この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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EP 41 Q クエ世界で運ゲーを強要してくる強敵といえば?

 屋敷に転がり込んできたのは、ランと名乗るメイドだった。

 

「で、ランさんはなんでここに?」

 

「ええ、実はお嬢様のことでお話が……」

 

「お嬢様?」

 

 俺たちが首をかしげる中、ランさんは言葉を続けた。

 

「詳しい話は屋敷の方でさせていただきます。身ぎれいな服装に着替えて、ついて来てはいただけませんか?」

 

 その言葉に、俺たちは顔を見合わせて困り顔で答えた。

 

「いや、いきなり要件も言わずについて来いって言うのはなぁ、まあ、いいとこの貴族のメイドなのは予想できるけどさ」

 

「……それは、その御屋形様がお伝えされることですので。それに、お嬢様、エルべぇ様のことに関わることで、おいそれと他言できないというか……」

 

 その言葉に、俺たちは三度顔を見合わせた。

 

「まぁ、そう言うことなら」

 

「ありがとうございます!早速馬車で出発しましょう!」

 

 そんなわけで、俺たちは馬車に乗って屋敷とやらに向かおうとしたのだが……。

 

「……おい、サバサとシロム、ポ魔城にもいないんだが」

 

「あぁ、そう言えば、ギガントウェポンの戦いとその後の脱獄騒ぎの時ので人形が殆どなくなったから、おねえちゃんの所で素材を調達してくる!と言って出て行っておったのう」

 

「……タイミングの悪い。まぁ、場所が分かってるんならいいか。ランさん、シルクドゥ・クロワ魔道具店に寄り道して、仲間を拾っていっても良いか?」

 

「えぇ、もちろん構いません。仲間全員にお話しすることになるでしょうし」

 

 そう言うことで、俺たちはシルクドゥ・クロワ魔道具店に寄り道することになったのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 少し雪の積もった街を馬車で抜けていくと、目的のシルクドゥ・クロワ魔道具店が見えてくる。俺たちは特に気兼ねすることなく店の扉に手をかけた。

 

「よく来たな、我が店に!……なんだ、カズマたちか」

 

「よっシロム」

 

「だから、余はラ・クロワだと……。まあいいか。それで、何のようなんだい?」

 

 俺たちだと分かった途端にお客様用のハイテンションの語りをやめたシロムといつものやり取りをしてから、俺たちはクロムの所在を聞くと、シロムは少し驚いたように言葉を続けた。

 

「む?君たちは知らないのか、我が愚妹ならカエル狩りに行ったぞ。流石に愛しい妹と言えど、タダで商品を渡せるほど私も余裕はなくてね。てっきり君たちに助力を仰いでいるものかと思ったが」

 

 そう言ってやれやれと頭を振るシロムは、しかし言葉の端々や些細な所作に嬉しさをにじませていた。

 とはいえ、再び関わりを取り戻した姉妹がささやかな幸せを噛み占めている様子をいつまでも観察しているわけにはいかないので、俺はランさんに視線を向けた。

 

「……そうですね、出来れば全員でお越しいただければ一番です。迎えに行きましょう」

 

 そう言うことになった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 俺たちがシロムに確認を取った場所へと到着すると、そこには大量のカエルが犇めいていた。

 そして、その中には特徴的な二人の影が見える。一人はカエルと比べてもそん色のない巨体で、もう一人はその巨体に抱かれるように重なっている。

 

「これはちと、多すぎるのう」

 

 そう言ってぼやく声が聞こえたと思うと、巨体が蠢き、カエルがお手の一打で引きつぶされる。しかし、カエルたちはそんな様子に頓着することなく彼女に近づいていっていた。

 

「うっわぁ」

 

 思わずこぼれ出た俺の声に、目の前の巨体の持ち主が反応し、やや嬉しそうな声が帰ってきた。

 

「おお!主様ではないか!今はちと厄介な状況じゃが、とりあえず妾とシロムは心配いらぬ!」

 

 そう言うと同時に再び前足が動き、また一つのカエルが踏みつぶされる。

 

「うっわぁ。あいつの戦闘とか見てなかったけど、もうあいつ一人で良いんじゃないかな」

 

 その姿は、さながらネズミを仕留める猫といった風情だ。

 

「って、見てる場合ですか!助太刀しますよ!」

 

 そう言って、飛び上がったイリアスと、杖を構えるたまも、二人の連携の甲斐もあり、ジャイアントトードたちは一転に集結する。そして……。

 

「行きますよ!」

 

「ちょ!待て!妾は足腰が弱っとるから、急激な移動はできな……」

 

「穿て!エクスプロージョン!!」

 

 轟音が鳴り響き、爆裂魔法がその場にいる殆どのカエル、ついでに逃げ遅れたサバサを巻き込んで爆発する。

 

「これで敵は殆どやっつけたのじゃ……ナイス、爆裂」

 

「仲間巻き込んでんじゃねーか!」

 

 あおむけに倒れるたまもに、拳骨をくらわそうとして気付く。サバサはともかくクロムの反応がない。

 慌てて爆裂魔法が爆発した辺りを見ると、その先にクロムの姿があった。

 

「ちょ、ま、やめるのじゃ!ど、どこ触っておるのじゃ!」

 

「げこ~。君かわいいね~」

 

 そこには、緑の肌色をした魔物娘がわらわらとクロムに集まっているのが見えた。

 

「クロム!」

 

 上空から叫び声をあげるイリアス。助けようと様子をうかがっているようだが、その声で相手側にもイリアスがそこにいると意識したようだ。一人が上空を見つめ。

 

「え?」

 

 一度の跳躍でイリアスの元まで飛びこんだ魔物娘に押し倒され、イリアスが墜落する。弓を構える暇さえなかった。

 

