我輩は楽譜である 名は... 作:noanothermoom
我輩は楽譜である。
名前はエイシスム。
名を与えられたことでウタという少女の使い魔をしている。
我輩は今主の命により...
『こっちである』
「...こっちだね。やった!上がり!!私の勝ち」
酒場でイカサマをしていた。
主が我輩が示した方のトランプを取ると主の手元にある物と同じ絵柄であった。
そのまま両手に持ったトランプを机の上に投げれば主の手元からトランプはなくなり、今回の戦いババ抜きは主の勝利で幕を閉じた。
「これで私の184連勝~。全くルフィは弱いなぁ~」
「ぐぁぁ!?なんでわかった?」
主の煽りを受けて机に突っ伏した小僧の名はルフィ。
主とは年が近いこともあって毎日勝負をしながら遊んでいる、所謂【ケンカするほど仲がいい】を地で行く
何故こんな小僧と主が対決しているのかを説明するには、赤髪達がこの村、フーシャ村へと戻って来た時まで時間を戻す必要がある。
◆◆◆◆
「エイシスム。こっちこっち、早く早く!!」
『主よ、もう少し落ち着き給え』
この船の目的地は眼前に見える村、フーシャ村。
先程港と言ったがそれもエレジアの物と比べれば酷く寂れていr...もとい静かだ。
船の上から見える風景も...えーっと...素朴で...のどかな...。
「うわ、相も変わらず田舎だね~」
『主!?』
折角我輩が言葉を濁していたというのに主は剛速球を投げた。
まあ、はっきりと言えばこのフーシャ村というのは田舎であった。それも頭にドが付くほどの。
なんせ自身が属しているゴア王国からすら辺境過ぎて忘れ去られているというのだから、いっそ感心すらする田舎具合である。
一体何故このような寂れた村を赤髪ともあろう海賊達が拠点としているのか。
我輩は頭を悩ませた...が答えは出なかったので、有名な海賊がそこらの大きな街に出入りする訳にもいかないのだろう、と納得することにした。
我輩が
幾ら赤髪達が海を愛する海賊であるとはいえ、やはり海の上では足りない物が多い。
それを補えるとあっては日頃から陽気な赤髪達もより陽気になるというもの。
口々に酒であったり食べ物であったりを叫びながら上陸する赤髪達に混ざって同じく上陸する主。
そんな主の前に立ちはだかった一人の小僧がいた。
「帰って来たかウタ!!」
「ルフィ!!」
主の前に立ち塞がるという事は、今上陸しようとしている赤髪達の流れをせき止めるという事だ。
一応真正面ではなくある程度は邪魔にならないようにしているが、これからお楽しみという時に邪魔されて子どものすることだからと流せる海賊ばかりではない。
しかし赤髪達は「おう、出迎えご苦労」だの「またウタに挑戦しに来たのか?」だの実に気安い。
しばしじゃれ合いながら互いに再会を喜んでいた主と小僧であったが、主が我輩を紹介しようとしたあたりから雲行きが怪しくなった。
「そうだルフィ、紹介するね。私の使い魔になったエイシス「なんだ?その白黒。すっげえダサいデザインだな」ちょっと、白黒じゃないエイシスム!!」
主の言葉を遮り我輩を白黒と呼ぶ小僧。
主は抗議するが「でもこいつ白黒だぜ?エイシスムなんて名前より白黒の方が分かりやすい」と小僧はまるで気にも留めていない。
そのまま売り言葉に買い言葉で184回目の勝負が始まったという訳である。
...名前には抗議してくれるのにダサいデザインという意見には抗議してくれないのだな。
◆◆◆◆
「ああ!!そもそも白黒はウタの仲間じゃないか!!
