この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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お久しぶりです。生活環境が変わって、しばらく小説執筆ができずにおりました。ゆっくり投稿を再開していきます。(まだ見に来る人はいるのかと疑問に思いつつ)


EP58 さあ、イリアス様に祈りをささげるのです

 老人と話した後、街を歩いていると、誰かの悲鳴が聞こえてきた。

 

「いやーやめてー」

 

「助けを求めている人がいる!助けなければ!」

 

「ちょっと待てエル、なんかおかしいぞ」

 

 飛び出そうとしたエルをとどめて、俺は様子を見る。

 

「おい、そこのお前ら、俺は邪悪なアリス教徒だ!この女を助けたいなら、敬虔なイリアス教徒でも呼んでくるんだな!」

 

「…………は?」

 

 その言葉に、エルが目を血走らせる。

 

「アリス教を侮辱するとは、恥を知れ、殺してやろうか」

 

 その言葉に、何故か襲っていた側、襲われていた側のはずの二人が目をしばたかせて手を結ぶ。

 そして、何かを察したのだろう。一目散に逃げだした。

 

「気分が悪いわね」

 

「分からなくはないが、手は出すなよ」

 

「分かっているわよ」

 

 そんな感じで二人を追い払った後、食事処に腰を落ち着けた。

 

「……ここは、大丈夫だよな?」

 

「さすがに、店を構えている人が過激派なんてことは考えたくないけれど」

 

 俺たちの心配とは裏腹に、注文した料理がやってきた。普通で安心した。

 

 

「それでは、料理でございます。あぁ、それと、これはアリス教徒へのサービスです」

 

 そういって、地面に犬のえさのようなものを置いてきた。……アウトだよ!

 

「あら、気が利くのね?」

 

「ええ、私たちは慈愛をつかさどるイリアス様の敬虔な信徒なので」

 

 俺はバチバチと威嚇しあう目線を幻視する。

 

 ……ん?

 

 何かエルの体からどんどん細長い糸が引き出てきた。あれは……トロ8世?

 

「この子がいることよく分かったわね」

 

「わ、私は敬虔なイリアス教徒ですので」

 

 ……あ、あぁ~。何も言わないでおこう。

 

 そうして平和に食事を始めようとして……爆音が響き渡った。

 

「!?」

 

「どこから聞こえてきたの!?」

 

「学校だ!学校が襲撃された!?」

 

 その瞬間、エルが立ち上がった。

 

「カズマ後はお願い」

 

「馬鹿言うな!俺も……いや、俺はイリアスを探してくる!」

 

 一も二もなく俺たちは飛び出したのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

「おい!イリアス!イリアス!」

 

 走り回ってイリアスを探したが、その姿はない。というか、イリアスはあれで人命を尊ぶ性格だ。もしも轟音を聞きつければ、すぐさまそちらへと向かうはず……なら。

 

「教会か!」

 

 俺は爆発地点から遠い教会へと走り出したのだった。

 

「えぇ、心が惑うことがあれば、こう唱えなさい、アリスの搾精は99%死ぬ、と」

 

「って、何吹き込んでるんだお前!」

 

 俺が教会の扉を押し開き、探し回っていると、ちらりと聞こえた聞きなれた声を聴いてみればこれである。

 ……これはいわゆる告解室という奴だろうか。それにしてははっきり声が聞こえたが。

 

「カズマ。ここは神の使徒である修道士と、悩める子羊のための場所。勝手に聞くとはどれほど罪深いか考えなさい」

 

 俺をねめつけるイリアスだが、こちらもそれどころではない。

 

「って、そんなこと言ってる場合じゃないんだ!学校が爆破されたって!」

 

「!すぐに案内しなさい!」

 

 告解室の反対側にいた誰かも慌ただしくその場を後にしたようだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 町に戻ると、巨大なスライムが体を広げ、ゾンビの少女が下半身が魚になった少女たちを抱え上げ、うにょうにょと広がる触手ががれきを撤去していた。

 

「……まさかとは思うが、これ、爆裂魔法じゃないよな?」

 

「たわけ、さすがのうちもそんなあほなことせんわ」

 

