「すまないね、カズマ君。クロムのわがままに付き合ってもらって」
大きな荷物を持ったシロムは、俺たちに軽くそう言って頭を下げて来た。
「いやいや、こっちこそ、姉妹水入らずの旅に同行するんだし。それより、ホントに良かったのか?こっちの旅費も出してもらって」
「あぁ、構わないよ。最近はラプラスが来てくれたおかげで、多少は潤っているしね」
そう言って胸を張るシロムの胸に、思わず俺は目を奪われる。そして、直後に後ろで黙っていたイリアスに頭をぶっ叩かれた。
「何をリッチーに発情しているのですか。カズマ」
「おや、もしかして、私の肢体に魅力を感じているのかい?しかし、それは残念だね。私はほら、中身がこうだから」
そう言ってシロムがちらりと服をめくると、そこにはゆらりと揺れる、薄く光る背骨だけがあった。
明らかに生きているように見えるシロムと明らかに死んでいるはずの見た目。そのギャップに混乱しながらも、美人さんが自分のために服の裾をまくるというシチュエーションに、思わず顔をそむけてしまった。
仲間たちの反応は三者三様で、呆れたり訳知り顔で笑ったりだ。
「え、ええい!もう行くぞ!」
恥ずかしくなったのを大声で誤魔化しつつ、俺たちはアルカンレティア行きの馬車を探しに馬車の乗り合い所へと向かったのだった。
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「……ん?無いんだが」
俺たちはアルカンレティア行きの馬車を探していたのだが、一向に見つからないので、困惑していた。
「おかしいな、アルカンレティアとアクセルの交通はそこそこ頻繁にあったはずだし、定期便が出るはずなんだが」
方々で探している仲間たちを見ながら俺とシロムがそう言っていると、イリアスが一つの馬車を凝視して固まっていた。
「な、ななな、なんでこの地名がこの世界にあるのですか!」
そんな声にイリアスが見ていた馬車に書いてある行き先を確認して、俺も変な顔になる。
「なぁ、イリアス。流石に、いくら自己顕示欲が強くたって、これはないだろ」
「いや、元居た世界ならともかく、この世界でそんなことしませんよ!」
俺たちが見る先には『イリアスヴィル』と行き先が書かれた馬車の一団が停まっていた。
「あぁ、お客さんかい?びっくりしただろ。アルカンレティアに行くならこの馬車に乗りなよ」
「これがアルカンレティア行き?だけど親父、ここにはイリアスヴィルって」
俺が聞くと、馬車の御者の親父はため息をついて首を振った。
「なんでも、少し前にイリアス様が熱心な信徒全員に神託を下したそうでな。それにいたく心を打たれた流浪の天使と街の創始者の血を引くアルカン家の御当主様が、「イリアス様を信仰するなら名前もイリアス様を関したものを」と、議会で押し切って街を改名したそうだよ。全く、いくらイリアス教の聖地といえど、迷惑なもんだよねぇ」
そう言ってぼやく親父の言葉に、イリアスが頭を抱える。
「誰です。こんな馬鹿なことをしているのは……片方はアルカンシェルの血縁なんでしょうが。流浪の天使……ミカエラやルシフィナはあり得ませんね」
まあ、そんな一幕はありつつも、俺たちはアルカンレティア改め、イリアスヴィル行きの馬車を見つけたのだった。
そして馬車にお金を払い乗ることになったのだが……。
「座席が一つ足りない?」
まぁ、よく考えれば、俺、イリアス、たまも、エル、クロム、シロム、フレデリカとそこそこの大所帯だ。馬車に乗るからとポ魔城に引っ込んでいるサバサは論外として、一台の馬車に割り込むにはいささかスペースを取りすぎかもしれない。
「何人かポ魔城に入るか?」
と、言ったものの皆不満そうだ。まぁ、旅行は道中もお楽しみの一つだしな。
「御者台も含めれば乗れるそうじゃし、良いのではないか?席はじゃんけんで決める、とかでよかろう」
出資者のシロムが頷いたので、そうすることにした。流石に出資者を御者台に押し込む気にはなれず、そうなると妹のクロムも馬車の中へ、残りは俺、たまも、エル、イリアスの4人だ。
「というか、別に持ち回りで良くないか?」
「確かにそうね」
俺とエルがそんな話をしていると何故かイリアスが俺の後ろに回って囁いてきた。
「カズマ、カズマ。今私はあなたに小声で神託を下しています」
「なんの遊びだ?」
「うぐっ……いいから聞きなさい!カズマよ。あなたは御者台に乗るのです。そうすれば災難を回避することができるでしょう」
「はっ、そんなこと言って、俺を御者台に押し込もうってか?良いぜ、じゃんけんで負けたら、ずっと御者台にいてやるよ」
