この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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IF もしもアクアがモンクエ参戦(3)

「イリアス大陸での用事も大体終わったね。さて、次はセントラ大陸に行こう!」

 

 イリアスベルクでグランべリアに出会った後のこと、ハピネス村やちびっこ盗賊団との戦いを経て、イリアス大陸の凡その地域をめぐり切り、次の大陸であるセントラ大陸へと向かうため、イリアスポートに足を運んだのだった。

 

「……なんだか、活気がないね」

 

「うむ……これは」

 

 アリスが何かに気が付いたようだったが、すぐに口を閉ざし、すぐにそっぽを向いてしまった。そして、そんな様子に、アクアが変な顔をしてあたりを見渡した。

 

 

「うーん。なんかめんどくさい呪いがかかってるわね。よーし行くわよ『セイクリッドブレイクスペル☆』それと、『クルージングラック』!」

 

 巨大な魔方陣が広がり、先ほどまでの辛気臭い空気がいくらか消散した気がした。

 

 

「……む?……え?」

 

 アリスが言葉を失ってあたりをきょろきょろと見つめる。

 

「いやいやいや、魔王軍四天王が準備をしっかりした上で張った対地域呪文だぞ?そんな適当な詠唱の呪文二つで解呪されるなど……、いや、だが、解呪、されているしな……むぅ」

 

 そうして訳が分からないうちに何か解決したらしい。まぁ、何はともあれ次の大陸に行くためには船を出してもらわなくては始まらない。船を出してくれる人がいないか、村の中を回ることになった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「だーかーら、私の魔法で嵐は来なくなったんだって!」

 

「何言ってんだお前。嵐が魔法でどうにかなるわけねえだろうが。どうにしろ、船は出せねえよ」

 

 村人はそう言って、すげなく俺たちはあしらわれてしまった。

 

「……ふむ、仕方ある「えぇ!船に乗れないのですか!?」」

 

 アリスが何か言おうとすると、そんな大声が後ろから聞こえてきた。振り返るとそこにいたのは、僕と同年代くらいの茶色の大きな魔法使い帽子、赤い服の少女だった。

 

「困るのです!私はヘルゴンド大陸に向かっているのですよ!こんなところで足止めされるわけにはいかないのです!」

 

「いや、そう言われてもなぁ……」

 

 船乗りがそう言うと、女の子ははっとして声を上げた。

 

「そう言えば、この近くの洞窟に海神の鈴という魔道具があると聞きました!それがあれば、船は絶対に沈まないとも!そこの人!あなた達もセントラ大陸に行くんですよね!どうですか?私と一緒に、海神の鈴を取りに行きませんか?」

 

「何でよ~そんなことしなくても」

 

「まて、アクア。……そこのお前。どうだ?海神の鈴があれば、船は出せるのではないか?」

 

 アクアの言葉を遮り、船乗りにそう聞いたアリスの言葉に、船乗りは悩まし気にうなずいた。

 

「う、ん。そうだなぁ。確かにそんな神器がありゃ、船が出せるかもしれねえが……」

 

 そう言っていると、アリスはイライラしたように船乗りを睨みつけた。

 

「はっきりしろ。船を出すのか、出さんのか!」

 

「ひっ!?わ、分かった!それが本物だってんなら、船くらいいくらでも出してやらあ。というか、船が出せなくて俺たちも困ってんだ。そんな便利なもんがあるなら、見てみてぇもんだしな」

 

 そう言うことで、僕たちは海鳴りの洞窟という洞窟に海神の鈴を取りに向かうことになったのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ここが海神の洞窟です」

 

 デデン!と効果音が出そうな様子の少女の様子に、アリスが呆れたように言う。

 

「何が、ここが!なのだ。ここに来るまでずっと戦闘に参加せず逃げ回りよって」

 

「な、なにおう!いつの間にかいなくなっているあなたよりましでしょう!今日は船に乗らなきゃいけないので、今倒れるわけにはいかないんですよ!」

 

