この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

34 / 71
EP33 ギガントウェポン‼

 俺たちが急いで屋敷に戻ると、慌てた様子でイリアスが荷物をまとめていた。

 

「イリアス、何してるんだ?早くギルドに行く準備をするぞ!」

 

「何って、避難の準備に決まっているでしょう?……まさかと思いますが、貴方、ギガントウェポンと戦う気ですか?正気を疑いますよ」

 

 そう言って信じられないものを見るイリアスに、俺は不満と共に疑問を漏らした。

 

「だから、そのギガントウェポンってのは何なんだよ!」

 

 その問いに、横合いから言葉が帰ってくる。

 

「ギガントウェポンとは、古代の兵器じゃ。はるか昔人間の科学者が、魔物娘たちの力を研究し、掛け合わせ、そして生み出した狂気のキメラと魔道工学と魔法化学の最高峰。その力は大地を割り海を燃やし、そしてただのエネルギー補給のみで村一つが地図から消えるという。ひとたびそれが通ればイリアス教徒以外塵一つ残らぬというほどの最悪の大物賞金首じゃ」

 

 そう言ってあきらめたように荷物をまとめるたまもに、しかし俺は言葉を続けた。

 

「爆裂魔法で倒せないのか?」

 

「無理じゃな。あれには膨大な魔法防御結解が張ってあるそうじゃ。一発や二発なら容易に防ごう。それどころか、結解を突破しても一発で破壊できるかと言えばそれも怪しいじゃろうな。せめて二発……欲を言えば三発は欲しい」

 

 そう言うたまもに、げんなりしたイリアスが合いの手を入れた。

 

「……やはり、この世界のイリアス教徒の扱いはひどすぎませんか?……まあ良いでしょう。いえ、本当は認めたくありませんが、良いことにしましょう。早く逃げますよ」

 

「いや、待てよ。というか、クロムとエルはどうしたんだ!」

 

「クロムは、フレデリカと一緒に屋敷の地下に行きましたよ。エルは自室に飛び込んでいきました」

 

 あぁ!どいつもこいつも!せっかく屋敷を手に入れたのに、簡単に逃げ出す準備に走りやがって!

 それに、屋敷だけじゃない。行きつけの店も増えて来たし、なによりも俺は昨日失敗してしまったあのサービスをまだ受けていないのだ!

 

「遅くなったのじゃ!……どうしたんじゃ、カズマ。早うギルドに行くぞ」

 

「ごめんなさい、遅くなったわ。何しろあまり使わないものだから」

 

 少しイラつきながら振り返った俺は、一瞬怒りを忘れて呆然としてしまった。それはやってきた三人が少々突飛な出で立ちだったからだ。

 

「……まずクロム、その、フレデリカさん?はどうしたんだ?」

 

 そこには、両肩に砲台を搭載したゾンビ、フレデリカの姿があった。

 

「これはフレデリカの決戦装備じゃ!動きがちょっと鈍くなるのと、フレデリカに負担がかかるから普段は使っておらんが、あのギガントウェポンと相対するとなれば最低この程度は必要じゃろう!」

 

 そう言って胸を張るクロムにマッドの片鱗を感じつつも、まあ、戦う気があるのは良いことだ、ととりあえず良いことにして、エルの方に視線を向ける。

 

「えっと、エルさん?その折れ曲がった魚は一体?」

 

「これは、わが家の家宝にして武器、エンジェルおさかなメランよ」

 

「はい?」

 

「エンジェルお魚メラン。天使の力を宿したおさかなブーメランね」

 

「……」

 

 俺はたまもを振り返る。

 

「……ふむ、これはなかなか良い武器じゃのう。家宝というだけあるわい」

 

 この世界の住民的にこれは武器らしい。俺は再び頭を抱えた。

 

「って、何をしているの?早くギルドに行くわよ。そして、いたいけな子どもたちの未来を救うの!」

 