「んぐっ……いえ、良いでしょう。寛容な私に感謝するのですよ、ブレッシング」
イリアスの行動に俺は指を指して非難する。
「おい!幸運上昇魔法はずるいだろ!」
「カズマこそ、負けてくださいよ!最初はグー」
「ちっ、じゃんけん、ぽん」
俺が勝った。
「俺、じゃんけんじゃ負けたことないんで」
したり顔でそう言う俺に、イリアスは不満顔になる……と思いきや、何だか怒りとも呆れともつかない顔をしていた。
「神託は下しました。あとは自分で何とかするのです」
そうして、さっさと御者台に上がり込んでしまった。
俺は、何だか不安になりながらも荷台に乗り込む。
「おぉ!カズマカズマ!あれを見てみよ!」
たまもの視線の先にはカゴに入った卵があった。
「あれはドラゴンの卵じゃ!良いのぅ、良いのぅ!あの席はうちが座るのじゃ!」
真っ先に走って行ったたまもに続き、クロムが向かいに、シロムがその隣に陣取り、フレデリカが端に。
反対はたまもとエルに挟まれるように俺が座る形となった。
ワクワクと体を揺するたまもと、それを微笑ましく見るエル。シロムとフレデリカもクロムを気にしているようだ。
「お客さん。そろそろ出発しますよ」
その御者の言葉と共に、馬車は動き出した。
「いやーそれにしても湯治、楽しみだな」
「えぇ、スライムにとっても良いお湯は貴重よ。ぜひ視察したいわね」
エルがしみじみと語る一方で、クロムたちも顔に期待を浮かべて馬車に揺られていた。
「あ、そういえば、クロム、今回の目的の素材って……」
「それは私がせつめいしうわっ!?」
シロムがそう言って顔をこちらに近づけた途端、馬車が揺れてシロムがこちらに吹っ飛んできた!
「ちょ!ふが!」
柔らかいものが顔を覆い、息が苦しい。俺は遮二無二に腕を突き出して、シロムを押し返した。
「はぁ、はぁ、びっくりした」
「す、すまないね。……おや?」
驚愕を表す俺に、反応するシロム、最初はいつもと変わらぬおっとりした応対だったのが、俺の様子を確認したところで声の質が一段、低くなる。
「どうやら、本当に迷惑をかけたようだね。思えば君には妹のことで世話になっているのに、大した礼も出来ていなかったね。どうだろう。私を魅力に感じてくれているみたいだし、ココ、にお礼をしようか」
妖艶にそんなことを言うシロムにドギマギしていると、あちこちから声が上がった。
「おねーちゃんずるいのじゃ!そう言うお礼ならわしもするのじゃ!」
「クロムがするなら私もする」
「ええい!好き勝手言いよって!順番的にうちらが先じゃろうが![
「カズマ……わかってるわよね?」
まさかの展開にもう何も分からない俺だったが、その目が段々とヤバい光を宿し始めているのを察して、俺は大声で助けを求めた。
「助けて!リッチーと幼女たちに逆レ○プされる!」
その直後、御者台から飛び出した人影が、俺を上空へと連れ去った。
「……ふぅ、分かりましたか。あれらは人の姿をしていても魔物です。その本性は、男の精を求める存在なのですよ。……あなたが忠告を無視するから悪いのですよ」
「今回は本当に助かった。女に迫られるのってあんなに怖いんだな」
そう言ってため息をつく俺に、無言のイリアス。下では、たまもとクロムがわいわいとシロムに何か詰め寄っていた。
「……イリアス?」
無言のイリアスに、俺が顔を上げると、イリアスは静かに俺を見つめていた。
「カズマ。一つ言っておきます。私は決して良い神ではありません。少なくとも。あの魔物娘たちにとっては……。ですが、少なくとも今の私は、あなたと、あの子たちの期待を裏切らないつもりです。それだけは分かってください」
そう言ってしばらく上空を飛びながら過ごし、ほとぼりが冷めてから馬車に戻ったのだった。今度は俺が御者台で過ごすことになったり、シロムを見るたまもやクロムの目がややきつくなっていたが、まあ些細なことだろう。
前提として貞操観念がバカ低い世界ってのはあるんですが、
シロム 設定上大量の精が必要な存在お礼と称してエネルギー補給もしようとした。
クロム おねーちゃんがするなら自分がするのが筋では?と言う考えから
フレデリカ クロムの判断に準ずる
たまも クエ世界でも珍しく、イチャラブしたら旦那になる、みたいな愛が深い種族なので。
エルベティエ ロリコン○す
これが一つの馬車の中で起きました。
因みにアルカンレティアにいるのはいろいろあって5年の寿命で子どもを成したアルカンシエルの子孫(登場予定なし)と流浪の三番様です。
私事ですが、正月にSHRIFTのコラボルートを攻略するためにやりこんでました。去年のこの辺りの時期に一回諦めてたんですが、何とかなりました。……結構情報過多でした。