この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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EP5 サトウカズマは仲間を呼んだ!

「……昨日は不覚を取りました。思うに、流石に手駒が少なかったのが問題です。手駒を増やすためにも、人員募集を掛けましょう」

 

 翌日、復帰したイリアス様は朝食のジャイアントトードの唐揚げをつまみつつそう宣言した。

 なお、昨日の依頼でわかったことだが、ジャイアントトードと命がけで戦った結果の素材引き取り報酬は、わずか5千エリス。ギルドからの運搬サービスなどもあるため独自で移動させれば少しは高値で買い取ってくれるだろうが、それを含めてもいつもの土木作業の半分しか報酬が得られなかった。

 確かに時間としては短いが、命を懸けて日雇いの日当の半分というのは、世知辛いにもほどがある。

 

 だから、仲間を募集する、というのは理にかなっているが……。

 

「確かに、イリアスの言うことも尤もだが、俺は初級職なんだぞ?パーティを組んでくれる相手なんか要るのか?」

 

「モンファイ、アリマフェン」

 

「前にも言ったが、口の中の物がなくなってから喋ろうな?」

 

 ごくりと唐揚げを飲み込み、改めてイリアスが悪い笑顔を浮かべながら言葉を続けた。

 

「問題ありません。あなたは確かに役立たずの初級職ですが、私は聖魔導士。この世界には本来ありうべからざる職業です。未知の職業に興味を持った人々は多くいるはず。そこを狙えば、戦闘能力の高い冒険者も味方に引き入れることができるはずです。

 もしかしたら、カズマもいらないほど募集で人が来るかもしれませんね。今のうちに恩を売っておいた方が良いのではないですか?」

 

 なんだか調子に乗っているイリアス様だったが、言っていることはそこまで間違っていないため、仕方ないのでもう一つ唐揚げを注文するのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「…………」

 

 じっと動かずに瞑想をするイリアスは、ともすればその小さな体躯に似合わない威厳すら漂わせ、ギルドの一角に鎮座していた。

 

 朝、唐揚げを思いきり頬張った後、さっそく人員募集の依頼を出したイリアスと俺だったが、現在半日立っても、希望者はだれ一人としてやってきていなかった。

 

「…………」

 

 瞑想を続けるイリアス。だが、その瞑想は始めからそうではなく、最初の方は俺と少し雑談しつつ希望者を待っていたのだ。しかし、一時間待ち、二時間待ち、と時間が過ぎていくにつれ口数が少なくなり、最終的にこのような状態になったのである。要するに、不安で祈っているという単純な理由で生まれたのが、この威厳がありすぎる幼女の図である。

 

「なあ、イリアス」

 

「何ですか、カズマ」

 

「いい加減諦めて、ハードル下げようぜ、そりゃ、最終的には魔王軍に挑む予定だから仕方ない所もあるんだろうが、流石に上級職だけ募集しますってのはちょっと無理があったんだよ」

 

 俺の言葉に、顔を一瞥したイリアスは何も読み取れない顔で言葉を続けた。

 

「何も問題ありません。まだ半日ではありませんか。私がルカの旅立ちを何年待っていると思うのですか?たかが半日くらいで音を上げるなど、情けない」

 

「手、震えてるぞ」

 

 俺の指摘に、顔を赤くして立ち上がったイリアス。これから俺とイリアスの舌戦が開始されようとしたその時。横合いから気だるそうな、しかし、なぜかよく通る声が投げかけられた。

 

「募集の張り紙、見せてもらったぞ。ここでよいのかの?」

 

 そこにいたのは、金髪の幼女だった。手には扇子を握り、頭には赤いひもで結った髪飾りをしている。服装は、少し着崩してはいるが、あでやかな着物だ。

 しかし、どう見ても幼女だった。この世界は現代でないので、別に子供が冒険者になっていること自体はそこまで不自然ではないが。

 どう考えても10代前半のその少女は、服装の中で唯一異様な、右目を覆っている眼帯に手を置き、着物をはためかせて扇子をバッと開いた。

 

「うちはたまも!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操りし者……!」

 

「学芸会の練習か?」

 

「ち、ちがうわい!愚かもの!」

 

 そんなやり取りをしているとイリアスが目をしばたかせて少女に声をかける。

 

「あなたは……以前お会いした時は気付きませんでしたが、その瞳の色、紅魔族では?」

 

「ふむ……左様。うちは紅魔族随一の魔法の使い手。我が必殺の一撃は天を焦がし月を穿つのじゃ。そんな強力な力は欲しくはないか?今ならそんな力が……くぅ」

 

 突然口上をやめ、腹に手をやる幼女が、せつなそうに俺たちを見た。

 

「すまぬが、何か食べるものをくれぬか?何しろ3日ほど何も食べておらなんでな」

 

「まあ、飯を奢るくらいならいいけど、そもそもその眼帯は何なんだよ。もしも怪我してるってんならイリアスに直してもらえば……」

 

「残念ながら、これはうちの力を封じる特殊な呪符を込めた眼帯じゃ。何人たりともこれを外すことは叶わぬ。むろん、うち自身もな」

 

 そう神妙に言うたまもに、俺はごくりとつばを飲み込みながら言葉をひねり出す。

 

「なるほど、封印か」

 

「まあ、実際はそう言う風に見えるただのおしゃれじゃな」

 

 俺は無言で眼帯をひっぱった。

 

