武器を新調してすぐ、俺たちは雪がちらほらと残る平原へと向かった。
ここは最近リザードランナーが出没する場所で、俺は遠くまで見渡せる木の上へと上り長距離狙撃の姿勢を取る。
「よし、こっちは準備できたぞ!」
「こちらも準備完了しています!」
俺たちはそう言ってそれぞれの準備の完了を確認し合う。
「よし、ならもう一度確認だ!イリアスは補助呪文で全体の支援!基本的には俺が弓で王様ランナーと姫様ランナーを仕留める!もし仕留め損ねたら、エル!お前が耐えてる間に俺がもう一度狙撃!それが無理ならたまも、爆裂魔法で全部爆破!うち漏らしを俺が狙撃する!」
珍しく失敗まで考慮した作戦を立て、俺たちは依頼に挑んでいた。もうすでに俺以外のレベルは20を超えている。立派な中堅冒険者なのだ。
俺は弓師のスキル、千里眼を使ってリザードランナーを探す。
「…………うーん。視界内にはリザードランナーはいないな。ここらへんにいるって話だったが……」
とはいえ、野生の魔物のことだ、そう言うこともあるだろう。そして、魔物が出てくる以上、気を抜くのも危険だ。
「とりあえず、そのまま待機して様子を見よう」
そうして待つこと一時間。指が動くよう、少し手をこすりながら周囲を見回していると、いよいよそれを見つけることができた。
「!?来たぞ!」
それは土煙を上げてこちらに向かってくる。
「速っ……!?って、なんだあれ!?」
千里眼で改めてみると、そこには俺の予想通りの二足歩行の恐竜に似た姿のトカゲと……その先頭を走るトカゲに似た姿をした少女の姿があった。
「おい!イリアス!なんか先頭に女の子がいるんだが!?」
「ここはキャベツが少女になる世界ですよ!トカゲが少女になったって不思議はないでしょう!」
言われてみればそうだが、そんなの予想できるか!
「え、ええい!」
俺は邪念を振り払ってトカゲ少女に弓を向ける。どう考えてもあいつが姫様ランナーだろう。そもそも、キメラデュラハンだって俺が倒したのだ、なら、少女の姿はあの娘を殺さない理由にはならない……いや、しかし。
「……すけて!」
と、ふと見ると、姫様ランナーが息を切らしながら、何かを叫んでいた。
「助けて―!」
「!?」
なんだかわからないが、助けを求めている!?俺は咄嗟に彼女の近くにいるリザードランナー数体に狙いを定め、それを射抜く。
「ギャッ!?」
射られたリザードランナーは変な声を上げて倒れ伏す。だが、その勢いは止まることなく、むしろいきり立ってリザードランナーはその走りを早くする。
「おい!エル!?」
俺はこういう時に一番役に立ちそうなエルに声をかけたが……反応がない。
「エル!おい!聞いてんのか!」
「……ぁえ?」
こ、凍ってやがる!?
と、呆然としたのもつかの間、作戦の失敗を悟ったたまもが、爆裂魔法を詠唱する。……が。
「む、た、足りぬ!爆裂魔法のための魔力が足りんのじゃ!」
驚愕するたまもを見て、俺は彼女との朝のやり取りを思い出す。
「……あ、あの時の」
畜生!ドレインタッチなんてしていなければ!と思ったが、後の祭り。リザードランナーはたまもの隠れている茂みをスルーし、彫像と化したエルの前を通り過ぎ、俺のいる木の下まで進んできていた。
「助けてほしいっすー!」
先頭を走る姫様ランナーはそう言って俺のいる気を目がけて……激突した。
「あ」
「……っす?」
少しの浮遊感の後、俺はリザードランナーの中に落ちて行き……そして、何度も衝撃を受けた後、その意識を手放したのだった。
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三度の真っ白い空間。そこで俺はまたしてもイリアスの前に立っていた。
「勇者カズマよ。リザードランナーに踏みつぶされるとは何と不甲斐な……いや、踏みつぶされた?何やってるんですか?もしかして踏まれることを喜ぶどMなのですか?それなら私があなたをカーペットの代わりに使って差し上げましょうか?転生したらカーペットだった件、負け犬にふさわしい転生先ですね。
……コホン。カズマよ。リザードランナーは姫様ランナーと王様ランナーを殺せば群れが解散します。まず、姫様ランナーを射抜き、殺しなさい。そしてその後、姫様ランナーの一番近くにいる一番足が速いリザードランナーを殺すのです。そうすれば、リザードランナーの群れは自然に解散するでしょう。私はあなたが勝利することを信じていますよ」
「いや、ちょ、出来れば姫様ランナーを殺さない方向d……」
俺の言葉が聞き入れられる前に、視界は更に白く染まっていき、俺は意識を失うのだった。
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「はっ!?」
俺は意識を取り戻すと同時に千里眼を発動し、リザードランナーを確認する。どうやら、俺がリザードランナーを見つけたあたりに戻ってきたらしい。
俺は一瞬迷った後、弓を構えた。
「ティンダー!」
俺は着火の魔法で矢に火を灯し、そしてそれをエルに向かって放った。
「カズマ!?何を!?」
そして、大声で叫んだ!
