我輩は楽譜である 名は...   作:noanothermoom

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intermezzo(間奏)

 

 我輩は楽譜である。

 名はエイシスム。

 今は(ウタ)の使い魔でもある。

 

 我輩達は今マキノの酒場にいる。

 赤髪達を筆頭に酒飲み達が騒がしいこの酒場が今日は違った。

 大人達(赤髪達)は何時もの様に酒を飲み騒いでいるのだが、何時もならば大人たちに交じって騒いだり勝負をしている主達がいる一角だけさながらお通夜のような空気だったのだ。

 

 それというのも自身達の無鉄砲さで尊敬する赤髪()が腕を失ってしまったからだ。

 大人達(赤髪達)がその事実を気にも留めず更には自分達の行いを怒りもせず、むしろ「ウタとルフィの勇敢さに乾杯」と酒を飲んでいることが、余計に主達を惨めな気持ちにさせる。

 自分達の小ささ、弱さを浮き彫りにさせられているのだ。

 

 だがそれは我輩も同じだ。

 いや、むしろ赤髪達に主を任されていながら何もできなかった分なお悪い。

 魔王の名が泣く...我輩はトットムジカ()ではないが。

 

「おうおう、どうしたウタにルフィ。えらく暗いじゃないか!」

 

 そうして三人(我輩達)が酒場の空気を陰鬱な物に変えていると赤髪達が主達に絡んでくる。

 「俺達の所為でシャンクスの腕が...」と小僧が泣きそうな声で言えば、「二つの命を一つの腕で救えたんだ、安いもんだろう?」と返す。

 そして「そろそろウタの歌声が聞きたくなってきたなぁ。そうだろう?みんな!!」と主へとステージへ立つように声をかける。

 

 赤髪達の明るさにつられ主達の顔に笑顔が戻り、そうして酒場に主の歌声が響いた。

 

 ◆◆◆◆

 

「シャンクス...私、きっと世界の歌姫に...むにゃ...」

 

「うーん...でっかい肉...うめぇ...」

 

 そんな寝言を言っている主達に毛布を掛ける。

 外では見事な月が昇り、すっかり夜も更けた。

 赤髪達も、ある者は酔い潰れ、ある者は肩を組んだまま寝て、ある者は酒場の床に直接寝ている。

 今夜の宴もお開きだ。

 仕方がなさそうな顔をして赤髪達に毛布を掛けて回るマキナの手助けをしていた我輩へと、一人起きて空を見上げていた赤髪が声をかけた。

 

「エイシスム。話が有る。大事な話がな」

 

『赤髪...待っていたぞ』

 

 我輩の夜はまだ終わらない。

 

 ◆◆◆◆

 

 我輩は楽譜である。

 名前はエイシスム。

 今は(ウタ)の使い魔を...いや、この先の言葉を言う権利は我輩にはもうないのだろう。

 

 我輩は宙に浮いている故周囲が明るかろう(昼であろう)暗かろう(夜であろう)とさしたる問題ではない──そもそも()よりも夜目が効くのだ──が、人間である赤髪は暗ければ足元が見えない。

 しかし今夜は夜の散歩にお誂え向きの満月であり、空には雲一つない。

 それこそ昼のような明るさ...とまで言えば言い過ぎか。

 なんにせよそんな月明かりの中赤髪の後ろをついて行く。

 

 しばらく酒場から歩いて人気のない場所まで来た赤髪は「ここならいいだろう」と呟き我輩に向き合った。

 月明かりに照らされ地面に落ちた赤髪の影に片腕が無い事実に思わず目を逸らす。

 我輩はまだ我輩の犯した罪を直視する勇気を持っていない。

 

「何から話そうか。先ずはこれを見て欲しい」

 

 そう言って赤髪が投げたのは新聞。

 夜も更けたと言えど空には満月。

 我輩(楽譜)であれば新聞の文字を読むのに苦労はしない。

 その一面には【海賊たちの大移動】と大きな見出しが書かれていた。

 

『これは...』

 

「そりゃあ、新聞って言って遠くの出来事が書いてある物でな...」

 

『そんなことは知っている』

 

「そうか」

 

 赤髪は新聞の説明をしようとしたがそれくらい我輩も知っている。

 一体赤髪は我輩を何だと思っているのか...楽譜か。

 とにかく赤髪を黙らせて記事の内容を見ていくと、この所偉大なる航路(グランドライン)を縄張りとする多くの海賊達がその縄張りから移動していることが書かれていた。

 

