛里さんの流れはこんな感じです。
次にアビリティは、海外の有名な写真家さんの名言からいただきました。
最初は戦場カメラマンのあの人から名言を引っ張ろうと思ったのですが、名言が名言過ぎてボツになりました。
最後にラヴェンツァが怪しげなことを言っていましたが、あれも勝手に妄想した結果なので、あまり深く考えてはいけません。
そんな感じですね。
次回からは、無人島試験までの間の期間の描写です。
日常パートだやったあああ!
パロディ色、濃厚でいくぞおお!
といことで、無人島試験編はしばらくおあずけです。
何卒ご理解いただけますと幸いです。
また、原作の最新刊がそろそろ出るので、少し更新の遅めになるかもです。
重ねてご了承ください。
さて、それではいつものもしも選択肢のコーナー
▶【そうだな。テンアゲでパリピたいな!】
【嫌な予感がする。佐倉さんを探そう】
テンアゲでパリピってしまうと佐倉さんが大変なことになってしまいます。
具体的に言うとレ○プ目になってしまいます。
当然全年齢対象なので、そんな描写は一切でません。
結果のみ簡潔に書かれますので、ラ○スシリーズの敗北イベントのようなものを期待しても無駄です。
諦めて下さい。
【お前は強い】
▶【お前は弱い】
こちらの選択肢を選ぶと、佐倉さんが自分は弱い生き物なんだと自覚して、主人公に庇護を求めて、依存します。
どっぷり依存します。
そんな佐倉さんを見たい人は選択しても良いですが、残念ながら、本当に四六時中つきまとわれるので、ハーレム√は消滅します。
また個別√でもエンディングに影響がありますので、ハーレム√を選ばないにしろ、ちゃんと自分に自信をもった彼女にしてあげてください。
異常です。(筆者の妄想の捗り具合がw)
章末のコープ確認表
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愚者 主人公 雨宮蓮 理由:主人公だから!
魔術師 佐倉愛里 理由:「決意の休日」後書き参照
女教皇 堀北鈴音 理由:女リーダーって感じがするから
女帝 一之瀬 帆波 理由:ミナミのドンならぬホナミのドンと語呂が良かったから
皇帝 ○○ ○
法王 坂柳 有栖 理由:狭量的な意味があって、意外と根に持つから
恋愛 ○○○ ○
戦車 須藤健 理由:竜司枠だから!
正義 ○○ ○
隠者 綾小路清隆 理由:かつて愚者だったという意味がタロットにあるから
運命 ○○○ ○○
剛毅 ○○ ○
刑死者 ○○ ○○
死神 ○○ ○○
節制 長谷部 波瑠加 理由:原作の事件がなければ、満たされていた良い子だから
悪魔 櫛田桔梗 理由:「壊れかけの少女」後書き参照
塔 星之宮 知恵 理由:サークルクラッシュして数々のサークルを崩壊させてそうだから
星 椎名ひより 理由:俺らの希望の星で、現実で出会えないから
月 神室真澄 理由:日陰者のようで印象に強く残ったから
太陽 ○○ ○○
審判 茶柱紗枝 理由:原作的に『審判』がトラウマになったから
信念 王 美雨 理由:実は一番芯が通ったキャラだと思うから
顧問官 ○○ ○○
※理由については、上記のは筆者的な視点のものです。
一応タロットの正位置、逆位置も考慮して振り分けています。
※筆者のキャラクター考察やストーリーの変更に伴い、変更する
可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
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