 そう言いあっていたアリスと少女はしかし少女が諦めたようにため息をついてこちらに向き直った。

 

「まあいいです。海神の鈴はこの先ですから、さっさと取ってきましょう」

 

「む、この洞窟、あぶらあげの匂いをするな。余はここで待っていよう」

 

 そんなアリスの声に、さらに少女がぎゃあぎゃあ叫んだりしたが、とりあえず海神の洞窟へと入ることになったのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「と、いうわけで、私は里を飛び出して、魔王討伐の旅に出たのです!」

 

「すごいと思うよ。一緒にがんばろう!」

 

 僕たちは洞窟を探索するついでにお互いのこれまでを話ていく。めぐみんと名乗った少女は、どうやら、魔王を討伐しようと住んでいた場所を飛び出し、そしてここまでやってきたのだとか。

 

「……まあ、住んでいた場所が住んでいた場所でしたからね……おおらかというか、無秩序というか。えぇ、育ての親のコレクションが……いえ。なんでもないです」

 

そう言って口をつぐんだ少女は、今度は申し訳なさそうに俺たちを見つめた。

 

「その、ですね。勢いでここまで来てしまいましたが、実は私、大規模な破壊を伴う魔法しか使えなくてですね……洞窟だと、ほぼ役立たず、というか……。あ、なんだったら荷物持ちますよ。力には少し自信があるので」

 

 そう言うめぐみんに、僕は笑って手を振り、めぐみんを安心させる。

 

「大丈夫だよ。女の子に荷物を持たせるもの勇者として違うと思うし。それよりも、魔物もたくさん出るから、気を付けて進もう」

 

 そう言って笑いかけると、めぐみんは照れたようにはにかんだ。そして、分かれ道の前においてある宝箱に気が付いた。

 

「あ、ルカ。この宝箱、ミミックですよ。全く、いくらミミックだからってこんなにわかりやすいところに置いとく必要ないですよね」

 

「えっ!?これ、ミミックなの?」

 

 僕は、思わず目の前の宝箱に目を向ける。

 

「ミミックって、確かゾンビ系よね?ちょっと試してみるわね『セイクリッド・ターンアンデッド!』」

 

「きゃああああああああああああっ!?」

 

 箱からとんでもない悲鳴が聞こえ、シュウシュウという音と共に、半透明になった少女が飛び出てきた。

 

「うわ、本当に出てきたわ『ターンアン……」

 

「ちょ、ちょっと待って?もうこの子は戦えないだろうし、もういいんじゃないかな?」

 

 そう言いながら、僕はエンジェルハイロゥでミミックを切りつけ、小さな宝箱に変化させる。

 

「ちょっとルカ、せっかくなんだから倒しちゃいましょうよ」

 

「駄目だよアクア。魔物娘だって生きてるんだから」

 

 そうやってにぎやかに話していると、いきなり背後から突撃してくる影があった。

 

「えいっ!?」

 

「ルカさん!?」

 

「ルカ!?」

 

 二人が驚く中、銀髪の狐の少女が馬乗りになり、僕の首に刃物を添える。

 

「ここから先は通行止めなんだ!もし帰らないっていうなら、このままこの男にひどいことをしちゃうぞ!」

 

 そう言う狐耳の少女にアクアとめぐみんがファイティングポーズをとる。

 

「聞いてるのか!この奥には大事なものが置いてるんだ!だから、絶対にここから先には通さないんだよ!」

 

 動けないでいる僕と、ファイティングポーズをとる二人、それを見ていると、狐耳の少女がもぞもぞと体をまさぐり始める。

 

「武器を捨てろ!捨てないと、この男の貞操がなくなると思え!」

 

「え、ちょ、ま、まって、は、話し合おう!」

 

 僕がそう言っても、狐の少女は体をまさぐる手を止めない。ついには興が乗ってきたのか、体を密着させながら、両手で上半身と下半身をそれぞれまさぐり始める。

 

「や、やめ、アヒーッ!?」

 