 ひょこっと出てきたたまもに俺はびくりと体を震わせた。

 

「あぁ、いや、すまん一応、一応な」

 

 若干納得していない顔で俺を見るたまもに、俺は目をそらしてそう答えた。

 

「まぁよい。なんでもこの爆発はクロイツ思想とかいう輩の犯行のようじゃ。簡単に言えば過激派じゃな。イリアスヴィルはイリアス教の聖地じゃが、そこそこの魔物娘も暮らして居る。その魔物の子供たちがおる学校が狙われたようじゃ。幸い、近くにエルがおって助かった。一段階目の崩壊は防げんかったが、早急な消火と建物と半ば一体化することでそれ以上の崩落を防いだおかげで、二次被害なく全員救出終了じゃ」

 

 どうやら一通り終わった後だったらしい。とはいえ、まだこれで終わりではない。何しろ、ここにはけが人が大量にいるのだから。イリアスを見ると早速治療にあたっているようだ。その後いろいろと治療を行い、ひと段落ついたところで、俺は一人の男を見つけた。ザンバラ髪で顔を長い布で隠したいかにもな風体な男だ。俺は潜伏を使い、男に近づいていく。

 

「ふん、結果、死傷者はなしか……上手くいかねぇな」

 

 ……こいつ、犯人じゃね?

 

「おっと」

 

 気が付くと、俺は背後から肩をたたかれていた。

 

「!?」

 

「いや~こんなところにいたのか、びっくりだぜ。な、相棒、分かるよな?」

 

 相棒という割に、俺はその顔を知らないし、相手の手は非常に強く俺をつかんでいる。

 

「俺とお前は相棒だ、そういうことだ、な?」

 

 つまり、そういうことだ。ザンバラ髪の男と、背後の男、あとどれくらいがいるのかは知らないが、これはまずい。

 

「カズマ、何を遊んで……っ!」

 

 イリアスも気づいたらしい。そして、イリアスの反応を見てたまもも。

 

「おやおや、これが潮時かな」

 

 そういって薄ら笑いする男の横から、高らかに声が響いた。

 

「テレポート!」

 

 

 その直後、俺の横から人影が消える。

 

「すまない、一人逃がさざるを得なかった」

 

「いや、こっちこそ助かった」

 

 シロムにそう言いながら、俺は改めてザンバラ髪の男を見つめる。そして、その人物を見てイリアスが口を開いた。

 

「あなたは……まさか」

 

 しかし、その直後、男が地面に何かを叩きつけ、その後の爆風と煙に紛れて、その姿を見失ってしまったのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「出てこい!この異教徒が!」

 

「美しいイリアスヴィルの景観を汚しやがって!」

 

「ふざけんな!」

 

 爆発事件の救護をしたその晩。俺たちは町の人々に宿屋を包囲されていた。

 

「……こりゃ、弁明も無理じゃな」

 

 ことの発端は、俺が捕まったことが原因だった。俺が捕まったこと、そしてその後シロムがテレポートを使っていることを見られ、テロリストのメンバーと勘違いされたのだ。爆裂魔法を使えるたまもがいることや、救助を積極的に行ったエルの行動も、一番目立っていた分、むしろ破壊を促進したんじゃないか、あるいは証拠隠滅を図ったんじゃないかという憶測を呼び、非難されることになってしまった。

 

「待ちなさい!愛しいイリアス教の信徒たちよ!ここで憤ってはいけません。イリアス様もそのようなことは望んでいm」

 

「すっこんでろ似非プリースト!」

 

「な、なな」

 

 と、イリアスでさえこのざまである。帰ってきたイリアスを俺は心配して慰める。

 

「ま、まぁ、仕方ねえって、この町の人たちも気が立ってるだけで……」

 

「カズマ、それにイリアス。少し話を聞いてくれないかしら」

 

 そんな俺の声をエルが遮った。そして、俺たちに気づいたことを話し始める。

 

「……毒?」

 

「えぇ。おそらくイリアスクロイツとかいう奴らのせいでしょうけれど、消火の際に浴びた水や、この宿でもらった水から微量だけれど不浄なものを感じたわ。おそらく、理性を蕩かすような神経へ作用する毒だと思うのだけれど……」

