この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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狸を乱獲してました。


EP53 湯治へのお誘い

「カズマよ。トロ8世を止めんかったのは謝る。だから、それくらいで勘弁してくりゃれ?」

 

「何を言ってるんだい?俺はいつも通りだよ」

 

 俺がそうたまもに答えると、ニコニコしたイリアスがお盆を持ってやってきた。

 

「カズマさん、お茶が入りましたよ」

 

「ありがとう……って、色がすごいんだが」

 

「高級なお茶にしようと思って、フレデリカから一部を貰ってきたんですよ」

 

 こたつでくつろいでいるクロムの隣にいるフレデリカを見ると、なんだかいつもより露出が激しいような……。

 

「これ死体の包帯から取った茶ってことはないよな?」

 

「そうですが」

 

「飲めるか!」

 

 俺はお茶を放り投げた。流石にそれは飲めない。と、思っていたのだが、クロムがこたつから出て「あ、戻ったのじゃ」とか言っているたまもをおしのけ、ムカつく顔で言葉を続けてきた。

 

「カズマ、ミイラのカケラは昔から漢方を始めとした様々な場面で薬として重宝されていたのじゃ。茶にならぬなど、カズマはミイラへの造詣が薄い!」

 

 少しムカッときたが、まあ、これもご愛嬌。むしろ新しいことを知れたと喜ぼう。

 

「まぁ、尤も、フレデリカは新造のミイラ。熟成もされておらねば、収納されているミイラと違い、外を連れ回しておるから、新しい雑菌も着き放題。飲んだら普通に腹を下すじゃろうな。防腐剤直接飲んだ方がまだ健康的じゃ」

 

「いや、ダメなのかよ!」

 

 思わず突っ込んでしまったが、俺は気持ちを落ちつかせる。

 

「いや、まあ、高級品だと思って作ってくれたんだよな?このお茶はちょっと飲めないが、気持ちはうれしく思うよ」

 

「いや、気持ち悪いのじゃ」

 

 バッサリいうたまもに、頭に疑問符を浮かべたサバサがクロムに静かに耳打ちする。

 

「妾はよう分からんのじゃが、なぜカズマたちはあのような小芝居をしておるのじゃ?」

 

「あぁ、そういえば、サバサはあの時いなかったのじゃ。実は……」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「だ~か~ら!別に敵対してないんだから放っとけばいいだろ!」

 

「この者は罪人ですよ!討伐依頼が出された犯罪者!ギルドに突き出すのが順当です!」

 

 カズマとイリアスが角を突き合わせて喧々諤々の言い合いをしていた。その間には慌てた様子のリザードランナー娘がいる。

 

「あの、喧嘩はやめてほしいっす。その、罰なら受けるっすから」

 

「いや、お嬢さん、それはあんたの意に沿うものじゃなかったんだろ?なら、そこで泣き寝入りする必要なんかないさ」

 

「な~にをかっこつけてるんですか!そんなに魔物にいい格好をしたいんですか?はー。これだから童貞は!」

 

「どどど、童貞じゃねーよ!」

 

 そうして言い合いをしている三人の前で、ノックの音が響いた。

 

「あの、こみ入った話をしとるんじゃろうが、お客が来たぞ」

 

 クロムの案内によってやってきたのは、巨大な頭装備を付けた少女だった。

 

「悪魔!何故ここに!ここには悪魔よけの結界を張ったはず!」

 

「ふっ……あのような結界、全く問題ない」

 

「なっ!」

 

 いきり立つイリアスに、ふっと笑ってラプラスは言葉を続けた。

 

「なぜなら私は機械生命体。重厚な装甲に魔核は守られていて、聖素の影響を受けにくいようにしている。何だったら、魔核が機能停止した場合は機械部分に自動操作させている」

 

「力技ではないですか!」

 

 驚くほどの力技だったらしく、イリアスがそう突っ込む中、ラプラスはイリアスを無視してこちらに向いた。

 

「個体名カズマ。先ごろはいろいろなアイディアを送ってくれて感謝する」

 

「あ、あぁ。というか、良いのか?イリアスがかみついてるが」

 

「こんな礼儀を知らない天使は無視して」

 

「ア、ハイ」

 

 冷たく言い切ったラプラスに、食って掛かろうとしたイリアスだったが、しかし礼儀を知らない、との言に思うところがあったのか、イリアスはぐぬと口を結んで場を離れた。どうやら悪魔に礼儀知らずと言われたのがよほど堪えたようだ。

 

「そこで、契約に伴い、現在の売却額の一割を渡しに来た」

 

 そうして投げ渡された袋の中身を見て、俺は目を見開く。

 

「お、おま、これ中身金貨じゃねーか!間違ってねーか?」

 

「それだけ売れているという事。こちらも十分に利益は出ている。……ラ・クロワがクロムを甘やかす分でだいぶ溶けているけど」

 

 俺がばっと背後を見ると、なんだか巨大な黄金の何かを溶接しているクロムの姿があった。そう言えば、前にポ魔城に顔を出した時に、黄金の色をした残骸の山があった気がする。

 あの色は確か……。

 

「それで、私はカズマに提案する」

 

 ラプラスの言葉に、俺は一気に現実に引き戻される。

 

「私に情報の権利を売る気はない?もし今まで提供してもらった情報の権利をこちらに譲ってくれるなら、こちらは3億エリスを支払ってもいい」

 

「さ、さささ、三億(じゃと)ぅ!?」

 

 驚く俺とクロム。イリアスも、叫ばなかっただけで大口を開けて呆然としていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「と、まぁ、それ以降あの調子というわけじゃ」

 

「なるほどのう……」

 

 サバサがそう腕を組むと、たわわな双丘がたゆんと弾んだ。いや、あれはサキュバスに淫夢を頼んだとしてもなかなか見られないような……。

 

「あ、カズマ、そうじゃ、お主、湯治に行かぬか?」

 

「いや今忙し……今湯治と言ったか?」

 

 俺が聞き返すと、クロムは胸を張って頷いた。

 

「うむ、実は今、ポ魔城の方でちーと最強の人形を作ろうとしておるのじゃがの?何せ昔のものじゃから、なかなか内部もボロボロで、構造と核は分かったものの、材料が足りないのじゃ。そこで信仰と温泉の街、アルカンレティアにとある素材を取りに行こうと思うのじゃが、それだけでお主を連れるのも、悪いと思っての。借金も無くなったことじゃし、遊行がてらどうかと言う話じゃ」

 

 いや、最強の人形ってなんだよ!とか、突っ込みどころはあるがまあ、それより何より湯治、湯治である!

 

「よ、よし、行くぞ!アルカンレティアに!」

 

 こうして俺は、アルカンレティア行きを決定したのだった。

 




ちなみに、ラプラスの行った結界突破術は水の中に酸素ボンベ無し(ただし空気が入ったビニール袋はある)で突入して、気絶しても機械で無理やり移動させて陸地に着いたら即心肺蘇生させて何事もなかったように活動するくらいの無茶です。

そして、困ったときに設定を原作に寄せてくれるクロムちゃんすごい助かる。
クロムちゃんの製作してるのは、討伐後にシロムが確保して、そのまんま横流しした巨大魔道兵器です。建前としては古代人であるスフィンクス娘がこのことに詳しかろうと言う判断ですが、実情は妹に強請られて絆されただけです。
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