この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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EP12 イリアスは金欠だ!

「装備を新調してみた。似合うかしら?」

 

「……成金趣味のおっさんが好きそうなスケスケの服を着ながら言われてもなぁ」

 

 俺は、エルの装備をそう評しながらエルの姿をじっと見つめる。ちなみに、スケスケの服はスケスケではあるのだが、その下に割としっかり目にアンダーウェアを着ているのでエロくはない。

 

「……私に欲情したりはしない?」

 

「いや、いくらスケスケの服とは言っても、下にしっかり着込んでる女に欲情したらちょっと変態っぽくないか?」

 

「……もし、あの子たちに手を出さないと約束するなら、下を脱いで装備しても、いい」

 

「!?」

 

 そ、それはつまり、あーんなところやこーんなところも余すところなく!

 俺はそこまで考えて、ぶるぶると頭を振って邪念を追い払った。

 

「いや、遠慮しておくヨ。なんか、イリアスとかにばれたらやばそうだし」

 

「……そう」

 

 なんだかもったいない気もするが、よく考えればあれは戦闘服だ。戦場でいやらしい気持ちになるとか、死にますと言っているのとほぼ変わらない。だから、これが最善の手なのだ!彼女は基本的に普段着と戦闘服をきちんと分けるタイプだし、まさか俺だけのために普段着にあのスケスケ服を着てくれるわけではあるまい。

 

「あぁ、この扇の滑らかさよ。それに、この月飾りも良い。力がもりもりわいてくる気がするのじゃ」

 

 そんな俺たちの横では、話など聞こえないとでも言うように新しい武器を手に入れたたまもが「月喰い」と銘打たれた武器に頬ずりしていた。その様は、なんというか、幼子程度の身長であることを兼ね合わせたとしても相当に執着している様子が明らかで、ありていに言えば若干引くほどであった。

 

 こんなことになっているのは、少々伸び伸びになっていたキャベツ収穫の報酬がようやく支払われたからだ。エルがまだ正式にパーティ入りしていなかったこともあり、今回の報酬はそれぞれが得た報酬をそれぞれが得るということになっており、今回の二人の買い物も、つまるところその報酬で買ったものだった。

 

「……どういうことなのですか!私の報酬がたった5万エリスというのは!」

 

「その……大変申し訳ないのですが、イリアス様の納品したものは、そのほとんどがレタスでして……」

 

「……そうですか」

 

 最後の一人であるイリアスは、何やら受付で騒いでいたが、その後すたすたとこちらへと近づいてきた。冷静に見えるが、付き合いが長い俺には、その顔が青ざめているのがよく分かった。

 

「カズマ、一つ聞きます。今回の報酬、いくら程度になりましたか?」

 

「……ざっと百万ほど」

 

「「「百万!?」」」

 

 そう、俺は、キャベツ討伐の報酬で、ちょっとした小金持ちになっていた。

 

「……カズマ、私に喜捨する栄誉を与えましょう。ざっと五万ほど」

 

「…………」

 

 俺がじっとイリアスを見つめると、イリアスは焦ったように俺を見つめ返す。

 

「これほどの栄誉はそうないのですよ!私に直々に喜捨できるなど……」

 

「…………」

 

「ごめんなさい、正直に言います。お金がないのです。いつかお返しするので、少し融資してください」

 

 根負けしてそう言うイリアスに、俺はため息をついて声をかける。

 

「そりゃ、仲間だし力にはなりたいけどさ、五万エリス出すって結構なもんだぜ?いったい何を買ったんだよ?」

 

 そう言うと、イリアスは俺の耳元に口を寄せて、一緒に外に行くように伝えて来た。

 とりあえず抵抗せずに人気のないところまで来たところで、イリアスが話し出す。

 

「実はですね。私の元の世界の物品を見つけてしまいまして、思わずツケで買ってしまったのです」

 

 そう言って、イリアスは二つのものを見せて来た。一つはおどろおどろしい城の模型、もう一つは古びた本だ。

 

「こちらの城はポケット魔王城。元の世界の魔王一族が所持していた秘宝で、小さいながらも居住が可能な魔道具です。そして、もう一つが六祖大縛呪について六祖の一人が書いた学術書です」

 

「居住が可能な魔道具!すごいじゃないか!これがあれば馬小屋に泊まらなくても済むわけか!」

 

「……そのはず、なのですが、買ってから試してみたものの、使い方が分からずで……」

 

 俺がジト目を向けると、イリアスが慌てて弁明する。

 

「ち、違うのですよ!確かに、前の世界で見た時に歴代の魔王が使っていたポケット魔王城の使い方は覚えています。ですが、どうやらこのポケット魔王城はその時のものとは少し異なるようで……ただ、内包する魔力や形からして、本物であることは間違いがないと考えられるのです」

 

 ……とりあえず、俺はポケット魔王城への追及を止め、もう一つの方に目を向ける。

 

「もう一つが、六祖……封印に関しての本……六祖封印って言ったら、確かイリアスがこっちに来る時にかけられてた魔法だったよな」

 

「ええ、その通りです。カズマ、以前私がその封印について説明したことを覚えていますか?」

 

 そのことについて、俺は少し前のことを反芻する。確かあの時はまだこのイリアスが本物のイリアスだと思っており、彼女が偽物だと自分を言い張ったのに、何言っているんだと思わず突っ込んでしまったんだったな。そして、肝心の六祖封印については。