「エル!幼女がリザードランナーに追いかけまわされているぞ!早く起きろ!」
そう叫んだあとのことは、ある意味圧巻だった。俺の火によってわずかに温まり意識が戻ったエルは、その後、気合で氷を解凍。その身を数十倍に膨れ上がらせ、そこにいた全てのリザードランナーを、突撃と同時にその体に取り込んだのだ。
「そもそも、幼女を雄全員で追いかけまわすというのがそもそもの間違いで、きちんと一人一人アピールを……」
で、その後俺に追加の熱源を要求しつつ、エルは捕縛したままの群れ全体に説教をかましたのだった。
その間に、俺は姫様ランナーの方に話かける。
「なあ、お前って、話はできるんだよな?」
「あ、助けてくれてありがとうっす。話も全然よゆーっすよ」
なんか陸上部の後輩みたいな口調に若干苦手意識を感じつつ、しかし俺は質問を続けた。
「えっと、だな。そもそも、どうしてこうなったんだ?場合によっては討伐しないといけないんだが」
「それに関してはちょっと悪いと思ってるっす」
そう言って手を合わせた姫様ランナーが話すには、まずリザードランナーは足が速い奴がモテる、という小学生みたいな習性を持っているらしい。そして、その習性に従えば、リザードランナーは比較的平和に勝負をすることができる。何しろ、姫様ランナーは高確率で人型らしく、何だったら街中で買い物とかすることもあるくらいなので基本繁殖期には人間の街には近寄らないことを母親から教わるそうだ。
なのだが、この姫様ランナー少しばかり普通の姫様ランナーと違った。なんでも、通りすがりの小鬼に少し指導してもらい、どのリザードランナーよりも速く走れるようになってしまったのだ。
いや、まあ、それでも姫様ランナーが繁殖相手を決めればまだよかった。だが、自分よりも早い相手に対して魅力を感じる彼女はあろうことかこう言ったのだ。
「あの小鬼の少女と添い遂げたい」
と。そう、少女である。自分の群れの自分よりも強い雄に負けるならまだしも、どこの誰とも知らない馬の骨、しかも生殖できないメスに負けただけで繁殖の機会を失うというのは速さ至上主義のリザードランナーも我慢ができなかったようで、
嫌がり逃亡した姫様ランナーを追いかける大行列ができた、とこういうことだったらしい。
「……」
俺はひとまずその場をエルたちに任せ、街から一人の少女を連れて来た。
「どうしたんです?カズマさん」
「えっとだな、ゴブ。とりあえずこのトカゲたちの前で、全力で走ってくれないか?」
その日以来、ゴブリン少女ゴブの仕事に、リザードランナーを追い払うことが追加されたのであった。
いい話は、とろとろレジスタンスさんがファンザに終章の体験版をUPしたことだ。
悪い話は、とろとろレジスタンスさんが、今年中の終章発売を明確に撤回したことだ。
もっと悪い話は、ファンザでの販売予定価格がもんクエ中章と比べて200円くらい高いだけの3,520円なことだ。
いや、マジで序章、中章合わせたのと同じくらいのボリュームあるならせめて序章の半額上乗せした4500円くらい払わせてください。という気持ちです。開発費を回収できるのか心配になる。
今後しばらく終章体験版並行プレイしながら書くので、公式設定との乖離もあるかもしれませんが、ご容赦ください。
変更点
・姫様ランナー女体化
・依頼達成
・エクスカリバーキャンセル