 偉大なる航路(グランドライン)とは世界の全てを手にした男、海賊王ゴールド・ロジャーが世界一周を果たした海路の事であり、またロジャーが処刑前に自身の集めた財宝を其処の何処かに隠したと言ったことからロジャーの財宝(ワンピース)を求める海賊達がひしめき合う海賊の海でもある。

しかしながら他の海とは比べ物にならない程...と、言うよりか常識外れの天候にまっすぐ進むことすら困難な海流、更には両側を凪の帯(カームベルト)と呼ばれる無風地帯であり超大型海王類の巣に挟まれた、一度入れば生中には抜け出せない海域でもある。

 

 (富、名声、力)を追い求めたがその厳しさに海の藻屑となった者も、一か八かの賭けで凪の帯(カームベルト)へ突っ込み逃げ出そうとして海王類の餌になった者も、そして命からがら逃げだしすべてを失って廃人同然になった者も、この海には掃いて捨てるほどいる。

 

 だがそういった敗北者達の記事では無いようだ。

 ビック・マム海賊団、百獣海賊団。

 他にも我輩(楽譜)でも知っているような大海賊団達の名が連なっている。

 

「どうやらウタの悪魔の実の力(ウタウタの実)とお前について、エレジアから帰ってくるときに戦った海賊達から漏れたらしい」

 

『っ!...そうか』

 

 読み終わり新聞を赤髪に返した我輩へと赤髪は重大な事実を告げる。

 

 主の能力(ウタウタの実の力)は強大だ。

 歌を聞かせればそれだけで無力化でき、電伝虫やスピーカを通してもその効力はそのまま。

 おまけに対象の数に制限もない。 

 更には伝説の魔王──細かい事を言うのであれば違うが──である我輩もいるのだ、

 

 今でこそ主が子どもでその体力という限界があるが、成長すればどれだけの脅威となるか。

 まともな海賊であれば早いうちにその芽を摘もうと考えるか、自分の勢力を拡大するのにその力を利用しようとするだろう。

 どれだけ情報を漏らさないようにしていた所でいつかは漏れ出るだろうと思っていたが、これほど早いとは。

 海賊たちの情報網を舐めていた。

 

『ならば此処までであるな。赤髪、我輩を船に乗せてくれたこと深く感謝する』

 

「待て待て待て、どうしてそうなる!!」

 

 主の力(ウタウタの実の能力)についての情報が漏れた、とは言え主の外見であるだとか具体的な居場所だとかまでばれている訳ではないのだろう。

 もしばれていれば今頃このフーシャ村は海賊たちに包囲されている。

 

 ならば海賊達はウタウタの実の能力者を探す際の目印として我輩を探すだろう。

 故に我輩がいなくなる(自害する)ことで、主から海賊達の目を逸らすことが出来るはずだ。

 そうなれば赤髪達にとって主一人守ることは難しい事ではない。

 

 そも、我輩は今でこそ違う(我輩である)が元は伝説に残る歌の魔王トットムジカ。

 そんな存在を主の傍に置いておいたのはいざという時に守らせる為であろう。

 であるにも関わらず我輩は山賊共に対して何もできなかった。

 そんな役立たずなど必要はない。

 夢の世界(ウタ・ワールド)よりナイフを具現化し楽譜(我輩)へ突き立てようとする...が赤髪はそれを急いで止める。

 

 ?

 主を守るのに我輩が邪魔になったという話ではないのだろうか?

 「ったく、お前は...そんな訳ないだろうが」と乱れた息を整えながら赤髪は我輩の考えを否定した。

 

「俺が頼みたいのは、俺達が離れている間フーシャ村でウタを守って欲しいという事だ」

 

『待て赤髪!!()()()()()()!?

 どういうことだ、まるでこの村に主を置いて何処かへと行く様ではないか!!』

 

 我輩が詰め寄るとばつが悪そうに赤髪は顔をそらす。

 だが、そんなことで誤魔化されると思うな。

 

『主を、貴様の愛娘を見捨てるつもりか!!』

 

「違う!!」

 

『ならばなんだ!!』

 

 思わず激しい音を出す(声を荒げる)

 人であれば顔を真っ赤に染め上げていただろう激情に駆られるが、自身の腕を食いちぎられた時よりも悲痛な顔をした赤髪に僅かばかり勢いを削がれる。

 

「海賊達だけじゃないんだ...ウタを狙っているのは」

 

『何?海賊以外誰が主を狙う』

 

「世界政府」

 

『な...』

 