 二人に見られている中で体をまさぐられることに、恥ずかしさと危機感を覚えたが、その快感が心を溶かす前に、キツネ娘が体の上から消滅する。

 

「ルカを弄ぶのに夢中になって、周囲の警戒が薄くなりましたね!この、このっ!」

 

「やめて!いたい!いたい!」

 

 馬乗りになってめぐみんがキツネ娘をボコスカと殴りつける。そして、一瞬のスキを突いたキツネ娘がめぐ民を振りほどき、勢いよく洞窟の中に走り抜けていく。

 

「ばーかばーか!お前たちなんか、七尾様にやられちゃえばいいんだ!」

 

 そう、捨て台詞を残して走り去ると、直後すごい音がして、きつね娘の困惑の声が響いた。

 

「えっ!?なにこれ、糸?ひっ……食べないで!」

 

 少女の困惑の声を聴いて、僕たちはいっせいにキツネ娘の走り出した方に駆け出した。キツネ娘が走り去った角に駆け込むと、そこには巨大な蜘蛛の巣にからめとられたキツネ娘と、それを嬉しそうに見つめる蜘蛛娘の姿があった。

 

「あ、た、助け……」

 

「あらぁ?お友達かしら?……なんて、知ってるわよ。あなた達、このキツネ娘に襲われてた子でしょ?」

 

 そう言ってにやりと笑う蜘蛛娘は言い含めるように僕たちに話しかけてくる。

 

「あなたたちを襲った狐を、私が捕まえて食べてあげる。もちろん罠にかかったのは偶然だし、私が罠をそこに罠を張っていたのも偶然だけど……でも構わないわよね?だって、貴方たちとこの子は、敵同士だもの」

 

 そんな言葉をつぶやきながら蜘蛛女が長い舌をキツネ娘の頬に這わせると、キツネ娘は哀れなほどにうろたえ、再びこちらに救いを求める視線を送ってくる。

 僕が振り返ると、アクアとめぐみんも覚悟の決まった眼で僕を見返してくる。……気持ちはやっぱり同じだったみたいだ。

 

「君はさっき、僕たちとこの子が敵対していて、この子が逃げたところを捕まえたって言ったよね」

 

「……?えぇ、そうね」

 

「なら、この子の進退を決める権利は、敵対していた僕たちにもあるはずだ!その子を放してもらう!」

 

 僕がそう言うと、蜘蛛女の目がスッと細くなる。

 

「へぇ……私を邪魔しようってわけ?……あなたが勝者であることが問題なら、貴方たちも倒して、私が唯一の勝者になれば問題ないわね?」

 

 そう言って、俺たちに蜘蛛娘が襲い掛かろうとした次の瞬間、目の前に巨大な魔方陣が広がった。

 

「動かないでください!」

 

 めぐみんが蜘蛛女にそう言い、そのまま言葉をつづける。

 

「これは、爆裂魔法という魔法です!一度発動すれば、この洞窟くらい簡単に消し飛びますよ!」

 

「……っ、馬鹿なの?そんな威力の魔法を放ったら、助けようとしてるこの子どころか、あなた達だって消し飛ぶわよ!」

 

「そうよそうよ!やめときなさいめぐみん!絶対ろくなことにならないわよそれ!」

 

 蜘蛛娘とアクアがそう言うと、めぐみんは意思のこもった眼で蜘蛛娘を見つめ、宣言した。

 

「わたしは!悪を見逃すくらいなら、誇りある死を選びます!」

 

「それに私たちを巻き込まないでくれるかしら!?」

 

 アクアの尤もな指摘に、思わず蜘蛛も大きくうなずき……そして、直後、その体が光の欠片のようになって消滅した。残されたのはキツネ娘と、蜘蛛娘の後ろに忍び寄っていた僕、それに封印されて小さな蜘蛛になった蜘蛛娘だけだった。

 

「めぐみん、気を引いてくれて助かったよ」

 