なんかズルしたな!!」
「騙されるルフィが悪いのよ!!」
ハイタッチする我輩と主を見てようやく小僧は我輩が
「ズルしたからウタの反則負けで俺の勝ちだ!」と騒ぐ小僧へと主は「出た、負け惜しみ~」と手を肩まで上げて両手の指を小刻みに動かす。
ついでに我輩も主の隣で同じく小僧を煽る。
「ズルだ、ズルだ」
「海賊がズルくて何が悪いのよ」
そんな感じに騒いでいると酒を飲んでいた赤髪達が「なんだまた負けたのか」「本っ当にお前は学習しないなぁ」と小僧を慰め...いやあれ慰めているのか?むしろ煽っているような。
「ムキ―!俺は負けてない!!シャンクス達も何とか言ってくれよ」
「いや、あんなイカサマに嵌るお前が悪いよ」
赤髪達に自分の勝利を訴える小僧であったが、一蹴されてしまった。
...まあ、勝負の途中で我輩が小僧の手札を覗こうと後ろに回ったのを「白黒は俺の仲間になりたいみたいだぞ」と気にしなかったり、我輩が主に小僧の手札を教える為に音を出しても「白黒が俺に勝てって応援してくれている」と気が付かなかったのはズルいズルくない以前の問題で、流石の我輩もどうかと思う。
だが、どれだけケンカしようともこのフーシャ村には小僧と遊ぶような子どもは主ぐらいしかいないのだ。
どんなに悔しそうにしていたとしてもしばらくすれば忘れた様にケロっとして主と遊ぼうとする。
そうして些細なことでまた勝負し、それを肴に赤髪達は酒を飲む。
それがフーシャ村での日常であった。
それが続くと思っていた、だが安寧とは続かぬものだ。
かつて多くの安らぎを壊してきた我輩こそ、それを知っていてしかるべきだったというのに。
その時の我輩は何の疑いもなく賑やかな日々が続くと思っていたのだ。
◆◆◆◆
『主よ、そろそろ怒りを納めてはどうか』
「なに?ルフィに謝れっての?絶対に嫌!!」
我輩は楽譜である。
名はエイシスム。
しかし今の主は我輩が今まで見たこともないくらいにご機嫌斜めであった。
何故これほどまでに主が怒っているのか。
それにはいくつかの要因が絡んでいる。
主の父である赤髪をはじめとして
それ故に他所の海賊から分捕った財宝であるだとかもある程度は主が触ったとしても気にも留めない。
この間など小僧とおままごとをするのに船の宝物庫より大きな宝石の付いた首飾りを持ち出したというのに、怒るどころか「そんなに気に入ったのならやろうか?」と主に渡そうとしたくらいである。
ちなみに金で作られ大きな宝石をあしらったそれは主には重かったようで要らないと財宝の山に戻された。
閑話休題。
主の
しかしながらそんな赤髪達が主に触らせもしない一つの宝箱があった。
レッド・フォース号に大切に保管された宝箱の中身は悪魔の実であった。
悪魔の実というのは食べた者に超常の力を授ける実の事だ。
大きく分けて
食べた者に動物へと変身する力を与える【
食べた者の体を自然のエネルギーに変え、それを操る力を与える【
そして上記の二つに当てはまらない様々な力を与える【
例えば
...ウタウタうるさい文章だ。
しかしながら悪魔の実を食べることはプラスの事ばかりではない...まあ力を得るのも常にプラスとは言い難いが。
悪魔の実の能力者は海に嫌われ
そのほか海楼石と呼ばれる鉱物にも弱くなるそうだ。
しかし最も注意するべき点として何かの悪魔の実
そのことを念頭に置くとまかり間違っても主がその悪魔の実を食べないように、という赤髪達の気遣いである可能性の方が高いのだが、主は触らせなかった理由を『シャンクス達にとって
その
余談だが悪魔の実とはとても食べ物とは思えないような酷い味がするらしい。
そんなものをデザート代わりにと食事が終わった後にもかかわらず完食する小僧の食欲はどうなっているのか。
閑話休題。
よくケンカしている主と小僧であるが今回の主の怒りは凄まじく、もう三日も小僧と口をきいていない。
だが、それだけであれば多少後に引いたとしても...まあ笑い話の範疇で済んだろう。
問題はその後だ。
小僧が悪魔の実を食べてしまった...いやその前に船に厳重に保管されているはずの悪魔の実が赤髪達のたまり場となっている酒場にいつの間にか持ち込まれて、かかっていた筈の鍵も外されていた、という事で赤髪達が大騒ぎしている時のことだ。
乱暴に酒場の扉が開けられた。
ちなみにその時太陽はまだ空の上で光り輝いていた。
つまり赤髪達は昼間から酒浸りであったのだ。
年長者としての威厳を見せて頂きたい所である。
...うっかり普段の愚痴が漏れてしまったが、とにかく普通の人物ならば酒場になどやってこない時間帯であったという事だ。
そんな時間帯から酒場に入って来た男。
一目見れば