 世界政府。

 偉大なる航路(グランドライン)を含めた東西南北の海に存在する国々が加盟する国際組織であり、司法や、軍事を司る、言ってしまえばこの世界の統治者である。

 

 世界政府が主を狙っているというのであればそれは、世界が主を狙っている(の敵)と言ってもいい。

 流石の我輩も言葉に詰まる。

 

『何故...』

 

「世界政府のお偉いさんたちはそれくらいウタウタの実と歌の魔王(トットムジカ)を危険視してるってことだ。

 ...流石の俺達でも二つの勢力からウタを守り切る自身はない」

 

『だから...主を置いていくと?』

 

「ああ、そうだ。幸い此処は東の海(イーストブルー)の辺境。海賊達も世界政府の目もおいそれとは届くまい」

 

 昨日までの我輩であれば「そんな事はない我輩が主を守る」と断言できただろう。

 だが、山賊を相手に何もできなかった事実が重くのしかかる。

 何も言えない我輩を見て赤髪は小さく笑う。

 

「なんていったがな。これは俺の我儘なんだ」

 

『我儘...?』

 

「本当のことを言えばウタを守り抜く覚悟はある。その為ならどれだけでも強くなるつもりだ。

 だけどな、そうやって俺達と一緒に暮らしてウタはどうなる。

 世界中から追いかけ回されて、犯罪者扱いだ。

 

 世界に愛される歌姫にだってなれるウタがそんな扱いをされるなんて俺は我慢が出来ないんだ」

 

 強くはっきりと赤髪は言い切った。

 主を愛しているが、いや愛しているからこそ赤髪達が主をどうするべきなのか悩んでいるのは知っていた、このまま船に乗せ続けるべきか、それともどこかで別れるべきか。

 決断の時が来たという事だろう。

 

「だからお願いだ。この村でウタを守っていてくれ。この通りだ!!」

 

『赤髪!?止めよ、船長がそのように頭を下げるものではない』

 

 赤髪は額を地面につけ我輩へと懇願する。

 その様を山賊が見れば無様と称したであろう。

 だが、その在り方こそが我輩には何よりも眩いものに思えた。

 

「頼む、頼む」

 

『頭を上げよ、その命しかと承った』

 

 だからだろう。

 何かを考えるよりも早く我輩は赤髪の頼みを聞いていた。

 

 ◆◆◆◆

 

 月に照らされた酒場への道を戻る。

 隣で歩いている赤髪は酷く機嫌がいい。

 ...まあ、それは我輩もだが。

 しばし無言で歩いているうちにふと気が付く。

 

『そういえば赤髪、汝今我輩と普通に会話していなかったか?』

 

「今更か。まあ、見聞色の覇気のちょっとした応用だな」

 

 エレジアからの帰り、我輩が巨大化した後も会話していただろう?と赤髪は大したことで無いように言う。

 我輩の脳裏にはフーシャ村での意思疎通に手間取った日々が思い出された。

 

『......赤髪、一発殴らせよ』

 

「何でだァ!?」

 

 

 

 

 

 

SIDE シャンクス

 

「急に出航なんてなぁ」「お頭の思い付きには困ったもんだ」

 

「グダグダ言ってねえで仕事をしろ!!」

 

「「「へぇ~い」」」

 

 まだ空も暗いうちからシャンクス達(赤髪海賊団)は出航の準備をしていた。

 とは言え、この出航があらかじめ決まっていた物であるのならば、船員(クルー)達もこんなことを口にはしない。

 いや、出航することはあらかじめ決まっていたことではあるのだが、その日時が大幅に前倒しになったのだ。

 

 酒を飲んでいい気持ちで寝ていた所を叩き起こされ、これから出航だと言われ準備をする船員(クルー)達。

 その気持ちが分かるからこそシャンクスはあえて船員(クルー)達の軽口を咎めはしなかった。

 だが、そんな浮ついた気持ちを引き締める為に一喝したのは副船長であるベン・ベックマンだった。

 

「済まねえなあ、ベック」

 

 必要なことだとは言え、誰しも怒られていい気持ちにはならない。

 あえて損な役回りを果たしてくれる副船長へとシャンクスは謝罪をするが、ベックマンは鋭い視線を船長(シャンクス)にも向ける。

 

「あんたが船長なんだ。気持ちは分かるがしっかりしてもらわねえと」

 

船長(キャプテン)...か」

 

 日頃お頭とばかり呼ばれ、滅多に呼ばれない船長(キャプテン)という呼び名にシャンクスの脳裏に浮かんだのは大きな背中だ。

 

