この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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EP56 貴婦人たちの入浴

 アルカンレティア改め、イリアスヴィル。少しの旅の果てに、俺たちはそこにたどり着いた。

 

「ふぅ、ひどい目にあった」

 

 ハシリタカトビを撃退したあの夜、俺たちは更に、アンデッドに遭遇することになった。十中八九女神とリッチーのせいである。シロムの能力があるので、襲われることは無かったのだが、興奮した馬車隊のリーダーからのお金を固辞するのに余計な精神を使った。流石に自分たちが原因の報酬は受け取れない。

 

 ……と、非常に疲れた道中ではあったが、いよいよ温泉が有名な街に入ったのだ!喜び勇んで、俺は皆とチェックインが済んだ後に早速温泉へと向かうのだった。……なお、他の仲間とは別行動だ。クロムは以前の一件で警戒しており、シロムは仕入れの確認をしてから入ると言っていた。たまもは何やら用事、イリアスはここの教会本部に街改名の真意を問い質しにエルはそんなイリアスについて行くらしい。

 

……寂しくない。寂しくないんだ。本当だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~

 混浴温泉なんて、どうせ老人かスケベ野郎のたまり場になっていると相場が決まっている。俺だって、あわよくば美人が一人くらいいれば、くらいの下心だった。だが、予想外に俺より先に入っていたのは、2人の美女と一人の美少女だった。

 

「ふふふ……ここのお湯はとても気持ちいいですね。夜にここでお茶会を開いてみようかしら」

 

「それも良いかもしれませんわね。しかし……再びこうして相まみえられるとは何たる光栄でしょうか」

 

「ねえねえ、お母さん。そろそろお話終わった?」

 

「エミリ、少し落ち着きなさい。常に淑女たれ、そう教えているはずですよ」

 

 金髪と灰色が混じったような不思議な髪色の女性が、緑色の髪と切れ長の目をしたやや年かさの女性と語らっている中を、つまらなさそうに金髪で大きなツインテ―ルを作った少女が聞いている構図だ。話からして、緑髪の女性が金髪の少女の母親なのだろう。

 

 と、そこで俺の姿を金髪の少女が見つけた。

 

「あ♡お母さん。生きのいい男がいるよ」

 

「あら、本当ね、そんなところにいないでいらっしゃい」

 

「ふふふ……招かれざる客、ということかしら?それとも待ちに待ったお茶請け、というところかしら?」

 

 そうして、まるで品定めをするかのような三人の視線に、俺はゾワリと毛を逆立てた。なぜかは全く分からない。だが、俺の生存本能が告げていた。

 

 あの温泉に入ったら、取り返しのつかないことになる気がする。

 

「……おや、どうやら、何か感づかれているようね。うふふふふ」

 

「そんなこと、私達には関係ありませんわね。『来なさい』」

 

 緑髪の女性がそう言うと、俺は心臓を射抜かれたように鼓動が高鳴った。意識が朦朧とし、力が抜ける。

 

「あ……あぁ、お、おっぱ」

 

「あー!お母さまずるい!」

 

 突然近くで響いた声に、俺は思わず顔を上げた。気づけば、いつの間にかあの三人の目の前に来ていた。くらくらする匂いが鼻につく。

 

「この男は、私が見つけたの!だから私のもの!いいよね、お母さま!」

 

「あらあら……うふふ」

 

「……いいでしょう。いい機会です。篭絡の練習に使いなさい」

 

「はーい!じゃあ行こ?」

 

 再び朦朧とした意識の中。俺は体を洗っただけで温泉にちっとも入らずにその場を後にしたのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ほら、身体を拭いて。私の部屋で楽しみましょう」

 

 えみりさまにいわれて、おれはふくをきる。えみりさまにはやくおれをささげなければ。

 

「ふふふ。私の部屋でたっくさん可愛がってあげる」

 

 きがえおわったときに、だれかきた。みたことがあるようなきもするけど、よくわからない。

 

「おや、カズマ。温泉はどうだった……と、おや?君は……もしかしてネ―レイド嬢かい?」

 