ヒグマたちは自分達を山賊であると言って海賊である赤髪達を馬鹿にし、挙げ句赤髪が渡そうとした酒瓶で赤髪をぶん殴りさえした。
しかし赤髪達は山賊達に笑わせておき、そのケンカを買わなかった。
我輩から見てもあの山賊達と赤髪達の格の違いは歴然であり。
そんな相手からのケンカを買う方が赤髪達の恥になると思っているのだが、主にとっては自慢の
しかし村の他の大人たちにそのことを言っても「ケンカをしないなんて立派だ」だとか「そんなこと言うもんじゃない」と逆に諫められてしまう。
唯一その不満を共有できる小僧とは絶交中だ。
よって主は不満を貯め続けた。
だが、主の機嫌が悪い最大の理由はこんな状況下で赤髪達が出航しているという事だろう。
ヒグマとの諍いの翌日。
赤髪達はバタバタと急いで何処かへと船を出した。
「ちょっと行って、すぐ帰ってくるから」と手短に言い訳をして主は置き去りにされてしまった。
行動だけを見ればヒグマに恐れをなして逃げて行ったとすら取れる行動。
無論主はそんなことないと信じているが、
頼れる
時間を潰すにしても、フーシャ村における遊び場などそう多くなく、ともすれば小僧とばったり出くわさないとも限らない。
結局主はこの三日間人の来ないような森の中などで我輩相手にグチグチ愚痴を言い続け時間を潰して、日が暮れれば赤髪達がたむろしていた酒場に戻り眠るという生活を続けていた。
酒場の女店主であるマキノは赤髪達に頼まれたから、と寝床を貸してくれるだけでなく、食事や洗濯など何かと世話を焼いてくれる。
全く頭が上がらない。
我輩は物を食べられない故売り上げに貢献できないのが口惜しいばかりだ。
そうして村の大人達の世話になれば、我輩とて赤髪達に怒りを募らせる結果となる。
そうだ結局のところ赤髪達が悪いのだ。
何処に行くのか知らないがこんな時にこんな主を置いて何処かへと行くなど...そんなにその用事が大切なのか。
面倒くさい交際相手のようなことを考えていると誰かが近づいて来た音がした。
『む?主よ、誰か来たようだ』
「...だー、返事を...て...れー」
「え?...この声、村長さん?」
主の言う通り聞き覚えのある声が足音の方角から聞こえてくる。
だが主は今誰にも会いたくないからこんな人も来ない森の中にいるのである。
村長とは文字通り村の長だ。
フーシャ村が鄙びた小さな村とは言えそれなりに忙しいはずだが、こんな森に何の用なのか。
なんにせよ今主は人と会いたくない。
もっと森の深くへ入ろうとした時村長の声がはっきりと聞こえた。
「ウター、いるのなら返事をしてくれ!!
ルフィだけでない。お前まで何かあったら...わしは...わしは」
「村長さん!?ルフィに何かあったの!?」
「ウタ!無事だったか」
その内容に主は思わず隠れていた草むらを飛び出す。
主の無事を確認して喜ぶ村長より話を聞けば、赤髪と揉めた山賊が再びマキノの酒場に現れたのだという。
それだけならばまだしも、酒場で酒を飲みながら赤髪達の悪口を言ったものだから、同じく酒場にいた小僧が我慢できずケンカを吹っかけた。
如何に小僧が怒り狂えど大人相手に──ましてや山賊は部下も引き連れていたそうだ──勝てる道理もなく、あえなく敗北。
村長がその騒ぎを聞きつけた時には既に何処かへと連れ去られてしまった後だったそうだ。
「そうしたら朝からウタを見ていないことに気が付いて、まさかお前まで山賊に連れ去られたのかと心配で...」
「そうなんだ...エイシスム!!」
『承った』
安心からか座り込む村長から話を聞いた主は我輩の名を呼ぶ。
命令は聞かずともわかる。
小僧の居場所を探せ、だ。
森の木々よりもさらに上。
フーシャ村周辺を一望できるくらいの高さまで我輩は飛ぶ。
山賊達が何処に隠れているのかは知らぬが、あれだけの規模の団体が動いていれば痕跡を期しきれるものではない。
こうして上から見れば丸わかりである。
『見つけた』
「見つけたの!?」
痕跡を目でたどれば山賊集団が何か──恐らく小僧だろう──を囲んでいるのを見つけた。
ここからそう遠くない。
急いで走れば主の足でもすぐだろう。
「どっち!?」と我輩に進むべき方向を尋ねる主に答えようとした時山賊達に近づいていく集団がいる事に気が付く。
あれは赤髪達だ。
「エイシスム!?どうしたの?早く降りてきて!!」
何時まで経っても降りてこない我輩に焦れた様に主が叫ぶが、我輩はそんなことが気にならないくらい我輩が目にした光景に衝撃を受けていた。
赤髪達が山賊を殺した。
どれだけ言ったところで赤髪達は
だが我輩も見たこともないくらいの圧を放ちながら山賊達を殺していく赤髪達の姿は我輩にとって思考を停止させるに十分すぎる衝撃であった。