 

「……確か六祖封印は封印している相手から魔力を奪うため強い奴ほど逃げにくく、それを避けるためには自分を弱体化した分身を作るしかない……だったか?」

 

「惜しい。50点」

 

 いや、かすってもなくない?その点数。

 

「六祖封印を抜け出すすべはもう一つあります。それが、力を一点に集中させることで無理やり封印を突破する方法。ただし、これに関しては私は封印にかかったことがありませんでしたから、具体的なことは全く分からなかったのです。

 ただし、先駆者の残した書物があれば、話は別です」

 

 そう言ってイリアスは本を示した。

 

「つまり、それがあれば、イリアスが本来の力を発揮できるってことか?」

 

「そういうことです。尤も、そこまでしても、元に戻れるのは一瞬ではないかと思いますが」

 

 俺は少し考えて、財布から硬貨を取り出した。

 

「まあ、そう言う話なら分かったよ。ただ、借金するなら先に相談が欲しかったな」

 

 金を受け取ったイリアスは早速ツケを払いに行った。イリアスを待ちながら酒場で待っていると、すっきりした顔でイリアスが帰ってきた……。

 

「カズマ。感謝します。……早速腹ごしらえ、と行きたいところですが、残念ながら持ち合わせがありません。早速依頼を受けたいのですが、構いませんか?」

 

 その言葉に俺たちはうなずいて、早速依頼の掲示板へ向かう。さてと、良い依頼は……。

 

「うん?ギガントウェポンの討伐?……ギガントウェポンってなんだ?」

 

「ギガントウェポンはギガントウェポンじゃ。とにかくでかくて妙に男子に人気がある奴じゃな。それよりカズマ、この依頼なんかどうじゃろうか?」

 

 なんだかよく分からなかったが、とりあえずたまもの依頼を確認する。

 

「えーと。百匹規模のゴブリンの討伐?ダメだ、危なすぎる」

 

「なら、こっちはどう?」

 

「エルの方は……発情期を迎えたオークの鎮圧……ごくり。ダメだダメだダメだ!」

 

 俺は一瞬迷いつつも、鉄の意志で断った。最悪俺だけ殺される可能性もあるし。

 よく見れば、掲示板には難易度の高そうな依頼ばかりが掲載されている。

 

「……あら、死にたがりかしら?」

 

 声を掛けられた方を見ると、そこにはこのギルドに来て最初に声をかけて来たサキュバスのお姉さんがいた。

 

「死にたくないなら、今は依頼を控えた方がいいわよ。最近近くの廃城に魔王軍の幹部が出張ってきて滞在してるから、弱い魔物はおびえて隠れてしまって、依頼自体が少なくなってるわ。残っているのは難易度が高すぎる仕事だけよ」

 

 言うだけ言ってしまうと、お姉さんは妖艶にギルドから出て行った。

 ただ、そう言うことなら仕方がない。冒険者として一番重要なのは危機管理能力だ。幸い俺の持ち合わせもあるわけだから、良い依頼が無かったら無理をせずに行くことにしよう。

 

「……あ、あ、ジャンボDXパフェ……」

 

 なんだかかわいそうなので普通のパフェを一つ奢ってあげた。




 Ci-en様の方で、終章に関する情報が出ましたね。年内の発売が無いのは少し残念ですが……。まあ、その間の暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。

 本作のイリアス様は食の魅力に取りつかれてました。
 そんなイリアス様ですが、お金の使い方はかなり下手な設定です。何しろ一度も買い物したことないはずなので。ただ、今回のように明らかに重要アイテムと分かるもの以外に関しては、一応有り金全ベットまで行けば止まる程度には理性があります。また、お金に無頓着なのはそもそもイリアス様自身が生き残るためにあまりお金を必要と思っていないことが関係するので、これから地上で生活していくにつれて金勘定が上手くなっていくのは間違いありません。

 また、承認欲求に関してはイリアス様相談所である程度満たされ、自分以上に美しいものはないと己惚れているイリアス様なので、基本的に金銭は食料に消えていっています。

話は変わりますが、実は最初のボス、デュラハンのベルディアを差し替えるかどうかを少し悩んでたり。意外と該当者が少ないので、無理に原作に合わせるよりもカズマ、イリアスに合わせた感じの戦闘を考えた方がいいかもとも思っているんですよね。

変更点
・クルセイダーの服装を変更。何だったら普段着も変更(スライムに鎧とか何それおいしいの?)
・アークウィザードの杖をレジェンド扇に変更(ただし本編ではパラ本編でほぼ入手不可能な+値無しの「月喰い」多分いい品なだけでそこまでアークウィザード向けの能力でもない)
・女神の散財理由を変更(上記の通り)
・カズマの財布の紐が若干緩い(無駄遣いでないため)
・ポ魔城登場(幽霊屋敷騒動のこともあるため、封印済み)
・大縛呪の学術書(著たまも)の登場
・デストロイヤーさんをギガントウェポンさんに変更(古代兵器つながり)
・アークウィザード、クルセイダーの持ってくる依頼を変更
・ようこそ地獄へ!の人(エヴァ)の登場機会微増
・カズマが女神様にパフェを送る。
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