 俺は悪くないと思いつつ、急いでギルドへと向かったのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 俺たちがギルドに着くと、既に多くの冒険者たちが集まっていた。というか、顔なじみは大体いる。何だったら、避難したはずの一般人や教会の神官たちまで数人混ざっていた。それもこれも、前回のキメラデュラハン戦での総力戦と、街を愛する心ゆえだろう。

 心なしか男の比率が高い気もするが、まあ気のせいだろう。

 

「おお!女神イリアス様!会いたかったです!」

 

 俺が気付く前にミツルギがやってきてしまった。自分で蒔いた種なので、イリアスに処理してもらうことにして、俺は受付の方を見る。

 おい、イリアス、そんな恨みがましい眼で俺を見るな。そろそろ話が始まるだろ。

 

「お集まりの皆さん!本日は緊急クエストにお集まりくださり、ありがとうございます!ただいまより、古代兵器ギガントウェポン討伐の緊急クエストを行います!この依頼はレベルも職業も関係なく、全員参加でお願いします。もし討伐に失敗した場合はここにいるメンバー全員でこの街から脱出し、逃走することになります。あなた達が、この街の最後の砦です。どうか、よろしくお願いします!」

 

 そう言うが早いか、職員たちがテーブルを寄せ集め、会議室のようにセッティングし直した。

 そこから感じられる空気は非常に重たく、緊張感が半端ない。

 

 それにしても、と俺はギルド内を見渡した。あたりには、人、人、人。いったい何人いるというのだろうか。いくらギルドが広いと言っても100人ではきかない人数が集まっているとどことなく手狭だ。

 

「それでは、ギガントウェポン討伐の作戦会議を開始します。席についてください」

 

 そうして、皆が席に着いたことを確認して、ギルドの職員さんが声を上げる。

 

「それでは、現状から説明をしますが……その前にギガントウェポンについて説明が必要な方はいますか?」

 

 その言葉に俺含め数人の冒険者とその数倍の一般人の手が上がる。……というか一般人に関してはほぼ全員が手を上げている。それを見て、職員は大きく頷いて言葉を続けた。

 

「古代兵器ギガントウェポンは、魔物娘と人間が共存していた町、レミナにおいて研究されていたとされる超強力なキメラであり、巨大ゴーレムです。時の邪神の巫女による多額の支援があったとされ、その額は小さな国の国家予算にも匹敵したと言われています。その大きさは巨大で、人工生命体であるキメラでありながら、内部には居住できる空間があり、小さな山と同じ程度だという目撃証言もあります。見た目は巨大な六対の足を持ち、背にびっしりと金のとげが生えた獣の胴体に、巨大な女性の上半身と無数の触手を纏った姿をしています」

 

 ギガントウェポンはよほど有名なのだろう。冒険者たちは、そんなことは知っていると、静かに頷きながら話を聞いている。

 

「特筆すべきなのは、その巨体と進行速度、そしてそんな規格外の能力を持ちながら、ある程度の知性を有しているところです。その移動速度は非常に早く、その巨体に立ちはだかるだけでひき殺されてしまいます。そして、その体には世界最高ともいわれていたレミナの魔道科学の粋を集めた魔法結解が常時展開されています。これにより、魔法攻撃はまず意味を成しません」

 

 その言葉を聞いている冒険者の顔がだんだんと青ざめていく。それだけ部の悪いかけということだ。

 

「ですので物理攻撃、と言いたいところですが、小山ほどの相手です。サンドワーム娘さんや巨竜娘さんが止めようとしたこともありましたが、一度ぶつかられただけで吹き飛ばされてしまったそうです。同じ小山ほどの巨体を持つ彼女たちでさえそうなるなら、私達がそれを受ければ……いえ、これ以上はやめましょう。それに、現在はギガントウェポン側も彼女たちを無視して進行してきます。速度はギガントウェポンの方が早く、防衛にはほぼ役に立ちません。

 一方、投石に関しても、体の表面が魔道金属を組成の基礎としているため生半可な攻撃ではびくともしません。弓の特異なエルフ族の助力を頼んだり、動きを止めるためにクモ族の糸を吐きかけたりしましたが、それらが効果を結ぶことは有りませんでした。