「えぇ、こちらこそ一瞬で意図を察してくれて助かりました。さすが、歴戦の冒険者は違いますね」

 

「いや、僕は冒険者じゃなくて勇者……まあ、洗礼は受けてないんだけど……」

 

 めぐみんはあっさりと魔方陣を破棄して、僕にそう声をかけてくれた。そして、その間にどうやらアクアさんがキツネ娘に回復魔法をかけてくれていたようだ。

 

「あんたたち、なんで私を助けたのさ?」

 

 それを聞いて、僕は安心させるように笑顔を向けた。

 

「だって、君が助けを求めていたからね」

 

「えっ……」

 

 キツネ娘は驚いた顔で俺たちを見つめ。そして俺の袖を引いた。

 

「ここは危険な罠もあるから、こっちに来て」

 

 そう言って、キツネ娘は洞窟の中を先導し、それについて行った僕たちはあっという間に一番奥にたどり着いてしまった。

 一番奥には、巨大な狐の体に美しい女性の上半身が生えた七本の尾を持つ狐の女性が待ち構えていた。

 

「おや……おかき、わたしたちはこの洞窟に入るものを邪魔するのが仕事だと伝えたはずですが」

 

 おかきと呼ばれたキツネ娘は、その女性に慌てて言葉をかける。

 

「七尾様。その、この人たちは良い人間なんだ!私を蜘蛛娘から助けてくれたし、その理由を聞いたら、助けを求めてたから、って言ってくれたんだ。この人たちは、玉藻様の言ってた、悪い人間なんかじゃないと、私は思うんだ」

 

「……ふむ、なるほど。心根の正しい人間だということは分かりました。ですが、それはそれ。私の役目はこの場所を守り、海神の鈴を守ること。それを奪おうというのなら、相手をするしかありませんね」

 

 そう言うと、七尾と呼ばれた女性はその巨大な体躯を広げ、僕たちを威嚇する。

 

「ちょ、ちょっと待って、こうして話せたんだ。話し合いで何とかならないかな?」

 

 僕がそう言うと、七尾は目を細めてこちらを見た。

 

「ふむ。先ほども言いましたが、私は海神の鈴を守るためにここにいます。まぁ、おかきが世話になったようですからね。こちらに挑みかかってこないというなら、、今回は見逃しま……っ!」

 

 言葉を途中で切り、七尾はばっと、アクアの方に急接近した。

 

「な、これは……おかきですか……なんと見事な」

 

 僕もそちらを見ると、なんとそこそこ大きなキツネ娘の砂絵がでいていた。

 

「えっ!アクアすごいね!」

 

「えぇ、これは素晴らしい……あの、もしも、なんですけど、この場所にいない者の絵を描くことはできませんか?」

 

 そう言って、七尾がごにょごにょとアクアに耳打ちすると、アクアはそれを受けて、サッサッと砂を撒いて、あっという間に金髪の狐耳少女の姿を描き出した。

 

「七尾様、これって、玉藻様だよね?」

 

「えぇ、素晴らしい。……アクアとやら、貴方に褒美を与えましょう。ほしいものはありませんか?」

 

 七尾の言葉に、僕とめぐみんが海神の鈴を貰えるか問いかけるように言う前に、アクアが口を開いた。

 

「え?何言ってるのよ。芸事っていうのは、自分の心の赴くままに行うものよ。対価を求めて行うことじゃないの……まあ、そうね。どうしてもっていうなら、お酒でも持ってきて一緒に飲みましょう」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「……なにやっとんのじゃ己らは」

 

 アクアが提案した酒宴に僕やめぐみんは非難の目線を向けたのだが、七尾の「さすがに海神の鈴を欲しいといえば、私も戦わざるを得ませんでしたからね。心情的には戦いたくなくなっていましたから、助かりました」との言に口を閉じざるを得なかった。