「えっ!?えっと、えっ!?もしかして、アルテイストのシロム様!?」

 

 しろむ……?あ、えみりさまのて、やわらかい。

 

「よしてくれ。私はただのシロム……いや、謎の商人、シルク・ドゥ・クロワだ。どこかの迷宮で愚かな女性貴族は死んだんだよ……とはいえ、そうだね、もし君が私をシロムだと思ってくれているなら……君の隣にいるのは私の友人なんだ。分かるね?」

 

「は、はは、はい!」

 

 あ、えみりさま。はなれないで……。

 

「カズマくん。おい、カズマくん!……うん。これはダメそうだね。一先ず一度宿に戻ろうか。君はどうする?」

 

「えっ、それは……うぅ。ついて、いき、ます」

 

 えみりさま。はなれないで……。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「………から、真芸の極みというのは、じゃな」

 

「……も、あなたがその全てを操れるわけじゃないでしょ?」

 

「じゃが、拡張性が高い技術なの確かなのじゃ!知っておるか?かのアイドルサキちゃんも、お抱えの魔芸師に舞台の手伝いをさせているそうじゃぞ」

 

「え!?なにそれ!もしかしてあんたにもできんの!?」

 

 そんな誰かの言い合う声を聞きながら、俺は目を開いた。

 

「お、目が覚めたか」

 

「おお、クロム。おはよう。それと、エミリさっ‼」

 

 俺は最後の記憶を思い出し、警戒態勢をとる。

 

「お前!温泉の!」

 

「あぁ、それについては、謝っとくわ。でも、もうこれ以上何かする気はないから」

 

「いや、そんなこと言ったって……」

 

 俺が詰め寄ろうとすると、飲み物を持ったシロムが部屋に入って来た。

 

「おや、起きたか。……うん。なるほど。カズマ君。エミリ君にも事情があるんだ。責任は私が負う。今は責めないでやってほしい」

 

「……む。まぁ、シロムがそう言うなら。ただ、説明はして欲しいな」

 

「あぁ、勿論だとも」

 

 俺がベッドに座り直すと、部屋にいるシロム、クロム、エミリ、フレデリカの椅子を用意して、皆座り、飲み物を手に持ったのを確認してからシロムが口を開いた。

 

「まず、最初に言っておくと、放っておけば君は彼女に犯しつくされ干物になった後に捕食されていただろう」

 

「ちょ!?」

 

 あまりに絶望的な事実に、俺は思わず突っ込みを入れた。

 

「まあ、その前にイリアスやたまもに止められるとは思うがね。そもそも、彼女の親は魔王軍の幹部だ。そう言った残虐な面も仕方がない所ではあるのさ」

 

 いきなり出て来た魔王軍幹部という言葉に、全員が身体を固くする。

 

「ちょっと、シロムお姉さま!そこばらさないでくれるかしら!?」

 

「どうせいつかばれるだろう?別にうちの妹はそんなことで差別はしないさ。勿論、こちらに被害がないなら、という話だけどね」

 

 割と重い信頼に目を白黒させるクロムと、やっぱり安心できない俺の視線を受けながら、シロムは言葉を続ける。

 

「まあ、彼女の家、ネ―レイド家は弱肉強食が家訓でね。かの黒のアリスの時代に重用された過激派だ。だからこそ、黒のアリスが姿を消した後、今の魔王に鞍替えしたのでしょうね。まぁ、エミリがいればこちらに危害は加えないだろう。イリアス達にも私から話しておくさ」

 

 そう言って、あんまり安心できないことを言って、シロムは部屋を後にしたのだった。

 




というわけで、ハンスさんはあの人になりました。また、もうこの時点でハンスさんの正体はばれています。正直、貧乏店主さんのあの天然っぷりも才能ではあるし。
あ、でも安心してください。この貴婦人はクエ時空の貴婦人なので、パラの迷宮から迷い込んできた魔王タイプではありませんので、非常識な鍛え方をしなくても倒せます。

そして、エミリもいるという事は……?
多分クエやってる人はエミリちゃんの役回りも察せられるはず……。
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