 また、飛行する魔物や魔物娘対策にか、身体についている大量の触手はかなり伸縮自在で、まともに攻撃できる場所まで向かうことはできませんでした」

 

 ……。

 

「そして、ギガントウェポンが暴走した理由ですが……これは、研究開発を担った責任者がギガントウェポンを乗っ取った、と言われています。そして、今でもギガントウェポンの内部で指示を出している、と言われています。

 速度が速度ですので、今もって荒らされていない場所などほとんどなく、姿を見せれば町を捨てて逃げるよう各地でマニュアルが組んである。と天災扱いされているのが、古代兵器ギガントウェポンという兵器なのです。

 そして、現在ギガントウェポンは北西方向からこの街にまっすぐ進行中です。何か意見のあるからは、積極的に意見をお願いします」

 

 そう投げかけられても、冒険者たちは沈黙を貫いていた。はっきり言って無理ゲーだ。

 

「あの、たまもさん、どうですか?」

 

「うぇ!う、うちか?む、むー。正直な話、うちの爆裂魔法でも障壁に穴をあけることすら困難じゃ。はっきり言ってお手上げじゃよ。……じゃが、そうじゃな。例えば各地に連絡して、サンドワーム娘や巨竜娘なんかを大量に呼びつけて、街を囲うというのはどうじゃ?ギガントウェポンはそ奴らを避けるのじゃろう?」

 

「残念ながら、小規模ですが実践例があります。なんでも貴族の避難場所の周囲を取り巻く形で二人配置したことがあったようで。その場合は魔物娘ごと張り飛ばしていったようです」

 

 そう言った言葉に、たまもはだろうな、と言った風におとなしく後ろへ下がった。

 しかし、たまもの口から突拍子のない言葉が出たからか、他の冒険者からもぽつぽつと意見が飛び出し始めた。

 

「その、レミナって町はどうなったんですか?作った国だって言うなら、対抗策だって作れたりしないですか?」

 

「レミナは、ギガントウェポンの暴走の最初の犠牲者となり、滅びました」

 

 そう言うと、今度は神官風の男が手を上げる。

 

「なら、大きな落とし穴を掘ってみるとか」

 

「ギガントウェポンは、多少の知能を有します。我々が何人で取り掛かろうと、逃げる動作へ移行する前に脱走不可能な深さの落とし穴を作るのは不可能です。

 また、土の精霊ノームの協力により、半径数十メートル規模の大地の真下を空洞化させた落とし穴を作り、そこに落とす作戦を行ったことがありましたが、残念ながらその時も六本の足で全力ジャンプをすることで落とし穴から脱出しています」

 

 少しの沈黙ののち、次の冒険者が手を上げた。

 

「なら、魔王軍の奴らはどうしてるんだ?さっき無差別に攻撃するって言ってただろ?なら、あいつらも困っているんじゃないか?」

 

「……残念ながら、魔王軍は被害に会っていないようです。強力な魔力結解が張ってあり、ギガントウェポンと言えども侵入は困難なのでしょう。そして、魔王軍はギガントウェポンの破壊には興味がないようです。野良の魔物が襲われるのは軽微な損失とでも思っているのでしょうね」

 

 そう言うと、職員は静かに俺達を見て、続けた。

 

「他に、意見はありませんか?」

 




 先週は熱でぶっ倒れて投稿できませんでした。例のあれです。

 アンケートはIFアクアが大多数ですね。了解です。⑵を描くかは反応次第で。

変更点
・クルセイダーの武器が例の意味不明武器
・ギルドの古代兵器対策にアークウィザードがご意見番として期待されている。

章の間に挟む閑話についてのアンケート(すべてオリジナル展開となるため、ご期待に沿えない可能性があります。また、思いついたものを列挙しているので、完成が遅くなる可能性があります)

  • 三番さんのアルカンレティア放浪記
  • あの人は昔~サバサ編~
  • よそ者たちのポ魔城会合
  • IF もし駄女神がもんクエ参入(1)
  • アンナ・フィランテ・エステロイドの一人言
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。