 そして、現在、気持ちよくなって芸を披露しまくった後ぐっすり眠りこけたアクアと、それにつられてどんどんと杯を重ねて酔いつぶれた七尾と、七尾が酔いつぶれた後、興味本位で酒杯を舐めて一口で目を回したおかきを寝かせて、後片付けをする僕とめぐみんの前に、一人の少女。……先ほどアクアが描いた玉藻と呼ばれる少女が姿を現したのだった。

 玉藻は、魔法で水を生成して七尾の顔にぶっかける。

 

「ぶはっ、て、敵襲!?」

 

「な~にが敵襲じゃ!おぬし、うちが指示した護衛の任の最中に飲酒した挙句侵入者の前で爆睡するとか、何を考えておるんじゃ!本当にびっくりしたのじゃ!」

 

 玉藻の言葉に七尾が震え上がる。

 

「あ!そ、そのアクアの芸があまりに見事で、気が付いたら……本当に申し訳ございません」

 

「……はぁ、もうよい。おぬしは下がっておれ。……さて、それではこの馬鹿に変わってうちが対応してやろう。お主らの望みはこれかの?」

 

 そう言って玉藻が小さな何かを投げ渡してくる。慌てて受け止めると、それは古めかしい鈴であることが分かった。

 

「海神の鈴じゃ」

 

「えっ、いいんですか?」

 

 僕がそう言うと、たまもはくぅくぅ笑って手を振った。

 

「うむ。誰かさんのせいで、海難の呪いも解けてしまったしのう。それにはすでに、本当にお守り程度の意味合いしか残っておらん。こんなところで後生大事に守っておってものう……それに、今回の件でうちは七尾を徹底的に再教育せねばならんくなったのでな。こんなところで鈴を守らせておくわけにもいかんくなったのよ」

 

 その言葉に、背後の七尾が震え上がる。まあ、自業自得だろう。そうこうしているうちに、おかきを抱き起し、七尾を引き連れて、たまもは後ろを振り返った。

 

「ルカ……あれは」

 

「分かってる。相当強い妖魔だ。だけど、話は分かる相手みたいだし、戦う理由はないよ」

 

「……今は従います」

 

 そう呟くと、どうやら玉藻にもそれは聞こえていたらしい、つまらなさそうな顔でこちらを振り向いた。

 

「なんじゃ、無防備に背中を見せれば襲い掛かって来るやもと考えておったが、そこまで馬鹿ではなかったか。さて、今度こそ本当にお暇するとしよう。アリス様によろしく言っておいてくりゃれ」

 

 その言葉を最後に、今度こそ玉藻たちの姿が忽然と消え、僕たちは海神の鈴をもって、地上へと向かったのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 結局、あの後アリスに玉藻からの伝言を伝えて苦虫をかみつぶしたかのような顔をされる場面はあったが、イリアスポートの船乗りに海神の鈴を見せることで、船を出させることに成功したのだった。

 

「上手くいきましたね。ルカ」

 

「うん、めぐみんもありがとう。めぐみんがいなかったら僕もどうなってたかわからないよ」

 

 そう言って僕とめぐみんはふたりで笑いあう。海神の鈴は何の反応も見せていない。嵐が起きていないのだから当然だ。

 

「嵐が起きないなら、セントラ大陸まではゆっくりできますね」

 

 めぐみんがそう言うと同時、船に唐突に衝撃が走り、大きく揺れた。

 

「なんだ!?」

 

「とりあえず甲板に行きましょう!」

 

 そう言って僕たちが甲板に出ると、一足先に甲板に出ていたアクアと、紫の髪の少女がにらみ合っていた。

 

「あんた、私の乗る船に何をするつもり、この悪魔!」

 

「なにをするつもり、はこちらのセリフよ。まぁ、どうやって、の方が先に来るけど、いったいどうして私の魔法が解呪されてるのかしら?」

 

 そんな二人のやり取りをに駆け付ける直前、アリスが物陰で様子をうかがっているのを見つける。とはいえ、今は一触即発の二人の方に急がなければならないだろう、アリスの横を通り、二人の元に駆け寄る。

 

「アクア!この人は?」

 