そうして赤髪達が山賊達を一方的に殺していくのを見ているしか出来ない我輩の眼下でと白い煙が広がった。
煙幕だ。
そしてその煙に紛れて山賊の頭が小僧を連れて逃げ出していくのが見えた。
『主!奴ら海に逃げた!!だが、心配はいらない赤髪達が...』
「海!?ルフィは海にいるの!?」
『主!?待て、主!!』
海に逃げたという我輩の言葉を聞いた主は「待て、ウタ!!」という村長の制止を振り切り走り出す。
村長も主の後を追いかけようとしたが木の根に躓きこけてしまった。
そんな村長を追い抜き我輩も主を追いかける。
向かうは海。
◆◆◆◆
「居た。待っててルフィ、今助けてあげるから!!」
我輩は楽譜である。
名前はエイシスム。
故に疲れという物とは縁がないのだが、空を飛ぶ我輩ですら追いつけない速さで主は港へと着いた。
山賊の頭と言えば、小僧を連れて小舟で海からどこかへと逃げ出そうとしている。
それを見た主は近くにあった
『っ!!主、余りにも無謀だ!!汝は
「だからって、ルフィを見捨てれるわけないでしょう!!」
我輩としては赤髪達に山賊の頭の居場所を伝えるつもりであったのだが、そんなことをする前に主が海へと出てしまった。
急いで制止しようとするも帰って来たのは悲痛な叫び。
どれだけケンカしようと、小僧は主のたった一人の幼馴染だ。
その小僧が酷い目に遭っているのを主が見逃せるはずがない。
『ならば我輩がいるだろう!!我輩が行く、主は戻れ!!』
「っ!!行ってエイシス...ルフィ!!」
『彼奴っ!!』
あの程度の小舟、我輩が巨大化すれば一撃で叩き潰せるのだが、主が海に出てしまった以上主の消耗が激しい巨大化をして万が一にも主が
いや、その前に我輩が巨大化した余波で主の乗る盥がひっくり返って主が海に落ちるほうが先か?
どちらにせよ巨大化するという選択肢は取れなくなった。
だが、主が行くよりも我輩が行く方が安全であることには変わりはない。
何とか主を説得するも主が悲痛な声で小僧の名を呼ぶ。
見れば山賊の頭が小僧を船より突き落としたところであった。
「うわああ、ごぼ...だれが、だずげ...」
『小僧!今助ける!!』
「あーはっはっはっは!!精々仲良くやりなぁ!!」
此処まで来た以上
後から追いかける我輩達を足止めしつつ、自分は
腹立たしい程に有効な選択肢だ。
「グルルルル...」
「な、何だこの化けも...ぎゃああァァァ!!」
「か、海王類...!!
きゃあ!!」
海の中より現れたフーシャ村の漁師たちから近海の主と呼ばれている海王類は自分の縄張りの中で騒ぐ山賊を小舟ごと噛み砕き、次なる獲物に小僧を選んだようだ。
早く助けなければ。
そう思った時だ主の悲鳴が聞こえる。
思わず振りかえれば近海の主が起こした波で主の乗る盥がひっくり返ろうとしている所であった。
『主、小僧!!』
我輩が今いる位置は丁度主と小僧の中間。
どちらかを助ければ...どちらかを助けることは出来ない。
我輩の脳裏にフーシャ村での日々が甦る。
馬鹿な小僧と楽しそうに笑う主。
どちらかが欠けてもあの笑顔は見られないのだろう。
それでも...それでも!!
「ごほ...エイシスム!!なんで私を助けたの!!...ルフィ!!」
我輩は主を
海から助け出された主は咳き込みながらも小僧から目を離さない。
近海の主は海王類の中では小型の種だとは言え、そこら辺の人間が敵う相手ではない。
ましてや小僧のような子ども、しかも
近海の主が小僧を噛み砕かんと口を閉じる。
だが、我輩達が目にしたものは食いちぎられる小僧ではない。
我輩達が目にしたのは...
「失せろ!!」
「「シャンクス...!!」」『赤髪...!』
近海の主をその眼光だけで追い払う赤髪の姿であった。
主達の声と我輩の音が重なる。
だが、それは絶体絶命の危機から助けられた安堵の声ではない。
むしろその逆。
「なんだ、そんなに泣いて。子供じゃないんじゃなかったのか?」
「ひっく、ひっぐ...だって、シャンクス...腕が!!」
小僧を助ける為に近海の主と小僧の間に割り入った代償に、赤髪はその左腕を失っていた。
しかしそんなことを気にも留めず赤髪は「
海に主達の泣き声だけが響き渡った。
どうも皆さま
キャラの解釈違いが怖いがオリキャラの解釈違いはもっと怖い
私です
エイシスムはどうでしょうか
皆様から見て賢いキャラでしょうか
私としては賢いように見えて意外とバカなキャラです
産まれてまだ一年も経ってないので仕方ありませんね
ルフィ ウタとババ抜きすると早く終わるな~と思ってる
ウタ ルフィと二人でババ抜きをすると早く終わるのが不思議
エイシスム ババ抜きって初めて見た
これくらいの頭の違いです
それではありがとうございました