「ぬっ!何をするのじゃ、あ、謝るからやめるのじゃ!や、やめろぉー!?」

 

 その光景を見ながら、少し呆れ気味のイリアスが俺たちの間に割って入った。

 

「カズマ、それくらいにするのです。紅魔族は魔法にたけた種族で、生まれつき高い知力と魔力を備えた存在です。生まれつき魔法使いのエリートになる素質を持ち、名前の由来となった赤い眼と……やや古風な話し方をするのが特徴ですね」

 

 なるほど、なんだかおばあちゃんみたいな話し方をしていたのはそれが理由か。

 

「ふむ、おぬし、何か失礼なことを考えておらぬだろうな?」

 

「……この子たちの種族は魔法にたけてるんだよな?仲間に入れてもいいんじゃないか?」

 

「ええ、その方なら、少なくとも人格は問題ないでしょう。それに、ギルドカードは偽造が不可能である以上、彼女が上位職のアークウィザードであることは確実。それに、本当に爆裂魔法が使えるというのなら、彼女の実力はこれ以上を望むべくないものでしょうね」

 

 そういうイリアスの言葉を聞き、俺は彼女を仲間にい引き入れることにしたのだった。

 なお。

 

「なあ、一つ聞くんだけど、たまもって何歳なんだ?」

 

「おや、レディに年齢を聞くなど、礼儀がなっておらんぞ……。まあよいわ。13じゃぞ」

 

 年齢は見た目よりもやや年上だったくらいでほぼほぼ順当だったことを付け加えておく。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 面接の後、俺たちは再び平原まで足を運んでいた。タマモを仲間に入れての初めての魔物討伐。それはタマモの実力を測るという意味もある行為だった。

 

 早速、ジャイアントトードが3体見つかり、そのうちの一体がこちらへと向かってきた。

 

「おーい!たまも、爆裂魔法を頼む!奥の奴にぶちかましてくれ」

 

「よかろう!うちの力、とくとみるがよい!……黒より黒く……」

 

 数秒の詠唱、それは巨大な魔方陣を生み出し、たまもの眼前に巨大なエネルギーの塊が収束する。

 

「ゆくぞ!穿て!エクスプロージョン!」

 

 膨大な光の奔流が二体のジャイアントトードを包み込み、物言わぬ屍に代わるのを驚きと歓喜と共に見た俺は、すぐにタマモに指示を飛ばす。

 

「いいぞタマモ!いったん引いて体勢を立て直せ!次は近づいてるやつに注意を!?」

 

 そう言った矢先、違和感を受ける。先ほどから、たまもが一歩たりとも動いておらず、地面に寝ころんでいたのだ。

 

「どうした!たまも!」

 

「うちのエクスプロージョンは、最強の魔法であるゆえに、必要魔力においてもまた規格外。限界まで魔力を出し切ったうちができることはそう多くない。……まぁ、つまるところうちは一発撃てばもう動くことさえできぬ……む、なんじゃ、こんな近くからお替わりが来るとは思わなんだぞ、ああ、ちょっと助けてくれんか?このままではちとやばそうなんじゃが……」

 

「裁きの雷!裁きの雷!裁きの雷!さばきのいかずちぃ!!な、なんで動きが止まらないんですか!??ひゃわああああぁぁぁ!?」

 

 俺はイリアスとたまもが身を挺して動きを止めたカエルたちにとどめを刺し、何とか依頼を達成することができたのだった。

 

 なお、これは余談ではあるが「幼女を粘液まみれにして喜ぶ変態」が「幼女を粘液まみれにして楽しむド変態」にランクアップしたのはやっぱり納得がいかないのだった。




 ということで、めぐみん役はたまもちゃんとなりました。
ただし、このたまもちゃんはクエ世界の六祖封印状態のロリたまもではなく、ただの九尾の狐(なんだそいつは)であるたまもちゃんでしがらみ塔もほぼありません。
 本来はイリアス様もやばい奴に似てることに流石に気付くはずですが、この一族は人間に紛れるために常時人間に擬態していて耳としっぽを隠しているため金髪の人間に擬態した妖魔だと認識しています。

 設定は大きく違い、このたまもちゃんは職業アークウィザード、使える魔法は爆裂魔法だけです。
 ただし、たまもちゃんらしく大地の精霊と無意識化で仲良しです。……が、あまり硬すぎるとダクネス役の子の出番がなくなるので節々で怪力見せることができるくらいの頑強さに抑えられています。

 また、たまもちゃん登場の影響で、今作の紅魔族が狐一族に占拠されました。具体的に言うと。
・紅魔族は赤い瞳を持つ(原作準拠)
・紅魔族の女は殆どの者が名前に○尾という謎のワードが入る。
・紅魔族の男は変な名前を持っている(原作準拠)
・紅魔族は魔力適正が非常に高い。(ある意味原作準拠)
・紅魔族の体の一部には、しっぽのような模様がある(擬態の影響)

 みたいな設定になっています。要は絶対にモン娘に変換できないひょいさんを残すために男は設定準拠、ついでに男キャラも割かし残す形で後は全部狐に置換されてます。

 本当は月光きゃのんを必殺技にしようかとも思いましたが、エクスプロージョンは原作基準の方が良いという結論に至ったのでたまもちゃんに習得させました。

今回変更点

・めぐみん→たまもに変更
・ジャイアントトードの出現数増加(前回の変更点からの調整)
・面接段階で女神さまが魔法使いと面識がある(イリアス様の魔物嫌い対策)
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