 誰にしも未熟だった時代という物はある。

 今でこそ赤髪海賊団を率いる身であるが、シャンクスとて見習いとして他の海賊団の下でしごかれていた時代はあった。

 その船こそ、海賊王ゴール・D・ロジャーの船であった。

 だからこそシャンクスにとって船長という言葉はロジャーを示すものだ。

 

 一体どういう経緯があったのか今となっては誰も知らないが、シャンクスは赤子の頃宝箱に詰められ海を漂流している所をロジャーに拾われロジャー海賊団の一員となった。

 そういった経緯からシャンクスはロジャーの事を船長として敬意を向けるだけでなく、父と慕ってもいた。

 敵の海賊から奪った宝箱の中に入っていた赤ん坊(ウタ)をここまで育て上げたのに、船長(ロジャー)の行いは無関係ではないだろう。

 

「しかしまあ、ウタを置いて行くとはな」

 

「ああ、新世界は子どもを連れて進めるほど甘い場所じゃない」

 

 愛娘を手放す選択をしたことにベックマンは驚きと船長のこの航海にかける意気込みを感じた。

 

 シャンクスとて本音を言えばウタと別れたくない。

 ずっと一緒に居たい、降りかかる苦しみから守ってやりたい、躓いた時は起こしてやって、悲しい時は慰めてやって、あの笑顔をずっと守ってやりたい。

 その為ならば偉大なる航路(グランドライン)後半、これまでの航路が楽園にすら思える全く新しい世界──新世界にひしめく海賊達も、気候も、化け物共も敵ではない。

 それはきっと子ども()を持つ()ならば誰しもが持つ考え(想い)だろう。

 

 だが、駄目なのだ。

 命ある限り娘を守り続けたとしても、それはあくまで自分()が生きている間だけの話だ。

 ゴール・D・ロジャー(シャンクスの偉大な父)もそうだった様に父はいつか死ぬ。

 そうなればつらいのは、苦しいのは一人残されるウタ()だ。

 だからこそ、いつかは父親に頼らず独り立ちできるようにしてやらなければならない。

 それが今というだけの話だ。

 

 それに囁くのだ。

 自身の(見聞色の覇気)が、このままウタを自分の船に乗せ続ければいつかウタは不幸になる(死ぬ)と。

 これまでの航海で幾度となく自分を助けてきた勘の囁きをシャンクスは無視することが出来なかった。

 だからこそ自分の腕が失われた時よりもずっと苦しかったが、シャンクスはウタをフーシャ村に置いていく決断をした。

 

「ウタに言ってないんだろ?...後が怖えぞ」

 

ルフィ(友達)も、エイシスム(使い魔)もいるんだ。大丈夫だろう」

 

「いや、そのエイシスムが信用出来ねえというか...この音は?」

 

 シャンクスはウタに何も言わずにフーシャ村を去ろうとしていた。

 それは恨まれてもいい、嫌われてもいい。ただ、健やかに生きて欲しいというシャンクスの心からの願いであり、船の上で生きてきたウタにフーシャ村という新しい(海賊以外の)生き方を知って欲しいという父親心であった。

 

 俺達(赤髪海賊団)がいなくとも、ルフィがいる、エイシスムがいる。

 なら寂しくないだろう、とベックマンに話していたシャンクスだが、暗闇に控えめに響く鍵盤の音に気が付く。

 

 エイシスムだ。

 見送りにでも来たのだろうか。

 意外とかわいい所があるじゃないか。

 そんな思考はエイシスムとの()()の為に見聞色の覇気を纏ったことで感じた二つの気配に掻き消される。

 

「ほんとうにいた...」

 

 ポツリとこぼされた声は、悲しんでいるような、嘘であってほしかったような、喜んでいるような、呪っているような、祝福しているような、複雑な感情()に染まっていた。

 エイシスムに先導され薄暗がりから現れたのは、シャンクス達の愛娘。

 

「ウタ!?何故こんな所に!?」

 

「エイシスムから聞いたの、シャンクス達が...私を置き去りにしようとしてるって」

 

 暗い瞳で呟くように語られた言葉の内容になんと言えばいいか分からず、エイシスムを睨むシャンクス。

 だが、返って来たのは小ばかにしたようなシンバルの音だった。

 

『どのような選択をするかは汝の自由だ。だが、それを()に説明するのは()の義務であろうよ』

 

「エイシスム!お前「シャンクスは...私が邪魔だったの?」違う!!

