この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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EP6 たまもは打ち明けた。

「あぁ、なんということでしょう。このように穢されてしまうとは。これというのもカズマ、あなたが情けないからですよ」

 

「ふむ、ジャイアントトードの内部というのは中々に良い心地なのじゃな……うちの鼻にはかなりキツイ臭いじゃったから二度目は遠慮したいものじゃがな」

 

 ジャイアントトードについて恨み言を言う二人。今回は2回目ということもあってか、イリアスが気絶せずにいてくれたため、爆裂魔法の反動で動けなくなったたまもをおぶさることができたが、これはこれで何とも面倒くさい。

 

 爆裂魔法の反動だが、魔力を使いすぎたことによる魔力の枯渇と、それを補うために使った生命力の摩耗から起きる現象らしい。場合によっては命にも関わる恐ろしいもののようだ。

 

「これは、爆裂魔法は緊急時以外に使わない方がいいな。これからは他の魔法で頑張ってくれよ。たまも」

 

 そう言うと、暫し無言を保ったたまもがぽつりとつぶやいた。

 

「使えぬぞ」

 

「え?」

 

「じゃから、うちは爆裂魔法しか使えん……いや、正確に言えば戦闘技能としては他にも覚えているものはあるが、魔法としては爆裂魔法しか使えぬ」

 

 その言葉に、俺とイリアスは驚きの顔をタマモに向ける。

 

「え……まじ?」

 

「まじじゃ」

 

「ですが、確かこの世界にはスキルポイントというものがあったはずです。爆裂魔法を使えるほどに研鑽を詰んでいるなら、他の魔法の習得条件は満たしているはずですよね」

 

 スキルポイントとは、職業を収め、レベルアップするごとに得られるポイントで、これを消費するごとに、職業にちなんだ魔法や特技を習得することができるといったものらしい。

 初期のスキルポイントの量や、覚えられるものの一部には個人の才覚や努力の差もあるが、爆裂魔法という最上位呪文を使えるのならば、他の上級魔法も覚えられて当然ということらしい。

 

 イリアスの解説に、たまもは俺にしがみついている腕を強く握りこみ、言葉を絞り出した。

 

「うちは、爆裂魔法を愛しておるのじゃ。爆発魔法系ではなく、爆裂魔法のみを愛しておる。確かに火、水、風、土、基本の属性を覚えれば、冒険も楽になるじゃろう。しかし、うちは爆裂魔法しか愛せぬ。爆裂魔法を習得するためだけにアークウィザードとなったと言っても過言ではないのじゃ!」

 

「素の属性は四大精霊のものではないですか!まさかこんなところにまで幅を利かせているとは……!」

 

 なんだか悔しがっているイリアスを無視して、俺は先ほどの話を吟味した。

 

 つまり、こいつは爆裂魔法しか使えないし、他の魔法を覚える気もない。一日一度しか魔法を打てないヘッポコ魔法使いということだ。

 

「あ、ああ、多分いばらの道だろうけど頑張って、今回の仕事はありがとう、報酬はギルドに言ってから山分けしよう!」

 

 そう言って俺がたまもを下ろそうとすると、彼女はがっしりと俺に抱き付いて顔を覗いてきた。

 

「うちの望みは、爆裂魔法を放つこと。それ故に無報酬でも問題ないと考えておる。多少の食費と宿代、雑費だけで世界最強の魔法火力を得られる。これは長期契約以外手はないのではないかのう?」

 

「いやいや、その世界最強の魔法火力っていうのは、俺たちみたいな下級冒険者の手には余るんだよ!だから、ほら、お前には上級職の冒険者パーティがお似合いだと思うぞ!」

 

 俺の言葉に、たまもっは嫌に余裕ぶった態度で答える。

 

「くぅくぅ、うちはまだレベル9。駆け出しも駆け出しじゃ。暫しレベルをあげれば、魔法一発で戦闘不能になることもなかろう。これは早めにつばを付けておくべきじゃ」

 

「そう言いながら!ほんとは誰にもパーティ入れてもらえてないんだろ!そもそも、爆裂魔法なんてダンジョンなんかじゃ完全に役立たずじゃないか!いいから離せ!今回の報酬は払ってやるから!」

 

「そう連れないことを言うでない!……正直、貯えもなくて結構ギリギリなのじゃ。だから、見捨てないでくりゃれ?のう。うち、こう見えて結構な力持ちじゃし、荷物持ちとか何でもするからな?ほら、だから捨てないでくりゃれ!」

 

 そうして抱き付き続けるたまもだったが、街中に入っていたためか、やじ馬がぽつぽつとこちらに近づいて来ていた……。いや、それよりも……。

 

「ちょ!?タマ……モ、く、クビ……」

 

「なっ!?まだうちをクビにするつもりか!?お願いじゃ、本当に何でもするぞ!おぬしが望むなら、そ、その、ご奉仕もしてやろう!カエルのぬるぬる粘液攻めでも何でもするがよい!」

 

「わ、わかっ、だから、く、クビ、を……」

 

 俺はそのままたまもに締め落とされ、意識を飛ばしたのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「はい、確かに、ジャイアントトード5匹の討伐を確認しました。ご苦労様でした」

 

 冒険者ギルドへの報告を終え、報酬を受け取った。ちなみにあの後、何とかイリアスの回復魔法で復活した俺だったが、説教しようにも一目があったため、さっさと粘液を落とすために公衆浴場へと放り込んでからこちらに来ている。

 

 さて、本題の依頼達成の報告のことだが、討伐の確認は冒険者カードで確認するらしく、懸念材料であった消滅した2匹のジャイアントトードの分も問題なくカウントされており、何とか依頼達成の報告ができた。

 