「お、おう、こっちにもきおったか、これ、ちょっとまずくないかの?」

 

 気が付くと、たまもや気絶したサバサの方にも魔物娘が近寄ってきていた。

 

「まて!それ以上動くな!」

 

 弓を構えて、手近にいるたまもに寄ってきた魔物娘に向けると、ゲコゲコ笑ってその魔物娘は返事を返した。

 

「安心してほしいわ。私達カエル娘は人間も魔物娘も食わない。ただ私たちの欲望を発散するのを手伝ってもらうだけ、ことがすめばそのまま返してあげる」

 

 そして、その顔が邪悪に歪む。そして、悪寒に体が震えるよりも早く、背中に重量級の何かが張り付いた。

 

「それよりも君、おいしそうだね」

 

 それは、別のカエル娘の声だった。

 

「くっ!離れろ!」

 

 ゲコゲコとカエル娘たちの笑い声が大合唱となって響き渡る中、一条の雷鳴が通り抜けていった。

 

「ライトオブ・セイバー!」

 

 轟音が鳴り、俺の背中が軽くなる。見れば気絶したカエル娘がプスプスと焼けこげながら白目をむいていた。

 

「さて、次にこれを喰らいたいのは誰かしら?」

 

 その一言を受け、カエル娘たちは蜘蛛の子を散らしたように逃げていった。

 

「……何してるの?あなたたち」

 

 そこにいたのはたまもの同郷、七尾の姿だった。肝心のたまもは存分に舐り回されたのかなんかネチョッとしてたので、ドレインタッチで俺の魔力を分けてやる。

 

「……くぅくぅ。カズマ、もうよいぞ。爆裂魔法には足りぬが、ある程度魔力がたまったでの」

 

 そう言うと、たまもはふらりと立ち上がり、そして俺に目を向けて来た。

 

「とりあえず、サバサたちを起こすのは面倒じゃ。ポ魔城に突っ込んで、屋敷の方で何とかしよう。さっさと帰るのじゃ」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

 

 いきなり帰る手はずを整えようとするたまもに、七尾が焦ったように声をかけた。

 

「何を言っているのですか!そもそも、あなた達はそこのメイドとどこかに行く予定だったのでしょう!?」

 

 七尾の言葉にハッとしてランさんの方を見ると、ランさんは苦笑して手を振った。

 

「流石に、御屋形様に会うにあたってその粘液まみれの体で会わせるわけには参りませんので、また明日、お迎えに上がります」

 

 そう言うことになった。……ん?

 

「いや、まて、なんでお前がそのことを知ってるんだ?」

 

 俺たちが彼女の言う御屋形様の所へ行くことは、他の冒険者たちどころか街の人々にも行っていないことだ。このメイドが屋敷に来てすぐに出発となったので当たり前と言えば当たり前、例外と言えばシロムくらいのものだ。

 

 なのになぜ、七尾はそれを知っている?

 

「のぅ、まさかとは思うが、七尾、うちらのことをつけておったりするのかの?」

 

「なっ、違う!これはたまたま、そう、たまたまたまもに用事があって、探していたら偶然馬車に乗るお前たちを見かけただけで、決してストーカーしていたわけではっ!」

 

「へー」

 

 

 感情のない声で応じるたまもに七尾は焦ったように話題を変える!

 

「そ、それより、たまも、あなた私と勝負しなさい!族長の娘として、九……であり幼馴染のあなたを倒さずして、次期族長になることはできないのです!」

 

「いや、七尾、お主目は大丈夫か?いま、カエル相手に激戦した直後じゃよ?なんだったら命に別状はないが、介抱せねばならぬ仲間もおる。そのようなことも考えつかんで、何が次期族長じゃ」

 

「うっ……」

 

言葉に詰まった七尾はしかし、思うところがあったのか、少し早口に言い返した。

 

「は、はんっ!何がカエル退治だ。そこの男も、あっちの三人もカエルに捕まっていたじゃないか。果たして、本当に戦っていたのか?」

 

その言葉に、たまもが真顔で七尾を見つめ、そしてため息をついて口を開いた。

 

「よかろう。そこまで言うなら相手になろう。とはいえ、うちも魔力は回復しておらぬ。故に、徒手格闘での勝負でどうじゃ?」

 

「良いのですか?格闘戦はリーチの長さが肝要。手足長さなら、私の方が数段有利……そのカエルの粘液への忌避感を差っ引いても私の有利は揺るぎませんよ」

 

 若干嫌そうにたまもを見つめる七尾に、たまもは不敵に笑って手招きする。

 

「どうした?来んのか?」

 

「上等です!」

 

そう言って数秒後……

 

「アイタタタ!ギブ!ギブ!私の、私の負けでいいから!」

 

 さりげなく高度な攻防の後、普通に押さえつけられてギブアップする七尾の姿があるのだった。

 

 




A カエル娘

 半ば行動パズルゲーであるモンクエにおいて、何故か難易度ノーマルであるにも関わらず、こちらが最善手を打ってもカエル娘に最善手取られると負けが確定するとかいうくs……強キャラ。無敗勝利1番の難敵である。

本来はセナさんがカエルの大量発生の原因をカズマたちと考えますが、裁判の結果が結果のため猜疑の目がアルダープの方に向いています。
割とゆんゆんのストーリーが長かったので、急遽こっちでもカエル討伐するように軌道修正したのは内緒。

ちなみにランさんはモンクエに登場するメイドさん。つまり……?
この世界のランさんは元の雇い主とは別の人に仕えています。元の雇い主は全く別の役で出てくる予定。

変更点
・ランさんがまとも
・クルセイダーが結婚に乗り気
・仲間を回収するためのサブクエスト発生
・次期族長との会話変更(一度対面しているため)
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