「ルカ、来たのね!こいつよこいつ!さっきの港で変な感じがしたときに感じた魔力の持ち主よ」

 

 アクアはそう言い、杖を悪魔の女性へと向ける。

 

「つまり、イリアスポートで船が出せなくなっていた原因はこの悪魔のせい、というわけですか」

 

 めぐみんがそう言い、キッと悪魔を睨みつける。

 

「と、いうことは、私たちが洞窟に入る羽目になったのも、全部こいつのせいじゃないですか!許しませんよ!」

 

 そう言って杖を構え、一瞬で呪文を唱える体制になっためぐみん。即座に巨大な魔方陣が形成され……泡を喰ったように駆け込んできたアリスに殴り飛ばされた。

 

「お、おま、お前、船の上で爆裂魔法なんて放とうとする馬鹿がおるか!?……あ」

 

 めぐみんの首根っこを掴んでゆすっていたアリスが顔を上げると、相手の悪魔が呆然とこっちを見ている。

 

「えっと、魔……、んんっ、何をしてらっしゃるのですか?その、魔族の少女さん?」

 

「……余は旅のグルメだ、故あってこいつらと共に旅をしている」

 

 目線を合わせないようにアリスがそう答えると、悪魔の女性が少々瞑目したのち、顔を上げた。

 

「あなたが認めたというのなら、一旦この勝負は預けましょう。できれば、もっとちゃんとした形で出会いたいものね。私は魔王軍四天王が一人アルマエルマ。その名をしかと胸に刻んでおきなさい」

 

 そう言うと、アルマエルマと名乗った悪魔は、そのまま姿を闇に消そうとして……。

 

「悪魔を逃がすわけないでしょ!……っ!距離が遠い!なら、『セイクリッド、クリエイトウォーター!』」

 

 一瞬で形成された魔法陣は、誰かが止める間もなく、巨大な魔方陣を形成し、周囲から雲を生成し、そして、滂沱の雨……というかもはや滝のような濁流を船に降り注がせた。

 海神の鈴がうなりを上げ、船に降りかかる水を防ぐが、それも一瞬のこと、まるでミニチュアの船に上からバケツで水を流し込んだが如き濁流には、さしもの海神の鈴も許容量をオーバーしたらしく、パリン、という音と共に水が流れ込み、僕たちを意識ごと、外界に放り出したのだった。




大変お待たせしました。もしアクまとめるのに時間がかかって申し訳ない。
ハピネス村はカットです。多分アクアが「多夫多妻?いいじゃない!?」とか言って終わるので。
今回は、イリアスポート周りのお話ということで、結構長くなりました。多分ルカ君は戦闘経験が足りなくて後々苦労することでしょう。
めぐみんは出したくなったので追加です。めぐみんファンの方には、まさかのめぐみんポル〇フ出身ということで、拒否感があるかもしれませんが……し、仕方なかったんだ!イリアス大陸中にめぐみんを出したかったから、仕方なかったんだ!ということで、ご寛恕いただければ。

アンケートはもう少し続けようと思いますが、両方見たいという嬉しい声が多そうなので、どこかのタイミングで二つ差し込めればなと思います。多分、章末というよりは途中で入りそうな気はします。


たまも「ふむ……あの酒盛りしていた馬鹿女神は今どうしておるのじゃろうな。力は本物じゃ。警戒をしておかなくては」
アルマ「あぁ、そいつなら、私があいつらの乗ってる船に姿を見せた時、自分の魔法で船ごと水で流されていったわよ」
たまも「……何をしておるのじゃ?馬鹿か?馬鹿なのか!?というか、あのパーティ、魔王様がおったじゃろ?!魔王様はどこじゃ!救助隊、救助隊を至急編成するのじゃ!?」

 何気に魔王軍に負担をかけているアクア概念。

アニオリ部分の話を見たいかどうかのアンケート

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  • 新人冒険者へ話す冒険話の話だけ見たい
  • どっちも見たい
  • どっちも今更じゃない?
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