 俺は先ほど受付に提出したカードに目を落とす。そこにはレベル3に上がった俺のレベルが書いてあった。

 

「本当に魔物を倒すだけで強くなるんだよな」

 

 レベルの下をよく見れば、そこにはスキルポイントとして3ポイントと記入されていた。

 

「これで、俺もスキルを覚えることができるんだよな」

 

 そんな風に考えていると、受付嬢さんが俺に話かけて来た。

 

「では、ジャイアントトードの討伐報酬と、素材の引き取り報酬が二匹分、合わせて11万エリスとなります」

 

 11万エリス。2日の報酬としては確かに悪くない。ただ、それを3等分してしかも命をとして得た報酬と考えると……。

 

「割に合わねー」

 

 俺は冒険者二日目にして、冒険者生活の無常を感じ、早くも日本に帰りたくなってきていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

「はぁ……」

 

 俺が近くの椅子に座り、現状に軽く絶望していると、背後から軽く肩を叩かれた。

 

「……すまない、少し良いだろうか?」

 

 その声に振り向くと、そこにいたのは……なんというか、その、全体的に水色の女性だった。背は俺よりもやや高く、その細く切れ上がった目線はなんだかぞくぞくする色気を発していた。

 

「え、ええと、あなたは?」

 

「私の名前はエルベ……エル。募集の張り紙を見させてもらった。まだ募集はしているのだろうか?」

 

 そう言ってエルが見せて来たのは、人員募集の紙だった。そう言えば、たまもをパーティに入れてから依頼の紙をはがしていなかった。

 

「ああ、まだ募集はしてますよ。とはいってもあんまりお勧めはできませんけど」

 

「どうか、私をパーティに入れてほしい」

 

 やんわりと断ろうとしていた俺の手を握り、エルはかみしめるようにそう宣言した。

 

「え、あの、いや……何でそんなに俺のパーティに入りたいんですか?さっきだって俺のパーティメンバーが粘液まみれでっていだだだだ!?」

 

 粘液まみれ、と言った瞬間に、エルの手が強く握られ、俺の手を握りつぶさんばかりとなった。

 

「やはり、先ほどの粘液まみれの二人はあなたの……ならば、尚更」

 

 さらに目を細める女性に、俺の危機管理センサーがビンビン反応している。これはかなりまずい。おそらくタマモのように何か厄介な特性を隠しているに違いない。

 

「あんな年端もいかない少女が汚されるなんて、見ていられない。私が彼女たちの盾となる。私は上級職のクルセイダー。だから、私にもパーティに入る資格はあるはず」

 

「あ、あの、ほんとにお勧めしませんよ?うちのメンバーって、よくわからない特殊な職業の持ち主と、やたら力は強いけど魔法を一発しか打てない魔法使い、それに俺は最弱職の冒険者のポンコツパーティ!だから、上級職を受け入れるのもおこがましいっていうか」

 

「なら好都合。私は細かいことが苦手で、武器の扱いが不得手。だから攻撃が当たらない。防御力と耐久力は高いから、囮や壁代わりに使ってほしい」

 

 やっぱりどでかい爆弾を抱えていたらしい。しかし、それが分かったからにはこの女を仲間に入れるわけにはいかない!

 エルはもはや俺にのしかかる様に顔を寄せており、軟体のように、というか実際に軟体であるであろう身体を伸ばし、俺が立っているにもかかわらず押し倒さんばかりに上から俺の顔すれすれまで顔を近づけている。

 その端正な顔もさることながら、何だったら捕食されそうな恐怖まで感じながらも、俺は反駁する言葉を探す。

 

「いや、女性が盾替わりなんて、俺たちのパーティ、ほんとに弱いので、かなりあなたに攻撃が回ってきますよ!それが毎日続くかも!」

 

「小さな子どもたちがそれで救われるなら、本望だ」

 

「いやだから、ね」

 

「それとも、貴方は弱い子達がひどい目にあってもいいの?」

 

 ああ、なんとなく分かった。淡々とした口調から誤魔化されかけていたが、こいつの目を見て分かった。こいつの目は俺を見ていない。

 こいつは多分……あれだ、ガチ○ズロ○コンだ。イリアスとたまも、どちらが彼女の琴線に触れたかはわからないが、どうやら彼女は性能だけでなく中身までダメな系だったらしい。

 




というわけで、たまもが正式に仲間入り&エルべぇの顔見せ回です。
ダクネス枠本当はいくつか案があったんですが、結局エルべぇとなりました。
案1 ステファニー(箱入り娘)
案2 サラ(もんクエ、パラ世界でのサバサの姫)
案3 エルべぇ
案4 たまも

 ステファニーは箱入り娘で貴族感あるのと、世間知らずっぽさがある、サラちゃんは立ち位置がダクネスと似てる、エルべぇとたまもは耐久性。

 だったんだけれど、ステファニーは正直この中だと格が一段落ちるうえにパラ世界からの参戦。サラは登場時が人間っていう問題と、耐久性的には他キャラと比べて落ちるっていう問題。たまもはすでにめぐみん枠内定でエルべぇに決まりました。

 なお、エルベディエの○ズロ○コン設定に関しては。クエ世界での「弱い存在である幼いスライム族が生きていけるためなら何でもする」的な行動原理を拡大解釈して歪曲したものです。クエ世界のエルベディエ様にはそう言う設定はないのでご安心……ああ、別のやばい設定あったわ。

変更点
・魔法使いをパーティに正式加入させる理由が物理的(たまもの怪力設定の為)
・魔法使いのレベルを3上昇(前回のカエル2匹討伐の理由付け&9尾の狐に合わせて)
・剣士の加入希望理由の変更(エルベディエがドMは考えにくいため)
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