 

 それを聞いて俺たちは考え込む。

 

「なら、町の人たちが暴動を起こしているのもそれが原因である可能性もあるかもしれぬのう。解決すれば、あわよくば、という奴じゃ」

 

「それに、毒の浄化を証明すれば誤解も解きやすいはず」

 

 エルとたまもの言葉に、イリアスはきっと頭を上げ、決意のこもった眼で俺たちを見据えた。

 

「ならば、解決しに行きますよ!」

 

「…………」

 

 全員が解決のために動き出したとき、沈黙を貫いていたエミリが、静かに姿を消していた。が、それに気が付いたのは、全員が準備を終え、いざ出発しようとした時だった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ったく、上手いこと行かないもんだな」

 

 イリアスクロイツ副団長、ラザロは爆破テロを起こしてから、テレポートで教会本部まで逃げおおせていた。ラザロはコツコツと教会の中を我が物顔で練り歩く。

 

「ラザロ殿、またそんな恰好で……」

 

 すれ違いざまに苦言を呈する相手に目線を向けると、そこには年嵩の大司教の姿があった。

 

「へいへい、お偉い神官様はのご高説はたくさんだ。今から部屋に戻んだから、それくらい見逃してくださいよ」

 

 適当に答えるラザロの声に、大司教は眉根を寄せて苦言を呈す。

 

「全く。貴様もすでに高位神官の任を拝しているのだぞ。もう少し自覚というものをだな……。それよりも、貴様にも伝えておく。聖戦が近いかもしれぬ。すぐに動けるよう、力をためておいてくれ」

 

 言外に、荒事の時くらいは役に立て、と伝え、老人は立ち去っていく。

 

「聖戦ねぇ……」

 

 くだらない、とラザロは思う。確かに彼自身は魔物に対して恨みを持っているし、できることならより多くをぶっ殺してやりたいと思う。だが、彼自身はそれを正義だともイリアスの教えに準ずるとも思ってはいなかった。俺を拾ってくれた女天使の手足となり、また、仲間を惨殺された俺自身の恨みを魔物娘たちにぶつける、ただそれだけがラザロの目的だった。

 

「……ラザロ。帰りましたか」

 

 ふと、そんな男の目の前に人影が姿を現した。まさに均整の取れた肉体。恨みと憎しみに凝り固まったラザロをして、一瞬情欲と、その耽美さと神聖さにより、情欲を感じたことを恥じ入る感情に支配されるほどの美貌をまるで隠すことこそが罪であるといわんばかりに惜しげもなくさらけ出した女性。

 すなわち、この世界において唯一存在を確認された天使の最高位にして、ラザロを拾った女天使、熾天使エデンでその人であった。

 

「ふむ、どうやら作戦は失敗したよ、う……」

 

 目をすがめたエデンが訳知り顔でそう言い放とうとして、その目を驚愕に見開かせた。

 

「ラザロ、あなた、イリアス様にあったのですか?」

 

「は?」

 

 ラザロは困惑した。いや、この天使が俺以上にいかれているのは今に始まったことではないが、それにしたって唐突すぎる。しかも、流石に神に出会ったならラザロだって覚えているはずだ。

 

「何のことだ?おい」

 

「隠し立てするとためになりませんよ。早く吐いてしまいなさい!」

 

「いやいや、本当に全く心当たりが……あ、いや。確か作戦現場に天使が来てたな。まさか、そいつがイリアスだった?いやまさかな」

 

 そう言って笑い飛ばすラザロの体が一瞬ぶれ、次の瞬間頬の痛みと共にラザロは地面を横たわる。

 

「イリアス様、ですよ愚か者。……とはいえ、イリアス様を見つけた功績がありますから、これで勘弁してあげましょう。さて、それでは早くイリアス様のもとにはせ参じなければ!」

 

 そう言ってエデンが飛び立ち、そこにはラザロ一人が取り残されたのだった。




一応転生者関係以外はすり替えの縛りないですが、モンクエのにんおすキャラに関してはそのものというよりはそっくりさんの体でお願いします。
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