 それは違うぞウタ!」

 

 口止めしたにも関わらずウタへと出航について漏らしたことを咎めようとしたシャンクスであったが、今にも泣きそうなウタの声に必死に慰めようとする。

 そんな船長をしり目にベックマンはエイシスムを伴ない船の出港準備を進めていた。

 

 ◆◆◆◆

 

「はあ、疲れた」

 

「まだ出航したばかりですよ」「年齢(とし)か?」「あんだけ必死にウタの機嫌を取ってれば疲れもするだろうさ」「ははっ、違いない」

 

「お前らなあ」

 

 とにかく泣きそうなウタへと必死に事情を説明してようやく納得...はして貰えなかったが、何とか海賊になるのならば船に乗っているから(流されるままに)なるのではなく、自分の意志で判断できるようになる歳(19歳)まで待つという事で親子喧嘩は決着がついた。

 

 だが、その後にもウタの後をつけていたルフィがシャンクス達がもうフーシャ村に戻ってこないという事を聞いて泣き出して慰めていたり、行きつけの酒場の女主人マキノに黙って出て行こうとしたのがバレて怒鳴られたり、色々あって結局出航したのは昼前になってしまった。

 港を出たばかりだというのに疲れ切ったシャンクスへとかけられるのは辛辣な言葉。

 それに思わず反論しようとするが、船員(クルー)の「お頭が悪い」というぐうの音も出ない正論に何も反論できず撃沈することしか出来ないのであった。

 

「しかし...10年か」

 

「うん?ああ、ウタが海に出るまでの時間か?」

 

 ベックマンの呟いた言葉に赤髪海賊団の船員たちは各々言いたいことを言い出す。

 

 「早くない?」「もっと引き延ばせなかったのか?」

 「いや遅いだろ」「そうだよな俺はもっと早くに海に出てた」「そりゃ見習いとしてだろ」

 

 シャンクスだけでなく、赤髪海賊団全員にとってウタは愛娘の様なもの。

 その結果レッド・フォース号の上では喧々諤々の議論が繰り広げられた。

 そんな中出てきた「十年なんてすぐだろ」という言葉にシャンクスは「いや、俺が頑張って今すぐから十年後まで引き延ばしたんだぞ、もう少し評価しろよ」と思わず反論する。

 

「そんな考えじゃあウタを迎えに行く時にはもう結婚してるぞ」

 

「...はぁ!?」

 

 シャンクスの反論を聞いて船員(クルー)の誰かが言った言葉は赤髪海賊団を混乱に陥れるのに十分な威力を持っていた。

 

「け、結婚って、だ、誰が!?」

 

「いや、ウタだって言ってただろう」「お頭動揺しすぎ」

 

「ウタはまだ9歳だぞ!!」

 

「十年経ったら19だ。そろそろ浮いた話の一つも出て良いころだ」「19か、きっと綺麗だろうな」

 

「相手なんかいないだろ!!」

 

「いや、ルフィが居るだろ」「俺ウタがウエディングドレス着て歩いてる姿見たら泣く自信がある」

 

「うるせえー!!ウタと一緒に歩くのは俺だ!!」

 

 ウオオオ!!!!とまだ決まっても居ない結婚式の父親役を争い殴り合いを始める赤髪海賊団。

 船長としての威厳か、或いはウタの父親という役目への執念か、最後に立っていたのはシャンクスであった。

 そうして甲板の上に倒れ伏す船員たちを見下ろし「どうだ野郎ども、ウタの父親の座は渡さん」と叫んだ。

 ...そしてその後「いや、違う!!」と拳を振り下ろし叫んだ。

 

「お前ら、俺達の目的はなんだ!!」

 

「「「世界政府も手出しできない程の地位を得て、ウタを迎えに行く」」」

 

 後に世界の均衡する勢力の一つ四皇の一角に数えられた赤髪海賊団。

 一年の間の沈黙を破り、四皇の座を得た彼等の航海はこうして始まった。

 

 

 

 

 

 

 




どうも皆さま

私です

投稿というのは一度滞ると次がしにくいですね
ましてや次々と素晴らしい作品が投稿されているとなおの事です
...という言い訳です
ごめんなさい

とりあえずは序章終了です
待っている方(多分いないと思いますが)には申し訳ありませんがちょっとお休みです
もう一つの方の小説を書きたいので
...17日に四十億巻が再配布されるのでもう一度FILM REDを見にいくので思いっきり予定は未定ですが

それではありがとうございました
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